カメラを手に、日の出に立ち会う。カメラに黒い影だが、東の山はすでに明るい。ねぐらを離れたカラスが一羽、また一羽。新聞配達のバイクが通り過ぎる。一瞬、日の出前の一番美しい光が見え始めた。山の頂の張り付くようにしている雲に沿って光の帯が現れた。4月29日午前5時11分。この一分後、太陽がすっと出てきた。
時は春、
日は朝(あした)、
朝は七時、
片岡に露みちて、
揚雲雀なのりいで、
蝸牛枝に這ひ、
神、空に知ろしめす。
すべて世はこともなし。
上田敏の訳したブラウニングの「春のあした」。いま、こんなのどかな春の朝は失われてしまったが、日の出に立ち会うと、この詩のフレーズが胸にしみる。
ベランダに目をやると、朝の光を受けたクンシランが、花びらをいっぱいに開いた。マクロで狙ってピントを合わせる。
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