
春は花、秋は月としたのは、日本古来の風雅に心を通わせた人々であった。けれども、花の季節に美しい月を見ることもある。この写真は一昨日のものであるが、入日の光がまだ残っているころ、山の端に美しい姿を現した。持っているカメラでは月は撮れないものとあきらめていたが、望遠レンズに換えて何とか撮れた。
今夜月明人尽く望む
知らず秋思誰が家にかある
月を見て憂いに沈むのは、秋の季節にこそ相応しい。昨夜は、満月、そして部分月食であった。このところの晴天で、月を隠す雲もなく、終夜月光が夜の空に輝いていた。
「月中に蟇蛙あり」という伝承が中国にある。嫦娥は夫の不死の薬を盗んで飲んでしまった。そのために仙人となって、奔って月中に入り、月の精になったという神話がある。蟇蛙はこの嫦娥のなれの果てである、ということだ。
月下老という不思議な老人が唐の時代にいた。ある青年が月夜にこの老人に会い、「あなたは何をする人ですか」と尋ねた。老人は持っていた袋から、赤い縄を取り出した。「この縄は結婚する男女の足をつなぐためのものじゃ。これで、そなたの妻になる人を予告しよう」と言った。一方、氷人は氷上と氷下、陽と陰を、つまりは結婚を予言する人である。月下と結びついて月下氷人、仲人となった。それにしても、近年はこの仲人が段々と少なくなって
結婚紹介所などがとって代わっている。

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