常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

松の老樹

2014年10月07日 | 日記


木の姿を見ると、その木が生きている環境に耐えていることを知ることができる。この赤松は、甑岳の尾根に生えているが、ここは吹き付ける西風や雪が雪庇となって幹の上の方にまで積るのであろう。風に吹かれた枝はその風圧に押されて曲がり、雪の重さによってさらに曲げられ、このような姿になった。生命力の神秘をみるような木がする。個性といえばそうかも知れないが、自然の力に必死に耐えている生きる姿なのだ。

幸田文は『木』のなかで書いている。えぞ松の実が、倒木の上に着床発芽する、倒木更新について、感慨を交えた木の成長へ寄せる思いは美しい文章になっている。

「北海道の自然はきびしい。発芽はしても育たない。しかし、倒木のうえに発芽したものは、しあわせなのだ。生育にらくな条件がかなえられているからだ。とはいうがそこでもまだ、気楽にのうのうと伸びるわけにはゆかない。倒木のうえはせまい。弱いものは負かされて消えることになる。きびしい条件に適応し得た、真に強く、そして幸運なわずか何本かが、やっと生き続けることを許されて、現在三百年四百年の成長をとげているものもある。」

自然に生きる樹木は北海道だけがきびし環境であるとは限らない。高山の強風が吹きつける尾根筋には北海道に勝るとも劣らぬきびしさがある。その環境に耐えて生きる姿は、生きることの美しさを表現し、見るものに感動を与えてくれる。


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