
秋が深まるにつれて、空を見上げることが多くなったような気がする。天気が変わりやすいからつい空を見たくなるし、空の青い色や、雲の美しさに見とれてしまうこともある。雲を見ていると、いつか雑念がなくなって、たった一人で雲に対しているような気になる。
空に一片秋の雲行く見る一人 夏目 漱石
その日によって雲の種類も違う。「綿雲は晴れの兆し」「羊雲が出たら翌日は雨」「巻雲が出ると風か雨」など雲で天気を予想するのは、古くから行われてきた観天望気である。人工衛星が打ち上げられて、天気予報の精度は格段に高くなったが、雲で明日の天気を占うのは、まだまだ廃れそうにない。