常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

まゆみ

2015年10月19日 | 万葉集


まゆみが紅葉した葉を落し、赤い実だけが秋空に映えていた。山形の笹谷峠は、やはり桧枝岐に比べると秋が早い。背景にある山形神室の高いところでは、すっかり木が葉を落し、冬の到来に備えている。まゆみの木は特別の木である。かつて弓の材として用いられ、また和紙を漉けば、特別の紙として使われた。万葉集の譬喩歌、弓に寄すに

南淵の細川山に立つ檀(まゆみ)弓束巻くまで人に知らえじ 巻7・1330

南淵は明日香の稲淵で飛鳥川に上流にある。また細川山は明日香の東南にを流れる細川にのぞむ山である。この地方は早くから開けた土地で、人里離れた深山ではない。葉が落ちて赤い実がなると、すぐ人目につく。このまゆみから、弓を作った。歌の意は、南淵の細川山に立っているまゆみよ、お前を弓に仕上げて弓束を巻くまで、人に知られたくないものだ、ということだ。

この歌はさらに敷衍すれば、目につけた女を妻にするまで誰にも知られたくないという男の願望をまゆみなぞらえて詠んだものである。弓は狩に使う飛び道具である。当時の男にとっては、なくてはならぬものであった。そのために人に知られたくはないものの、余りに目立つ存在であるため、男の願望をよそに、様子のよい女はすぐに男たちの取り合いになり、厳しい競争に晒されたものと思える。
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2015年10月19日 | 日記


公園の池に10羽ほどの鴨が遊んでいた。鴨は渡り鳥で白鳥などとともに、北から暖かい地へと渡ってくる。河口や大きな湖で見る鴨は、この季節に渡ってくるが、内陸の池などに見かけるのは、留鳥で内陸の河川やため池で、子育てをしながら、過ごしてもいるのかも知れない。公園には鳩もいて、決まった時間に餌を与えるおじさんや子どもたちがいる。昨日も昼過ぎになっておじさんの餌やリが始まった。するとどこからともなく鳩がやってきて餌をあさる。それに交じって、鴨が鳩の外側で遠慮がちに餌の分け前にあずかっていた。歳時記を見ると、鴨はすでに冬の季語だ。

日輪がゆれて浮寝の鴨まぶし 水原秋桜子

池で10羽ほどが水に浮かんでいたが、ときおり水中に頭を突き入れて池の底の水草を食べる。浅い池なので、胴の半分は水の外で、しっかりと尻も見せている。餌をとり終わるとすぐに、元の浮き泳ぎの姿にもどる。狭い池のためたちまち土手にぶつかりそうになる。すると鴨は、大きく羽を広げて飛びたち、空中を2,3度羽ばたいて池にもどる。こんな鴨の生活を見ていると、たちまち時間が過ぎているのに気づく。池の側にある楢の木からドングリがたくさん落ちている。女の子が二人、ビニール袋にドングリを拾って入れていた。日一日と秋が深まっていく。
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