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観賞用の菊といえば、展示会に出品するために丹精をこめて世話をする老人の姿をイメージするが、すっかり老人になってしまって秋の菊の美しさに目を奪われる。鉢に咲く大輪のものではなく、畑の隅で咲いている素朴な菊が特に好きだ。秋の日差しを受けて花を咲かせるのを見ると、菊日和という言葉がいかにも似つかわしく感じる。
菊の香の闇ふかければ眠るなり 稲垣きくの
菊の香りも、朝夕の秋冷が厳しくなると高くなるようだ。食用菊のおしたしもこの菊の香りを楽しめる。布団のなかの暖かさが恋しくなり、朝の目覚めもぐんと遅くなる。菊は短日植物と言って、日が短くなるのを感じることで花を咲かせる。そんな菊の性質を利用して、照明をあてて花を咲かせるのを遅らせる技術が生まれた。正月用の飾りに用いるらしいいが、これでは菊の性格を奪ってしまうことになる。