常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

月山道の紅葉

2015年10月22日 | 日記


月山道から見える山中の紅葉はピークを過ぎた。もう数日のうちに葉は落ち、山中のにぎわいは急速に影を潜めていく。新古今集の序に、「春がすみたつたの山に初花をしのぶより、夏はつまごひする神なびの時鳥、秋は風に散るかつらぎの紅葉、冬は白妙の富士の高嶺に雪つもる年の暮まで、皆折にふれたる情なるべし」とあるように、紅葉は花、時鳥、雪とともに季節を代表する風雅である。

おく山にもみぢふみわけ鳴く鹿の声きくときぞ秋はかなしき 猿丸太夫(百人一首)

車で走りながら見る紅葉で、鹿の鳴き声を聞くわけもない。この時代の人が、深山を歩きながら鹿の声を聞いて、それが妻問いの声であるのと自ら妻恋しいという感情が重なって、秋を悲しむというような風雅の境地に入ることは到底できぬ相談である。にもかかわらず、山もみじの美しさにには、心をうたれる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする