
秋が深まると、どこの家でも渋柿の皮を剥いて軒先に吊るす。干し柿のれんと呼ばれ、この地方の秋の風物詩だ。我が家では、昨日いただいた柿を夜なべしてベランダに吊るした。これからは秋風がほどよく当たり、おいしい干し柿ができる。上山では特産の紅柿から作る干し柿は、特産品として高値で取引される。
柿むくやよべは茸を選りし灯に 木村 蕪城
柿はほとんどが渋柿で、木に生ったものをそのまま食べることはできない。樽柿というのは、酒樽に柿を入れて渋を抜いたのでこの名がある。いまでは蔕に焼酎を振りかけて密閉した容器に10日ほどおく。ころ柿、吊るし柿は皮を剥いて乾燥させたもので、渋が抜けると同時に甘さが凝縮する。手の込んだ菓子に人気が集まるが、干し柿は捨てがたい秋の味覚である。
