秋冷とともに菊の花が開きはじめた。食用菊は延命長寿の花として中国から渡来した。菊茶や菊酒として飲み、長寿の漢方薬ととして珍重された。菊の花を茹でて酢醤油で食するようになったのは江戸時代からであったらしい。芭蕉が近江の堅田で詠んだ句がある。堅田祥瑞寺を訪れて詠んだもので、芭蕉は菊の花を好んで食べたらしい。
朝茶のむ僧静也菊の花 芭蕉
食用菊にはたくさんの種類があるが黄花のものはすべて食用になるとものの本に書いてあった。紅紫色のものは、山形が主産地で「もってのほか」と呼ばれて珍重されている。菊栽培に熱中する男性を扱った花登筐のテレビドラマ「もってのほか」もなつかしい。黄色の菊に比べて、食感がシャシシャキする。生のままを湯引いて、くるみ和えにするのが、香りも高くて一番おいしい食べ方だ。