常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

をだまき

2014年05月22日 | 斉藤茂吉


雨にぬれたおだまきの花は、紫が濃く一層美しい。斉藤茂吉の第一歌集『赤光』の初版には連作「をさな妻」のなかに、おだまきを詠んだ歌が入っている。

おだまきの咲きし頃よりくれなゐにゆららに落つる太陽(ひ)こそ見にけれ 茂吉

『赤光』が刊行されたのは、大正2年10月15日のことである。明治38年から大正2年に詠んだ歌を集めたものだが、この間おひろとの離別、生母の死、師伊藤左千夫と身辺に悲しいできごとが起きた。『赤光』は、巻頭に師の死を悼む連作「悲報来」を収め、母の死を詠んだ「死にたまふ母」は読む者へ大きな感動を与えた。

死に近き母が目に寄りおだまきの花咲きたりといひにけるかも 茂吉

茂吉の母おだまきを愛し、庭の隅におだまきのを育て、春が来てその花が咲くのを楽しみにしていた。茂吉は今朝咲いたをだまきのことを、床に就いている母の枕辺で告げた。

この二つの悲しい死別に加えて恋人おひろとの別離を詠んだ連作「おひろ」がある。この連作によって生命の持つ叙情性が高められ、『赤光』は歌壇ばかりでなく文壇へも大きな反響を呼び起こした。

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小満

2014年05月21日 | 日記


今日は24節気の小満。万物がしだいに成長して天地に満ることから、小満と言われる。ツツジやアヤメの花が美しく、畑の野菜は発芽して成長を始めた。昨夜からの恵みの雨で、その成長はさらに促進される。行き会う人ごとに、「いい雨だね」が挨拶がわりになる。雨で多少気温が低いが、過ごしやすい初夏である。麦が成熟する季節でもある。小満とは実に含蓄のある季節を現す言葉だ。

霞城公園北門のお堀に、黄色いアヤメが咲いた。静かな水面に、三羽の鴨が着水した。餌を探すように、すーと木陰に泳いでいく。誰が脅したのでもないが、一羽が飛び立つと、つられるようにほかの二羽も飛び立った。その勢いに驚かされる。岸には釣り糸を垂れる人が2,3人、浮きを見るでもなく、のんびりと話し込んでいる。若い頃、釣りに凝っていたころをなんとなく思い出した。




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鈴蘭

2014年05月19日 | 


子どものころ、鈴蘭は北海道にしかない花だと思い込んでいた。そのため、山形に初めて住んで鈴蘭が咲いているのを見て、不思議な感じがした。花の咲く季節は早いし、葉も花もどこかしら、北海道で見慣れたものとは違うような気がした。事実、北海道には、この鈴蘭を市や町の花とする自治体は、札幌市をはじめ、砂川、恵庭、美瑛、平取、幕別、音更の3市4町に及ぶ。なかでも平取町芽生には、15ヘクタールもの野生鈴蘭群生地がある。北海道特有の花と勘違いするのも仕方のないことかも知れない。

鈴蘭やまろき山頂牧をなす 大島 民部

図鑑で調べると、栽培されている鈴蘭の多くはヨーロッパ原産のドイツ鈴蘭だということである。これは花穂が長く大きめの花をたくさんつける。ピンクや八重咲きのものもあるという。色変わりの品種はまだお目にかかっていない。義母の庭には、鈴蘭水仙が咲いている。花の形が鈴蘭に似ているのので、鈴蘭かと思ったが、花の先端の青い斑があり、花数も少ないので鈴蘭水仙であることが分かった。別名スノーフレークと言われる。

この花の撮影は、花が小さい上、大きな葉に包まれるように咲いているので難しい。前の葉に邪魔されて花にピントが合わせにくいのだ。この2週間の間に4度ほど撮影を試みて、やっと満足のいく写真になった。年をとってからの趣味は、何をしても習熟するのに忍耐と時間が必要である。

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粽(ちまき)

2014年05月19日 | 日記


詩吟の先生から、粽が届いた。毎年この時期に新しい笹の葉に巻いた粽をいただく。端午の節句に粽を食べるのは、昔からの習慣である。伝説では、泪羅に身を投じて死んだ戦国時代の楚の詩人屈原を悼んで、米を入れた竹筒を川に投げ入れて、その霊を慰めた名残であるらしい。

笹の葉は、殺菌力を持っているらしく、粽は紐で吊るして保存食として食べられた。味噌を熟成させる樽に入れた味噌の蓋に笹の葉が用いられる。そのためでもあるのか、笹の葉は魔よけの力があると信じられてきた。鯉のぼりを揚げる家もめっきり少なくなったいま、粽を作って知人に配るのは、その家の健康を願うという意味合いもこめられている。

アヤメを風呂に入れて菖蒲湯にするのも、同じ意味がある。軒に吊るしたり、酒に入れて飲んだりした。風呂に入れて入るようになったのは、江戸時代あたりからで、尚武に通じることから、戦乱のときの武運を祈ることがこの風習となったのである。



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面白山

2014年05月18日 | 登山


雨のため山行を一日延期した。近ごろ見たことのないようなきれいな虹が西の山にかかった。虹が立つのは山沿いに雨が残っている証。今日行く面白山に雨が上がることを祈る。

登る山は面白山。天童高原スキー場から、三沢山を経て面白山山頂(1264m)を目指す。登山口で、若いパーテイに出会う。昨夜ここのキャンプ場でテントを張り、一泊して早朝から山頂へ行くグループだ。山中で若者に出会うのはめったにないが、今日は山形大学の登山グループ32人が入山しているという。



天気は垂れ込めたガスが、時おり晴れて高原の新緑を浮き出すように見える。この景観を写真に収めたいが、ガスがすぐにのぼってきて思うようにならない。こんな時は、カメラのシーンモードにすべきなのだが、ついシャッターを切るのに忙しく設定を忘れてしまう。家に帰ってモニターを確認するが満足できるものは殆どない。

三沢山の頂上で山大生のグループに会う。学生に人気のある蔵王には登らないのかと、聞くと来月に予定しているとのことだ。気さくに面白山の頂上の情報を教えてくれる。「上は寒くて何も見えませんよ。足場が悪いので気をつけて行ってください。」「頑張ってください」と口々に、老体に言葉をかけてくれる。「ずいぶん大きなリュックだね。」と聞くと、キャンプ場の大部分の荷物を置いてきたので、中味あんまりないです。」どうやら、大きな荷物を背負って鍛える式の登山訓練は昔のことであるらしい。



頂上で仙台から来た二人の女性ハイカーに会う。電車できたということが、とにかく元気だ。「晴れるはずなのにー」「あと30分で晴れますよ」「待っていれば晴れるかしら。でも寒くて待っていられないよう」こんな会話をしていると、突然ガスが晴れて、南面白山と大東岳が姿を現す。「うわあ、すごいね」歓声とともに、展望のすばらしさを堪能していた。

ガスのなかで、ムラサキヤシオの花を見つけた。天童市に近く、この山が人気の山であることが分かるような気がした。歩行距離8.1㌔、標高差500m、歩行時間4時間半。新しい仲間のAさんをふくめ、メンバー4名。大満足の山行であった。


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