午前10時、西蔵王にある野草園に行く。月曜日とあって園内は静かだ。ウグイスや春蝉のなき声が響いていた。チケット売り場で、見ごろの花を教えてくれる。一番のおすすめは、クマガイソウであるらしく、2ヶ所咲いている場所を教えてくれた。
広い園のなかで、なかなかクマガイソウは見つからない。親子連れの女性が声をかけてきた。「あのう、クマガイソウはどこで咲いているでしょうか」「自分も探しているのですが、なかなか見つからなくて」。そんなやり取りのあと、園で植物の世話をしている人が二人連れを案内していた。「クマガイソウのところへ連れて行ってくれんですって」。
2、30本のクマガイソウが特徴のある葉の上に大きな花を咲かせていた。ランの仲間で、これほど広い葉を持つのは、世界でも稀なことであるらしい。花の名は武将の熊谷直実に因んでいる。背後からの矢よけのために膨らませた布製の袋を背負った姿に、この袋の唇弁に見立てたものであるらしい。
竹散るや熊谷草の母衣(ほろ)の上 綾部 仁喜
目を水中に転じると、コウホネの花が咲き始めた。すでに水芭蕉の花は終わり、コウホネが2、3輪、鮮やかな黄色を見せてくれる。夏山の山中の池でこの花を見たが、睡蓮とは違った素朴さがって、好きな花である。
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