風邪気味で山行を止める。熱い雑炊に玉子入れて身体を温めると、咳や鼻水がおさまってきた。めったに風邪は引かないが、やはり寒気へのケアが必要である。かって風邪を引いたとき玉子酒を試してことがあるが、それほど効果はなかったような気がする。尾崎紅葉に玉子酒を詠んだ句がある。まつよひ、詞書して
我兄子が来べき宵なり玉子酒 尾崎 紅葉
我兄子、わがせこというのは、思う人、恋人のことである。古歌の時代では、家で訪れを待つ妻の待ち人、夫のことである。
我が背子が来べき宵なりささがにのくものふるまいかねてしるしも
の歌を元取りしている。待ち人は、蜘蛛の動きひとつで、待ち人の訪れを占ったのである。明治の男女は、もっとリアルで、風邪など吹き飛ばそうというのだ。玉子酒もこんな風に飲めば、きっと風邪を吹き飛ばしてくれるであろう。