『悪い夏』
監督:城定秀夫
出演:北村匠海,河合優実,伊藤万理華,毎熊克哉,箭内夢菜,竹原ピストル,木南晴夏,窪田正孝他
MOVIXあまがさきにて、前述の『教皇選挙』の次に。
4年半ほど前に読んだときの感想はこちら。
彼が担当する山田吉男(竹原ピストル)などは明らかに仮病を装う不正受給者なのに、強く言えずにいるのだ。
ある日、宮田が佐々木に相談を持ちかける。
宮田の同僚、つまり佐々木の先輩である高野洋司(毎熊克哉)が自分の立場を利用して、
ネグレクト気味のシングルマザーで生保受給者の林野愛美(河合優実)に肉体関係を強要していると。
その証拠を集めて高野を失職に追いやりたいから協力してほしいと宮田は言う。
それよりも前に愛美はすでに友人の莉華(箭内夢菜)に高野の話をしており、
莉華から報告を受けた恋人の金本龍也(窪田正孝)が高野を強請ることを思いつく。
高野が愛美とヤッているところを隠しカメラで撮影すると、
家族や職場にバラされたくなければ金本が集めたホームレスの生保受給申請をすべて通せと高野を脅す。
ところが宮田と佐々木が愛美のところへやってきたと聞き、高野の行動がバレているならばこの計画は無理だと金本は考える。
こうして金本が手を引く一方で、愛美とその娘・美空(佐藤恋和)を気にかける佐々木は頻繁に林野母娘のもとを訪れるように。
それを知った山田が、金本が高野にやらせようとしていたことを佐々木にやらせようと企んで……。
キャッチコピーにもなっているように、クズとワルしか出てきません。
佐々木に同情の余地はあるものの、当初愛美に対してちょっと説教臭いところが嫌。
正義を振りかざす宮田にしたって、これだけ高野に執着するのは高野と不倫関係にあったことが見え見え。
あ、これは最後まで明らかにはされませんけれど、見りゃわかりますよね。
登場人物誰にも共感できない嫌な話なんですが、面白い。
これまで青春恋愛ものへの出演が多かった北村匠海は、一皮むけた印象です。
窪田正孝のワルぶりは相当なもので、めちゃくちゃ似合っています。
メインの話が進む裏側では、本当に生活保護の受給が必要な親子の姿があります。
突然の事故で夫を亡くした古川佳澄(木南晴夏)は幼い息子を抱えて生活がままならない。
光熱費が払えずに電気が止められるような状況なのに、税金に頼るのは悪いことだと思っています。
同僚に背中を押されてやっと生保の申請に行くと、対応したのはキレた佐々木で。
とても辛い話を盛り込みつつ、城定監督は最後にわずかな光を見せてくれます。
原作をすっかり改変してお涙頂戴へと持って行く瀬々敬久監督との違いはココ(笑)。
城定監督作品も、染井さんの小説も大好きです。