『別離』(原題:Jodaeiye Nader az Simin)
監督:アスガー・ファルハディ
出演:レイラ・ハタミ,ペイマン・モアディ,シャハブ・ホセイニ,サレー・バヤト,
サリナ・ファルハディ,ババク・カリミ,メリッラ・ザレイ他
前述の『少年と自転車』とハシゴ。
第84回アカデミー賞で外国語映画賞を受賞したイラン作品で、
その他の名だたる賞も受賞しまくり。
かなり前から上映していますが、いまだにほぼ満席です。
テヘランに暮らす中産階級の夫婦、ナデルとシミン。
妻のシミンは一人娘テルメーの将来を考え、海外への移住を希望。
ようやくそれが叶いそうなのに、夫のナデルは大反対。
アルツハイマー型認知症を患う父親のことが気がかりで国を出られないと言うのだ。
夫婦の意見は平行線をたどり、ならば仕方ないとシミンは離婚を申し出る。
しかし、家庭裁判所は離婚を認めず、シミンはナデルと距離を置こうと実家へ帰る。
シミン不在では認知症の父親の面倒をみる者がおらず、仕事にも行けない。
ナデルはラジエーという女性を家政婦として雇うことに。
幼い子どもを連れたラジエーは遠方から通いはじめる。
ある日、ナデルとテルメーが帰宅してみるとラジエー親子がいない。
父親はベッドに縛りつけられ、動こうとした拍子に転げ落ちたのか負傷している。
戻ってきたラジエーにナデルは激怒。しかも引き出しの金がない。
父親を危険な目に遭わせた泥棒と罵り、家から追い出すが、
その後、妊娠中だったラジエーが流産したことを知る。
聞いたからには知らん顔はできないと、ナデルはシミンとともに
ラジエーとその夫ホッジャトを見舞う。
ところが、ラジエーが家政婦をしていることすら初耳だったホッジャトはキレる。
ナデルは胎児を殺した罪で訴えられ、
逆にナデルは父親を負傷させた罪でラジエーを訴えるのだが……。
ラジエーはどこへ出かけていたのかを言おうとしないので、
なぜ父親を縛りつけてまで出かけたのかがわかりません。
ナデルがラジエーの妊娠を知っていたかどうかも訴訟ではポイントになりますが、
本当はどうなのかがわかるのはかなり後。
この辺りがちょっとしたサスペンスタッチになっていて引き込まれます。
文化のちがいに考え込むシーン、実にいろいろ。
失禁したナデルの父親は、ラジエーが浴室へ連れて行っても、
自分でシャワーを浴びることも着替えることもできません。
ラジエーは「私が認知症の男性を風呂に入れることは罪にならないか」と
イスラム協会に電話をかけて相談します。
また、コーランに誓えるかと問われれば決して嘘はつけません。
身勝手なことなのか、人を思いやってのことなのか。
両親は娘の幸せをいちばんに望んでいたはずなのに、何もかもが娘を苦しませるだけ。
ラストシーンには言葉も出ません。この余韻は、胸が痛くなる。
監督:アスガー・ファルハディ
出演:レイラ・ハタミ,ペイマン・モアディ,シャハブ・ホセイニ,サレー・バヤト,
サリナ・ファルハディ,ババク・カリミ,メリッラ・ザレイ他
前述の『少年と自転車』とハシゴ。
第84回アカデミー賞で外国語映画賞を受賞したイラン作品で、
その他の名だたる賞も受賞しまくり。
かなり前から上映していますが、いまだにほぼ満席です。
テヘランに暮らす中産階級の夫婦、ナデルとシミン。
妻のシミンは一人娘テルメーの将来を考え、海外への移住を希望。
ようやくそれが叶いそうなのに、夫のナデルは大反対。
アルツハイマー型認知症を患う父親のことが気がかりで国を出られないと言うのだ。
夫婦の意見は平行線をたどり、ならば仕方ないとシミンは離婚を申し出る。
しかし、家庭裁判所は離婚を認めず、シミンはナデルと距離を置こうと実家へ帰る。
シミン不在では認知症の父親の面倒をみる者がおらず、仕事にも行けない。
ナデルはラジエーという女性を家政婦として雇うことに。
幼い子どもを連れたラジエーは遠方から通いはじめる。
ある日、ナデルとテルメーが帰宅してみるとラジエー親子がいない。
父親はベッドに縛りつけられ、動こうとした拍子に転げ落ちたのか負傷している。
戻ってきたラジエーにナデルは激怒。しかも引き出しの金がない。
父親を危険な目に遭わせた泥棒と罵り、家から追い出すが、
その後、妊娠中だったラジエーが流産したことを知る。
聞いたからには知らん顔はできないと、ナデルはシミンとともに
ラジエーとその夫ホッジャトを見舞う。
ところが、ラジエーが家政婦をしていることすら初耳だったホッジャトはキレる。
ナデルは胎児を殺した罪で訴えられ、
逆にナデルは父親を負傷させた罪でラジエーを訴えるのだが……。
ラジエーはどこへ出かけていたのかを言おうとしないので、
なぜ父親を縛りつけてまで出かけたのかがわかりません。
ナデルがラジエーの妊娠を知っていたかどうかも訴訟ではポイントになりますが、
本当はどうなのかがわかるのはかなり後。
この辺りがちょっとしたサスペンスタッチになっていて引き込まれます。
文化のちがいに考え込むシーン、実にいろいろ。
失禁したナデルの父親は、ラジエーが浴室へ連れて行っても、
自分でシャワーを浴びることも着替えることもできません。
ラジエーは「私が認知症の男性を風呂に入れることは罪にならないか」と
イスラム協会に電話をかけて相談します。
また、コーランに誓えるかと問われれば決して嘘はつけません。
身勝手なことなのか、人を思いやってのことなのか。
両親は娘の幸せをいちばんに望んでいたはずなのに、何もかもが娘を苦しませるだけ。
ラストシーンには言葉も出ません。この余韻は、胸が痛くなる。