夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

立誠シネマプロジェクトへ行ってみた。

2016年06月30日 | 映画(番外編:小ネタいろいろ)
ダンナが2泊3日で国内出張の2日目。
ふらふらと遊びに行くにはもってこいの日に休みを取りました。
京大総合博物館で開催中だった“ねむり展”を観るのがメイン。
そのあと京都で映画を観ようかと。

前日は仕事帰りに西宮で映画を2本観たため、たいがいヘロヘロ。
朝から晩まで京都で遊ぶつもりも、そんなに早くは起きられず。
電車で京都まで行けば道中に本をたくさん読めると思いましたが、
だらだらしているうちに駅まで歩くのが面倒くさくなり、結局車で出発。

京都まで行くなら電車も車も時間的にそんなに変わらんと思っていましたが、
やっぱり車のほうがはやかった。
家から歩いて箕面駅に着いたとおぼしき頃には名神吹田入口。
石橋駅に着いたであろう頃にはほぼ大山崎出口付近を通過。
高速を降りると下道が若干混んでいるとはいえ、自宅から四条河原町まで小1時間。
祇園・河原町付近は駐車料金が高いけれど、四条大橋の南辺りなら、
駐車場最大料金で1,500円で済みます。っちゅうても高速代1,030円かかってるんですけど。(^^;

京大総合博物館までは市バスに乗り、展覧会を観てから再び市バスに乗車。
新京極のMOVIX京都に寄る案も捨てきれず、河原町三条で下車してぷらぷら。
なんとなく今日はシネコンよりもマニアックな映画館に行きたい心境。
立誠シネマプロジェクトを目指しました。

高瀬川沿いにあるこの建物は、元・立誠(りっせい)小学校
1869(明治2)年に開校した公立小学校で、1993(平成5)年に閉校。
その校舎の3階に常設されたのが立誠シネマプロジェクトです。
リュミエール兄弟が発明したシネマトグラフ(映写機)を用いて
日本で初めて投影されたのが1897(明治30)年、立誠小学校の地なのだそうです。

以前から行きたいと思っていましたが、いつもタイミングが合わず。
昨年暮れも『木屋町DARUMA』(2014)を観るつもりが、
ほかの作品とのハシゴの都合で京都シネマのほうへ行ってしまい。
ようやく立誠シネマプロジェクト。ついに果たしました。

どうしてもっと早く来なかったんだろうと思うほど、イイ。
この小学校へかよっていたわけではないのに、佇まいにも匂いにも郷愁を感じます。
エレベーターなんてもちろんなし、きしむ床の音も心地よし。
トイレは1階のみ使用可能。校庭と中庭に面した回廊を通って行きます。
脇に並ぶ水道を見れば、体育の授業後などにここで手や顔を洗う子どもたちの顔が浮かんで。
明け方の大雨が上がって陽が射し込みかけていた日、
乾ききらない木々からポタポタと落ちる雨の滴も気持ちいい。

勢いで4本ハシゴすることに。
これはいったい何の部屋だったのか、座席はおそらくもともと階段。
赤い絨毯を敷き詰めた階段の上にクッションを置き、その上に座椅子を固定しているのか。
お世辞にも座り心地がいいとは言えないけれど、妙に落ち着きます。

1本目はなんと“おひとりさま”になってしまいました。
『世界のアニメーションシアター WAT 2016』のBプログラム、
「社会的視点を持つアニメーション」短編5本。
フランス、デンマーク、イタリア、イスラエル出身の監督によるアニメは、
聴覚障害巡礼、戦争を取り上げたもの。
目にしたことのないタイプの作品もあり、面白かったです。

なんて居心地がいいのだ。京都までかよってしまいそう。

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『帰ってきたヒトラー』

2016年06月28日 | 映画(か行)
『帰ってきたヒトラー』(原題:Er Ist Wieder Da)
監督:ダーヴィト・ヴネント
出演:オリヴァー・マスッチ,ファビアン・ブッシュ,クリストフ・マリア・ヘルプスト,
   カッチャ・リーマン,フランツィスカ・ヴルフ,ラース・ルドルフ他

仕事帰りにTOHOシネマズ西宮でハシゴの2本目。
1本目に観た『植物図鑑 運命の恋、ひろいました!』
いろいろある選択肢からどれでも良くて選んだ作品でしたが、
この2本目はそれよりずっと前に迷わずに決めていました。

ナチスの残党が出てくるぶっ飛び作品といえば、
記憶に新しいところでは『アイアン・スカイ』(2012)。
フィンランド/ドイツ/オーストラリア作品でした。
本作はそれよりも真面目で可笑しく辛辣で恐ろしいドイツ作品です。

1945年に自殺したはずのアドルフ・ヒトラー
その直前の失神した状態で意図せずタイムスリップ
ベルリンの空き地で目を覚ます。

いったい今が何年なのかわからぬまま、
ヒトラーは指揮を執るために総統地下壕へ向かおうとするが、
誰も自分のことを総統とは認めていない様子。
それどころか笑われたり一緒にカメラに収まることを求められたり。
キオスクで新聞を手にとってみれば、2014年。
店主の厚意で一晩居座らせてもらうことに。

一方、フリーの映像作家ファビアン・ザヴァツキは、
これまで契約を結んできたテレビ局からクビを告げられて困惑。
なんとかもう一度雇ってもらおうとネタ探しに躍起になっていた矢先、
街なかで回したビデオカメラに写っている人物を見て仰天。
アドルフ・ヒトラーのそっくりさん。これこそ絶好のネタ。

キオスクでヒトラーに接触することに成功したザヴァツキが撮影を開始したところ、
YouTubeで凄いヒット数を記録。
テレビ局に持ち込むと、副局長のクリストフ・ゼンゼンブリンクは取り合おうとしないが、
女局長のカッチャ・ベリーニが大乗り気。

ヒトラーが生きていたとしたらいかにも言いそうなことばかり。
まさかタイムスリップしてきた本人だとは誰も思わないから、
なりきり芸人だと信じられてその完成度の高さが評判に。
たちまちヒトラーは時の人となるのだが……。

相当笑えるだけにラストの恐ろしさが大きい。
と言っても、どんでん返しや衝撃的な出来事があるわけではありません。
ただ、独裁者はこうして大衆の心を掴んでゆく。
国民として同じ過ちは犯さない、騙されないと誓っているにもかかわらず、
するすると心に入られて、いつのまにか同じことに。
断固として拒否しているのが認知症のお婆さんだけだという皮肉。

歴史は繰り返されるのだということ。
面白いという言葉を使うのはどうかと思いますが、非常に興味深く面白い。
唸りました。

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『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』

2016年06月27日 | 映画(さ行)
『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』
監督:三木康一郎
出演:岩田剛典,高畑充希,阿部丈二,今井華,谷澤恵里香,相島一之,
   酒井敏也,木下隆行,ダンカン,大和田伸也,宮崎美子他

先週の水曜日から金曜日にかけて、ダンナが2泊3日の国内出張。
晩ごはんをつくらなくていいんだから、映画を観に行かない手はありません。
仕事帰りにTOHOシネマズ西宮へ。
18:10上映開始の本作に間に合うか微妙でしたがなんとかセーフ。

これ以外にも選択肢が何本かありました。
有川浩のこの路線にはあまりいい印象がないので躊躇していたのですが、
職場の同僚のお嬢さんが観に行って泣いたと聞いたり、
同じく同僚の息子さん(ご主人がカナダ人につきハーフ♪)曰く、
同級生女子の9割が鑑賞していて皆泣いたらしいと聞いたり。
高校生がそんなに泣くってホンマかいなと興味が湧きました。

東京でひとり暮らしをしている23歳のさやか(高畑充希)。
不動産会社に勤務するOLだが、とことん運に見放されている。
上司(ダンカン)はさやかの言い分を聞かずに怒ってばかり。
実家には訳あって寄ることができず、
気にかけてくれる母親(宮崎美子)からの電話にも出られないまま。
築30年のアパートに帰宅して1杯、ほろ酔いで気を紛らわす。

寒さ厳しい2月のある日、行き倒れの樹(岩田剛典)という男子と遭遇。
放っておけずに声をかけると、腹が減って動けないという。
アパートの部屋に招き入れてカップ麺を与え、部屋を提供する。
酔っぱらっていたがゆえに、これらはすべて夢の中の出来事だと思っていたが、
翌朝目覚めてビックリ。樹が朝食を用意してくれていたのだ。

まともな料理と人の優しさなど久しぶりだったさやかは思わず涙。
出て行こうとする樹を思わず引きとめ、同居を提案。
樹は料理と家事を担当する代わりに半年間同居させてもらうと決める。

植物にやたら詳しい樹は、週末になるとさやかを近所の河原や土手に連れ出し、
食べられる野草を採っては、美味しい料理を作ってくれる。
楽しいことなど何もなかったさやかの生活に笑顔が生まれる。
一緒に暮らしても恋人ではない。単なる同居人。
そう自分に言い聞かせていたが、次第に樹への想いを隠せなくなり……。

一応、私も泣きました(笑)。
個人的には最悪だった『レインツリーの国』(2015)。
主演の西内まりやは「がんばってるアピール」満載で辛かったのですが、
この高畑充希はそれがあまり強くないからいい感じ。
『ROAD TO HiGH&LOW』で初めて知った「がんちゃん」は
決して演技が上手いとは言えませんが、カワイイもんね。許せます。
これで泣く高校生が多いと聞くとなんか嬉しい気がします。
なんて素直なんでしょう。
あ、自分のことも素直だと言ってることになってしまいますけれども。(^^;

しかし、あんなイケメン男子が落ちているわけないねんから。
落ちてたら誰でも拾うっちゅうねん。

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『団地』

2016年06月25日 | 映画(た行)
『団地』
監督:阪本順治
出演:藤山直美,岸部一徳,大楠道代,石橋蓮司,斎藤工,冨浦智嗣,
   竹内都子,濱田マリ,原田麻由,宅間孝行,三浦誠己,麿赤兒他

前述の『10 クローバーフィールド・レーン』とハシゴ。
TOHOシネマズなんば本館から別館に移動して。

『マネーモンスター』のジュリア・ロバーツとジョージ・クルーニーの共演も惹かれたけれど、
それよりも観たかったのは直美と一徳の共演でした。
第19回上海国際映画祭では藤山直美が最優秀女優賞を受賞。
同映画祭で日本人俳優が受賞するのは初めての快挙だそうです。

当たり前でしょうが、客の年齢層、めちゃめちゃ高し。
共感能力の高い人に囲まれて、楽しさ倍増の予感。

大阪近郊の商店街で漢方薬局を営んでいた夫婦、
山下清治(岸部一徳)と妻のヒナ子(藤山直美)は、
半年前に店を畳み、古ぼけた団地へと引っ越してきた。

ある日、薬局の常連客だった真城(斎藤工)が夫婦を訪ねてくる。
真城には清治がつくった漢方薬がどうしても必要で、
それがないと困るらしく、定期的に送る約束を交わす。

一方、団地では自治会長の選挙目前。
現会長の行徳正三(石橋蓮司)がまた立候補する予定だが、
その妻の君子(大楠道代)は浮気中の正三に恥をかかせたい。
生真面目な清治ならば会長が務まるはずだと、清治を推薦。
また、いい加減な吉住(宅間孝行)も立候補する。

自治会長だなんてと言いつつもまんざらではない清治は、
当選したあかつきにはといろいろ考え中。
ところが選挙結果は正三の圧勝。
団地の奥様方の井戸端会議を聞いてしまった清治は意気消沈。
もう誰にも会わないとスネて、部屋の床下へと潜り込んでしまう。

清治をまったく見かけなくなったものだから、
奥様方の間に「ヒナ子が殺したのでは」との噂が駆けめぐる。

そんな折り、再び真城がやってくる。
真城は特異体質を持つ自分の郷里の人々のため、
大量に清治の漢方薬が必要だと言う。
話を聞いた清治とヒナ子は真城の注文を受けると、
必死で薬をつくりはじめるのだが……。

鑑賞後の感想としてはビミョーです。主演2人はもちろん絶品。
スーパーの客役でちょい出演の麿赤兒、上司役の三浦誠己
濱田マリらが演じる団地のおばちゃん連中、皆笑わせてくれます。
しかし阪本順治監督が「監督人生で最も実験的な作品」とおっしゃっているとおり、
人情劇のイメージがある阪本監督の作品としてはあまりに奇天烈。
そこがすんなり受け入れられなくて、違和感が残りました。

だけど、他人に迷惑だけはかけぬようにと心がけて、
静かに暮らしたいと願っていた夫婦が図らずも話題のネタを提供することになり、
団地に騒動が巻き起こるのは可笑しくもあり恐ろしくもあり。
自分がスネているのが原因でそんなことになっているというのに、
まるでわかっちゃいない亭主と、もうどうにでもなれと動じない嫁の対比も○。

藤山直美ありきの作品。
こんな阪本監督もありかなとは思うけど、ものすごくビミョー。

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『10 クローバーフィールド・レーン』

2016年06月24日 | 映画(た行)
『10 クローバーフィールド・レーン』(原題:10 Cloverfield Lane)
監督:ダン・トラクテンバーグ
出演:ジョン・グッドマン,メアリー・エリザベス・ウィンステッド,ジョン・ギャラガー・Jr.他

6月18日~24日はTOHOシネマズのシネマイレージ会員対象のキャンペーン中。
会員を増やそうという目論見なのでしょうけれど、そのわりに告知が中途半端。
劇場にしょっちゅう足を運んでいたから知っていたものの、
あらためてHPで確認しようと思ったらトップ画面では告知なし。
これでは会員がそれほど増えるとは思えません。どうよ。

すでに会員の私はそんなことはどうでもいいとして、
せっかく会員は1,100円で観られる期間なのだから、TOHOシネマズで観なくては。
先週末公開になった未見の作品が5本ほど。
そのうちどれを観ようかと考えたとき、ふだんならスルーしそうだけれど、
1,100円ならば観ようと思ったのがこれ。TOHOシネマズなんばにて。

『クローバーフィールド/HAKAISHA』(2008)をプロデュースしたJ・J・エイブラムスが、
同じ世界観を作品内に取り込む形で製作したというSFミステリー・サスペンス。
とのことなのですが、それを観ていないのでよく意味がわからん。
予告編のジョン・グッドマンが悪者っぽかったのに釣られたようなもんです。

同棲していた恋人のベンと別れることを決意し、
彼の留守中に家を飛び出した若い女性ミシェル(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)。
車の運転中にベンから電話がかかり、それに気を取られていると、
後方車両に追突され、車もろとも斜面を転がり落ちる。

意識を取り戻すと見知らぬ部屋の中。
怪我の手当てはされているようだが、脚と柱が手錠で繋がれていて動けない。
重そうな扉は施錠されており、これはまさしく監禁状態。

助けを求めて泣き叫ぶと、中年の巨漢男性ハワード(ジョン・グッドマン)が現れる。
彼は事故現場を通りかかってミシェルを助けただけだと主張。
彼女が事故に遭った直後、地球は何者かの襲撃に遭い、外の空気は汚染された。
ハワードはこうなることを予期しており、
かねてから用意していたこの地下シェルターに彼女を運び込んだのだと言う。

シェルターにはミシェル同様に負傷した若い男性エメット(ジョン・ギャラガー・Jr.)がいて、
てっきり彼も拉致監禁されているのかと思いきや、
エメットは自分の意思でここへやってきたらしい。

外に出れば確実に死ぬという、ハワードの話は本当なのか。
疑念を抱きつつも彼らと共同生活を送りはじめるミシェルだったが……。

お金がかかっているのかかかっていないのかわからん作品です。
登場人物はほとんど上記の3人のみ。
恋人ベン役で声のみ出演しているのがブラッドリー・クーパーなんですが。

人には薦めないけれど、なんか楽しい、可笑しい。
「敵」の姿には唖然呆然。マジかよとウケました。
ジョン・グッドマン演じるハワードが善人なのか悪人なのかわからず、
最後まで観ても、どう捉えればいいのか謎。

これって続編があるんですか。
あるなら間違いなく観に行ってしまいそうです。

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