夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈わ行〉

2012年12月31日 | 映画(わ行)
《わ》
『私が、生きる肌』(原題:La Piel que Habito)
スペインの鬼才ペドロ・アルモドバル監督によるミステリー作品。
現在、6年前、そしてまた現在という、ひねった3部構成。
人工皮膚開発の権威として名高い形成外科医ロベル・レガル。
彼の大邸宅の一室には、全身に特殊なボディストッキングをまとった、
亡き妻ガルにそっくりなベラという美女が幽閉されている。
彼女の世話をするのはレガル家に長く仕える初老のメイド、マリリア。
きっと、酷い事故に遭った女性が優秀な外科医のもと、
密かに整形手術を受けて快復を待っているのだろうと思ったら、意外や意外。
この監督もある意味、変態だと思うのですが、その世界に引きずり込まれます。
ジャン=ポール・ゴルチエが担当した衣装も素晴らしい。

《を》《ん》
なし。

この50音順で挙げたものを含めると、アップ率は6割ぐらいになりました。
それでもまだ挙げられなかったことが心残りな作品があります。
2010年のカナダ(ケベック)/フランス作品の『灼熱の魂』は、
DVDで観た作品のなかでは「魂を撃ち抜かれた度」がいちばんだったかも。
人間の、というより、母親の器の大きさに、しばし言葉が出ませんでした。
豪華な顔ぶれながらDVDスルーだった『マージン・コール』は、
劇場未公開だったのが惜しいほど、緊迫感のある24時間が描かれていました。
アニメでは、『おおかみこどもの雨と雪』には泣けなかったけれど、
『ももへの手紙』では台風の日にそれはアカンやろとツッコミを入れつつもウルッ。
数日前にレンタル開始になった『るろうに剣心』は映画そのものもおもしろかったですが、
「亡者の怨霊が剣から聞こえる」とか「身も世もなく泣く」とかいう日本語字幕にウケました。
DVDで邦画を観るとき、私にとっては日本語字幕も大きな楽しみのひとつです。

今年はちょっとした事情から、例年以上にがんばって映画を観た年でした。
総本数としてはいつもより数十本多い程度なのですが、劇場で観た本数は過去最高。
ついでに、読んだ本は映画の劇場鑑賞数とちょうど同じぐらい。
諸般の事情が伴わないとムリなので(ダンナ出張で晩ごはんをつくらなくていいとか(^o^;)、
来年も同じだけ観る&読むのはしんどそうですが、できる範囲でいっぱい観たいなぁ。

今年もおつきあいをありがとうございました。
どうぞ良い年をお迎えください。

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今年観た映画50音順〈ら行〉

2012年12月30日 | 映画(ら行)
《ら》
『ラルゴ・ウィンチ 裏切りと陰謀』(原題:Largo Winch II)
2010年のフランス/ベルギー/ドイツ作品。
ベルギーやフランスで大人気のコミックの実写映画化、第2弾。
巨大財閥ウィンチグループの総帥が暗殺される。
総帥の死によって、隠し子ラルゴの存在が明るみに出て、
後継者としてラルゴは地位も財産も相続する。
しかし、権力を望まないラルゴは会社を売却、
全額を慈善事業に投資すると公表するのだが……。
2008年に製作された第1弾は未公開でしたが、ストーリーがわかりやすく、
第2弾だけ観ても十分おもしろい。
それにしてもラルゴ、なんでも出来すぎ。ホームズと張り合えそう。

《り》
『リミットレス』(原題:Limitless)
原作はアラン・グリンのベストセラー小説『ブレイン・ドラッグ』。
作家志望のエディは、出版契約にこぎつけたものの、まるで書けずに悩む。
そんな折り、元妻の弟と偶然出会い、謎の薬を受け取る。
人間の脳は通常20%しか使われていないが、この薬で100%活性化すると言う。
ヤバイにちがいないと思いつつ服用すると……。
小説がスラスラ書けて、語学も堪能に、株で大儲けなんてウラヤマシイ。
襲ってきた悪党の血を飲むシーンは悪趣味だけど、
副作用と上手くつきあったうえでのラストのドンデン返しはなかなか。
形無しのロバート・デ・ニーロもよろし。

《る》
『ルルドの泉で』(原題:Lourdes)
2009年のオーストリア/フランス/ドイツ作品。
フランスとスペインの国境、ピレネー山脈の麓の小さな村ルルドは、
聖母マリアが出現したと言われる地であり、
また、奇跡の水が湧き出る泉として知られる巡礼地
多発性硬化症の患者でまだ若き女性クリスティーヌも巡礼に参加。
巡礼の旅はこれが初めてではなく、というのも車椅子で参加できる旅行は限られているから。
さして信仰心が厚いとも思えない彼女だが、この旅の途中、突然立って歩けるようになる。
奇跡だと崇め祝福する人がいる一方、
なぜ他の人ではなく彼女なのかとの疑念や嫉妬が周囲に芽生えて……。
奇跡の認定や今年の巡礼者No.1の決定など、巡礼地って観光化されているのですねぇ。
元に戻るのであれば奇跡でもなんでもないという台詞が残りました。
神様ってむごい。

《れ》
『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』
思えば一昨年の《れ》は『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』でした。
地方鉄道をめぐって繰り広げられるドラマ、“RAILWAYS”シリーズの第2弾。
富山を走る鉄道の運転士、滝島は、1カ月後に定年を迎える。
専業主婦として自分を支えてくれた妻の佐和子と旅行でもと考えているが、
滝島の退職を機に、佐和子が看護師として復職したいと言い出す。
頭ごなしに反対したところ、佐和子は離婚届を置いて出て行ってしまい……。
三浦友和と余貴美子と来れば安心して観ていられます。
新入り運転士役の中尾明慶の天然&純朴さにも救われてホロリ。

《ろ》
『ロック わんこの島』
フジテレビ朝のワイドショーで紹介されて反響を呼んだ、
実在する犬“ロック”をモチーフにしたドラマ。
伊豆諸島の三宅島で民宿を営む野山一家。
小学生の芯は、子犬のときから一緒の愛犬“ロック”と毎日を過ごしているが、
2000年の8月、雄山が大噴火、全島民が島外避難を余儀なくされる。
火山灰が舞うなか、行方不明になったロックを探しにも行けず、
芯たちは東京で慣れない避難生活を送るが……。
子役のナレーションは上手すぎて入り込めず。
ボンクラ大学生に「噴火が起きて良かった」なんて言わせちゃう神経にドン引き。

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今年観た映画50音順〈や行〉

2012年12月29日 | 映画(や行)
《や》
『ヤング≒アダルト』(原題:Young Adult)
ヤングアダルト小説のゴーストライターで、37歳のバツイチ女性メイビス。
執筆作の人気も最近下火になっていたところへ、
高校時代の恋人バディから第一子誕生とそのお披露目パーティー開催の知らせが届く。
バディこそが自分の運命の相手だと信じるメイビスは、久しぶりに帰郷するのだが……。
美人で高ビーな彼女は、田舎で自分がどう思われているのかもわからず、
たまたま仕事で帰郷したふうを装い、目一杯おしゃれしてバディの前に現れます。
一応コメディなのですが、シャーリーズ・セロン演じる彼女がイタすぎて苦笑。
高ビー女が自尊心を傷つけられてズタボロに。あり得る話っぽいところが生々しい。

《ゆ》
『指輪をはめたい』
赤富士薬品の営業マン、輝彦(山田孝之)は、スケートリンクで転倒して頭を強打。
部分的記憶喪失となり、鞄の中の婚約指輪を誰に渡すつもりだったのかが思い出せない。
そんな彼の目の前に現れたのはタイプの異なる3人の女性。
会社のマドンナで東大卒の知的美女、智恵(小西真奈美)。
巨乳で陽気な風俗嬢、店ではナンバー5のめぐみ(真木よう子)。
公園で悲壮感漂う移動人形劇をする、ボケボケながら清楚な和歌子(池脇千鶴)。
どうやら自分は三股をかけていたらしい。
困り果てた輝彦は、スケートリンクで出会った少女エミ(二階堂ふみ)に相談するのだが……。
『モテキ』(2011)から誠実さを省いてブラックな色合いを足したみたいな作品。
最後まで観れば実は一途だったけど、笑うに笑えず。ちと消化不良。

《よ》
『夜明けの街で』
東野圭吾の同名小説を岸谷五朗と深キョン主演で映画化。
大手建設会社に勤める和也は、不倫する奴なんてバカだと思っていた。
しかし、派遣社員の秋葉と飲みに行ったのがきっかけで深みにはまる。
秋葉は富裕で複雑な家庭に育った様子。
15年前には実家で父親の女性秘書が殺され、第一発見者が秋葉だったらしい。
犯人が捕まらないまま事件は時効を迎えようとしていて……。
まったくもって中途半端なラブシーンに「茶番だ~」と叫びたくなりました。
鑑賞時は原作未読だったので、原作はこんな茶番だったわけがないと思いましたが、
後日原作を読んでも茶番でした。(--;
岸谷五朗はいい役者ですが、『愛の流刑地』のTV版といい、こういう色男役はなんだかなぁ。
『みにくいアヒルの子』の先生役なんて良かったし、
色男でも三の線が入っている役のほうが好きだなぁ。

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今年観た映画50音順〈ま行〉

2012年12月28日 | 映画(ま行)
《ま》
『マルティナの住む街』(原題:Primos)
スペイン作品。昨年のラテンビート映画祭にて上映され、今年DVD化。
結婚式に花嫁が現れず、傷心のディエゴは、
従兄弟のフリアン、ミゲルとともに、青春時代を過ごした村を訪れる。
10年前にディエゴが恋い焦がれ、童貞を捧げたマルティナを必死で探すつもりが、
そのマルティナといとも簡単に再会。恋心が再浮上する。
ナンパなミゲルは昔世話になった貸しビデオ屋の親父と飲み交わし、
神経症のミゲルはマルティナの幼い息子と意気投合し……。
下ネタ満載ながら心がぽかぽか。元気がもらえること間違いなしのコメディ。

《み》
『未来を生きる君たちへ』(原題:Haeven)
2010年のデンマーク/スウェーデン作品。
第83回アカデミー賞外国語映画賞受賞作。
デンマークで母親と弟と暮らす少年エリアス。
大好きな父親はアフリカの難民キャンプで医療活動に奮闘し、
デンマークに帰国しても別居している。
矯正中の歯をネズミ顔だといじめられているエリアスは、
転校生のクリスチャンに助けられて親しくなるが……。
原題は“Haeven”で、「復讐」の意。
この邦題には違和感がありましたが、復讐によって起きる事故から先を見れば、
希望に満ちた良い邦題だと思えます。佳作。

《む》
『無言歌』(原題:夾辺溝)
2010年の香港/フランス/ベルギー作品。
今年観た作品でいちばん暗いと感じたのはおそらく本作。
1949年に中華人民共和国を建国した毛沢東は独裁体制を確立。
1956年には共産党に対する批判を歓迎したものの、まもなく方針を一転、
批判した知識人たちを右派分子として辺境の地へと送ることに。
甘粛省に位置するゴビ砂漠の収容所「夾辺溝」に送られた者たちは、
労働教育と称して枯れた土地を来る日も来る日も耕すように指示される。
食事もろくに与えられず、不衛生きわまりない生活ゆえ、次々と死亡。
そこへ収容中のはずのある男の妻が訪ねてくるのだが……。
ひもじさが人を人ではなくしてしまう姿。
近隣地で食糧と交換するため、埋められた死体からは衣服や布団が剥ぎ取られます。
ときには死者の肉がそぎ落とされていることも。
得体の知れない木の実やネズミまで食べるから、吐き気に襲われますが、
その吐いたものの中から食べられそうなものを選ります。
悲しいより先に気持ち悪さを感じてしまった自分を嫌悪。

《め》
『メン・イン・ブラック3』(原題:Men in Black III)
説明不要の大人気シリーズ、第3弾。
地球の秩序を守るべくエイリアンの行動を監視する政府の極秘機関“MIB”。
長らくコンビを組んできたJとKだったが、ある日突然Kの姿が見えなくなる。
どうやら40年前にKによって投獄されたボグロダイト星人のボリスが脱獄。
タイムスリップによって40年前に戻り、Kを亡き者にしようとしているらしい。
そんなことはさせてなるものかと、Jも40年前の事件前日へタイムスリップ
若き日のKと出会うと、自分が何者であるかを信じさせ、
ボリスの陰謀を阻止するために行動を開始する。
笑って笑って最後にホロリ。シリーズの中でいちばん好きです。

《も》
『黙して契れ』(原題:Hermano)
2010年のベネズエラ作品。日本未公開。
カラカスのスラム街に暮らす少年フリオは、猫のような鳴き声を聞く。
そこには生まれたばかりの赤ん坊。
フリオの母親は一旦立ち去ろうとするが、結局見捨てられず、
フリオの弟として育てる決意をする。
ダニエルと名付けられた彼のあだ名はガト(=捨て猫)。
本当の兄弟以上に仲良く成長したふたりは、ともにサッカーが得意。
プロサッカーチームの目を引き、入団テストを受けることに。
ところが、テストの直前、ケーキを配達途中の母親が流れ弾に当たり……。
誰かが殺されるのも日常茶飯事のスラム街。
「兄さんとサッカーするのがいちばん楽しい」。
そんな弟の言葉がラストシーンの空に切なく残りました。

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今年観た映画50音順〈は行〉

2012年12月27日 | 映画(は行)
《は》
『ハートブレイカー』(原題:L'Arnacoeur)
2010年のフランス/モナコ作品。
青年アレックスは姉夫婦とともに“別れさせ屋”を開業している。
依頼に基づき、ターゲットの女性にアレックスが近づくと、
その色男ぶりと演技力に女性は必ずコロリと騙されて、
自分の交際相手の男性に愛想を尽かす確率100%。
ある日、娘ジュリエットの結婚を阻止してほしいという、大富豪からの依頼が。
結婚式は10日後にモナコでおこなわれる予定。
父親が送り込んだボディガードとしてジュリエットに近づくのだが……。
ヴァネッサ・パラディとロマン・デュリス、キュートなふたりのコメディ。
どちらも口元に特徴あり。
ジョニー・デップは彼女のすきっ歯に惚れたのかなぁ。←ついに別れたようですが。
ロマン・デュリスは昔はなんちゅう美形と思いましたが、
本作中でも言われているように、どんどんアホ面になっています。(^^;
『ダーティ・ダンシング』(1987)は『ラブ・アゲイン』(2011)に続き、
こちらでも女性を口説くのに有効。

《ひ》
『光のほうへ』(原題:Submarino)
2010年のデンマーク作品。
アル中で育児放棄の母親に代わり、生まれたばかりの男児の面倒をみる幼い兄弟。
しかし、赤ん坊は突然死を迎えてしまう。
兄弟は末弟の死に責任を感じ、深く心に傷を負ったまま成人する。
兄は事件を起こして最近まで服役、いまは臨時宿泊施設で暮らす。
弟は妻を交通事故で亡くし、ひとりで息子を育てているが、麻薬と縁が切れない。
疎遠になっていた兄弟は、母親の死をきっかけに再会するが……。
寒々として、心が押しつぶされそうに。
ラストのわずかな希望の光に打ち震えます。

《ふ》
『50/50 フィフティ・フィフティ』(原題:50/50)
実際に癌を克服したプロデューサーのウィル・ライザーが書きあげた脚本を映画化。
シアトルのラジオ局に勤める27歳のアダムは、
酷い腰痛に悩まされて診察を受けたところ、脊髄の癌と診断される。
5年後の生存率は50%と知り、覚悟を決めて闘病生活に入るのだが……。
ずっとセス・ローゲンが苦手だったのですが、
本作でアダムの親友カイルを演じる彼を見て、苦手意識は消えました。
みんなが腫れ物に触るようにアダムに接するなか、
カイルだけはいつものとおり能天気、無神経とも思える発言や行動をくり返します。
それがこういう展開になるとは予想せず、泣かされました。

《へ》
『HELL』(原題:Hell)
『デイ・アフター・トゥモロー』(2004)のローランド・エメリッヒ監督が製作総指揮を務め、
母国ドイツの新鋭監督デビューをサポートしたという、たドイツ/スイス作品。
舞台は近未来も近未来、2016年。
地球温暖化現象で気温がぐんぐん上がり、太陽嵐が起きて文明は崩壊。
生き残ったマリーとレオニー姉妹は、マリーの恋人フィリップとともに、
水のある場所を求めて車を走らせる。
途中のガソリンスタンドからトムという男が同乗することに。
しかし、レオニーが独りになった隙を狙って謎の男たちが車ごと奪う。
マリーはレオニーを探すうちに荒れ果てた農場にたどり着くのだが……。
画面が暗い、話も暗い、狂気の農場のババアを殺しても救いなし。

《ほ》
『ホーボー・ウィズ・ショットガン』(原題:Hobo with a Shotgun)
フェイク予告編コンテストでグランプリに輝いた作品をちゃんと長編化。
宿無しの初老の男“ホーボー(流れ者)”がやって来たのは、暴力に支配された町。
犯罪組織のボス、ドレイクとその息子たちが残虐な殺戮行為に走っているが、
住民はもちろんのこと、警察すら見て見ぬふり。
ホーボーは危ない目に遭いかけていた娼婦アビーを助けたために、袋だたきに。
後日、質屋で強盗現場に遭遇したホーボーは、売り物のショットガンで強盗を始末。
これをきっかけに、ホーボーは町からクズどもを一掃すべく立ち上がるのだが……、
血祭りシーンがあまりに凄くて泣き笑い。
おふざけ映画の極みで、ひょえ~と思いながらも楽しめます。

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