夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

2024年12月に読んだ本

2025年01月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2024年12月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1704ページ
ナイス数:689ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly/2024/12

■正体 (光文社文庫 そ 4-1)
読了してから映画版を観に行くはずが間に合わず、半分ほど読んだところで鑑賞しました。620頁弱の本作の登場人物を上手く組み合わせた映画化でした。原作よりもさらに時代が新しく、映画版では動画の中継によって真相が明らかになります。いとも簡単に冤罪を作る警察。面会に来た又貫から「なぜ逃げたか」と問われたときの鏑木の答え。涙がこぼれました。原作では鏑木は殺されてしまうけれど、生きて戦う映画版のほうがより感動的ではあります。現実には前者になる可能性のほうが高いと思うと悲しい。というわけでほぼ映画の感想ですみません。
読了日:12月02日 著者:染井為人
https://bookmeter.com/books/19195329

■ハンター・ハンター 憑依作家雨宮縁 (祥伝社文庫 な 25-5)
「慟哭の完結!」という帯の文字に気づかず読みはじめ、なんか続々と死んで行くよぉと思ったら終了か。思えばこのシリーズを読むきっかけとなったのは、最初に終わった“藤堂比奈子”と、もうじき終わりそうだった“よろず建物”のロスを回避するためでした。突如として再開された“坂口信”にはイマイチ惹かれないし、今のところは“ミカヅチ”“鳴瀬清花”でしのぎます。これよりも“堀北恵平”のほうが好きだったこともあり、終わっても特に感慨はないはずが、どういうわけか今はやっぱり寂しい。憑依作家はきっとどこかで生きていますよね!?
読了日:12月11日 著者:内藤了
https://bookmeter.com/books/22011836

■怖ガラセ屋サン (幻冬舎文庫 さ 48-1)
私が子どもの頃に聞いた都市伝説で覚えているものといえば、すぐに思い浮かぶのはやはり口裂け女。あんなの絶対ウソだとわかるから今は笑ってしまうけど、本作に収録されている中にはホントにありそうな話も登場します。特に昔だれかをいじめた過去があるなんて人は、見えないものが見えてしまうこともあるのでは。その点、幼稚園のときにいじめられっ子側だった私は大丈夫か!? そのことは何十年経とうが決して忘れませんし、もしもあのいじめっ子ふたりが現在も元気でいるならば、今からでも「怖がらせ屋さん」に頼みたいぐらいです。(^^;
読了日:12月13日 著者:澤村伊智
https://bookmeter.com/books/22087440

■たまごの旅人 (実業之日本社文庫)
近藤さんでしょ、「たまご」でしょ、表紙にはクロワッサンでしょ。てっきり卵料理が並ぶ話かと思ったら、「旅人」のほうでした。私自身は観光地にほぼ興味がなくて、どこかへ行っても同じ宿に連泊、出かけるのは近所のスーパーやモールぐらい。ボーッと本を読んで、美味しいものを食べるだけという旅が好きです。本作を読んで尚更思う、私にはツアーに参加するのは無理なのはもちろんのこと、添乗員は絶対にできそうにない。客のわがまま、聞けません(^^;。だけどこんなふうに観光地を巡るのも悪くはないかなと思うのでした。添乗員さん、凄い。
読了日:12月18日 著者:近藤 史恵
https://bookmeter.com/books/21918072

■超合理的!ミステリーの書き方 (幻冬舎新書 742)
映画でも本でも説教くさい作品は苦手です。本書を読んで、そっか、それで七里センセの本は説教臭がないんだわと合点がいきました。トリックを決めずに書き始めるとか、プロットがまとまったときにはタイトルも決まっているとか、もう目からウロコぼろぼろ。作家になりたいと思っている人は作家になれないものだとのこと。だけど本書はやはり作家を目指す人の参考になるのでは。応募先は賞金で決めろとは生々しい(笑)。健康に自信がおありのようで。あれれと言われないように、絶対倒れないでくださいね。とりあえずトマトジュースは買ってきたぞ。
読了日:12月22日 著者:中山七里
https://bookmeter.com/books/22165471

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2024年11月に読んだ本

2024年12月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2024年11月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2162ページ
ナイス数:640ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly/2024/11

■怖の日常 (角川ホラー文庫)
私自身は霊感皆無だし、怪異に遭遇した経験もありませんが、虫の知らせなどはあるかもしれないと思っています。勤務先が博物館で、研究者が「憑く」ものをわざわざ持ち帰っているような場所ですから、それなりに話も聴きます。私が休暇を取っていた日に収蔵庫で私の足音が聞こえたと翌日聞き、「そういえば私、一昨日収蔵庫のゴミ箱に古い上履きを捨てたで」と笑い話にしたら、怪談を集めている研究者がそれを自著に書いた、読んだらそれなりに怖い話になっていたなんてことも。元を辿れば「怖」ではなかった話をいかに怖い話にするかは作家の技か。
読了日:11月03日 著者:福澤 徹三
https://bookmeter.com/books/11055512

■スマホを落としただけなのに 戦慄するメガロポリス (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】原作を読んでから4年半以上経っているので内容を覚えておらず、公開になったばかりの『スマホを落としただけなのに 最終章』は映画オリジナルなのだと思い込んでいました。エンドロールに至って、あらま、これの映画化だったのね、こんなだったっけと記憶を探る。改めて当時の自分の感想を読み返すと、「あの人はまだ生きているようだから続編あるだろう」と書いているではないですか。映画版はホントにこれで終わりだと思われます。だってあの人、あんなことになっているし。歪だけどハッピーエンド。
読了日:11月04日 著者:志駕 晃
https://bookmeter.com/books/14954268

■青屍 警視庁異能処理班ミカヅチ (講談社タイガ ナ-B 16)
アイアンメイデンを聴きながら読みました(笑)。しかしお恥ずかしながら知らなかったのです、その名の由来を。「鉄の処女」って何やろと思ってはいましたが、世にも恐ろしい拷問具の名前だったとは。こんなものをバンド名に採用したら、そりゃヘヴィメタは有害視されますよねぇ、私はメタル好きだけど。これ1冊で拷問具にかなり詳しくなったような。そんなことよりもミカヅチ班の結束力が高まっているのが嬉しい。赤バッジを心配する広目の様子には涙が出ます。死霊にも尊厳あり。いつもいたって軽いのに、きちんと敬意を払う三婆ズを見習いたい。
読了日:11月05日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/22150581

■うんこ虫を追え (たくさんのふしぎ傑作集)
ドキュメンタリー映画『うんこと死体の復権』を観て著者を知りました。う◯ことゲロネタが出てくる映画は苦手なんですが、なんとなくこれは劇場に足を運んでしまい、最後列に座ってう◯こは直視しないようにして鑑賞。う◯こを好物とするオオセンチコガネはその生態が謎であることに興味を惹かれた舘野さん、オオセンチコガネを飼って詳細を記す。虫の絵で知られる人ですが、人間を描いてもすごく良い。腰に手を当てて首をひねるオッサンの後ろ姿には笑った。牛糞使用でよかったと思ったらやっぱり俺糞かよ。しかも結局う◯こに限らんてか。(^^;
読了日:11月07日 著者:舘野 鴻
https://bookmeter.com/books/21872250

■下町ロケット ガウディ計画 (小学館文庫)
『空飛ぶタイヤ』を読んだとき、登場人物たちの置かれた状況に思いを馳せて、これほど頭に血がのぼった本が今まであっただろうかと考えたのを思い出します。『下町ロケット』はそれに比べるとほんの少しだけ「血ののぼり度」が下がるものの、憤ったり悲しんだり喜んだりしてやっぱり忙しい。商いの根本はいつの時代になろうが同じ。正直に誠実に仕事をしていればいつか実を結ぶと信じたい。『みをつくし料理帖』や『あきない世傳』にも通じるものがあります。WOWOW版で観ていた私としては、佃社長は三上博史なんですけどね。白熱の読書時間。
読了日:11月17日 著者:池井戸 潤
https://bookmeter.com/books/12914818

■最新版 関西人の常識vs関東人の常識: ラブホのご休憩、関西は「1時間」で関東は「3時間」! (KAWADE夢文庫 1169)
生まれついての関西人です。小見出しを見たとき、関西人に喧嘩を売っているのかと思いました。誰でも何でもそうでしょうけれど、一括りにされるとかなりイラッ。特に「関西人の習性」。ケチやなぁと言われてダメージ受けないなんてあり得ない。ケチもしぶちんも同じこと。よく「百貨店でも値切る大阪人」とも言われますが、誰がデパートで値切るかいなと思っています。値切られるという前提がある店かどうかを読まないと。あと、「すいまへん」とは言いません。それを言うなら「すいません」か「すんまへん」。やすともの漫才を聞いて鬱憤を晴らす。
読了日:11月18日 著者:
https://bookmeter.com/books/18056611

■六人の嘘つきな大学生 (角川文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】1年以上前に読んだ本の内容をなんとなくは覚えているけれど、オチの流れはほぼ忘れていました。波多野くんが犯人ではなかったということと彼が他界したということ、読後感は悪くなかったということぐらいは覚えていて、結果的にその程度の記憶で観るのがちょうどよかったと思います。嶌さんの闇を暴く封筒の中身は映画版では明かされないままだから、原作はどうなのかと気になる人は多いはず。上手い誘導かもしれない(笑)。バブル期に学生だった者としてはこんな就活はやっぱりムリ。お疲れさまです。
読了日:11月24日 著者:浅倉 秋成
https://bookmeter.com/books/21091110

■侠飯10 懐ウマ赤羽レトロ篇 (文春文庫 ふ 35-14)
今回の主人公は売れないWebライター青年。オーナーが元ヤクザだという噂のゲストハウスに宿泊して、いつ取材を申し込もうかと思っていたら柳刃と火野登場。オーナーのことを「おじき」と呼んで慕うふたりを現役のヤクザだと勘違い。で、柳刃がつくる料理に魅入られる。ま、毎度のパターンに変わりはないのですが、だからこそ安心して読めます。しかし今回の事件は今まででいちばんハラハラしたような気も。裏社会に柳刃と火野の正体が広まりつつあるとのくだりがあり、そろそろこのシリーズも終焉を迎えそうで寂しい。だけど、人生に詰みはない。
読了日:11月28日 著者:福澤 徹三
https://bookmeter.com/books/22124735

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2024年10月に読んだ本

2024年11月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2024年10月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:1543ページ
ナイス数:907ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly/2024/10

■しでむし
先月、大阪・十三の映画館で『うんこと死体の復権』を観て舘野鴻さんのことを知りました。とても有名な絵本作家でいらっしゃるのに、今まで存じ上げずすみません。映画のメインはどちらかといえば野糞をするために山を買ったという「糞土師」の伊沢正名さんですが、舘野さんが絵本作家として食べてゆくことを考えたときに動物の死体につく虫を対象に選んだ話を聞くと、生きるために死にまつわるものを描いているんだなぁとしみじみ思う。死出虫を如何に美しく描くか。舘野さんの言葉どおり美しい。映像で観たばかりの肉だんご、この絵のまんまです。
読了日:10月01日 著者:舘野 鴻
https://bookmeter.com/books/159048

■社員食堂に三つ星を (角川文庫)
何年か前にどハマりして大人買いをした作家です。相変わらず落ち着くし、何よりもこの作家の話には元気を貰えます。管理栄養士の主人公みなほが理不尽に田舎の家具メーカーの社員食堂に飛ばされる。その先には誰も楯突けないお局パート調理員がいて、みなほ以前に着任した栄養士はみんな耐えきれずに退職。だからこそ自分は絶対に辞めたくない。根っから意地悪な人も世の中にはいるでしょうが、よく知ってみればいい人というのが本の中。懐かしのアヒルバスが出てくるのも嬉しい。擬人化されたミゼット2にはちょっと引くけれど。瀬里奈ちゃん推し。
読了日:10月07日 著者:山本 幸久
https://bookmeter.com/books/22115961

■幾世の鈴 あきない世傳 金と銀 特別巻(下) (ハルキ文庫 た 19-32)
ついにホントの最終巻。気になるのはなんと言っても結がその後どうしていたのかということでしょう。いけずな私は、最終巻で結と幸が涙のうちに仲直りなんてことは望んでいませんでした。そんな結末をもしも迎えるのなら白々しくて冷めてまうがなと思っていたら、結が我が娘にできすぎた姉の姿を見るとは。幸はいったい何度結婚して、相手の生死を問わないとしても何度別れるのだろうと最初の頃は唖然としていましたけれど、今となってはどの出会いと別れも必要だったと思えます。『みをつくし料理帖』も『あきない世傳』も忘れ得ぬ話となりました。
読了日:10月09日 著者:髙田 郁
https://bookmeter.com/books/21715990

■すみせごの贄 (角川ホラー文庫)
出たら直ちに読みたいシリーズなのに、半年以上も出版に気づかなかったとは不覚。気持ち悪くないですか、この表紙の絵。粒々ぶつぶつ、それだけで怖さが増すよと思いながら頁を開く。もとはホラーが苦手な私にはちょうど良いおぞましさで、時には切なくもある澤村さんの話が好きです。本作では特に「火曜夕方の客」が悲しくて、ネグレクトを受けていた子どもたちのことを思うと居たたまれず。「たなわれしょうき」を読み終わった直後に「鍾馗」という名前のラーメン屋の前を通り、その偶然にちょっとドキッとしました。そろそろ長編をお願いしたい。
読了日:10月15日 著者:澤村伊智
https://bookmeter.com/books/21813562

■作家ごはん (講談社文庫 ふ 87-3)
てっきりエッセイだと思っていたら、めっちゃ小説でした。“侠飯”シリーズのファンならば誰でも好きになりそう。もう何年も新作を書いていないベテラン作家とその担当となった新米編集者、そして2作目を書けずにいる新人作家。ベテラン作家に焦る様子は皆無で、毎度旨い料理と酒で一杯やることに。確かに食事はいくらでも簡素にできるものだし、読書はしなくたって生きられる。だけど、そういった無駄こそが人生を楽しくするのですよね、竹林先生。本作に登場する商品どれも実際に入手可能なのが嬉しい。全品そろえて作ってみます。いざ、宴会だ♪
読了日:10月21日 著者:福澤 徹三
https://bookmeter.com/books/18807933

■嗤う淑女 二人 (実業之日本社文庫)
ひとりを死に追いやる程度では面白みを感じなくなったとおぼしき彼女。ついには大量殺人の決行ですと。しかも自分ではあくまで手を下さず、彼女の言いなりになって動く人間を見つけるのだからさすがです。七里センセの他作品に登場する面々があちこちに見えて楽しすぎる。御子柴弁護士ってこんなに饒舌だったかしらと思ったりも。美智留はこの先もまだまだ死にそうにないですから、続編があるのでしょうね。そろそろ裏で糸を引くところばかりではなくて、第1弾のように彼女自身の姿ももっと見たいような気もします。見えないから良いのでしょうか。
読了日:10月24日 著者:中山 七里
https://bookmeter.com/books/21970140

■【単話】ファミレス行こ。 第2話 (ビームコミックス)
今月は映画館で40本観ました。で、映画にばかり時間を注ぎ込んでいたら、ちぃとも本を読む時間がなくなって、冊数稼ぎに走る。これだって映画『カラオケ行こ!』からの流れですが、kindleに慣れていないせいでなんとなく選択を誤った模様。『ファミレス行こ!』の上巻は読んだけど、下巻はまだ出ていませんよね? そして0話からあるのは何ですか。0話と1話を飛ばして2話から入ってしまいました。どこから読んでも違和感がないのが逆に困りもの。遡るべきかどうか迷っている途中です。面白いけど。すぐ読めるけど。どうすりゃええのか。
読了日:10月29日 著者:和山 やま
https://bookmeter.com/books/21764921

■【単話】ファミレス行こ。 第3話 (ビームコミックス)
2話からそのまま3話へ突入したけれど、0話と1話はすっ飛ばしたままで今から遡るかどうか迷ったまんま。聡実が狂児にたまに使うタメ口を聞いてはニタッと笑ってしまいます。読みながらついつい映画『カラオケ行こ!』を思い出し、今は聡実くん役の齋藤潤くんを『室井慎次 敗れざる者』で見られることが嬉しい。彼が演じるタカとギバちゃん演じる室井さんの会話にしばしば目が潤む。って、この本の感想とちゃうやんか。すみません。
読了日:10月29日 著者:和山 やま
https://bookmeter.com/books/21764922

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2024年9月に読んだ本

2024年10月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2024年9月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3413ページ
ナイス数:932ナイス

■境界線 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
これ単独で読んでも理解に困ることはないけれど、『護られなかった者たちへ』を読んだうえで映画も観ていれば「シェアードユニバース」、とまでは言わないか。佐藤健が演じた利根が本作の五代と刑務所仲間だったと思うとニヤリとしてしまいます。いつもの七里さんよりドンデン返し度低めではあるものの、読み応えがある。名簿の売買に手を染めるに至った過去そのものが人生のドンデン返し。しかも悪いほうへの。笘篠(阿部寛)と蓮田(林遣都)のコンビを映像でも観たい。ただし前作の映画版のような「汚名を挽回」という台詞は無しでお願いします。
読了日:09月03日 著者:中山 七里

■愛するよりも愛されたい 令和言葉・奈良弁で訳した万葉集1
万葉集の時代の首都は奈良だったのだから、標準語は「奈良の言葉」のはずだ。というところからして、生まれも育ちも関西の私には面白い。意訳も意訳、だけど言いたいことはこうだったのだろうと思わされます。ストーカー並みの人もいれば、とんだナルシストっぷりを発揮している人、この変態め!と言いたくなる人、いろいろ。だけど結局、恋って今も昔も変わらないのねとも思う。「ワンチャン」なんて言葉が出てくる万葉集の訳はほかにない。速攻で読めるという点でもオススメです。大伴家持ってモテたんですねぇ。どんな色男だったのか見てみたい。
読了日:09月04日 著者:佐々木良

■緑の毒 (角川文庫)
著者を知ったのは『OUT』がTVドラマ化されたときだと記憶しています。それはそれは面白くて、主人公たちがノコギリで死体をギコギコぶった切るシーンは、長調なのに哀しげなテーマ曲の旋律と共に今も頭の中に蘇ります。本作はそのイメージのまんますぎる気がして、桐野さんってあれからひとつも歳をお取りではないのかと思うほど。「最低最悪の読み心地」という帯の言葉に、このゲス医者が逃げおおせる嫌ミスの如き結末も覚悟していましたが、桐野作品ではやっぱり女が強い。ひとりではどうにもならなくても皆で天罰を食らわせる。ナメんなよ。
読了日:09月08日 著者:桐野 夏生

■9割の医者が知らない 正しいアトピーの治し方
10年前に脱ステ脱保湿に挑戦し、完治したと言って良いと思います。ところがこのたび手指に湿疹再発。普通の石鹸しか使っていなかったのに、洒落たボディソープに手を出したせいでしょう。思わず何か塗りたくなるところ、当時の自分のブログ記事を読み返して「死んだほうがマシやと思ったぐらい過酷な体験をして乗り越えたんやから」と耐えています。で、ついつい脱軟を推奨する医師の本も読みたくなり。「死んだほうがマシやと思った」と書くたびに、一昨年がんで亡くなった弟に「死んだほうがマシなんてことはないわな」と心の中で謝っています。
読了日:09月11日 著者:藤澤重樹

■サクリファイス (新潮文庫)
読んだ本は、貸出希望者を一周したら譲渡希望者に進呈するのが常です。同著者の『みかんとひよどり』を差し上げた人が「好きだなぁと思ったら“ビストロ・パ・マル”シリーズの作家なんですね。道理で」と言うので、もしやそっちのみの書き手と思っているのではと不安になり(笑)、これを読んでもらおうと買い直したついでに、ほぼ15年ぶりに再読しました。本作をきっかけに自転車競技に興味が湧いたように記憶していたけれど、アニメ映画『ベルヴィル・ランデブー』が先ですね。今回再読して『疑惑のチャンピオン』ももう一度観たくなりました。
読了日:09月15日 著者:近藤 史恵

■くらのかみ (講談社文庫 む 81-10)
単行本の刊行から20年以上経って初の文庫化なのだそうです。「四人ゲーム」は数ヶ月前に観た映画『新・三茶のポルターガイスト』で知りました。モキュメンタリーだと思い込んで観た後にドキュメンタリーだと聞いて、え、マジ!? こんなんホンマにある!?とビビりました。その映像を思い出してしまう本作の冒頭シーン。けれど怖いのはそこだけで、子ども向けのファンタジーホラーらしく安心して読めます。親たちに降りかかりそうな災難の真相を子どもたちが解決しようと奮闘。何巻目かで中断したままの『ゴーストハント』をまた読みたくなった。
読了日:09月16日 著者:小野 不由美

■嗤う淑女 (実業之日本社文庫)
これまでに読んだ中山七里作品の中で最低最悪の読み心地。R-18+指定かと思うようなエロシーンが不愉快で、序盤に投げ出そうかと思ったほど。とはいうものの、途中で止められずにあっちゅうまに読めてしまうところが憎らしい。映像化されていることを知らず、さっきキャストを眺めてみたら、黒田大輔とか絶妙の配置ではないですか。美智留と恭子は死が二人を分かつまで一緒にいるものだと思っていたため、途中でドヒャー。と思ったらそのはるか斜め上を行く展開に。いや~、それはなんぼなんでも無理やと思うけど、次も読んでしまうやん(泣)。
読了日:09月17日 著者:中山 七里

■女神のサラダ (光文社文庫 た 51-2)
「言わなわからん」が信条です。察することは大事だし、言われなくてもわかりたい、わかってほしいとは思うけれど、わかるよわかれよというのは傲慢じゃないかと思ったりもします。ここに登場する人たちはみんな優しい。それがゆえに聞けない。聞かなくても察しているつもりだったけど、ひょっこり聞く機会がやってきたら、とんだ思い違いをしていたことに気づく瞬間がとてもいい。馬鈴薯とレモンの話が特に好きでした。アスパラガスとチーズも好き。『うさぎパン』のときから好きだった著者ですが、久しぶりに読んだらなんだか大人になっていた。
読了日:09月21日 著者:瀧羽麻子

■透明な螺旋 (文春文庫 ひ 13-14)
あいだに6人(6人目だから5人?)挟んだら世界中の人と繋がるという「六次の隔たり」を私は信じています。信じてはいるけれど、こんなに上手く繋がるわけはないと思わなくもない。思わなくもないのに、あるかもしれないと思わされるのが東野圭吾。ただ、無理に繋いだ感も憶えてしまうから、ミステリーとしてはちょっと物足りない。圧巻のリーダビリティを誇る東野圭吾と中山七里、たまたま文庫化新作2冊が同じような傾向でしんみり。ところで、これだけシリーズが続いていると、どうしても福山雅治のイメージを外して読むのは無理。実母役は誰?
読了日:09月23日 著者:東野 圭吾

■ショートケーキ。 (文春文庫 さ 49-5)
家に帰れば売るほど積読本があるのに、出先で読書に割ける時間を読み違えて、持って出た本を読みきってしまうことがあります。慌てて本屋に駆け込んで、帰宅するまでに読めそうな薄い本を探す。で、本書を買ったら、するする読めすぎて危うくこれも読みきってしまうところでした(笑)。ホールケーキへの執着を見せる女子、その女子に恋心を抱くケーキ屋のバイト店員、そしてその先輩店員および姉、さらには姉の後輩社員と、人間模様が楽しい連作短編。帰宅途中、コンビニで思わずまるごとバナナを買ってしまったのでした。だって絶対食べたくなる。
読了日:09月24日 著者:坂木 司

■極限団地: 一九六一 東京ハウス
イヤミスという言葉がいつからあり、誰が最初だったのか知りませんが、私の中ではやっぱり「元祖イヤミスの女王」といえばこの人です。当時みんながこぞって入居したがった団地なのに、トイレットペーパー騒動をはじめとしてなんだかよろしくないイメージもついて回る。阪本順治監督の『団地』(2015)を観たときも、藤山直美岸部一徳を取り巻く環境を少し恐ろしく感じたものでした。どんな暮らしであれ、晒される状況は怖い。そしてなんとか視聴率を取ろうとして煽る偽りのリアリティショーも怖い。この表紙の不気味さそのまんまの中身です。
読了日:09月26日 著者:真梨 幸子

■ふたたび嗤う淑女 (実業之日本社文庫)
第1弾ほどの生々しさはないものの、彼女に縋れば全員陰惨な死を迎えるところが恐ろしい。美しさを表現する言葉が第1弾とは異なっていて、そこまでの美貌を感じさせないゆえ別人だろうと思っていたらやはり。七里作品のダークヒーローは嫌いになれないものだけど、このダークヒロインはまだまだ好きになれず。人をさんざん煽るだけ煽って最後にどん底へ叩き落とす。まぁ彼女の依頼人たちにも同情はできません。そんなにオイシイ話が転がっているわけないっちゅうの。ネトフリで『地面師たち』を全話一気に観た後だったから、より面白く読めました。
読了日:09月30日 著者:中山 七里

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2024年8月に読んだ本まとめ

2024年09月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
たった3冊しか読めませんでした(泣)。
映画を観る本数を減らしてその時間を本に注ぎ込むほうが良いかしら。

2024年8月の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:862ページ
ナイス数:523ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly/2024/8

■みんなのヒーロー (幻冬舎文庫 ふ 40-1)
人気俳優だったのはほんの一瞬。すっかり落ち目になった主人公が、大麻を吸ってラリったまま運転した車で人を轢いたところを、デブでブスのファンに見られてしまうという不幸。結婚してくれなければ轢き逃げを暴露すると脅されて地獄の日々が始まります。しかしまるで同情に値しないクズ男。脅す女のほうもえげつない。著者は元芸人の藤崎さんだから、登場人物や番組名はパロディのオンパレード。そこの部分は面白いものの、相当嫌な話。みんなのヒーローはいったい誰さ。できれば『お梅は呪いたい』のお梅にこの人たちを呪ってもらいたい。(^^;
読了日:08月11日 著者:藤崎 翔
https://bookmeter.com/books/21919038

■復讐の泥沼 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
ここ最近どころかここ数年に読んだ本の中でいちばん嫌なオチでした(笑)。冒頭からなんだこの女は!と思う。事故現場で自分と一緒に居た相手が死んでしまったからって、居合わせた医者らしき人物を憎むなんて逆恨みもいいところ。以降も主人公である彼女のぶっ飛び言動のせいで好きになれないまま進んだかと思うと、彼女が追う男のほうも驚くべき性質の持ち主。それでも彼の不幸な生い立ちを思えば致し方ない気もして、最後は彼を応援しかけていたのですけれど。えーっ。こんな女がいたら本気で怖い。泥沼に突っ込んで二度と出てこないでください。
読了日:08月13日 著者:くわがきあゆ
https://bookmeter.com/books/22056156

■眠れぬ夜のご褒美 (ポプラ文庫 ん 1-17)
美味しいものが出てくる話には無条件に飛びついてしまうところがあります。それがもしもたいした話じゃないとしても、料理を想像しただけで心が満たされるからいいやって。本作はたいした話じゃないとは言わないけれど、各話のタイトルだけでもう満足。どこか1軒行ってみたいところを挙げるとしたら丑三つ時の寺でしょうか。ウチのダンナは化学調味料アレルギーですが、「正しくないラーメン」のほうが旨いという点には賛同すると思います。面白いと思ったのは「ワケアッテ」。なるほど、「訳あり」じゃなくて「分け合って」。そのほうが断然いい。
読了日:08月26日 著者:標野 凪,冬森 灯,友井 羊,八木沢 里志,大沼 紀子,近藤 史恵
https://bookmeter.com/books/22011622

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