夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『遺書、公開。』

2025年02月16日 | 映画(あ行)
『遺書、公開。』
監督:英勉
出演:吉野北人,宮世琉弥,志田彩良,松井奏,髙石あかり,堀未央奈,忍成修吾,上村海成,
   川島鈴遥,荒井啓志,松本大輝,星乃夢奈,榊原有那,藤堂日向,菊地姫奈,大峰ユリホ,
   阿佐辰美,兼光ほのか,日高麻鈴,大東立樹,金野美穂,鈴川紗由,浅野竣哉,青島心,楽駆他
 
109シネマズ箕面にて。
 
原作はスクウェア・エニックスが発行する『月刊ガンガンJOKER』で連載されていた陽東太郎の同名漫画。
脚本を鈴木おさむが担当し、監督は“東京リベンジャーズ”シリーズの英勉
予告編を観て若者向きの作品だろうなぁと思いつつも、この監督と脚本のコンビなら面白いかもと思う。
 
高校2年生の新学期初日、D組になった生徒たち全員に「序列」を記したメールが届く。
序列には生徒ばかりか担任教師の甲斐原誠(忍成修吾)の名前もあった。
 
誰が何の目的でこんなものを送りつけてきたのかはわからないが、
序列1位と記されていた姫山椿(堀未央奈)はいつも笑顔で優しく、皆が1位にふさわしいと考える。
2位の赤崎理人(松井奏)は椿にコクって交際、ふたりは周囲の憧れのカップルに。
3位の御門凛奈(髙石あかり)は椿の親友。
 
一方、そんな生徒たちよりも低い10位に記された甲斐原はなかばスネ気味。
また、下位組の生徒たちは、華やかな上位組を見ながら控えめにそれなりの日々を送っている。
 
ところがその半年後、昼休みに教室を出たまま椿が帰ってこない。
凛奈がトイレに様子を見に行くと、椿は個室の把手にかけたロープで首を絞めて自殺していた。
 
葬儀に参列した生徒たちが教室に戻ると、全員の机の上に遺書が置かれているではないか。
差出人は椿になっているが、本当に彼女自身が書いたものなのか。
悪戯に決まっていると回収しようとする甲斐原に生徒たちは反発。
それぞれの遺書を公開して椿がなぜ自殺したのかを突き止めることにするのだが……。
 
たいして期待はしていなかったのですが、想像していたよりも面白くて没頭。
遺書には一見よいことばかり書かれているように思えるけれど、読み解くとこれは皮肉。
たとえば恋人だった理人への手紙では、よくよく読めば理人の浮気がバレていたようだし、
その人間性についても椿に見抜かれていたことがわかります。
 
1年生のときは椿と仲の良かった相畑詩帆(日高麻鈴)などは、自分が下位組であるせいで引け目を感じ、距離を置くように。
そのせいで椿が自殺したのかもしれないと責任を感じます。
また、椿のことをいちばんわかっていると思っていた様子の千蔭清一(宮世琉弥)の言動も面白い。
 
真相がわかるのは当然最後の遺書が公開されてから。それは池永柊夜(吉野北人)の遺書。
あ、じゃなくて、不登校の絹掛愛未(青島心)が駆けつけるんでしたね。
 
とにかく興味深かったのは廿日市くるみ(志田彩良)。
下位組のひとりで、人間観察が趣味だという彼女がキーとなっています。
 
みんなが豹変してドロドロっぷりを見せるのが怖くて面白い。
エピローグは要らなかったような気も私はしますけど。
 
1位がいいってわけじゃないらしい。こわっ。

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『アンダーニンジャ』

2025年02月08日 | 映画(あ行)
『アンダーニンジャ』
監督:福田雄一
出演:山崎賢人,浜辺美波,間宮祥太朗,白石麻衣,岡山天音,山本千尋,宮世琉弥,
   坂口涼太郎,長谷川忍,木南晴夏,ムロツヨシ,平田満,佐藤二朗他
 
109シネマズ箕面にて、仕事帰りにこれ1本だけ観る。
 
ちょっと嫌な予感がしていました。福田雄一監督作品だから(笑)。
以前はとても面白いと思っていたけれど、昨年最後に観た『聖☆おにいさん THE MOVIE ホーリーメンVS悪魔軍団』(2024)が「なんだかなぁ」。
出演者はみんなそりゃ楽しいだろうでしょうが、ちょっと内輪ウケ過ぎやしませんか。
 
原作は花沢健吾の同名漫画で、『週刊ヤングマガジン』で2018年から今なお連載中。
TVアニメ化もされて一昨年放映されていたそうですが、未見。
 
忍者組織“NIN”に所属する末端忍者の雲隠九郎(山崎賢人)。
腕は確かではあるものの、このところ仕事にあぶれ、ただただ暇を持て余す日々を送っている。
同じボロアパートの隣室とは押し入れで繋がっており、隣人の大野(ムロツヨシ)の冷蔵庫からビールを勝手に頂戴しては、
同じく住人の愛(木南晴夏)と酒盛りしている。そんな愛の下着を狙うのは、男子高校生の瑛太(坂口涼太郎)。
 
エリート忍者の加藤(間宮祥太朗)からようやく命じられた仕事は、高校生に扮しての潜入捜査。
講談高校には謎の闇組織“UN”こと“アンダーニンジャ”が潜んでいるらしく、UNの狙いが何なのかを突き止めるのが九郎に与えられた任務。
24歳の自分が高校生になるのは無理があるのではと問うたところ、加藤は問題ないと言う。
 
こうして九郎は高校生を装い、講談高校に転入。
同級生の野口彩花(浜辺美波)は九郎のことを変な奴だと思いつつもなんだか気になってしまう。
彩花の幼なじみである瑛太はいじめられっ子ゆえ不登校になっていたが、九郎が助けてくれると言うので登校することに。
すると九郎は本当に強くて速くて、不良の中にも彼に一目置く者が出てくる。
 
いったいUNは誰なのかとひそかに目を光らせる九郎は、最初は主事を名乗る男(平田満)を怪しむが、
どうやら彼はUNではなく、学校で一番人気の女子生徒、山田美月(山本千尋)がそうではないかと思いはじめる。
 
加藤に命じられて九郎と同じく潜入した蜂谷(宮世琉弥)と鈴木(白石麻衣)もNINを追っていたが、
人をバサバサ斬りたくてNINを抜け、UN側についた猿田(岡山天音)から襲いかかられて……。
 
とてもくだらないです(笑)。
九郎と大野の最初のほうのやりとりとか、ほとんどNG集。
わざわざお金を出して観に行くほどのものかと思ってしまう。
 
いいんです、とりあえず山崎賢人を見られるのだから。でもそれだけですよねぇ。
もとは武術太極拳の名手、山本千尋のアクションシーンも見られることだし。
仲良しグループで和気藹々とやっているのは嫌いではない。
 
ただ、そういえば三木聡監督もこんな感じで、内輪ウケに走っているうちにイマイチになったような気がします。
作品としてこれ以上劣化しないようにお願いしたい。
わざわざ観に行くほどのものじゃないと思いつつも、今後も観ますから。ほんまに、頼むで。

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『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』

2025年01月28日 | 映画(あ行)
『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』(原題:The Apprentice)
監督:アリ・アッバシ
出演:セバスチャン・スタン,ジェレミー・ストロング,マーティン・ドノヴァン,マリア・バカローヴァ,
   キャサリン・マクナリー,チャーリー・キャリック,マーク・レンドール,ベン・サリヴァン他
 
 
ドナルド・トランプ、大嫌いです。
嫌いだからこそ、トランプの弁護団が公開を阻止しようとしたという本作が気になります。
アメリカでの配給に苦戦しながらもなんとか公開にこぎつけ、トランプは怒りあらわ。
大統領選に影響が及ぶことも懸念されたようですが、それでも当選しちゃうんですもねぇ。
 
脚本を書いたのは、トランプを長年に渡って取材した記者ガブリエル・シャーマン。
脚本ができあがったからといって、政府を敵に回すことになる作品だもの、及び腰になる人もいて当然。
『新聞記者』(2019)を観たときに追記したようなことが日本でもありました。
名だたる監督のもとへも送られたそうですが、ビジネス上のリスクありとして皆お断りになったそうです。
 
で、白羽の矢が立ったのかどうか知らんけど、受けて立ったのはアリ・アッバシ監督。
彼の『マザーズ』(2016)は妊婦には絶対お薦めできないホラーだったし、
『ボーダー 二つの世界』(2018)は不気味なこと極まりないスリラーでした。
本作はホラーでもスリラーでもないはずなのに、話そのものがかなり怖い。
ちなみに“アプレンティス”はトランプが司会を務めたリアリティ番組のタイトルです。
 
不動産業を営むトランプ家に次男として生まれたドナルド。
長男フレッド・ジュニアは父親フレッドの仕事を継ぐ気がなく、TWAのパイロットの職に就いた。
パイロットという職業を見下す父親は、一族の恥さらしだとフレッド・ジュニアを非難する。
一方のドナルドは父親の会社の副社長の肩書きを持つものの、
任されている仕事といえば自社が所有するアパートメントを回り、家賃の督促をするだけ。
 
あるとき、ドナルドの父親が政府から訴えられる。
黒人の入居者を認めない等、不正を働いたというもので、父親は窮地に追い込まれる。
そんな折ではあるが、一応は父親の名は通っているから、名士が集うクラブに入店を許可されたドナルド。
最年少のメンバーとなったことに鼻高々で入店。
 
すると、彼を見つけた著名な弁護士ロイ・コーンが声をかけてくる。
ロイはかつて赤狩りの先鋒に立ち、ローゼンバーグ事件でスパイ容疑をかけられた夫妻を死刑台に送った元検察官
ドナルドのことを気に入ったと見えて、縋りつかれるとこの案件を引き受けてくれる。
 
ロイの教えは、「攻撃、攻撃、攻撃」「絶対に非を認めるな」「常に勝利を主張せよ」。
父親に楯突けない気弱な青年だったトランプは教えを忠実に守り、やがて大成功を収めるのだが……。
 
3度結婚している彼の最初の奥さんで、チェコ出身のモデル、イヴァナとの馴れ初めも出てきます。
彼女に豊胸手術を受けさせておいて、作り物の胸にゾッとすると言い放ち、浮気を繰り返す。
お金への執着は最初からあったけれど、ちょっと見栄っ張りのボンボンぐらいのイメージだったのが、
一旦富を手にするや、それを増やすことに飽くなき執念を燃やしつづけ、
落ちぶれた兄や言うことを聞いてくれようとしない父親はじゃまでしかない。
あんなに面倒を見てくれたロイのことも、利用し尽くした後はポイっと。
 
ドナルド役のセバスチャン・スタンとロイ役のジェレミー・ストロングの演技が凄いんです。
特に後者が凄すぎて。この人、『パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間』(2013)で犯人役を演じた人なんですね。
 
自身が太って行くことや髪の毛が薄くなって行くことも気にしていて、
脂肪除去と頭皮除去の手術のシーンがエグすぎて見たくなかった。
 
映画ですからね、かなり脚色の部分はあるでしょうし、丸ごと信じたりはしません。
真実何割かだったとしても、やっぱり好きにはなれないよなぁ。
 
アメリカでは本作の宣伝をおおっぴらずにすることができなかったのは当然だけど、
それでも上映禁止としなかったのは、懐の深さを見せるほうが得だと判断したからでしょうかね。

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『エマニュエル』

2025年01月26日 | 映画(あ行)
『エマニュエル』(原題:Emmanuelle)
監督:オードレイ・ディヴァン
出演:ノエミ・メルラン,ウィル・シャープ,ジェイミー・キャンベル・バウアー,チャチャ・ホアン,アンソニー・ウォン,ナオミ・ワッツ他

前述の『サラリーマン金太郎 【暁】編』の次に、同じく109シネマズ箕面にて。

私と同年代の人なら誰でも知っているであろう“エマニエル夫人”。
と言っても、知っているのはあのジャケットと音楽だけだという人が多いでしょうね。
だって女性はほぼ観る機会がないですもの。私も中身は知りませんでした。

原作者のエマニエル・アルサンがタイ・バンコクの出身で、16歳のときにフランスの外交官と結婚した女性だというのも今回知ったこと。
映画化のさいに主演したシルビア・クリステルは、60歳で亡くなるまでずーっとエマニエル夫人のイメージしか無し。

今回のリメイク版の監督は『あのこと』(2021)のオードレイ・ディヴァン。
主演は『燃ゆる女の肖像』(2019)や『TAR/ター』(2022)のノエミ・メルラン。
原作の舞台だったバンコクを香港に移して。R15+指定のフランス作品。
平日のレイトショー、客は私ともうひとり、女性のみ。男性だと気まずくなりそうだからよかった(笑)。

エマニュエル・アルノーが香港の高級ホテル“ローズフィールドパレス”にチェックイン。
彼女はこのホテルのオーナー企業に勤めており、ここに滞在して各分野の審査をするのが今回の仕事。
上司から特に指示されているのは、同ホテルの責任者であるマーゴ・パーソンのアラを探すこと。
マーゴが就任して以来、ホテルのランキングがひとつ下がったため、彼女をクビにする理由がほしいというわけだ。

エマニュエルはサービスをチェックしながら、マーゴをはじめとするホテル関係者や常連客と交流。
中でも気になるのは、プールサイドに頻繁に姿を現す女性ゼルダで、彼女は売春をしている模様。
しかもそれはどうやらマーゴから依頼を受けているらしい。

また、常連客の男性ケイ・シノハラは、いつも同じ部屋を取っておきながら、そこで眠ることはない。
職業もわからなければ、いつ外出していつ戻ってきたのかも巧みに隠す。
そんなケイに興味を惹かれたエマニュエルは、彼のことを知りたいと思うのだが……。

香港の雰囲気を味わうことはできるけれど、それだけ。
もともと主演のノエミ・メルランのことがあまり好きではありません。
セザール賞の授賞式のさいに、ロマン・ポランスキーの最優秀監督賞受賞に憤慨し、暴言を吐きながら退席したというような記事を読んだから。
さまざまな意見があることは否定しませんが、それってどうよと思う。

ほかの出演者にもあまり魅力を感じません。
マーゴ役のナオミ・ワッツは、昔は脱ぐほうの役だったでしょうに、デコのシワが悲しい。←嬉しくもありますが(笑)。
ゼルダ役のチャチャ・ホアンは細すぎて。美人というわけでもなし。
こういう官能作品だからって肉感的なほうがいいとは限らないでしょうが、なんだかなぁ。
ケイ役のウィル・シャープは背が低いのか、ノエミ・メルランと並んで歩くとちんちくりんに見えてしまう。

へ~っと驚いたのは、ホテル館内の監視者役がアンソニー・ウォンだったことぐらい。
香港へ向かう飛行機の中で向かいの席の男を誘ってトイレの中でヤって、バーで知り合ったカップルと3Pヤって、
ゼルダとそういう仲になって、最後はケイの前で別の男とヤって、エンドロール。
ただのヤリマンじゃあないか。

何が言いたかったのかまったくわからず、これなら日活ロマンポルノのほうがずっと面白いぞ。

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『FPU 若き勇者たち』

2025年01月23日 | 映画(あ行)
『FPU 若き勇者たち』(原題:維和防暴隊)
監督:リー・タッチウ
出演:ホアン・ジンユー,ワン・イーボー,チョン・チューシー,オウ・ハオ,チュウ・ヤーウェン他
 
前述の『シンペイ 歌こそすべて』の鑑賞後、1時間空けてから同じくTOHOシネマズ梅田にて。
 
“インファナル・アフェア”シリーズのアンドリュー・ラウ監督が製作総指揮を務め、
武術監督出身のリー・タッチウがメガホンを取ったという中国作品。
 
アフリカのサンタリオン共和国(架空の国)で内戦が起き、各国の警察部隊が介入することに。
中国の国連平和維持警察隊“FPU(=Formed Police Unit)”も派遣される。
 
分隊長のユー・ウェイトン(ホアン・ジンユー)のもと集められたのは、小隊長を務めるジョウ・ジアシュエン(チュウ・ヤーウェン)、
狙撃手ヤン・ジェン(ワン・イーボー)、通訳と連絡を担当するディン・フイ(チョン・チューシー)などの精鋭メンバー。
 
当地ではある一族が反政府武装集団の虐殺に遭い、長老一家がかろうじて逃げおおせて匿われている。
虐殺についての証言を阻みたい武装集団は、長老一家を見つけ出して皆殺しを狙う。
FPUは長老一家を救出して安全な場所へ連れて行こうと策を練り……。
 
正直なところ、観はじめたときは、なんだこのプロパガンダ映画は!と思いました。
中国すばらしい、中国の警察いいことしてる、そんなイメージを押しつけられている気がしてちょっと不愉快に。
また、ヤン・ジェンの父親がかつてのユー・ウェイトンの相棒で、一緒に戦っているときに死んだとこなんか、
まるで『トップガン マーヴェリック』のルースターとマーヴェリックの関係じゃあないかと可笑しくなり。
 
苦笑いしながらも最後まで飽きずに観られたのは、ひとえにヤン・ジェン役のワン・イーボーがカワイイから。
昨年『熱烈』を観て彼のことを知りました。
ほかの面々も彼ほどではないにしろイケメンがまぁまぁいるし、紅一点ディン・フイ役のチョン・チューシーもめちゃ美人。
 
内容に違和感をおぼえつつも、出演者の顔がよければそれでいいって、ルッキズムが取り沙汰される昨今に反している。
でも、大画面ではカッコいい人、キレイな人を見たほうが嬉しいに決まってるやん。

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