『遺書、公開。』
監督:英勉
出演:吉野北人,宮世琉弥,志田彩良,松井奏,髙石あかり,堀未央奈,忍成修吾,上村海成,
川島鈴遥,荒井啓志,松本大輝,星乃夢奈,榊原有那,藤堂日向,菊地姫奈,大峰ユリホ,
阿佐辰美,兼光ほのか,日高麻鈴,大東立樹,金野美穂,鈴川紗由,浅野竣哉,青島心,楽駆他
109シネマズ箕面にて。
原作はスクウェア・エニックスが発行する『月刊ガンガンJOKER』で連載されていた陽東太郎の同名漫画。
予告編を観て若者向きの作品だろうなぁと思いつつも、この監督と脚本のコンビなら面白いかもと思う。
高校2年生の新学期初日、D組になった生徒たち全員に「序列」を記したメールが届く。
序列には生徒ばかりか担任教師の甲斐原誠(忍成修吾)の名前もあった。
誰が何の目的でこんなものを送りつけてきたのかはわからないが、
序列1位と記されていた姫山椿(堀未央奈)はいつも笑顔で優しく、皆が1位にふさわしいと考える。
2位の赤崎理人(松井奏)は椿にコクって交際、ふたりは周囲の憧れのカップルに。
3位の御門凛奈(髙石あかり)は椿の親友。
一方、そんな生徒たちよりも低い10位に記された甲斐原はなかばスネ気味。
また、下位組の生徒たちは、華やかな上位組を見ながら控えめにそれなりの日々を送っている。
ところがその半年後、昼休みに教室を出たまま椿が帰ってこない。
凛奈がトイレに様子を見に行くと、椿は個室の把手にかけたロープで首を絞めて自殺していた。
葬儀に参列した生徒たちが教室に戻ると、全員の机の上に遺書が置かれているではないか。
差出人は椿になっているが、本当に彼女自身が書いたものなのか。
悪戯に決まっていると回収しようとする甲斐原に生徒たちは反発。
それぞれの遺書を公開して椿がなぜ自殺したのかを突き止めることにするのだが……。
たいして期待はしていなかったのですが、想像していたよりも面白くて没頭。
遺書には一見よいことばかり書かれているように思えるけれど、読み解くとこれは皮肉。
たとえば恋人だった理人への手紙では、よくよく読めば理人の浮気がバレていたようだし、
その人間性についても椿に見抜かれていたことがわかります。
1年生のときは椿と仲の良かった相畑詩帆(日高麻鈴)などは、自分が下位組であるせいで引け目を感じ、距離を置くように。
そのせいで椿が自殺したのかもしれないと責任を感じます。
また、椿のことをいちばんわかっていると思っていた様子の千蔭清一(宮世琉弥)の言動も面白い。
真相がわかるのは当然最後の遺書が公開されてから。それは池永柊夜(吉野北人)の遺書。
あ、じゃなくて、不登校の絹掛愛未(青島心)が駆けつけるんでしたね。
とにかく興味深かったのは廿日市くるみ(志田彩良)。
下位組のひとりで、人間観察が趣味だという彼女がキーとなっています。
みんなが豹変してドロドロっぷりを見せるのが怖くて面白い。
エピローグは要らなかったような気も私はしますけど。
1位がいいってわけじゃないらしい。こわっ。