夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』

2025年01月28日 | 映画(あ行)
『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』(原題:The Apprentice)
監督:アリ・アッバシ
出演:セバスチャン・スタン,ジェレミー・ストロング,マーティン・ドノヴァン,マリア・バカローヴァ,
   キャサリン・マクナリー,チャーリー・キャリック,マーク・レンドール,ベン・サリヴァン他
 
 
ドナルド・トランプ、大嫌いです。
嫌いだからこそ、トランプの弁護団が公開を阻止しようとしたという本作が気になります。
アメリカでの配給に苦戦しながらもなんとか公開にこぎつけ、トランプは怒りあらわ。
大統領選に影響が及ぶことも懸念されたようですが、それでも当選しちゃうんですもねぇ。
 
脚本を書いたのは、トランプを長年に渡って取材した記者ガブリエル・シャーマン。
脚本ができあがったからといって、政府を敵に回すことになる作品だもの、及び腰になる人もいて当然。
『新聞記者』(2019)を観たときに追記したようなことが日本でもありました。
名だたる監督のもとへも送られたそうですが、ビジネス上のリスクありとして皆お断りになったそうです。
 
で、白羽の矢が立ったのかどうか知らんけど、受けて立ったのはアリ・アッバシ監督。
彼の『マザーズ』(2016)は妊婦には絶対お薦めできないホラーだったし、
『ボーダー 二つの世界』(2018)は不気味なこと極まりないスリラーでした。
本作はホラーでもスリラーでもないはずなのに、話そのものがかなり怖い。
ちなみに“アプレンティス”はトランプが司会を務めたリアリティ番組のタイトルです。
 
不動産業を営むトランプ家に次男として生まれたドナルド。
長男フレッド・ジュニアは父親フレッドの仕事を継ぐ気がなく、TWAのパイロットの職に就いた。
パイロットという職業を見下す父親は、一族の恥さらしだとフレッド・ジュニアを非難する。
一方のドナルドは父親の会社の副社長の肩書きを持つものの、
任されている仕事といえば自社が所有するアパートメントを回り、家賃の督促をするだけ。
 
あるとき、ドナルドの父親が政府から訴えられる。
黒人の入居者を認めない等、不正を働いたというもので、父親は窮地に追い込まれる。
そんな折ではあるが、一応は父親の名は通っているから、名士が集うクラブに入店を許可されたドナルド。
最年少のメンバーとなったことに鼻高々で入店。
 
すると、彼を見つけた著名な弁護士ロイ・コーンが声をかけてくる。
ロイはかつて赤狩りの先鋒に立ち、ローゼンバーグ事件でスパイ容疑をかけられた夫妻を死刑台に送った元検察官
ドナルドのことを気に入ったと見えて、縋りつかれるとこの案件を引き受けてくれる。
 
ロイの教えは、「攻撃、攻撃、攻撃」「絶対に非を認めるな」「常に勝利を主張せよ」。
父親に楯突けない気弱な青年だったトランプは教えを忠実に守り、やがて大成功を収めるのだが……。
 
3度結婚している彼の最初の奥さんで、チェコ出身のモデル、イヴァナとの馴れ初めも出てきます。
彼女に豊胸手術を受けさせておいて、作り物の胸にゾッとすると言い放ち、浮気を繰り返す。
お金への執着は最初からあったけれど、ちょっと見栄っ張りのボンボンぐらいのイメージだったのが、
一旦富を手にするや、それを増やすことに飽くなき執念を燃やしつづけ、
落ちぶれた兄や言うことを聞いてくれようとしない父親はじゃまでしかない。
あんなに面倒を見てくれたロイのことも、利用し尽くした後はポイっと。
 
ドナルド役のセバスチャン・スタンとロイ役のジェレミー・ストロングの演技が凄いんです。
特に後者が凄すぎて。この人、『パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間』(2013)で犯人役を演じた人なんですね。
 
自身が太って行くことや髪の毛が薄くなって行くことも気にしていて、
脂肪除去と頭皮除去の手術のシーンがエグすぎて見たくなかった。
 
映画ですからね、かなり脚色の部分はあるでしょうし、丸ごと信じたりはしません。
真実何割かだったとしても、やっぱり好きにはなれないよなぁ。
 
アメリカでは本作の宣伝をおおっぴらずにすることができなかったのは当然だけど、
それでも上映禁止としなかったのは、懐の深さを見せるほうが得だと判断したからでしょうかね。

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『エマニュエル』

2025年01月26日 | 映画(あ行)
『エマニュエル』(原題:Emmanuelle)
監督:オードレイ・ディヴァン
出演:ノエミ・メルラン,ウィル・シャープ,ジェイミー・キャンベル・バウアー,チャチャ・ホアン,アンソニー・ウォン,ナオミ・ワッツ他

前述の『サラリーマン金太郎 【暁】編』の次に、同じく109シネマズ箕面にて。

私と同年代の人なら誰でも知っているであろう“エマニエル夫人”。
と言っても、知っているのはあのジャケットと音楽だけだという人が多いでしょうね。
だって女性はほぼ観る機会がないですもの。私も中身は知りませんでした。

原作者のエマニエル・アルサンがタイ・バンコクの出身で、16歳のときにフランスの外交官と結婚した女性だというのも今回知ったこと。
映画化のさいに主演したシルビア・クリステルは、60歳で亡くなるまでずーっとエマニエル夫人のイメージしか無し。

今回のリメイク版の監督は『あのこと』(2021)のオードレイ・ディヴァン。
主演は『燃ゆる女の肖像』(2019)や『TAR/ター』(2022)のノエミ・メルラン。
原作の舞台だったバンコクを香港に移して。R15+指定のフランス作品。
平日のレイトショー、客は私ともうひとり、女性のみ。男性だと気まずくなりそうだからよかった(笑)。

エマニュエル・アルノーが香港の高級ホテル“ローズフィールドパレス”にチェックイン。
彼女はこのホテルのオーナー企業に勤めており、ここに滞在して各分野の審査をするのが今回の仕事。
上司から特に指示されているのは、同ホテルの責任者であるマーゴ・パーソンのアラを探すこと。
マーゴが就任して以来、ホテルのランキングがひとつ下がったため、彼女をクビにする理由がほしいというわけだ。

エマニュエルはサービスをチェックしながら、マーゴをはじめとするホテル関係者や常連客と交流。
中でも気になるのは、プールサイドに頻繁に姿を現す女性ゼルダで、彼女は売春をしている模様。
しかもそれはどうやらマーゴから依頼を受けているらしい。

また、常連客の男性ケイ・シノハラは、いつも同じ部屋を取っておきながら、そこで眠ることはない。
職業もわからなければ、いつ外出していつ戻ってきたのかも巧みに隠す。
そんなケイに興味を惹かれたエマニュエルは、彼のことを知りたいと思うのだが……。

香港の雰囲気を味わうことはできるけれど、それだけ。
もともと主演のノエミ・メルランのことがあまり好きではありません。
セザール賞の授賞式のさいに、ロマン・ポランスキーの最優秀監督賞受賞に憤慨し、暴言を吐きながら退席したというような記事を読んだから。
さまざまな意見があることは否定しませんが、それってどうよと思う。

ほかの出演者にもあまり魅力を感じません。
マーゴ役のナオミ・ワッツは、昔は脱ぐほうの役だったでしょうに、デコのシワが悲しい。←嬉しくもありますが(笑)。
ゼルダ役のチャチャ・ホアンは細すぎて。美人というわけでもなし。
こういう官能作品だからって肉感的なほうがいいとは限らないでしょうが、なんだかなぁ。
ケイ役のウィル・シャープは背が低いのか、ノエミ・メルランと並んで歩くとちんちくりんに見えてしまう。

へ~っと驚いたのは、ホテル館内の監視者役がアンソニー・ウォンだったことぐらい。
香港へ向かう飛行機の中で向かいの席の男を誘ってトイレの中でヤって、バーで知り合ったカップルと3Pヤって、
ゼルダとそういう仲になって、最後はケイの前で別の男とヤって、エンドロール。
ただのヤリマンじゃあないか。

何が言いたかったのかまったくわからず、これなら日活ロマンポルノのほうがずっと面白いぞ。

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『FPU 若き勇者たち』

2025年01月23日 | 映画(あ行)
『FPU 若き勇者たち』(原題:維和防暴隊)
監督:リー・タッチウ
出演:ホアン・ジンユー,ワン・イーボー,チョン・チューシー,オウ・ハオ,チュウ・ヤーウェン他
 
前述の『シンペイ 歌こそすべて』の鑑賞後、1時間空けてから同じくTOHOシネマズ梅田にて。
 
“インファナル・アフェア”シリーズのアンドリュー・ラウ監督が製作総指揮を務め、
武術監督出身のリー・タッチウがメガホンを取ったという中国作品。
 
アフリカのサンタリオン共和国(架空の国)で内戦が起き、各国の警察部隊が介入することに。
中国の国連平和維持警察隊“FPU(=Formed Police Unit)”も派遣される。
 
分隊長のユー・ウェイトン(ホアン・ジンユー)のもと集められたのは、小隊長を務めるジョウ・ジアシュエン(チュウ・ヤーウェン)、
狙撃手ヤン・ジェン(ワン・イーボー)、通訳と連絡を担当するディン・フイ(チョン・チューシー)などの精鋭メンバー。
 
当地ではある一族が反政府武装集団の虐殺に遭い、長老一家がかろうじて逃げおおせて匿われている。
虐殺についての証言を阻みたい武装集団は、長老一家を見つけ出して皆殺しを狙う。
FPUは長老一家を救出して安全な場所へ連れて行こうと策を練り……。
 
正直なところ、観はじめたときは、なんだこのプロパガンダ映画は!と思いました。
中国すばらしい、中国の警察いいことしてる、そんなイメージを押しつけられている気がしてちょっと不愉快に。
また、ヤン・ジェンの父親がかつてのユー・ウェイトンの相棒で、一緒に戦っているときに死んだとこなんか、
まるで『トップガン マーヴェリック』のルースターとマーヴェリックの関係じゃあないかと可笑しくなり。
 
苦笑いしながらも最後まで飽きずに観られたのは、ひとえにヤン・ジェン役のワン・イーボーがカワイイから。
昨年『熱烈』を観て彼のことを知りました。
ほかの面々も彼ほどではないにしろイケメンがまぁまぁいるし、紅一点ディン・フイ役のチョン・チューシーもめちゃ美人。
 
内容に違和感をおぼえつつも、出演者の顔がよければそれでいいって、ルッキズムが取り沙汰される昨今に反している。
でも、大画面ではカッコいい人、キレイな人を見たほうが嬉しいに決まってるやん。

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『アット・ザ・ベンチ』

2025年01月17日 | 映画(あ行)
『アット・ザ・ベンチ』
監督:奥山由之
出演:広瀬すず,仲野太賀,岸井ゆきの,岡山天音,荒川良々,今田美桜,森七菜,草彅剛,吉岡里帆,神木隆之介

テアトル梅田にて、前述の『型破りな教室』の次に。

奥山由之監督のことを存じ上げずすみません。映像監督であり写真家でいらっしゃるそうな。
本作は奥山監督による自主制作映画とのこと。
同監督は新海誠監督の『秒速5センチメートル』(2007)を松村北斗主演で実写化、今年公開されるそうです。
新海作品の中でいちばん好きな作品なので、とても楽しみです。その前哨戦として観ました、というと失礼か。

もともと公園があった河川敷から遊具などが撤去され、残ったのはたったひとつのベンチのみ。
そのベンチに腰かける人をとらえた5編のオムニバス作品です。

第1編、このベンチに最初に座る女性は広瀬すず
公園がなくなったことに衝撃を受け、仲野太賀演じる幼なじみの男性を電話で呼び出します。

第2編、次にこのベンチにやってきたのは同棲中らしいカップルで、演じるのは岸井ゆきの岡山天音
買い物帰りにここで昼食をとることになりますが、ちょっとした口喧嘩が始まります。
それをベンチの後ろから密かに聴いている中年男性に荒川良々

第3編、ベンチに座るでもなく罵り合う姉妹に今田美桜森七菜
どうやら姉は好きな男を追いかけて上京したけれど、男に相手にされずにホームレスに。
そんな姉を連れ戻しに来た妹と喧嘩になっています。

第4編、ベンチの撤去について討議するためにやってきた役所の職員たち。
草彅剛吉岡里帆神木隆之介が演じています。

第5編、第1編から何ヶ月か経ってまだベンチが撤去されていない模様。
またしても広瀬すず演じる女性が仲野太賀演じる男性を呼び出して再会中。

会話のみで成立する温かい作品ではあるけれど、話によってはとても眠い。
第4編は途中から聞き取れないような声になり、字幕が出るも小さくて読めませんでした。

第1編と第5編の脚本を担当しているのは生方美久、第2編は蓮見翔、第3編は根本宗子、第4編は奥山監督ご自身。
どれが好きだったかと聞かれたら第1編ですかね。仲野太賀の腰かけ方が絶妙(笑)。
 
面白かったのは第2編のやりとり。岸井ゆきの演じる彼女が岡山天音演じる彼氏に挙げる不満がすごく可笑しい。
彼氏が「そんなのそのときに言ってくれないと」と言うと、彼女が「単体では別に嫌じゃない」と言います。
それですよそれ。ひとつひとつは些細なことで、不満として口にするほど嫌なことではないけれど、
積もり積もって不満になるのですよね。寿司桶からあふれ出るように。
女はそれを見過ごせない。『サイドウォーク・オブ・ニューヨーク』(2001)を思い出しました。

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『RM: Right People, Wrong Place』

2025年01月12日 | 映画(あ行)
『RM: Right People, Wrong Place』(英題:RM: Right People, Wrong Place)
監督:イ・ソクジュン
 
京都の樽酒と蕎麦のお店へ行った帰り、T・ジョイ梅田にて。
冬休み中でなければ間違いなくイオンシネマ茨木で観たでしょうが、
どっちみち本作はいつどこで観ようが割引なしの特別料金2,600円。
 
RMといえばBTSのリーダー。
昨年『JUNG KOOK: I AM STILL』でジョングクにハマらなければスルーしていたかもしれないけれど、
あれだけハマったらリーダーを無視するわけにはいきません。
 
RMが兵役を前にリリースした2枚目のソロアルバムのタイトルが“Right Place, Wrong Person”。
本作はその制作過程に密着したというドキュメンタリーです。
ソウルと東京、ロンドンでほかのクリエイターらと過ごす姿が収められています。
 
日本酒とワインを少なくとも4合飲んでからの鑑賞だったから、
あかんあかんと思いつつも瞼が落ちてきて、はい、大半寝てしまいました。
「ジョングク」と一瞬名前が出たときだけ覚醒する感じで。
 
リーダー、ホントにすみません。
リーダーが根っからの善人で、凄い才能の持ち主で、世界的スーパースターであることはちゃんとわかりました。
でもジョングクを観たときのようにシンプルに「カワイイ」とか「カッコイイ」とかは思えなくて、
もっと考えるアタマが必要でした。ちょっと難しい。
リーダーの本名がキム・ナムジュンで、ナムさん=リーダーと知ったのも昨年末の私。
今年はもっとBTSについて勉強して精進します。(^O^)
 
「飲んだら観るな、観るなら飲むな」と思うけど、映画も酒もどっちも好きなんだもの。
両方一日に楽しめる機会があるならきっと今後もまたやってしまう。(^^;

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