『ネットワーク』(原題:Network)
監督:シドニー・ルメット
出演:ウィリアム・ホールデン,フェイ・ダナウェイ,ピーター・フィンチ,ロバート・デュヴァル,
ネッド・ビーティ,ウィリアム・プリンス,ビアトリス・ストレイト他
休日に会う約束をしていた友人から発熱したという連絡があってキャンセル。
んじゃあ映画とひとりごはんと決めて、まずは車でTOHOシネマズ西宮へ。
朝イチの時間帯、選択肢はいくつかあったのですが、
このさき観る機会がなさそうな本作を選択しました。“午前十時の映画祭”にて。
本編の前と後に映画評論家の町山智浩氏の解説映像があります。
これがとても面白くて、ほー、へーの連続でした。
チャイエフスキーはそれまで主にTVドラマの制作を担当しており、
TV番組の裏側を描こうと脚本を温めていたところ、こんな作品ができたのだとか。
わずか5分間の出演でビアトリス・ストレイトが助演女優賞を受賞しています。
ピーター・フィンチがノミネート直後に心不全で急死したことでも話題になりました。
大手ではあるけれど業界1位ではないテレビ局UBS。
報道番組で10年以上に渡ってキャスターを務めてきたハワード・ビル(ピーター・フィンチ)は、
視聴率の低下を理由に解雇されることが決まります。
ハワードの盟友で報道部長のマックス・シュマッチャー(ウィリアム・ホールデン)が気遣ったところで、
上層部の決定をくつがえすことはできません。だって実際視聴率を稼げないのだから。
おとなしく解雇を飲んだと思われたハワードですが、
その後の本番中に「来週この場で頭を撃ち抜いて自殺する」と宣言し、大騒動になります。
局には苦情の電話が殺到し、上層部は激怒。ハワードを即降板させるように言い渡します。
ところがハワードの自殺予告がメディアで採り上げられると凄まじい注目を浴び、
他番組のプロデューサー、ダイアナ・クリステンセン(フェイ・ダナウェイ)は
このチャンスを逃す手はないとUBSの大株主CCAの役員フランク・ハケット(ロバート・デュヴァル)に進言。
おかしなことを口走るようになったハワードは預言者として世間から信奉されるようになり、
ハワードの精神状態を心配するマックスは降ろされて、代わりにダイアナが番組を担当することに。
という話なのですが、本当に時代を予見していたような作品でいろいろとビックリ。
当時はまだ報道番組のバラエティ化などはなかったそうで、今はそんなのばっかりです。
ダイアナはテロリストに犯行現場をカメラに収めさせてそれで視聴率を稼ごうとする。
大衆は暴力を好まないと言う人がいても、映せば観る人がいっぱいいます。
本番中の自殺予告や強盗犯の実況映像などは実在の事件にヒントを得ているのですね。
また、『ジョーカー』(2019)をはじめとするさまざまな作品が本作にオマージュを捧げているとのこと。
私は何も知らなかったから、町山さんの解説を聴いて目からウロコでした。
それにしたって、マックスがダイアナに惹かれて不倫に走る理由がようわからん。
浮気して本気になって結局妻のところに戻るのもダイアナの脚本通りってか。
マックスの妻を演じるのがビアトリス・ストレイトで、5分間のまくし立ては確かに迫力があります。
妻にバレたわけでもないのに正直にダイアナのことを打ち明けると、
25年連れ添ってきた妻は「私に情熱を向けなくてもいいけれど、尊重はして」みたいなことを言うんですね。
浮気はしたとしても相方を尊重する。それは大事じゃないかなと思いました。
あ、これは作品の本筋からは離れた話か。(^^;