夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

コレを聞き逃すなかれ。

2003年07月28日 | 映画(番外編:映画と邦題・字幕・台詞)
前々述の『クリスティーナの好きなコト』で、
原題は作品中に出てくることが多いとお話しました。
ここ数か月のあいだに観た映画のなかから、
同じく原題が作品中に出てきたもので、なおかつ興味を引かれたものをご紹介。

2001年度のアカデミー賞で、
ハル・ベリーが黒人初の主演女優賞を受賞して話題になった『チョコレート』(2001)。
主人公は人種差別主義の刑務官。
彼に似ず、誰をも愛した息子が彼の目の前で自殺。
その死をきっかけに、黒人の女性と心を通わせるようになります。

彼はよく立ち寄るカフェで必ずホット・チョコレートを注文します。
邦題はおそらく、チョコレートと黒人からヒントを得てつけられたものと思われます。
そういえば、『パルプ・フィクション』(1994)でも、
シェイクを注文した客に対して、ウェイターがタレントの名前を2人挙げていました。
名前を挙げられたタレントは誰だったか忘れたけど、黒人と白人で、
つまりは「ミルク・シェイクかチョコレート・シェイクか」と聞いたわけでした。

で、この作品の原題は“Monster's Ball”。
直訳すると「怪物の舞踏会」です。
死刑囚が刑を執行される前日、穏やかな気持ちで刑を受け入れることができるように
刑務官たちで開くパーティーのことを指していて、
物語の早いうちに会話のなかに出てきます。
このまま邦題にしたら、さっぱり何のことやらわかりませんね。

『イン・ザ・ベッドルーム』(2001)は、息子を亡くした夫婦の寝室が頻繁に出てくるので、
「寝室で」という意味なのだと当初は思っていました。
ところが、物語が始まってまもないころに、それだけの意味ではないことが示されます。

「ベッドルーム」とはエビ漁に使われる仕掛け罠のこと。
2匹入ればいっぱいになってしまう籠のなかに3匹のエビが入れば、
エビは争って1匹は殺されてしまう。
この映画では常に3人がポイント。
夫婦と息子、息子とその彼女と彼女の夫。夫婦と彼女、夫婦と彼女の夫。
原題そのままの邦題ではありますが、
この会話を聞き逃すと、映画のポイントも逃してしまいそうです。

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飲み物いろいろ

2003年07月25日 | 映画(番外編:映画と食べ物・飲み物)
映画には気になる「飲み物」がいろいろ出てきます。

最近、日本でも発売されたバニラコーラ。
私がその存在を初めて知ったのは『パルプ・フィクション』(1994)でした。
ジョン・トラヴォルタがレストランで「バニラコーク」を注文します。
「どんな味やねん、それ?」という長年の疑惑が、先日やっと解けました。

『シーズ・ソー・ラヴリー』(1997)で
刑務所帰りのショーン・ペンがバーで注文するカクテルは「シベリアン・ミスト」。
これはどんなものかといいますと、
つまりはその辺にあるお酒を何でもかんでもごちゃ混ぜチャンポンにした、
ぶっ倒れそうにヘヴィーなお酒です。

『シュア・シング』(1985)には「ラプサン・スーチョン」という紅茶が。
ヒロインが婚約者と久々に再会。
婚約者が「何を飲む?」といろいろな紅茶の名前を挙げ、
最後に登場したのがこのお茶でした。
映画は20年前の作品ですが、私がこの映画を観たのは、つい先日。
3年ほど前にこの紅茶を初めて飲んでいた私は、
こんなところに「ラプサン・スーチョン」が出ているのか!と驚きました。
私はこのお茶を「正露丸茶」と名づけています。
だって、香りがまるで正露丸。
飲んだ瞬間に「まずぅぅぅ」と叫ぶ人も多いけど、
なぜか嫌いになれんのやなぁ、私は。

『ショコラ』(2000)はそのタイトルのとおりチョコレート屋さんの話で、
チョコレートがいっぱい出てきます。
そのなかでも気になるのがチョコレート・ドリンク。
クリームがたっぷり入ったうえに、チリペッパーをひとつまみ。

『花様年華』(2000)は香港の作品。
屋台で買い物をするヒロインが携えるジャーの中身もきっとおいしそう。
そして、ヒロインが風邪をひいた隣人のために作るのは「黒胡麻汁粉」。
画面には一度も映りませんが、食べてみた~い。
……これは「飲み物」ではなく「食べ物」か?

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『クリスティーナの好きなコト』

2003年07月23日 | 映画(か行)
『クリスティーナの好きなコト』(原題:The Sweetest Thing)
監督:ロジャー・カンブル
出演:キャメロン・ディアス,クリスティーナ・アップルゲイト,
   セルマ・ブレア,トーマス・ジェーン他

恋愛は遊びとわりきっているクリスティーナは28歳。
親友のコートニー、ジェーンと一緒に暮らしている。
ある日、コートニーとともに帰宅すると、失恋したジェーンが号泣していた。
気晴らしにとジェーンを誘い、クラブへ出かける3人。

クリスティーナはクラブでピーターという男性と出会う。
その出会いは最悪で、彼と喧嘩をしてしまう。
しかし、どうしても彼のことが頭から離れないクリスティーナ。
偶然、週末に彼が出席する予定の結婚式があると知った彼女は
コートニーに説得されて会場に乗り込むことに。

と、まぁ、これだけのドタバタ恋愛コメディなのでした。
頭をからっぽにして楽しみましょう。
下ネタ満載で、それはそれでウケてもた。

そんな下ネタをいくつかご紹介すると、
化粧室ではコートニーのでかい胸に視線が集中。
見つめる他人にコートニーは「この胸、ニセモノよ。触ってみる?」と言い放ち、
触りたい女性、続出。
その様子を男性客が窓越しに見て大興奮。

結婚を控えた兄弟の会話はこんな感じ。
「これから先、何十年も彼女と一緒にいるわけだ」
「彼女の胸も垂れるかも」
「靴下まで届いたりして」。

キャメロン・ディアスはこの手の作品がお得意なのは言わずもがな、
クリスティーナ・アップルゲイトのコメディエンヌぶりは秀逸。
また、『キューティ・ブロンド』(2001)で意地悪な女子大生役だったセルマ・ブレアがジェーンを好演。
典型的な意地悪役顔やなぁと思っていたので、
こんなおもろい下品な役もできるんやと驚きました。

原題は“The Sweetest Thing”。
これは、落ち込んでいるジェーンを励まそうと、
クリスティーナが男性をひっかけるために、
通りすがりのピーターのお尻をつねったことで交わされる会話から。
ピーターが失礼だと怒るのに対し、クリスティーナは「いいじゃない、別に」と答えます。
ピーターは「そんなこと(=お尻をつねること=The sweetest thing)で
男がひっかかればええわな!」と皮肉ってキレたのでした。

原題は作品中のどこかに出てくることが多いですが、それを探すのが結構楽しみです。

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『オールド・ルーキー』

2003年07月21日 | 映画(あ行)
『オールド・ルーキー』(原題:The Rookie)
監督:ジョン・リー・ハンコック
出演:デニス・クエイド,レイチェル・グリフィス,ブライアン・コックス,
   ジェイ・フェルナンデス,ベス・グラント他

主人公のジム・モリスは35歳。
幼い頃から野球が大好きで、毎日グラブとボールを握っていた。
転勤ばかりの父親のせいで、ひとつ所に留まって野球を続けることができなかったが、
10年前には1度夢を果たし、ミルウォーキー・ブリュワーズの投手となる。
しかし肩を故障して早々に引退する。

それ以後、妻と子ども3人に囲まれ、
テキサスの高校で野球部の監督を務めている。
毎年1勝しかできないチームだったが、
ある日、部員たちは、監督であるモリスが剛腕投手であることを知る。

部員たちの覇気のなさを「夢をあきらめるな」と叱咤するモリスに対し、
「夢をあきらめたのは監督のほう」と部員たちは叫ぶ。
そして、もし自分たちが地区優勝すれば
監督もプロの入団テストを受けるという約束を提案する。
その日から生徒たちは連勝し、見事に地区優勝を果たす。

約束の入団テストを受けたモリスは156kmの快速を飛ばし、
プロ入りすることになる。
まずはマイナーリーグから、そしてメジャーへ。

これもまた「実話に基づく」
原作は本人の自伝だそうです。

万年1勝だけのチームが監督と約束しただけで
そんなに強くなれるなら誰も苦労はせんし(でしょ!?)、
その高校野球部の話に128分中の半分もつぎ込むのはどうかという気もします。

が、彼を取り巻く家族たちの思いや父親との確執なども
なかなか細かく描かれているし、何より悪い人はひとりも出てこない。
安心して観られるところはやっぱりディズニー。
じわっとさせどころも押さえてあります。

8歳の息子役が特筆すべきかわいさ。
夫の復帰を素直に喜べない妻が、息子の寝顔を見て、
「8歳の息子は父親が夢をかなえるのを待ちわびている。
今、それをやめたらどうなるの?」と思いきって送りだすところなど、
やっぱりディズニーはいい!

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『ボーン・アイデンティティ』

2003年07月17日 | 映画(は行)
『ボーン・アイデンティティ』(原題:The Bourne Identity)
監督:ダグ・リーマン
出演:マット・デイモン,フランカ・ポテンテ,クリス・クーパー,
   クライヴ・オーウェン,ブライアン・コックス他

嵐の日、地中海沖で漂流していた男を漁船の乗組員たちが発見する。
男は無事救出されるが、記憶がまったくない。
背中には銃で撃たれた痕があり、
尻にはチューリッヒ銀行の口座番号を記したカプセルが埋め込まれていた。

自分が何者なのか思いだせないまま漁船を下りた彼は
チューリッヒ銀行に向かう。
途中、警官にとがめられそうになった彼は
掴まれると同時に反射的に警官を倒す。
自分が戦闘術の達人で、防衛本能にも優れていると知る。

銀行の貸金庫を開けると、そこにはパスポートが。
自分の名前は「ジェイソン・ボーン」で、パリ在住らしい。
しかし、金庫の底を探ってみると、
それ以外にも自分の写真の入った数々のパスポートと各国の通貨、それに銃が。

誰かに狙われている気配を感じた彼は、米国大使館に逃げ込む。
偶然出くわした女性マリーに救いを求め、車に乗せてもらうことに。
2万ドルを条件にパリまで乗車させることを引き受けたマリーだが、
結局以後ずっと彼と行動をともにするはめに。

行く先々で狙われるのはなぜなのか。
実はジェイソンはCIAの秘密工作員だった。
ある人物の暗殺を謀ったのだが、それに失敗して海に投げ込まれたジェイソン。
作戦に失敗し、国際的な陰謀計画を知るジェイソンを殺さねばならない。
それゆえCIAが躍起になって彼を追っていたのだ。

原作は1980年に出版されたロバート・ラドラムの著書『暗殺者』。
何度も映画化の話があったのになぜか実現されず、
こうしてこの作品になる前に
「記憶喪失の男がどうしたこうした」みたいなアイデアだけを
あっちこっちに取られてしまったらしく、
別に目新しくもない作品になっちゃったようです。

「国際的陰謀計画」がなんか半端だし、
マリーもなんでアンタ、ずっと一緒におるのん?と思ったり、
説得力不足の場面がい~っぱい。

とはいうものの、マット・デイモンのからだのキレは抜群だし
(ジミー大西に似てるなんてやっぱり失礼じゃないでしょか(^^;)、
『ミニミニ大作戦』(2003)顔負けのミニ・クーパーの激走がこの映画でも見られます。
マリー役は『ラン・ローラ・ラン』(1998)で走りつづけていたドイツの女優、フランカ・ポテンテ。
いわゆる美形とはちがうけど、それもまた良し。
オチは爽やかだし、ま、えっか、と。

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