夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ローグアサシン』

2008年02月27日 | 映画(ら行)
『ローグアサシン』(原題:War)
監督:フィリップ・G・アトウェル
出演:ジェット・リー,ジェイソン・ステイサム,ジョン・ローン,
   デヴォン青木,ルイス・ガスマン,石橋凌他

スカッとするアクション映画が観たくなってレンタル。
私のジェット・リー贔屓については、こちらをご覧ください。

登場人物の大真面目な表情を見て
こんなに笑ってしまったのも久しぶり。
あり得ない日本、全開。ビバ、ジャパ~ン。

FBIアジア犯罪特捜班でコンビを組むジョンとトムは、
伝説の暗殺者“ローグ”を追い詰める。
ついにトムがローグを射殺したと思われたが、
海に落ちたはずのローグの死体は、どれだけ捜索しても出てこなかった。

ローグはまだ生きているのではないか。
そんな懸念を払拭できずにいるジョン。

ある休日、ジョンとトムは、お互いの家族を交えて
バーベキューを楽しむことにする。
ところが、ジョン一家がトムの家へと向かう頃、
何者かがトムの家に押し入り、トムとその妻子を射殺し、火を放つ。
現場に残された薬莢から、犯人がローグであることをジョンは確信する。

3年後、日本のヤクザとチャイニーズマフィアとの間で
動きがありそうだとの情報を仕入れたジョンは、
必ずそこにローグが現れるだろうと考え、捜査を再始動する。
はたしてトムの敵が討てるのか。

ね、こんなにシリアスなんです。でも、抱腹絶倒。

まず、ひっくり返りそうに笑ったのは、
ローグに襲撃されたヤクザたちのうち、
ただひとり生き残ったヤクザに対し、
ジョンが日本語で話しかける場面。
しかし、ジョンが話し始めてしばらくの間は、
それが日本語だとは気づきませんでした。
そんな日本語で「オイシャサンゴッコ」って言われても。

ツッコミどころはそのほか多数。
石橋凌演じるヤクザの親分が住むお屋敷もスゴすぎ。
いまどき、どこのヤクザが羽織袴着て
刀で討ち合いの稽古しとんじゃ~。
親分の八つ当たりに遭うケイン・コスギ、憐れ。
デヴォン青木が石橋凌の娘役というのも受け入れ難し。

ただし、終盤のドンデン返し第一弾には
思わず「ほぉぉぉ」っと唸りました。
第二弾はかなり後味悪く、こんなドンデンドンデンしなくても。

とどのつまりは、どんなアクション俳優が共演であろうとも、
やっぱり主役はジェット・リー。
目の前で金髪の美人が全裸になろうとも
ヤラシイ眼差しすらできないところもジェット・リーなのでした。

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『4分間のピアニスト』

2008年02月21日 | 映画(や行)
『4分間のピアニスト』(原題:Vier Minuten)
監督:クリス・クラウス
出演:モニカ・ブライブトロイ,ハンナー・ヘルツシュプルング,
   スヴェン・ピッピッヒ,リッキー・ミューラー他

先週の本命はこちら。
これはさすがに貸し切りということはなかろうと思いきや、
私を含めて客は3名。
しかもあとの2名はかなりお年を召したオッチャンでした。

本国で大ヒットを記録したドイツの作品。

老齢のピアノ教師クリューガーは、
刑務所でピアノのレッスンをおこなっている。
刑務所の評判にしか興味のない所長は、
クリューガーにろくに給料も支払わず、
音楽室を設けただけでもありがたいと思えと言いたげ。
クリューガーは自前でグランドピアノを用意し、音楽室に運び込む。

ミサの時間に賛美歌の伴奏をしていたクリューガーは、
曲に合わせて鍵盤を叩くように指を動かす囚人に気づく。
彼女は殺人罪で収監された新入りのジェニー。
音楽に傑出した才能を持っているようだが、
それ以外のものにはまったく興味を示さず、
人とも関わろうとしない。
触れられることを極度に嫌がり、看守をも殴り倒す。

粗暴で不潔で、可愛げのかけらもないジェニーに
ピアノを教えることなど無理だと考えたクリューガーだったが、
彼女が狂ったように弾くピアノの音を聴き、
彼女を変えることはできないが、
救うことはできるかもしれないと考える。

「あなたには才能がある。その才能を磨く義務がある」。
そうジェニーに語りかけたクリューガーは、
従順であることを第一のルールに、
レッスンを受ける気があるかどうかを問う。
どうしてもピアノを弾きたい彼女は
反抗的な態度を取りながらも受け入れて……。

年老いた女性教師と、若い女囚。
彼女たちの人生の長さは3倍以上も違いますが、
ふたりとも、過去の凄惨な思い出ゆえに、ピアノしか愛せません。
次第に心を通わせるようになるというと月並みですが、
月並みなままでは終わらないのが本作。
ものすごくヘヴィーです。

ラストの4分間の演奏シーンにはひたすら圧倒され、
オペラ劇場の聴衆の中にいる気分でした。
怒りと悲しみに満ち、決して楽しげな演奏ではないのに、
ジェニーがいちばん演奏したかったものがそこにあります。
身震いするとはこのこと。

ジェニーの演奏シーンを担当したのは、
木吉佐和美さんと白木加絵さんという日本人ピアニストで、
ドイツではとても有名な演奏家なのだそうな。
サントラ購入、即決。

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『銀色のシーズン』

2008年02月18日 | 映画(か行)
『銀色のシーズン』
監督:羽住英一郎
出演:瑛太,田中麗奈,玉山鉄二,青木崇高,國村隼他

評判クソミソな作品なので、
ロードショーで観るのもどうよ?と思いましたが、
映画をハシゴしようとしたら、時間的にちょうどいいのがコレでした。
で、ある映画館へ土曜の朝イチで行ったら、貸し切り状態。
ドまんなかの席で、あぐらをかいて鑑賞。

ゴンドラもない某町営スキー場は、
山向こうのリゾートスキー場に客を取られ続けている。
今シーズン、町の存続を賭けて、スキー場での結婚式を企画。
住人たちの手で氷の教会をつくりあげ、
この初の試みに応募してきた客の到着を待っている。

彼らの心配の種は、“雪山の何でも屋”である銀、祐治、次郎の存在。
イケイケの3人は、ゲレンデで好き放題。
滑走可能と見れば、レストハウスの屋根にまで上がり、
ジャンプ台も勝手に使う。
金儲けのために当たり屋と化すことも。

やがて、住人たちの悪い予感は的中。
花嫁第1号となるはずの七海が、
花婿よりひと足先に東京からやって来たのだが、
雪を見るのすら初めての彼女は、まったく滑れなくて四苦八苦。
彼女をカモと見た銀は、1日2万円で教えてやると言い……。

これほど予定どおりに進む話があってもいいのか?と思うぐらい、
想定外のことは起きません。
七海の結婚相手がなかなか現れない理由は
すでに別れたんだろうと考えていましたが、
この点だけは想像より上。

傍若無人に振る舞う銀に、なぜ住人たちが遠慮しているのかは、
ラストも読めてしまうので、ネタバレにもならんような。
ワールドカップの覇者だった銀が大けがをして
モーグルを諦めてしまったことについて、
住人たちは、まだ十代だった銀に
自分たちが重圧をかけすぎたせいだと負い目を感じています。
最後は七海の言葉に突き動かされた銀が復活を果たし、
町中大喝采の涙のエンディング。

確かにTVドラマで十分ぽい。
でも、滑降シーンは大画面で観るとド迫力。
それに、おきまりのエンディングも、
やっぱり泣いてしもたじゃないですか。

前に書いたかもしれませんけど、
「年間250本以上も映画を観るのなら、
冷めた目で見ないと体がもたないでしょ」とたまに言われます。
けれども、それは私にすると真逆。
どんなシーンでも作り手の思うツボにハマって、
驚いたり泣いたり笑ったりできるタイプじゃなきゃ、
こんなに何本も観られへんやろと思うのでした。
嗚呼、私こそカモ。

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『人のセックスを笑うな』

2008年02月13日 | 映画(は行)
『人のセックスを笑うな』
監督:井口奈己
出演:永作博美,松山ケンイチ,蒼井優,忍成修吾,あがた森魚他

大雪に見舞われた先週土曜日、ロードショーにて。

この日、いったい何度、このタイトルを言い、
何度、従業員の方々が言うのを聞いたことでしょう。
恥ずかしいと思うから恥ずかしい。
普通に言えば、なんちゅうことありません。
いや、やっぱり恥ずかしいかも。

原作は山崎ナオコーラの同名小説。
大胆なタイトルに反して、
クスッと笑える純粋なラブストーリーです。

明け方の車道で、靴を脱ぎ捨てて歩いている女性。
終電に乗り損ねた彼女はヒッチハイクを試みるが、
なかなか車は止まってくれない。

そこを軽トラックで通りかかったのが、地元の美術学校に通う、
19歳のみるめ(♂)と堂本(♂)、えんちゃん(♀)の3人。
「荷台でよければ」と女性を乗せる。
荷台から下りる彼女に自分のサンダルを差し出すみるめ。

ある日、学校内の喫煙所で、みるめは隣の女性から火を借りる。
それがあの荷台の彼女だと気づくが、
彼女はみるめのことをまったく覚えていない様子でガックリ。

やがて、彼女は新任の非常勤講師ユリであることがわかる。
39歳のユリにぞっこんになってしまったみるめは
彼女のいるリトグラフ教室に足繁く通ううち、
「絵のモデルにならない?」とユリに誘われる。

ユリのアトリエである一軒家を訪れると、
みるめは服を脱ぐように言われる。
ほとんどそのまま押し倒されるような形で(たぶん)、
ユリと関係を持ったみるめはますます有頂天に。
みるめに密かに想いを寄せていたえんちゃんは気が気でなくて……。

登場人物が揃いも揃ってカワイイです。
長廻しで撮られているために、
観ているこちらが、じっと、ずっと、
その場を見守っているような気にさせられます。
ひとつひとつの表情や仕草に共感したり、照れたり。

ユリの夫の猪熊さんが、みるめに食べ方を講釈するお菓子が
私のお気に入りでもある山梨銘菓「桔梗信玄餅」だったり、
こそっと映る缶入りドリンクが「おしるこ」だったり、
妙にくすぐられる場面もいっぱい。

しかし、万人にはお薦めできません。
人によっては退屈なこと、このうえないかも。
おそらくタイトルに釣られて入場した隣のオッチャンが、
途中で退出したのには笑いました。

「だって、触ってみたかったんだもん」って駄目?
「会えないからって、何かが終わるわけじゃないだろう」。うん。

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風邪ひきの間に「東野圭吾」を読みました。

2008年02月07日 | 映画(番外編:映画と読み物)
年に一度、ほぼこの時期に、必ず大風邪をひきます。
今年も例年に漏れず、やはり。

毎回のように高熱を発し、インフルエンザを疑われるのですが、
小さい頃から、私がひくのはいつもこんな風邪。
発熱→厚着&布団ゴボゴボ状態で汗をかく→熱が下がる
→再度発熱→再び汗をかく→熱が下がる→快復。
だから、高熱には慣れっこで、意外と普通に生活してます。

今回も39度まで上がりましたが、
発熱した日が健康診断で、前日採ったばかりの検便用の便が手元に。
んなもん、翌週まで自分で保管しておくのは絶対イヤやっ。
で、便の提出のために出勤しました。

映画の話と何の関係もなくてすみません。
そんなわけで、この1週間、ちっとも映画を観てません。

映画を観る体力はありませんでしたが、
その代わり、東野圭吾の本を何冊か読みました。
巷で大人気の作家なのに、私はほとんど読んだことがなくて、
映画化されてから原作に目が行き、映画を観てから読むパターン。

『手紙』(2006)もそうでした。
映画を観たあと、すぐに原作を購入して途中まで読んでいたのですが、
車通勤のうえに、ヒマさえあれば映画を観ている状況では
読書は遅々として進まず。風邪のおかげでやっと読破。

原作を読むのが先か、映画を観るのが先か。
永遠に迷うところですが、どちらもちがった楽しさがあります。
東野圭吾に関しては、『秘密』も『手紙』も映画を先に観たので、
映画のシーンをいろいろと思い出して
本を読んでいても涙がドドーッと溢れてきてしまいました。

『手紙』を読んでいるときは、映画でもツボにハマった、
(映画では吹越満が演じた)被害者の息子の言葉にジワーッ。
原作では主人公が歌手であるところ、映画では漫才師でしたが、
笑いの渦の中にあって、玉山鉄二演じる主人公の兄が
鼻を垂らしながら嗚咽するシーンにかぶせて流れる、
小田和正の『言葉にできない』。
読んでいるとその曲が頭の中に流れる、これもいいもの。

映画化してくれないかなと思うのは『同級生』です。
車の前に飛び出して死んでしまった同級生。
彼女が妊娠していたとわかり、その相手である主人公が真相を究明しようとします。
成りゆきで抱いてしまった彼女だったけど、
それは伏せたまま、彼女の家に「相手は俺です」と言いに行く主人公。
そのときの彼女の父親の言葉は、映画でなくても心を揺さぶられます。

今年はちょっと、本にも時間を割きたいなぁ。

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