夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ジョジョ・ラビット』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の12本目@西宮)

2020年01月31日 | 映画(さ行)
『ジョジョ・ラビット』
監督:タイカ・ワイティティ
出演:ローマン・グリフィン・デイヴィス,トーマシン・マッケンジー,タイカ・ワイティティ,
   レベル・ウィルソン,スカーレット・ヨハンソン、サム・ロックウェル他
 
封切りだった金曜日、仕事帰りにTOHOシネマズ西宮で2本ハシゴ。
 
ニュージーランド出身の奇才の呼び声高いタイカ・ワイティティ監督。
『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』(2014)を劇場で観なかったことが悔やまれる。
監督本人がアドルフ・ヒトラー役で出演するこの異色作は、ドイツ/アメリカ作品。
ものすごく心に残る1本となりました。
 
10歳の少年ジョジョには想像上の友だち、アドルフ・ヒトラーがいる。
アドルフを崇拝するジョジョは、ヒトラーユーゲント(ナチス青少年団)のキャンプに参加。
立派な隊員になることを夢見ていたが、野ウサギを殺してみろという命令に従えず、
皆から臆病者呼ばわりされてしまう。
そこで妄想アドルフから激励されて発奮したせいで大怪我をするはめに。
 
ジョジョの顔に傷跡が残り、美貌の母親ロージーは激怒。
ヒトラーユーゲントを統率していたクレンツェンドルフ大尉に
ジョジョに何か仕事を与えるようにと詰め寄り、
以降、ジョジョは郵便配達やビラ貼りなど宣伝部の仕事を手伝う。
 
ところがある日のこと、ロージーの不在時に屋根裏から物音がする。
調べに行ってみると、そこにはユダヤ人の少女エルサがいた。
彼女はジョジョの亡くなった姉と同じ年頃で、
ずいぶん前からロージーに匿われているらしく……。
 
自分が忌み嫌うユダヤ人がそこにいる。
もしも通報すれば、母親と自分も殺されてしまうかもしれない。
エルサの存在を知ったことすら母親に打ち明けられず、
自分とエルサだけの秘密にして言葉を交わす日が続きます。
 
父親の出征中、姉を失ったジョジョがヒトラーに憧れ、
それについて母親は非難しない。
話して諭すわけではなく、ただジョジョの好きなようにさせている一方で、
子どもは踊って歌って楽しむべきだとも言う。
ジョジョ自身が洗脳を解いていく過程に目を見張ります。
 
恋がどんなものだかわからなかった少年。
お腹のなかで蝶々が舞うような気持ちを感じ、それが初恋だと知り、
嫉妬して、自己嫌悪に陥り、決断をする。
 
ジョジョ役のローマン・グリフィン・デイヴィスがたまらない可愛らしさ。
スカーレット・ヨハンソンの母性にも唸らずにはいられません。
クレンツェンドルフ大尉役のサム・ロックウェルにも泣かされました。
素晴らしい作品。

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『パラサイト 半地下の家族』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の11本目@西宮)

2020年01月30日 | 映画(は行)
『パラサイト 半地下の家族』(英題:Parasite)
監督:ポン・ジュノ
出演:ソン・ガンホ,イ・ソンギュン,チョ・ヨジョン,チェ・ウシク,パク・ソダム,
   イ・ジョンウン,チョン・ジソ,チョン・ヒョンジュン,チャン・ヘジン他
 
上映開始時点で21時半を回っていましたから、なかなかにしんどい。
最後まで体がもつかなぁと心配でしたが、これも大丈夫でした。
 
ソン・ガンホ大好きなので絶対観るつもりではありましたが、
「『パラサイト』、観ました?」とどれだけの人に聞かれたことか。
ふだんそんなに映画を観ているとは思えない人からよく聞かれ、
注目度の高い作品であることがよくわかります。噂に違わず凄かった。
貧困問題を描けば容赦ないケン・ローチ監督ですが、ポン・ジュノ監督も容赦ない。
 
半地下のアパートに暮らす極貧家族
失業中の父親キム・ギテクとその妻チュンスク、大学受験に毎年失敗している長男ギウ、
美大合格を目指すもこれまた上手く行かない長女ギジョン。
ピザ屋の箱を組み立てる内職に家族総出で取りかかり、糊口を凌ぐ毎日。
 
そんなある日、ギウの友人ミニョクから家庭教師の代役を頼まれる。
エリート大学生のミニョクは若手実業家パク・ドンイクの娘ダヘの家庭教師をしており、
自分が留学する間、ギウに家庭教師を頼みたいと言うのだ。
ソウル大学の在籍証明を偽造し、パク家を訪ねてびっくり。
とんでもない豪邸で、そこにはパクの美人だが天然の妻ヨンギョとダヘ、
まだ幼く落ち着きのない息子ダソンが暮らしていた。
 
早々にヨンギョの信頼を得たギウは、ヨンギョがダソンの行動を心配するのを見て、
ギジョンをダソンの美術の家庭教師として送り込むことを思いつく。
もちろん自分とギジョンが兄妹であることは隠して。
 
こうして見事にパク家へ乗り込んだギウとギジョンは、
今度はもともとの運転手が解雇されるように画策し、ギテクを新しい運転手に。
さらにはパク家の前住人の時代から家を切り盛りしてきた家政婦を貶めると、
チュンスクがちゃっかりとその後釜におさまるのだが……。
 
半地下での生活を一家がさほど悲観していた様子はありません。
貧しくても皆したたかに楽しく、そんな状況に見えました。
貧乏を誰もぼやいて怒ったりしない。
でも心の奥底に巣食っていた劣等感。貧乏人の「におい」を言われたときの気持ち。
 
あるお店のオーナーがこう言っていたのを聞いたことがあります。
「人間、ずっと地下にいるとおかしくなります。窓のない地下は」。
 
好きでそこにいるならともかく、そうではないのに半地下あるいは地下の生活を送っていると、
その状況について考えることを頭と体が拒否しはじめるのではないかと思う。
考えるとおかしくなるから。
 
半地下でもじゅうぶん悲惨だったのに、半地下にはまだ地下という下がある。
そこから上へと出られる日は来るのでしょうかね。

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『ダウントン・アビー』〈吹替版〉(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の10本目@西宮)&〈字幕版〉

2020年01月29日 | 映画(た行)
『ダウントン・アビー』(原題:Downton Abbey)
監督:マイケル・エングラー
出演:ヒュー・ボネヴィル,エリザベス・マクガヴァン,マギー・スミス,ミシェル・ドッカリー,
   ローラ・カーマイケル,アレン・リーチ,ジム・カーター,イメルダ・スタウントン他
声の出演:玉野井直樹,片貝薫,一城みゆ希,甲斐田裕子,坂井恭子,星野健一,中村浩太郎,小宮和枝他
 
イギリス最古かつ最大の民間放送局の制作で、
世界中で大ヒットしたTVシリーズとのことなのですが、
私は本作の公開まで名前を耳にしたことすらありませんでした。
予告編を観るかぎりでは「グランド・ホテル形式」のようで、
お屋敷とその使用人たちの日々を描いているとなれば、
私の大好きな『ゴスフォード・パーク』(2011)みたい。
 
字幕版と吹替版が公開中で、「洋画は字幕で観る派」としては迷わず字幕版を選ぶところ。
しかし前日も終業後に映画を2本ハシゴして、この日はたいがいへろへろ。
睡魔に襲われても台詞は頭に入ってきそうな吹替版を選択。

オープニングロール前にさくっとTV版の説明があります。
これは吹替ではなく英語で字幕付き。
あまりに登場人物が多くてとても覚えきれませんが、それでもなんとなくはわかる。
なんとなくわくわくしながら物語は始まるのでした。
6シーズン続いたTVドラマ版の最終回から数年後という設定だそうです。
 
1927年の英国、グランサム伯爵ロバート・クローリーが当主を務める大邸宅“ダウントン・アビー”に、
ジョージ5世国王とメアリー王妃が宿泊するという知らせが舞い込む。
たいへんな栄誉に一家も使用人たちも緊張しつつ大喜び。町もその噂で持ちきり。
 
ダウントンを切り盛りする長女メアリーは、現執事トーマス・バローに不安を感じ、
引退した元執事チャールズ・カーソンに助けを求める。
久々の出番に張りきるカーソンに対し、バローはすっかりスネてしまう。
 
国王夫妻を迎える準備を整えるダウントンだったが、
事前に下見に来た従者たちは途轍もなく高慢ちき。
夫妻の世話をする執事もメイドもお針子も料理人も、
すべて連れてきて自分たちでおこなうから、
ダウントンはいっさい手出しをするなとの一方的なお達し。
 
ダウントンの使用人たちは憤慨しつつも最初は渋々従っていたものの、
アンマリな扱いにこのまま引き下がってたまるものかと思いはじめ……。
 
公開中に間に合えば字幕版も観るつもりですが、吹替版の楽しさを知った気がします。
TVシリーズのファンが多いのか、観客席から笑いが絶えず、とてもよい雰囲気。
特に楽しいと思ったのは、マギー・スミス演じるバイオレットの台詞。
使用人を蔑視した差別発言もユーモアを交えて温かみがあり、
ここまでダウントンを守ってきた女主人の力強さを感じます。
 
伯爵三女の夫トム・ブランソン役のアレン・リーチも良いですねぇ。
どこかで見た顔やと思ったら、彼は『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)のポールではないですか!
もとは運転手を務めていた彼は、三女を亡くした身。
クローリー家のなかにあっては平民も平民の彼は、
だからこそいろんな人の気持ちがわかる。
イメルダ・スタウントン演じる王妃の女官モード・バッグショーのメイドとの恋は
誰もが応援したくなるでしょう。
『ボラプ』ではあんなに嫌な奴だったのに、なんてええ奴。(^o^)
 
ゲイが集う飲み屋に警官が突入してその場にいた全員が逮捕されるシーンまであり、
邸宅内にとどまらず、当時のさまざまな社会問題も描かれていそうです。
 
できればTVシリーズも観たいけどなぁ。
こうして映画を観ているかぎり、その時間はつくれそうにありません。
面白かった!
 
で、後日。
吹替版が思いのほか面白かったので、字幕版も観ることにしました。
TOHOシネマズ西宮まで行けばタダで観られるのですが、遠い。
109シネマズ箕面でも上映中だったから、
行って帰っての時間と疲労度を考えて、近場で手を打つ。
レイトショーの回、なんと“おひとりさま”でした。
 
字幕版と吹替版、どちらかと言えば吹替版に軍配。
バッキンガム宮殿から手紙が来たとき、「何の手紙?」と尋ねられた使用人の答え方は、
字幕版では「内緒」、吹替版では「腰を抜かすよ」でした。後者のほうが楽しいでしょ。
マギー・スミス演じる皮肉屋の女帝の台詞は字幕も吹替もどちらもよかったです。
 
あぁ、やっぱりTVシリーズ観たい。

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『フォードvsフェラーリ』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の9本目@伊丹)

2020年01月28日 | 映画(は行)
『フォードvsフェラーリ』(原題:Ford v Ferrari)
監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:マット・デイモン,クリスチャン・ベイル,ジョン・バーンサル,カトリーナ・バルフ,
   トレイシー・レッツ,ジョシュ・ルーカス,ノア・ジュープ,レモ・ジローネ,レイ・マッキノン他
 
TOHOシネマズ伊丹にて、前述の『カイジ ファイナルゲーム』とハシゴ。
 
終業後にすでに2時間観てヨレヨレ。
あと2時間がんばろうと思ってなんとなく上映時間を確かめたら、
えっ、153分もあるやん。
大丈夫かな、また寝てまうんちゃうかと心配しましたが、
面白くてお目目パッチリでした。
 
監督は『3時10分、決断のとき』(2007)がとても面白かったのジェームズ・マンゴールド
マット・デイモンクリスチャン・ベイルって初共演ですよね。嬉しい。
 
1950年代後半、大活躍中だったカーレーサー、キャロル・シェルビー。
アメリカ・テキサス州の出身で、F1に参戦。
アメリカ人として初めて同レースで優勝を果たすが、心臓病のせいで無念の引退。
その後は自動車メーカー“シェルビー・アメリカン”を立ち上げ、
気鋭のカーデザイナーとして相変わらずの人気者。
 
その頃、アメリカ最大の自動車メーカー、フォード・モーター社では、
イタリアのフェラーリ社を買収することを目論んで交渉を進めていたが、
契約成立を目前にして創業者のエンツォ・フェラーリが態度を急変。
交渉は決裂し、フェラーリ社はフィアット社と合併してしまう。
フォード社の会長ヘンリー・フォード2世は、フェラーリにバカにされたと激怒。
打倒フェラーリを誓い、レースに参戦することを決める。
 
フェラーリに勝つためにはどうすればいいのか。
シェルビーのもとに「フェラーリに勝てる車を作ってほしい」との依頼が舞い込む。
何百年経っても勝てるとは思えない相手に、90日間で勝てるようにしろと。
シェルビーはイギリス人ドライバーのケン・マイルズを口説くと、
レーシングカー“フォードGT40”の改良を進めて行くのだが……。
 
シェルビー役にマット・デイモン、マイルズ役にクリスチャン・ベイル。
シェルビーは人当たりもよく、万人受けする人物。
マイルズは腕は一流だけど面倒このうえない人物。
でも、シェルビーはマイルズに絶対の信頼を置いているし、
マイルズの良さもよくわかっています。
ふたりとそのチームメイトでレーシングカーをつくりあげていく様がよかった。
 
いいチームなのに、オイシイとこ取りばかりを考える副社長レオ・ビーブ。
会社組織というのはこういう奴がいっぱいいると思うと暗澹たる気持ちに。
会長はまぁさもありなんのジジイ、いいとこもあるのですけれど。
社長で後のクライスラー会長も務めたリー・アイアコッカの人物像も面白い。
 
マイルズの息子ピーターのことを思うと切ない。
レーサーは夢を与え、現実も見せる。

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『カイジ ファイナルゲーム』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の8本目@伊丹)

2020年01月27日 | 映画(か行)
『カイジ ファイナルゲーム』
監督:佐藤東弥
出演:藤原竜也,福士蒼汰,関水渚,新田真剣佑,吉田鋼太郎,松尾スズキ,生瀬勝久,
   天海祐希,山崎育三郎,前田公輝,瀬戸利樹,篠田麻里子,金田明夫,伊武雅刀他
 
あまり大きな声では言えないのですが、今年からダンナが月~木不在です。
毎日映画三昧できる状態になったけれど、昨年末のラストスパートが効いて、
年が明けてからも体がしんどい。
あまりがんばるのは止めにしたので、前週は2日のみ終業後に映画鑑賞。
次週に入り、フリーパスを全然使わないのももったいないなぁとTOHOシネマズ伊丹へ。
 
福本伸行の同名人気コミックを実写映画化した“カイジ”シリーズ第3弾。
前作まで観た記憶があるのに、『カイジ 人生逆転ゲーム』(2009)、
『カイジ2 人生奪回ゲーム』(2011)、どちらもこのブログ記事の中にない。
劇場で観た場合は100%書いているので、どうやらDVDで観たらしい。
でもありましたよね、他にも。誰やらが一発逆転を狙ってゲームに参加するやつ。
気になって仕方ないけど思い出せません。何でしたっけ。
 
東京オリンピックが終了してから景気が急速に悪化した日本。
貧富の差は広がるばかりで、貧乏人は金持ちが経営する会社で搾取されながら働いている。
稼ぎの7割も持って行かれるというのに、わずかだけでも金がなければ生きられないから、
「嫌なら辞めろ」と言われると何も言い返せない。
 
派遣社員の伊藤カイジ(藤原竜也)はこんな状況に耐えきれず、
社長の黒崎義裕(吉田鋼太郎)に食ってかかるが足蹴にされただけ。
悔しさに悶えるカイジに声をかけてきたのは大槻太郎(松尾スズキ)。
大槻は“バベルの塔”と名づけられた若者救済イベントに出場せよとカイジに言う。
言われるがままに出場したカイジは見事勝利を手中にし、
その賞品として金を受け取るか秘密のネタを受け取るかを選ぶことに。
大槻はカイジが選んで受け取るであろう金をせしめるつもりでいたのに、
カイジはまさかの後者を選択。
 
カイジが招かれたのは不動産業を営む大金持ち、東郷滋(伊武雅刀)の邸宅。
金持ちの道楽につきあわされただけだと思いきや、
東郷は、黒崎が首相主席秘書官の高倉浩介(福士蒼汰)とつるんでよからぬことを企んでいる、
それを食い止めるために金を集めたいのだと言う。
そのためには黒崎相手にギャンブルをせねばならず、
勇気あるカイジと、最強の運を持つ桐野加奈子(関水渚)の手を借りたいのだと。
 
東郷の話に乗ることにしたカイジは、究極のギャンブルの世界へと足を踏み入れるのだが……。
 
上手いと思っていたんですけど、藤原くん。
ここのところキャラが同じでちょっと飽きてきてしまいました。
ずっとテンション高い彼は、『Diner ダイナー』(2019)とかぶる。
これだけ青筋立てていたら切れちゃわないか心配です。
 
藤原くん以上に残念だったのは福士くん。
笑うのってやはり難しいようで、彼も高笑いはできない人に見えます。
恋愛もので寂しげに笑うのなんかはいいのですけれど。
 
そんなわけで役者の演技がイマイチに思えましたが、
まぁこんなもんじゃないでしょうか。
退屈もしなかったし、タダだし。(^^;
 
で、思い出しました、私にとっては同じような作品。

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