夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

ホルプ滞在記〈その7〉

2006年06月30日 | ほぼ非映画(旅行)
その醸造家の店内は外の暑さとちがい、
ひんやりとした空気に包まれています。
木製のカウンターとテーブル3卓、椅子が配置され、15人も入ればいっぱい。

仏語・独語・英語に堪能な従業員のお兄さんが
リストの中から試飲可能なワインを出してくれます。
1種類ずつ、無駄なく、でも丁寧に説明しながら、
グラスに注がれる濃い黄色のワイン。

「うっみゃ~!」と思わず唸りました。
お兄さんは次々とワインを注いでくれて、
結局リストにあるワインはほぼすべて試飲させてもらい、
特に気に入った4本を購入。
ワールドカップが第一の目的だった今回の旅ですが、
このまま帰ってもいいと思うほど幸せ。

コルマールへ戻り、「バッカス」という酒店へ。
できればこれも行きたかった醸造家のワインを見つけ、
「どれでもいいからこの人のワインを試飲させてもらえませんか」と頼みましたが、
「この人のワインだけは高いから勘弁してくれ!」と断られる。(;_;)
でもせっかく来たのですからこれは買わなくちゃ。
別のワインはちゃんと飲ませてもらいました。

今晩はホルプのリッターシュピールに行く予定。
遅くなる前にと帰途につきますが、アウトバーンでめったにない大渋滞。
どうやら大事故があった模様で、車の列が1ミリたりとも動きません。

そんなときでもドイツ人、いいですねぇ。
上半身ハダカ、裸足で車外へ出て日光浴。
いったいどれぐらいの人が降車しているんだろうと
私も降りて前後方を眺めてみればどこもかしこもハダカ。
前のトラックの兄ちゃんは手を洗ってサンドイッチを作っています。
後で聞いたところによると、Bくんが同じく渋滞に遭った数カ月前、
前にいたのがハーゲンダッツの営業車で、
なんと運転していた人がそこら中の車に
アイスクリームを配り始めたことがあったんだとか。

レッカー車が通り過ぎてから数十分後、
ようやく通行規制解除。往路とはちがう道を選択し、
黒い森(シュヴァルツヴァルト)を抜けてホルプへ帰着。
Aちゃんにその新パートナーのGさんを紹介してもらうべく、
Gさん宅へと向かいます。

ちょうどGさんはサイクリングから帰ってきたところ。
チャリから下り、ヘルメットを取ったGさんの頭は……つるっパゲだった!
ハゲ具合については事前に聞いていたので衝撃度は低く、
Aちゃんより16歳上のGさんのその優しそうな笑顔にホッ。
一緒にリッターシュピールへと出かけます。

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ホルプ滞在記〈その6〉

2006年06月29日 | ほぼ非映画(旅行)
ホルプはフランスとの国境までは車で2時間ほど。
今回、ワールドカップよりもひそかに楽しみにしていたのが
アルザスのワインをその場で飲むこと。
15年以上かよっている大好きなイタリア料理店で
ソムリエさんたちにアルザスへ行くと話したら
「ならば絶対あそこ!」と教えてくれた醸造家のお店を目指します。

アウトバーンをスイス方面へ向かって南下し、
ドナウ川の源流とされるドナウエッシンゲンから一般道へ。
そこからは西へ西へ、ライン川を渡り、
フライブルクのもう少し西がフランス、コルマールです。

この辺りはワイン街道と名がつくぐらいですから、
走っていれば目当ての店がみつかるだろうと思っていたら甘かった。
店があるはずの村、ベルクハイムまでは辿り着いたものの、
そこから先がわかりません。

迷ったときは人に尋ねるに限る。
どこそこの国の人は日本人に冷たいだなんてたまに聞きますが、
みんなとても親切です。放っておけないんでしょうかね。
ダンナがカフェの男性客に道を尋ねたら、
相手は仏語しかできないにもかかわらず、
地図に見入り、正しい向きはこうにちがいないと教えてくれました。
ガソリンスタンドでレジの女性に道を尋ねれば、
後ろにいた客が地図を取りあげ、またもや仏語でああだこうだ、
さらにその後ろにいた客が地図を覗き込み、
道を教えてくれる見知らぬ客同士でなぜか握手まで交わし、
この通りはあっちにちがいないと教えてくれます。

しかし、ポイントは実は誰も道をわかっちゃいないということ。(^^;
いつでも誰でも「そうにちがいない」、「たぶんあっちだよ」。
け、結局、誰も、道、知らんのやがな。
知らないことなのに、みんな一緒に考えようとしてくれるんですね。
だから親切はありがたく頂戴して、お礼をいっぱい言って、
適当に失礼したほうがいいようです。

そんなこんなで午前中到着が目標だったのが、午後1時に。
店はちょうどお昼休み中だったため、
向かいのオープンカフェで私たちも昼食を。
フランスに来たからにはとフォアグラを注文。
分厚く濃厚なテリーヌ2切れに山盛りのパンと野菜が添えられ、
これで1,500円しない良心的値段。
白ワイン(リースリング)とともにいただいて大満足。
隣のテーブルにはドイツ人と見られるビール腹のチャリ集団。
ごっつ汗臭いんですけど。ま、それもえっか。

午後2時過ぎ、やっと目当ての店へ。

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ホルプ滞在記〈その5〉

2006年06月28日 | ほぼ非映画(旅行)
伊丹空港の近所にある「伯爵」というラブホテルと
「王様」がいい勝負だったらどうしようと思っていましたが、
「王様」はその名前によって抱かされる期待(?)を裏切り、
とても素敵な居心地のいい宿でした。
日本でいうところのペンションで、通された部屋は2名には快適な広さ。
大きな窓の外は緑がいっぱい。遠くに見えるのは羊小屋。
前回泊まった一番人気の宿は隣が教会だったため、
早朝からスゴイ鐘の乱打で起こされました。
「王様」は教会ともほどよい距離でその心配なし。

とっととシャワーを浴びて寝ようと思ったら、バスルームの扉が開きませぬ。
そういえば、部屋に案内されたとき、
この扉が開いたままになっていたのですが、
さっき、ダンナがトイレから出たあと、扉を閉めちゃったのよね。
閉めたらあかんかったん?もしかして。
押しても引いても開きそうにもなく、ノブも微動だにせず。

フロントもなければ電話もないので、
ダンナはマレーネさんに直接助けを求めに階上へ。
「バスルームがぁ」と言ったけど通じるわけもなく、
何かトラブル発生だと察したマレーネさんはすぐ来てくれました。
私たちの指差す扉を見ると彼女はニッコリ笑って
いとも簡単にノブをシュルリ。回るやん、このノブ。
渾身の力を込めて回さねばならないということがよくわかりました。
マレーネさんだったら小指1本でも開けられたのかも。

こうして無事にシャワーを浴び、翌朝までぐっすり。
かすかに聞こえる鐘の音で目が覚めて、7時に朝食となりました。

ドイツの食事がおいしくないなんて絶対嘘。
朝食には伝統的なパンが3種類、2~3個ずつ籠に盛られています。
皮はパリッ、中はしっとり。香りも抜群。
これを自分でスライスしてバターを塗り、
何種類も用意されたハムやチーズをのせて。

テーブルロールぐらいの大きさのパンだと
水平方向に半分にスライスするのが本場風らしいですが、
そうすると自然とパンの消費量が多くなります。
スライスしたパン1切れにつき、ハムやチーズを1切れずつのせるとすると、
ハムとチーズを食べきるためには
なんぼほどのパンを食べなあかんねんっちゅうことになるわけで。
ドイツ人ほどの胃袋は持ち合わせていない私たちは、
掟破りの垂直方向にスライス。ハムとチーズはしっかり制覇。
パンを手でちぎるのはさらに邪道なんですと。

腹ごしらえが完了して、今日はフランス、アルザスへ。

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ホルプ滞在記〈その4〉

2006年06月27日 | ほぼ非映画(旅行)
チェックインにつきあってくれたのはAちゃん。現在独身。
前回ホルプを訪問したとき、彼女は後に登場するBくんと夫婦でした。
私たちより10歳下のこの夫婦は、結婚式を挙げたスイスに憧れて、
いきなりスイスは無謀だろうと、まずドイツで独語を勉強することに。
これでも十分無謀やろ!(^^;

夫婦はホルプの語学学校に入学したものの、
仕事があるわけでもなし、貯金がたんまりあったわけでもなし、
おまけにホルプの独語って「ナマってる」んです。
4年前はどうにか彼女らが標準語を覚え始めたころ。
「訛ってるんですよ、ここの言葉。全然聴き取れないんです」。
「訛ってるって、どれぐらい?関西弁ぐらい?」。
「いいえ、津軽弁ぐらいです」。

言葉はわからんわ、ホストファミリーはマクドナルド命で
食事らしい食事にもありつけんわで、泣きたいけれど
家族の反対を押し切って飛び出してきたので戻れない。
ある程度独語が喋れるようになっても就職口は見つからず、
イチゴ摘みで生計を立てる日々。
夫婦の間に亀裂が生じ、ついに去年別れてしまったのでした。
そんな彼女たちも今はお互いに別のパートナーを見つけ、
ちがう道を力強く歩んでいます。

Aちゃんの案内で「王様」の看板のある建物へ。
ドアを開けると下へ向かうらせん階段は真っ暗。
オフィスとおぼしき部屋のドアをノックすると、上半身裸のお兄ちゃんが。
「今日からお世話になる、日本から来た友人です」とAちゃん。
しばしポカーンとしていたお兄ちゃんが
その訛った独語でいうには「ここじゃな~い!」。
どうやら隣の建物が宿らしい。
Aちゃんは「あの人、服ぐらい着て出てくればいいのに」と
ぶつくさ言っているけれど、そら、くつろいでる時間に
まさか見ず知らずの日本人が来るなんて思いませんわね。
それにしてもあのお兄ちゃん、結局誰やったん?
お騒がせしましたぁ。

ようやく辿りついた「王様」の女主人はディートリッヒと同じ名前、
でも体型からして実におおらかそうなマレーネさん。
スタジアム近辺では宿泊代が高騰していたようですが、
「王様」は1泊朝食付き、2名で48ユーロ(約6,700円) 。
日本人に会うことはまずない町ですから、
「王様」に泊まる日本人も私たちが初めて。
独語が通じなくて不安にさせてもいけないので、
Aちゃんのいる間に5泊分先払い。

〈その4〉まで来てまだ初日の晩とは。
しかしまだそのまま寝られなかったんです。

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ホルプ滞在記〈その3〉

2006年06月26日 | ほぼ非映画(旅行)
そして、アウディはやはり速かった。

4年前に借りたルノーは、長時間乗っていても
お尻の痛くならない優れものシートが気に入っていましたが、
180km/hぐらいが限界。アウトバーンでは非力です。
それに比べて今回のアウディA3はすいすい加速、200km/hもラクラク。
少々道に迷うものの、ミシュランの地図はエライ。
これ1枚あればドイツのどこへ行くのも可能。
アウトバーンで約40分、ホルプへ。

それにしても毎度驚くのはドイツ人の運転の上手さ。
日本で多少運転技術に自信のある人も
ドイツのメリハリを見ればきっとガビ~ン。
ばあちゃんにすら抜き去られます。
マニュアル車の走行率はたぶん95%以上。
飛ばせるところはきっちり飛ばし、
遅い車が追い越し車線に居座っていることは皆無。
220km/hが並みと思われるアウトバーンを下りて、
市街地に入ればみんなしっかり30km/hを守ります。
車道を人やチャリがふらふらしていることもないので、
一般道では100km/hはザラ。

信号は赤から青に変わる前に黄が挟まれ、
黄でニュートラルからローへ、青ですぐさま発進せねばなりません。
前回ダンナがいちばん嫌がったのが、いたるところにあるロータリー。
信号よりも合理的ではあるものの、4年前はいちいちドキドキ。
まるで縄跳びの「お嬢さん、お入んなさい」状態で、
いつ入ったらええねんとビビってしまうんです。
マニュアルも左ハンドルも前回のドイツ以来だったダンナですが、
今回は信号もロータリーも最初からパーフェクト。

初日から帰国日までずっと滞在する宿は、
その名も“Cafe Koenig”、直訳すると「喫茶店王様」。
有名な洋菓子店「ケーニヒスクローネ」って、
この“koenig”に由来していたんですね。

もともとは4年前と同じ宿に泊まる予定でしたが、
この時期、ホルプではリッターシュピールという
年に一度の大きなお祭りが開催され、
駅に近い人気の宿はすべて満室。
現地の友人が苦労して取ってくれた別の宿「黄金の鷲」が
なんと私たちの出発1週間前に火事に遭い、
代わりに決めたのが「喫茶店王様」。

なにしろドイツ語しか通じない町なので、
チェックインの手伝いを頼んでいた友人宅をまず探し、
リクエストされていた納豆を渡し(んなもん持ってこさせるか?)、
「喫茶店王様」というアンマリな名前に一抹の不安を感じつつ、
リッターシュピールに湧く町を通り抜けます。

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