夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ヒロシマへの誓い サーロー節子とともに』

2021年04月29日 | 映画(は行)
『ヒロシマへの誓い サーロー節子とともに』(原題:The Vow from Hiroshima)
監督:スーザン・C・ストリクラー
 
緊急事態宣言発令下、大阪で営業している劇場は2館のみ。
そのうちの1館であるナナゲイで2本ハシゴの2本目。
 
2019年のアメリカ作品。
 
サーロー節子さんは1932年に広島市に生まれました。
13歳のときに被爆体験。姉と甥を喪う。
ふたりが命を落とすさまを目の当たりにしています。
 
カナダ人男性と結婚してトロントに移住した彼女は、
自らの被爆体験を英語で語る活動を続けてきました。
ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)の発足後は、
ICANを代表してさまざまな国際会議に出席、精力的に演説をおこないます。
 
核兵器の恐ろしさとその廃絶を強く訴えつづけ、
2017年に核兵器禁止条約が国連で採択されるに至りました。
ICANはノーベル平和賞を受賞、その授賞式でスピーチを任された彼女。
 
本作のプロデューサーを務める竹内道さんもまた被爆二世。
被爆体験を世界中で語りつづける節子さんを見て、
道さんは、どうして自分の母親は語ろうとしないのか、
母親には勇気がないのだと決めつけていたそうです。
でも、被爆体験者の話を聞いて気づいたことがある。
母親は自分を守ろうとしてくれたのではないかと。
 
ICANのメンバーが、核兵器禁止条約なんて無理だと最初はあきらめていたと話すのが印象的でした。
アメリカをはじめとする大国を敵にまわす条約。
でも、大国が賛成しなくたって、条約を成立させることができる。
 
日本が不参加ってどういうことよと、今さらですが思う。

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『きこえなかったあの日』

2021年04月28日 | 映画(か行)
『きこえなかったあの日』
監督:今村彩子

緊急事態宣言が発令されても、ミニシアターは営業可能だろうと思っていたのに。
大阪で営業している劇場は2館のみ。
九条のシネ・ヌーヴォ十三の第七藝術劇場です。
十三といえば、先週の“秘密のケンミンSHOW”に映っていましたね。
みたらし団子で有名な喜八洲本店があるのがまさにココ。

被災した聴覚障害者がどのように暮らしているのか。
宮城、熊本、広島など、地震や豪雨に見舞われた土地に足を運び、
コロナ禍の昨年まで10年に渡って取材したドキュメンタリー。
今村彩子監督自身が生まれつき耳が聞こえません。

今村監督が撮影中に揺れを感じるシーンから始まります。
東日本大震災直後の宮城。
聴覚を持たない今村監督は、地震が起きていることはわかる。
でも、警報は聞こえないから、津波の情報などはわからない。

被災者は避難場所に行っても戸惑う。
食糧などが支給されるときも、周囲の人々がざわめいて立ち上がる、
今から何があるのかわからないけれど、ついていくだけ。

東日本大震災のときの経験から、熊本では聴覚障害者であることを自ら示せるよう、
工夫が凝らされるようになりました。
また、手話ができるボランティアも多く集まり、
みんなの不安を少しでも払拭しようという動きが見て取れます。

逆に、聴覚障害者がボランティアを買って出ることも。
ある被災地では、自分が聴覚障害者であることを話すと困惑され、
ボランティアを断られたという人がいました。
でも、その後の被災地ではボランティア志望が快諾されたそうです。

耳の聞こえない人にボランティアは無理だと決めつけてしまう。
耳が聞こえる人のほうが上で、耳が聞こえない人を守る立場のようにも思ったりする。
でも耳の聞こえない人が下なんてことはなく、こちらが救われることも多い。

ろう学校で口話の教育に重きが置かれ、手話を禁じられた実態があったことに驚きました。
手話言語条例が広まればいいと思います。

いろんな気づきのある作品。

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『グランパ・ウォーズ おじいちゃんと僕の宣戦布告』

2021年04月27日 | 映画(か行)
『グランパ・ウォーズ おじいちゃんと僕の宣戦布告』(原題:The War with Grandpa)
監督:ティム・ヒル
出演:ロバート・デ・ニーロ,オークス・フェグリー,クリストファー・ウォーケン,
   ユマ・サーマン,ロブ・リグル,ジェーン・シーモア,チーチ・マリン他
 
イオンシネマ茨木で『るろうに剣心 最終章 The Final』を観た後、
本作を観るべく109シネマズ箕面へ。
本当は“クレしん”を観るつもりだったのに、公開延期になってしまったんですもの。
 
原作はロバート・K・スミスの『ぼくはおじいちゃんと戦争した』。
アメリカ人の児童文学作家で、1984年に上梓されたようです。
スミスは去年の4月に亡くなった模様。享年90歳でした。
本作はもともと2017年に公開される予定だったそうな。
なぜかどんどん公開が延期されて、去年コロナ禍のアメリカで公開に。
そこそこ客は入ったらしいけれど、それはほかに観る映画がなかったからとしか思えません。(^^;
 
最愛の妻に先立たれた老人エド。
彼の独り暮らしを心配する娘サリーは、嫌がるエドになんとか同居を納得させる。
エドは、サリーとその夫アーサー、長女ミア、長男ピーター、次女ジェニーの5人が暮らす家へ。
 
エドの部屋を用意するに当たり、ピーターが屋根裏部屋へ追いやられることに。
おじいちゃんのことは大好きだが、自分の部屋を取り上げられたことは納得できない。
悪友たちにぼやくと、戦争をしかけるべきだと煽られる。
 
夜中に舞い込んだ宣戦布告の手紙を見てエドは冗談だと受け流すが、
何の反応も示されなかったことにピーターは怒る。
執拗なピーターに黙っていられなくなったエドも仕方なく応じる。
こうしておじいちゃんと孫の戦争が始まるのだが……。
 
ふたりとも芸達者です。上手い。
ストーリー自体もつまらなくはないのですが、痛快とまでは言い難い。
 
こんな作品なら90分でじゅうぶんでしょ、120分も要らんし、と
観終わってから思ったのですけれど、94分でした(笑)。
つまりは120分に感じるほど冗長なんです。
 
「戦争」の中身も結構えげつない。
やりすぎでしょと思う攻撃も多く、それを延々続けられるとなぁ。
 
ただ、久しぶりに見たユマ・サーマンはよかった。
ピーターのお母さん役で、コメディエンヌぶりを発揮しています。
ふたりの戦争の巻き添えを喰らってあれこれ災難に遭う。それは可笑しい。
 
やりすぎてどうしようもない状態を招いてしまったピーターが、
泣きそうになりながら戦争について語るシーンには考えさせられます。
自分が戦争を始めれば、敵は倍やり返してきて、自分はまたその倍やり返す。
始まったら終わらないのが戦争。
 
宣戦布告するときにはよく考えて。

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『るろうに剣心 最終章 The Final』

2021年04月26日 | 映画(ら行)
『るろうに剣心 最終章 The Final』
監督:大友啓史
出演:佐藤健,武井咲,新田真剣佑,青木崇高,蒼井優,伊勢谷友介,土屋太鳳,
   鶴見辰吾,大西利空,阿部進之介,有村架純,神木隆之介,江口洋介他
 
実写版の第1作は実に10年近く前の『るろうに剣心』(2012)でした。
その1カ月後に第3作『るろうに剣心 伝説の最期編』(2014)が公開。
そして最終章がコロナのせいで1年近く公開延期になり、いよいよ今、だったのに。
 
満を持して公開した2日後から映画館が休業に追い込まれるなんて、
いったい誰が予想したことでしょう。
そんなことはまったく想像していなかったけれど、封切り日に観ました。
早く観たかったから、ただそれだけ。イオンシネマ茨木にて。
 
激動の幕末に“人斬り抜刀斎”として恐れられた緋村剣心(佐藤健)だが、
明治の世、もう決して人を殺さぬという誓いを立て、
逆刃刀なる「斬れない刀」を手にして平穏な日々を送っていた。
 
ところが、そんな剣心を激しく憎む雪代縁(新田真剣佑)が現れる。
剣心のみならず、剣心を取り巻くすべてのものに憎しみを向け、
手下を使って町もろとも破壊しようとしている。
これほどまでに縁から憎まれる理由は何なのか。
相楽左之助(青木崇高)や神谷薫(武井咲)にようやく説明する剣心。
 
縁はかつて剣心の妻だった雪代巴(有村架純)の弟で、
剣心自身が巴を斬り殺したのだと言い……。
 
最初に剣心役に当たったときの佐藤健は23歳だったということですよね。
男臭くなって今のほうが断然いいなぁ。
当時はたぶんほぼ無名に近かった青木崇高も今や売れっ子。
「優香の旦那」としきりと言われることもなさそうです(笑)。
 
昔は全然タイプじゃなかったはずなのに、江口洋介のカッコええこと。
新撰組の警察官、斎藤一役の彼にやたら惹かれます。
これは完全にゲストだよね?と思う役回りの神木隆之介
佐藤健とコンビで戦うシーンがめっちゃ楽しかった。
 
というように、るろ剣ファンでも何でもない私にとっては、
キャストを思いっきり楽しむ作品です。
もちろん殺陣アクションも見どころバッチリ。
年配の夫婦客は上映終了後に「なんか凄かったな。けど動きが速すぎて、
何やってんのかようわからんかったわ」と言うてました(笑)。
 
ちょっぴり泣けます。
ま、縁は究極のシスコンっちゅうだけな気がせんでもない。
それと、わざわざ脱がんでええのに脱ぐ真剣佑、
上着だけとはいえ、やっぱり無駄脱ぎさせられていると思う。(^^;

映画館の営業が再開したら駆けつけてください。

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『街の上で』

2021年04月23日 | 映画(ま行)
『街の上で』
監督:今泉力哉
出演:若葉竜也,穂志もえか,古川琴音,萩原みのり,中田青渚他
 
テアトル梅田で前述の『水を抱く女』の次に。
大満足の2本ハシゴとなりました。
 
今泉力哉監督と漫画家の大橋裕之による共同脚本。
こんなに客の間から楽しそうな笑い声の漏れる作品は久しぶりです。
 
下北沢、ちょっと憧れています。
私は大阪から出たことがないけれど、もっと若い頃に東京に住む機会があれば、
住んでみたかったなぁ下北沢、そう思っています。
 
荒川青(若葉竜也)は下北沢の古着屋に勤める青年。
恋人の川瀬雪(穂志もえか)から浮気を告白されたうえにフラれてしまう。
せめて浮気相手が誰なのか聞きたいと思うのに、雪は絶対に言わない。
俺の知っている奴なのか。いったい誰なんだよ。
 
悶々とする日々を送っていると、自主映画の出演依頼が舞い込む。
依頼主は学生の高橋町子(萩原みのり)で、
古着屋のレジでいつも読書している青の姿を見て良いと思ったらしい。
 
話を聞いただけでガチガチに緊張する青は、
行きつけの古書店の店員で顔なじみの田辺冬子(古川琴音)に相談。
演技の練習につきあってもらうが、その甲斐なく本番でもガチガチ。
 
撮影の打ち上げに呼ばれたものの、完全にアウェーで浮いた状態。
そんな彼に話しかけてきたのは、自分もアウェーだという城定イハ(中田青渚)で……。
 
会話を楽しむ作品です。
情けない青の姿と、彼と誰かの掛け合いの間(ま)が絶妙で、
そこそこ入っている客が皆、クスッ、ときにはガハハ。
 
みんなそれぞれに恋をしている。
青春時代には多かれ少なかれこんな思いをした人がいるはず。
修羅場になりそうでならない笑える展開がとても愉快。
大事な役で成田凌が友情出演。この彼もイイ。
 
コロナで気分が沈みがちな今日この頃、こんな温かい作品、大歓迎。

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