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夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『HERE 時を越えて』

2025年04月17日 | 映画(は行)
『HERE 時を越えて』(原題:Here)
監督:ロバート・ゼメキス
出演:トム・ハンクス,ロビン・ライト,ポール・ベタニー,ケリー・ライリー,ミシェル・ドッカリー他
 
TOHOシネマズ西宮にて4本ハシゴの2本目。
 
不思議な作品です。
リチャード・マグワイアのグラフィックノベルをロバート・ゼメキス監督が映画化。
視点はアメリカのとある場所、1点のみ。
 
その地は古代は森の中。動物が駆け回る。
やがて屋敷が経ち、なくなり、現代になると月並みな一軒家が建つ。
その間、さまざまな人がここで暮らしています。
 
10代で出会ったトム・ハンクス演じるリチャードとロビン・ライト演じるマーガレット。
若くしてマーガレットが妊娠したものだから、この家で2世代が同居することに。
ふたりが70代になるまでをVFX技術を用いて演じています。
私の苦手な老けメイクじゃないから違和感がない。
 
同じところからずっと同じ場所を見続ける、という説明でわかるでしょうか。
私たち観客は常に同じ空間を見続ける。
最初は森の中が広がり、原始人が動物たちと共にそこで暮らしている。
そのうち貴族だかなんだか知らないけれど昔の服を着た人が現れて、次第に今の時代へ。
人類の歴史と何世代にも渡る家族の日々が描かれています。
 
なんと表現してよいかわかりません。
映る場面は一部屋分の大きさなのに、壮大な物語を見せられたような気持ちです。

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『BETTER MAN/ベター・マン』

2025年04月12日 | 映画(は行)
『BETTER MAN/ベター・マン』(原題:Better Man)
監督:マイケル・グレイシー
出演:ロビー・ウィリアムス,ジョノ・デイヴィス,スティーヴ・ペンバートン,アリソン・ステッドマン他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて前述の『デーヴァラ』を観た後、109シネマズ箕面へ移動して。
 
ロビー・ウィリアムスの半生をマイケル・グレイシー監督が映画化したミュージカル作品。
主人公をに見立てるとはなんと斬新なアイデア。
 
私は全然知らないんですよね、ロビー・ウィリアムス。ボブ・ディラン以上に知りません。
ロビーが在籍していたというポップグループ“テイク・ザット”も知らなければ、
話中にロビーの恋人だった女性として登場するニコール・アップルトンのことも、
彼女が在籍する“オール・セインツ”というグループのこともほぼ知らない。
後に彼女の結婚相手となるリアム・ギャラガーのことがかろうじてわかるぐらい。
1990年代なら洋楽をよく聴いていた時期のはずなのに、どうしてなのかしら。
 
というわけで、ロビーのことは全然知りませんでしたが、彼自身が演じる本作、とても良かったです。
 
少年ロバートの父親ピーターは、フランク・シナトラをはじめとする往年の名歌手をこよなく愛す。
テレビから流れてくる曲に合わせてピーターと共に歌うことがロバートは大好き。
 
しかしピーターはロバートが出演する学芸会なんて見に来てくれなかったどころか、
サッカーの試合を観に出かけたきり、家に戻らず。
優しい祖母に励まされてなんとか生きていたロバートは、ある日、ポップグループのオーディションに応募する。
プロデューサーのナイジェル・スミスに生意気な口を利き、不合格かと思いきやまさかの合格。
すぐに活動開始となったおかげで、高校に落第したことを母親に言わずに済んだ。
 
ロバートではなくロビーと名乗るようにナイジェルに言われ、ほかのイケメン4人と共にテイク・ザットを結成。
自分で曲を書きたいのに、少年時代からすでに売れっ子だったゲイリー・バーロウが曲をつくる。
金はすべてゲイリーの懐に入り、ゲイリーは豪邸に住んでいるというのに、自分はいつまで立っても狭い家で家族と同居。
酒にもクスリにも手をつけるようになったロビーは、しばしばメンバーに迷惑をかける。
 
そして案の定メンバーから不要だと宣告されたものだから、ロビーは脱退。
いつか見返してやると思いながらソロ活動を始めるのだが……。
 
ピーターはいわゆる毒親。夫としても父親としてもクズ。
勝手に出て行ったくせに、ロビーがスターになった途端にまるでマネージャー気取り。
それでも父親に対して冷たくはなれないものなのですね。
 
知らなかったロビーの歌を本人の声で聴かせてもらえるのだから最高。
スターになった瞬間から歳を取らなくなるという本人談がリアルで、子役なんかもそうなのかなぁと思いました。
金持ちになると自分がどれだけ大変かばかり話して、友人の気持ちには思いが至らない。
いろいろ経験していろいろなものが見えるようになって、今の彼がいる。
 
『マイ・ウェイ』っていい曲だなぁとあらためて思うのでした。

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『ベイビーガール』

2025年04月09日 | 映画(は行)
『ベイビーガール』(原題:Babygirl)
監督:ハリナ・ライン
出演:ニコール・キッドマン,ハリス・ディキンソン,ソフィー・ワイルド,アントニオ・バンデラス,
   エスター・マクレガー,ヴォーン・ライリー,ヴィクター・スレザック,レスリー・シルヴァ他
 
休日、NGKで漫才吉本新喜劇を観る前後にTOHOシネマズなんばで映画を1本ずつ。本作は「前」に鑑賞。
 
ニューヨークの大企業でCEOの座に就くロミー。
倉庫配送システム用のロボットを開発した彼女は時の人となり、女性活躍の象徴として崇められている。
売れっ子舞台演出家の夫ジェイコブは限りなく優しく、娘ふたり、イザベルとノラは多感な時期で、
特に長女のイザベルは時に反抗的な態度を取るが、レズビアンの彼女のことを両親はしっかり認めている。
絵に描いたような幸せな家族と、成功の一途をたどる誰もが羨む人生。
 
しかしロミーには人には言えない秘密があった。それは性生活への不満。
ジェイコブとのありふれたセックスに満足できず、まったく刺激を感じられない。
 
そんなとき、インターンとしてやってきた学生サミュエルのことが気になりはじめる。
彼はロミーの心の裡を見透かしているかのようで、挑発的なアプローチを繰り返す。
スルーするつもりがサミュエルの術中にハマるかのように受け入れてしまうロミー。
やがてCEOのロミーとインターンのサミュエルの力関係は完全に逆転。
ロミーはサミュエルに対して性的に服従することを余儀なくされるのだが……。
 
ロミー役のニコール・キッドマンは6月に58歳の誕生日を迎えます。
サミュエル役のハリス・ディキンソンは同じく6月に28歳になる。
そりゃキッドマンはいくつになっても綺麗です。けれど、老いを感じさせる撮り方をしていることもあり、きつい。
息子といってもいいほど歳の離れた男性に入れ込み、彼が別の女性と話しているだけで嫉妬心メラメラ。
キッドマンの実際の喘ぎ声がどんなだかは知らんけど(笑)、ロミーの獣みたいな喘ぎ声は怖すぎる。
 
痛々しい思いは終始ありますが、面白いのは面白い。
アントニオ・バンデラス演じるジェイコブはロミーの不満を察することができず、終盤、妻の浮気を知ると激怒。
ロミーを追い出しておきながら気になって、彼女がいるとおぼしき別荘に赴いたら、そこにサミュエルもいる。
半狂乱になるジェイコブの気持ちを鎮めるのはロミーではなくて、なんとサミュエル。
まるで吠える犬をおとなしくさせるときと同じように。
 
母親の変化に気づき心配するイザベルの存在もとてもいい。
イザベル役のエスター・マクレガーはユアン・マクレガーの娘なんですね。
クララ・マクレガーのことしか知らなかったから、もうひとり娘がいたのかとビックリ。
 
最後はサミュエルが去り、その理由を知ったのか肉体関係を迫るような発言をするオッサンに言い返すロミーがちょっとカッコイイ。
家族のもとへ戻って、妻の性的嗜好を知った夫がそっちに寄せる。
妻も満足しているかと思いきや、想像しているのはサミュエルのことという皮肉。怖っ。

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『プレゼンス 存在』

2025年04月07日 | 映画(は行)
『プレゼンス 存在』(原題:Presence)
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:ルーシー・リュー,クリス・サリヴァン,カリーナ・リャン,エディ・マデイ,ウェスト・マルホランド,ジュリア・フォックス他
 
TOHOシネマズ梅田で『白雪姫』を観て、よしもと道頓堀シアターのこけら落としで笑ってから飲みに。
この時点で20時前。まっすぐ家に帰ればよいものをTOHOシネマズなんば別館に行ってしまいました。
気になっていた本作の上映開始まであと30分ぐらいだったから。
 
スティーヴン・ソダーバーグ監督といえば凄い大御所のように思っていましたが、まだ62歳なんですね。
20代だった1989年に『セックスと嘘とビデオテープ』で衝撃のデビュー。
これがカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞するという快挙を成し遂げました。
その後の活躍は言うまでもなく、『エリン・ブロコビッチ』(2000)とか『オーシャンズ11』(2011)とか、大人気。
近年の作品では『マジック・マイク ラストダンス』(2023)がありますが、ちょっとくたびれてきた感。
昔ほど勢いがないなぁと思っていたら、本作では「幽霊の視点」というのが斬新で面白い。
 
ペイン家はクリスとレベッカ夫妻、長男タイラー、長女クロエの4人家族。
郊外の立派な一軒家に引っ越してくるが、たびたびポルターガイストに見舞われます。
本作はポルターガイストを起こしている張本人でクローゼットに潜むプレゼンス(=存在)、すなわち幽霊から観た映像となっています。
 
レベッカは職場でトラブルを抱え、クリスは離婚を検討中。
クロエは最近親友のナディアを亡くして情緒不安定。
さらにもう1人の知人も死亡したと知って悲しみの淵にいる彼女に対し、兄のタイラーは死んだ奴らはただのヤク中だと嘲笑う。
 
レベッカはタイラーのことを溺愛するも、娘のクロエのことはほとんど無視。
クロエの気持ちを察するクリスは、レベッカやタイラーの態度を諫めるが、ふたりは気に留めない。
そんなクロエを癒やしてくれるのは、イケメン男子のライアン。
 
ポルターガイストなんてクロエの気のせいだと思いきや、家族全員が認めざるを得ない現象が起きる。
この家を仲介した不動産業者にクリスが連絡すると、千里眼の女性シーシーを紹介される。
シーシーが言うには、この家には確かに霊がいるが、霊は自分が何者なのかもなぜここにいるのかもわかっていないと。
 
不動産業者からシーシーの紹介料をせびられ、気を悪くしたクリスとレベッカは、二度と彼らと会わないと決めるが、
後日ふたたびシーシーが訪れ、「開かない窓」が問題だと言い……。
 
プレゼンスはいったい誰の霊なのか。以下、ネタバレです。
 
最後の最後の寸前まで、ナディアだと思っていました。
ライアンが実は殺人鬼なんですよね。女性に薬を盛っては殺していたという。
ナディアも殺されたうちのひとりで、クロエに警告したかったのだろうと。
 
ところが最後の最後の最後に、プレゼンスはタイラーだったことがわかります。
 
常にクロエに冷ややかだったタイラーですが、そのせいでクロエがライアンに殺されることになってしまった。
両親の留守中にやってきたタイラーに自分も薬を盛られ、寝ている間にクロエが殺された。
目覚めたときにクロエの部屋にいたライアンもろとも「開かない窓」から転落してタイラーは死んだんですね。
 
パラレルワールドという理解でよいのかな。
クロエを助けたい一心で、クロエがまだ生きている世界に戻ってきたタイラーは、
危機一髪、クロエが殺されるすんでのところで目を覚まし、タイラーに体当たりして一緒に窓から転落死。
 
ということが、最後のレベッカの台詞からわかって、ほぉ、なるほど。
妹を救うためにあの世から戻ってきて見守っていた兄。
ちょっとジーンとしてしまいました。

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『Playground/校庭』

2025年04月05日 | 映画(は行)
『Playground/校庭』(原題:Un Monde)
監督:ローラ・ワンデル
出演:マヤ・ヴァンデルベック,ギュンター・デュレ,カリム・ルクルー,ローラ・ファーリンデン,
   エルザ・ラフォルジュ,レナ・ジラール・ヴォス,シモン・コドリー,テオ・マールテン他
 
ベルギーの新鋭ローラ・ワンデル監督の作品をテアトル梅田にて。
 
小学校入学の初日。不安いっぱいの少女ノラは兄アベルに抱きついて離れない。
アベルは「休み時間に会えるから」と言って校内へ。
見送りに来た父親もノラのことが心配でならないが、保護者は立ち入り禁止だと言われて仕方なく離れる。
 
お昼休みには食堂で一旦席に着くも、アベルを見つけたノラは駆け寄ろうとする。
しかし、食事中は移動禁止。すごすごと席に戻るが、食欲なんて出ない。
 
休み時間の校庭で兄の姿を探してまたしても駆け寄るが、
同級生たちと遊んでいたアベルはノラをじゃまもの扱いして「あっちへ行け」と言い……。
 
幼稚園の入園日、私は園庭で泣いて母親に抱きつき、離れたくないと言った口です(笑)。
そのせいで背の順に並ぶと私の前後にいた女児ふたり(いとこ同士でした)に2年間いじめられるはめになりました。
泣いた私が悪いのか。このふたりのことは死ぬまで忘れません。
 
そんな悲しい思い出があるから、お兄ちゃん大好きっ子のノラがいじめられるのかと思っていたら、違った。
 
おそらくきっかけはノラにあるのでしょうけれど、アデルがいじめられるようになる。
殴られ蹴られるなんて序の口で、便器に顔を突っ込まれ、ゴミ箱の中に放り込まれる。
このいじめに比べたら、私が受けたいじめなんていじめとも言えないほどでしょう。
整列中に頭から砂をかけられて(と言っても帽子の上からだし)、「アンタなんか」と面と向かって暴言を吐かれる程度です。(^^;
 
いじめられているなんて格好がつかないアデルは、先生にも父親にもチクるなとノラに言います。
「言ったら殺す」とか「死ね」とか小学生の口から普通に出てきちゃうんですもんね。
お兄ちゃんがいじめられていることを訴えたいけれど、言えずにいるノラの葛藤。
そこはまだチビっこだから、「言えないの」ということで父親にはバレる。
 
アデルがいじめられっ子になる一方で、心配されたノラには普通に友だちができます。
だけどお兄ちゃんがいじめられていることがわかると、今度はノラからも友だちが離れてゆく。
すると、お兄ちゃんのことが疎ましくなってしまうのです。
 
保護者らの間で話し合いが持たれたことでアデルへのいじめはなくなりますが、
いじめの対象がアデルではなくなっただけ。どこまでも続くいじめ。
 
子ども時代は過酷です。
ノラを演じた子役のマヤ・ヴァンデルベックが素晴らしい。
このまま彼女の心の傷にならないか心配なぐらい。
最後のハグが未来につながりますように。

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