夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『温泉シャーク』

2024年07月31日 | 映画(あ行)
『温泉シャーク』
監督:井上森人
出演:金子清文,藤村拓矢,中西裕胡,内藤正記,椎名すみや,高樹澪他
 
テアトル梅田で前述の『呪葬』を観終わって退場したら、外にはなんだか人がいっぱい。
同シアターで次に上映される本作の開場を待っている人たちでした。
20時半近くからのレイトショーでしたが、8割ほどの客で埋まっています。すごっ。
 
確かにサメに襲われるパニックアクション映画は数あれど、日本発はなかった。
けどどう考えてもB級、なんならC級確定でしょ(笑)。
 
架空の市だけどきっと熱海市全面協力の暑海(あつみ)市。
多くの観光客が訪れるこの温泉地でさらに儲けようと、
市長・万巻貫一(藤村拓矢)の主導で複合型巨大観光施設の建設を進めている。
 
一方、暑海市では温泉客が忽然と姿を消す事件が連続して発生。
いずれの被害者もサメに襲われた痕跡があることから、
警察署長・東伝兵衛(金子清文)は観光客に注意を促すよう万巻に求めるが、
儲けることにしか興味がない万巻はまったく聞く気なし。
 
このままでは危険だと招聘された海洋生物学研究者・巨勢真弓(中西裕胡)は、
太古の昔から蘇る獰猛なサメが温泉の地中を自在に動き回っていることを突き止め……。
 
歩いているところの下をサメがスルスルと泳いでいるのです。
したがって、海に入らなければ襲われないわけではなく、
自宅で入浴中にも浴槽を突き破ってサメが出現する。ワラける(笑)。
 
特撮ものではあるけれど、ちゃちいといえばちゃちい。
ハリウッド映画に登場するサメのようなリアリティは皆無で、そこがなんとも憎めない。
めちゃくちゃ可笑しくて笑った笑った。
 
最近観た作品のなかで、観客の雰囲気がよかった映画ナンバーワン間違いなし。
みんなでブハッと大笑い、ウソやろみたいな感じがたまらない。
こんなふうに客席に笑いが連鎖して流れてゆく作品はなかなかないものです。
 
監督はお笑いコンビ“そんたくズ”の井上森人とのこと。
そんたくズを知らなくて申し訳ないけれど、
本作のヒットでお笑い芸人としてよりも映画監督としての仕事のほうが増えそうですね。
 
なお、「きっと熱海市全面協力」と書きましたが、
それどころか熱海市の地域活性化を目指して特撮と温泉をテーマにしたプロジェクトなのだそうです。
日本発のサメ映画を撮ろうなんて、目の付け所がいいなぁ。楽しいなぁ。
 
この客入りだとひそかにロングランになりそうです。
めっちゃ応援したい。
 
ちなみにマッチョ役の椎名すみやは元海上自衛官とのこと。
「初代自衛隊プレミアムボディ総合優勝」と経歴にありますが、なんすかそれ。
彼のことも応援!

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『呪葬』

2024年07月30日 | 映画(さ行)
『呪葬』(原題:頭七)
監督:シェン・ダングイ
出演:セリーナ・レン,チェン・イーウェン,ナードウ,ウー・イーハン,チェン・チアクエイ他
 
以前観たNetflixオリジナルの台湾ホラー『呪詛』(2022)がたいそう怖くて、でもたいそう面白くて、
本国で大ヒットしたホラー作品が劇場公開されていると知り、
またしても好奇心に勝てずに観に行ってしまいました。テアトル梅田にて。
あれ?シネ・リーブル梅田から改称されてから行ったことありましたっけね。
あら、直近で行ったのは3月末だったようで、まだシネ・リーブル梅田のままでした。
ということで、新しくなったテアトル梅田にて初鑑賞。
 
本編上映前の予告編が全部ホラー映画で震え上がりました(笑)。
驚いて椅子から跳ね上がりそうになることを「ジャンプスケア」というんですね。
本作はジャンプスケアてんこ盛りの作品です。
 
シングルマザーのチュンファは、腎臓を患うひとり娘チンシェンの治療費を払うため、
少しでも稼ごうとコンビニの夜勤の仕事に就いていたが、居眠りが目について解雇される。
そんな折、祖父が亡くなったとの連絡を受け、久しぶりに帰郷することに。
父と確執があるチュンファは、もう長らく両親や親戚と音信を絶っていたが、
いつも自分の味方をしてくれた祖父のことだけは大好きだったから。
 
ところが、父親は相変わらず冷たい態度で、姉は嫌味を言い通し、義兄はおどおどしている。
母親は気遣いを見せてくれるものの、ほかの家族たちに気兼ねがある様子。
なぜ帰ってきたのか、とっとと出て行けと父親から言われ、初七日が過ぎれば出て行くと答えるチュンファ。
 
居心地の悪い実家で過ごしていると、さまざまな怪奇現象に見舞われ、チンシェンは怯える。
唯一明るくて優しい叔父に声をかけられ、安心するのだが……。
 
ただでさえジャンプスケア作品なのですから、わざわざ“odessa(オデッサ)上映”にしなくても。
しかし私が驚いたかといえば、そうでもないのです。
というのも、来そうなシーンは例のごとく薄目か完全に閉じているから、音だけではビビらない。
しかもそんな見方をしている間にホントに寝ちゃったりもして(笑)。
 
怖がらせるだけの作品かと思いきや、父親が「出て行け」と言った理由が終盤にわかり、
そこはかなり切なくてグッと来ましたね。
恐ろしいのはただひとり、アンタ、ええ奴ちゃうかったんかい。
 
でもその切なさも中途半端。
登場人物それぞれのバックボーンもいまいちよくわからないから、
怖がらせるだけの話になっちゃったかなぁという気がします。
しかもそれがあんまり怖くないという。駄目じゃん。(^^;
 
ラストも嫌な感じで、一日の終わりにこの映画を観るのは避けたいです。
というわけで、次の作品にレッツゴー♪

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『逃走中 THE MOVIE:TOKYO MISSION』

2024年07月29日 | 映画(た行)
『逃走中 THE MOVIE:TOKYO MISSION』
監督:西浦正記
出演:川西拓実,中島颯太,木全翔也,金城碧海,瀬口黎弥,佐藤大樹,田鍋梨々花,川原瑛都,
           長井短,松本ししまる,林隼太朗,岡宏明,内田慈,笠原秀幸,本多力,松平健他
 
イオンシネマ茨木にて。
 
鑑賞前に知っていたのは予告編からわかることだけ。
黒ずくめの口裂け男みたいな人物に遭遇したHIKAKINが「わー!」と怯える映像を観て、
ひたすら逃げまくるリアリティショーなのかなと思っていました。
鑑賞後に調べたら、『run for money 逃走中』というバラエティ番組があるらしい。
2004年から不定期に放送されているそうで、それなりの長寿番組なんですね。
大がかりな鬼ごっこだということはわかったけれど、
ウィキを適当に読んだせいで、その番組がフィクションなのかリアルなのかは今もわかりません。まぁいいや。(^^;
 
で、その番組をモチーフにした劇場版が本作とのこと。うん、これは確かにフィクションだ。
 
かつて同じ高校の陸上部に在籍してた6人。
一生の仲間だと誓い合ったにもかかわらず、全員が揃って会うことはなくなったが、
大学でも陸上を続ける橘大和(川西拓実)と株に熱心な伊香賢(木全翔也)は今も親しい。
 
ある日、人気番組『逃走中』が賞金総額1億円以上の史上最大規模で開催されることを知る。
興味をそそられていたところへ、その招待メールが届く。
喜び勇んで集合場所へ向かうと、そこには残りの4人の姿もあった。
 
当時は補欠で、現在は名門大学の数学科に通う大澤瑛次郎(中島颯太)。
町工場の息子で、亡くなった父親の後を継いだ北村勇吾(金城碧海)。
今は専門学校に通う、ひたすら明るい元陸上部のムードメーカー、西園寺陸(瀬口黎弥)。
そして陸上部のエースだったのに、急にいなくなった寺島譲司(佐藤大樹)。
 
遊びのつもりでやってきた者、どうしても金がほしくてやってきた者、事情はさまざま。
1000人を超える参加者で始まった『逃走中 TOKYO MISSION』だったはずが、
参加者を捕まえる側のハンターたちが、人間とは思えないワイルドハンターに食われてゆく。
新たに主催者として登場した男がゲームマスター(松平健)を名乗り、
ワイルドハンターに捕まれば“消滅”、つまり死に、生き残った者の賞金は100億円と告げる。
 
大和たちは、会場で知り合った高校生の本郷マリ(田鍋梨々花)とその弟で小学生のカイ(川原瑛都)と共に、
消滅を逃れるべく必死に逃走し続けるのだが……。
 
川西拓実くんのことはかろうじて知っていましたが、あとの男子を全然知らん。
JO1甲子園阪神戦に来たから知っています。
でももう片方のFANTASTICS from EXILE TRIBEのほうは知らなくてすみません。
知らないと言いつつ、いま↑リンクを張る段になって、メンバーの子が出ている映画を観たことあるやんと気づく。
 
本人役で出演している芸人や有名人多数。
ダイアンの津田、錦鯉の長谷川、クロちゃん、三四郎の小宮、とろサーモンの久保田。大久保嘉人も。
だからって、観て得したって感じでもありません(笑)。
参加者のうち、性悪女役の長井短が怖いんです。この人、いつも独特の雰囲気で。
 
ちょっとヤワい“イカゲーム”を観たような気がしなくもない。
この映画に鑑賞料金の定価は出せんけど、つまらなかったわけでもない。
ワイルドハンターが主要メンバーを消滅させるときだけは、それまでの時間がやたら長いのが可笑しい。
 
お目当てのメンバーがいるならば観てもいいんじゃないでしょうか。

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『怪盗グルーのミニオン超変身』〈字幕版〉

2024年07月28日 | 映画(か行)
『怪盗グルーのミニオン超変身』(原題:Despicable Me 4)
監督:クリス・ルノー,パトリック・デラージ
声の出演:スティーヴ・カレル,クリステン・ウィグ,ウィル・フェレル,ソフィア・ベルガラ,ジョーイ・キング,
     ミランダ・コスグローヴ,デイナ・ゲイアー,マディソン・ポーラン,スティーヴ・クーガン他
 
TOHOシネマズなんばにて、2本ハシゴの2本目。
前述の『化け猫あんずちゃん』を観たくて大阪市内まで出向いたのもありますが、
もともとの狙いは本作の字幕版を観ること。
梅田かなんばまで行かないと観られないんですよね、“怪盗グルー”シリーズはいつも。
すっかり鶴瓶の声が定着しましたが、ここはやっぱりスティーヴ・カレルの声で観たい。
 
もとは最強最悪の怪盗だったグルーだが、いまは反悪党同盟のエージェントに転身。
愛する妻ルーシーと養子の娘マーゴ、イディス、アグネスの3人、
そしてルーシーとの間に生まれた長男ジュニアに囲まれて幸せな日々を送っている。
もちろん忠実な手下のミニオンたちも一緒。
 
そんなある日、グルーの高校時代の同級生でライバル、最強最悪を自負するマキシムが、
パーティーに潜入したグルーの手によって逮捕される。
マキシムは脱獄すると、恨みを晴らすためにジュニア誘拐を計画する。
 
マキシムに住居を知られたことがわかり、反悪党同盟はグルー一家を守るため、避難させる。
グルー一家は安全と思われる住宅街へ引っ越すと、しばらく身分を隠して暮らすことに。
 
ところが隣家の娘ポピーがいつのまにかグルーのことを調べ上げ、
自分もグルーとマキシムの出身校に入学するために悪事を働きたいから協力しろと言う。
さもなくばグルーの正体をバラすと言われ、致し方なくグルーはポピーを手伝うのだが……。
 
普通に楽しいですよね。
楽しいけれども、ウケすぎと思うほどの笑い声が劇場内に溢れていて、こちらもつられる。
ストーリーもシンプルで、大人も子どもも楽しめる作品だと思います。
何より、ミニオンが可愛いから。
 
最初、性悪少女かと思われたポピーが意外と面白くて良い子。
誘拐されたジュニアを救おうと大活躍します。
 
悪役マキシムの声を担当するのはウィル・フェレル。ぴったり。
毎度思うのは、ミニオンの声をひとりで担当するピエール・コフィンってどんな人!?ってこと。
監督が本業なので、ミニオンに扮するのはお遊びなんでしょうけど、楽しそうだなぁ。
 
そして音楽も楽しいんです。
カルチャー・クラブの「カ~マカマカマカマ♪」=“Karma Chameleon”だったり、
ティアーズ・フォー・フィアーズの“Rule The World”だったり、BTSの“Dynamite”もかかります。
K-POPのBLACKPINKの“BOOMBAYAH”もかかったようですが、私はこのバンド知らず。(^^;
実に楽しい選曲。
 
こうして字幕版を観ると、吹替版も観たくなる。
マキシムの声は片岡愛之助、ポピーの声は山田杏奈ですか。
観るものがなくなったら行こうかしら。
 
もちろん続編ありでしょうけれど、今回の薬を注入されたメガミニオンは要らないかも(笑)。

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『化け猫あんずちゃん』

2024年07月27日 | 映画(は行)
『化け猫あんずちゃん』
監督:久野遥子,山下敦弘
声の出演:森山未來,五藤希愛,青木崇高,市川実和子,鈴木慶一,
     水澤紳吾,吉岡睦雄,澤部渡,大谷育江,宇野祥平他
 
TOHOシネマズなんばにて。
平日の仕事帰りに容易に寄れる劇場では上映しておらず、休日になんばまで出向きました。
 
いましろたかしの同名漫画をアニメ化した日本/フランス作品。
漫画家としても活躍しているという久野遥子監督のほうは申し訳なくも存じ上げませんが、
共同で監督を務めるのが山下敦弘で、脚本がいまおかしんじとなると絶対に観たい。
 
11歳の少女・かりんは、3年前に大好きだった母親を亡くした。
ろくでなしの父親・哲也はサラ金で借金を重ね、取り立てから逃げるために、
かりんを連れて20年ぶりに疎遠になっていた実家に向かう。
 
哲也の実家は寺。父親である和尚は哲也が結婚したことすら知らなかったから、
いきなり孫を連れてきた息子にびっくり。
しばらく置いてほしいという哲也の頼みを聞き入れるつもりだったが、
サラ金で首が回らなくなったので金を貸してくれと言われて激怒し、哲也を追い出す。
母親の命日までには借金を綺麗にして戻ってくるという哲也。
嘘としか思えないが、致し方なくかりんはそのまま残ることに。
 
田舎でつまらない日々を送ることにげんなりするかりんの前に、
二足歩行のデカい猫あんずちゃんが原付に乗って現れる。
 
和尚の話ではあんずちゃんは化け猫で37歳。
捨て猫だったところを和尚が拾い、当初は普通の猫に見えたのに、
いつしか見た目を除いてまるで人間となり、言葉も普通に喋るように。
そしていつまで経っても死なないのだ。
 
村の人たちもあんずちゃんのことを受け入れている様子で、
かりんはそれが面白くなくてたまらず……。
 
傷ついた少女が化け猫と心を通わせるひと夏の物語、と思うじゃないですか。
これが全然ちがって、想像の遥か斜め上をゆく。笑った。
 
かりんの境遇は確かに可哀想だけど、いい子とは言えません。
あんずちゃんのことも村のことも見下していて、しょっちゅう舌打ちをしている。
これが相当憎たらしい。
大人の前では可哀想な少女になりきってお小遣いをもらおうとするし、
同年代の少年たちには甘えるふりをして言うことを聞かせる。
大人も子どももそれにしっかり騙されてだらしないったら(笑)。
 
それでも子どもは子どもです。やっぱりあんずちゃんと心を通わせることになる。
そこに至るまでが普通のアニメーションとは違っていて、本当に面白かった。
 
貧乏神に連れられて母親に会うために行く地獄
地獄はまるでホテルのようで、この描写も面白かったなぁ。
貧乏神の声を担当するのは水澤紳吾、閻魔大王の声を担当するのは宇野祥平
めちゃめちゃハマっています。
 
“すとぷり”とかを観てついて行けずに混乱しているよりも、こっちのほうが私は落ち着きます。
すとぷりファンの方々にはごめんなさい。
この夏、オススメ。

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