夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』

2024年11月30日 | 映画(か行)
『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』(原題:Gladiator II)
監督:リドリー・スコット
出演:ポール・メスカル,デンゼル・ワシントン,ペドロ・パスカル,コニー・ニールセン,ジョセフ・クイン,フレッド・ヘッキンジャー,
   リオル・ラズ,デレク・ジャコビ,ティム・マキナニー,ロリー・マッキャン,ピーター・メンサー,マット・ルーカス他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて、IMAXレーザーGT版を鑑賞しました。
 
リドリー・スコット監督の『グラディエーター』(2000)から四半世紀近く経ちました。
あくまでもリヴァー・フェニックスの弟としか認識していなかったホアキン・フェニックスが、
あの作品で怪演を見せて一流役者の仲間入り。
いまや“ジョーカー”といえば彼だし、今はもう兄ちゃんが誰かすら知らない人も多いでしょう。
 
で、なんでこんなに年月が経ってから続編をつくるねんという疑問が先に立つ。
87歳になったスコット監督にこんな超大作を撮る元気がまだあるとは。
最期に派手なやつをぶちかまそうと思ったのかしらと邪推しましたが、いやはやお見それしました。
 
前作の登場人物たちは死んでいますから、ラッセル・クロウもホアキンも出てこない。
ただ、たまに映し出される前作のシーンを観ると、ラッセル、太ったなぁと思うばかり。
前作から引き続き登場しているのは、ラッセル演じるマキシマスの恋人ルッシラ役だったコニー・ニールセン
歳を取ったとはいえ、同じ役で美しいまま四半世紀ぶりの続編に出られるのは凄いですね。
 
マキシマスとルッシラの間に生まれたルシアスは、ローマ皇帝の血を引く者ゆえに命を狙われるだろう。
わが子を危険にさらしたくないと、ルッシラはルシアスの身分を伏せて安全な土地へと送り込む。
生きてまた会える日が来るかどうかもわからないまま離ればなれとなった母子。
 
亡命したルシアスがハンノという名前で暮らしていたのはヌミディア。
妻アリサットと共に平穏に暮らしていたが、ある日、ヌミディアにもローマ軍が侵攻する。
ヌミディアを渡してなるものかとハンノたちは応戦するが、
ローマ軍を統率する将軍アカシウスに太刀打ちできずに敗北。
しかもアリサットはアカシウスによって放たれた矢に射られて死んでしまう。
 
ハンノをはじめとするヌミディアの人々は蛮族と見なされてローマで投獄されるが、
現ローマ皇帝の余興に出場する剣闘士“グラディエーター”を探す奴隷商人マクリヌスがハンノに目を留める。
兄弟皇帝ゲタとカラカラが用意した剣闘士と戦ったハンノは、観客の予想を裏切って次々に勝利を収める。
 
ハンノがマクリヌスに従った理由はただひとつ、アカシウスに復讐するため。
しかしアカシウスは独裁政治を進めるゲタとカラカラを亡き者にしようと謀反を企てていた。
アカシウスを悪人と信じるハンノがそんなことに気づく由もない。
 
ところが闘技場でハンノを見たルッシラがハンノこそ別れた息子ルシアスだと気づく。
今はアカシウスの妻であるルッシラは、ルシアスを救出してほしいとアカシウスに頼み込み……。
 
予告編を観たとき、どうして主演がポール・メスカルなのだろうと思いました。
だって彼といえば今春観た『異人たち』で、優しく穏やかなイメージしかなかったから。
『異人たち』は今年観たなかでベスト10に入れたいぐらい好きだけど、
それは作品として好きなだけで、ポール・メスカルがタイプなわけじゃあない。
だから、イマイチな結果に終わるのではないかと思っていたら、めっちゃカッコよかった。
 
アカシウス役のペドロ・パスカルの顔が最初は悪人にしか見えなかったのに、
侵攻は極悪兄弟皇帝の命令に従わざるをなかっただけで、本当は侠気あって信頼できる奴。
愛する妻と尊敬するマキシマスの間に息子がいたことも知っていて、なんとかルシアスを逃がそうとします。
 
とてもよかったのは、負傷したグラディエーターたちの手当をする医者ラヴィ。
彼役のアレクサンダー・カリムはテレビドラマ中心の俳優らしくて、
今までに見たことはないし、今後出演していても素顔ではわかる自信もないけれど、
ハンノ=ルシアスだと知る前からハンノのことを気にかけ、ふたりで会話する様子がとてもよかった。
 
デンゼル・ワシントン演じるマクリヌスは結局どうしたかったのか。
元は自身もグラディエーターだったという彼は這い上がって頂点に立つことを夢見る。
対するルシアスは、誰もが法に守られつつ安心して暮らせることを夢見る。
後者が皇帝だったならばどこの世界も丸く収まるはずだけど、
これまで虐げられてきた前者がそれで納得するのは難しいだろうとも思えます。
 
ひとつひそかにウケてしまったのは、あんなにも母親を拒絶していたルシアスが
180度態度を変えて「お母さん!」となるところですかね。(^^;
 
「赦す」ということ。

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『他人は地獄だ』

2024年11月29日 | 映画(た行)
『他人は地獄だ』
監督:児玉和土
出演:八村倫太郎,柳俊太郎,岡田結実,三浦健人、青木さやか,大倉空人,鈴木武,
   松角洋平,星耕介,日比美思,大野泰広,本多遼,濱津隆之,萩原聖人他
 
前述の『劇場版 進撃の巨人 完結編 THE LAST ATTACK』の後、同じくイオンシネマ茨木にて。
 
原作はヨシキによる韓国の大ヒットWEB漫画なのだそうです。
2019年にはイム・シワンイ・ドンウクの共演でTVドラマ化もされたとか。
それを“ほんとにあった!呪いのビデオ”シリーズなどホラーをお得意とする児玉和土監督が映画化。
 
引き留める母親を振り切って上京したユウ(八村倫太郎)。
以前から東京で暮らしている恋人のメグミ(岡田結実)が同棲を快諾してくれるだろうと思ったのに、
仕事を辞めて学校に入り直すべく法律を勉強中のメグミに断られてガッカリ。
ほかに居させてくれそうな友人などいないけれど金もない。
 
とにかく安いところを探していると、月2万円というシェアハウス“方舟”を発見。
管理人のよし子(青木さやか)に勧められるままに入居するが、ほかの住人が揃いもそろって変。
 
比較的新しい入居者らしい山口(松角洋平)はヤクザとしか思えない。
その山口が古くからの住人に凄んでいたと思うと、翌朝山口の姿が見えなくなる。
ふとユウは、山口は最も謎めいている住人のキリシマ(柳俊太郎)に殺されたのではないかと疑う。
 
こんな恐ろしいシェアハウスからは早く抜け出すためにまずは仕事。
すると、高校の先輩で今はデザイン事務所の社長だというカンジ(三浦健人)と遭遇。
自らもデザインを学んでいたユウは、見習いとしてカンジの会社に雇われることになるのだが……。
 
虫は苦手なのに、オープニングいきなり気味の悪い虫がウヨウヨ
キリシマが飼っているのですが、虫を瓶に詰めて餌を与えなければ共食いが始まる。
さてどの虫が最後まで残るのかを見たいと言います。
瓶の中に虫が群がる様子は直視できず。オエーッ。
 
底辺の人間が集まるこのシェアハウスに住んでいるのはワケありの奴ばかり。
というのか、彼らはユウのような餌が入居してくるのを待つチームなのです。
キリシマとよし子とあとふたり、大倉空人と鈴木武が演じる住人もグル。
まんまと罠にはまったユウだけど、どうにもこいつが可哀想には思えなくて。
恋人が自分を拒否する可能性を微塵も考えずに押しかけたって、やっていけるわけがない。迷惑。甘い。
 
方舟の住人以外もみんな怪演。特にカンジの会社の社員役、濱津隆之はかなり不気味でした。
とはいうものの、ユウもじゅうぶん不気味で、共感できる人物じゃない。
 
キリシマは本当に存在するのか。
悪いことをして、そのままそれを隠したまま生きてゆこうとすれば、目の前にキリシマが現れるのかも。
 
めっちゃ気持ち悪くて怖かったけど、困ったことに面白い

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『劇場版 進撃の巨人 完結編 THE LAST ATTACK』

2024年11月28日 | 映画(さ行)
『劇場版 進撃の巨人 完結編 THE LAST ATTACK』
監督:林祐一郎
声の出演:梶裕貴,石川由依,井上麻里奈,下野紘,三上枝織,谷山紀章,嶋村侑,
     細谷佳正,朴路美,神谷浩史,子安武人,花江夏樹,佐倉綾音,沼倉愛美他
 
原作も読んでいなければTVアニメ版も観たことがありません。
知識としてあるのは劇場版に描かれていたことのみ。
それだって最後に観たのは実写版の『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』(2015)で、
あれから実に9年が経過しています。そんなの覚えていられるわけがない。
 
そう思って今回の劇場版はもうスルーしてもいいかなぁと思っていました。
けれども昨年秋についに完結したらしくて、本作はその“The Final Season 完結編”の劇場版とのこと。
これで終わりならばまぁ観ておくかと思い、イオンシネマ茨木へ。
 
案の定、記憶を呼び起こすのが大変でした。
覚えているのは、「なんだか巨大化した人に襲われるぞということで壁を築いたけれど、
その壁も蹴散らして巨人が侵入してきたよ、さぁ戦うよ」てなことだけ。
 
自分でもあきれましたが、終盤になるまで「エレン」は女性だと思っていました。
巨人化しても正気を失わずに人類を救おうとする人がいる一方で、
エレンはどうやら巨人側に魂を売ってしまったらしい。
 
もう敵なんだからごちゃごちゃ言っている場合じゃない、エレンも殺すしかないという意見があるなか、
ミカサだけはどうしてもエレンを殺す気持ちになれない様子で、
それはミカサがエレンの幼なじみで大事な友だちだったからなのかと思ったら、
そうですか、エレンとミカサは恋仲だったのですね。女性じゃなかったんだ~。(^^;
 
何の予習も復習もなく、9年ぶりにこれのみ観たら、ほとんどワケがわかりません。
エレンだけがもともと全容を知っていて、アルミンやミカサを英雄にするためにシナリオを作ったのだと私は理解しましたが、
これが合っているのかどうか、一度観ただけではさっぱり。
夢オチに思えなくもなくて、でもこれを夢オチで片付けるとファンの方々に怒られそう。
 
ただ、こんなにも話をわかっていないのに、序盤にほんの少し睡魔に襲われたのみで、お目々パッチリ。
ということはそれなりに面白かったわけで、話をちゃんとわかったうえで観ればめちゃくちゃ面白いのでしょう。
 
今は観る時間をつくれません。これも老後の楽しみに取っておきます

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『運命屋』

2024年11月27日 | 映画(あ行)
『運命屋』
監督:森田と純平
出演:ミッキー・カーチス,広山詞葉,伊原卓哉,菊地梨希,高平桃見,竹江維子,甲本雅裕,橋爪功他
 
キノシネマ神戸国際にて、『対外秘』『矢野くんの普通の日々』→これ。
待ち合わせ時間まで50分ほどあったから、30分の短編である本作を観るのにちょうど良し。
 
2年前に終の住処として選んだ北海道名寄市に移住し、そこで撮ったのが本作。
 
元売れっ子ミュージシャンだった時雨奏(ミッキー・カーチス)のもとへ、
ある日“運命屋”を名乗る女性イオリ(広山詞葉)が訪ねてくる。
 
イオリによれば時雨の寿命はあと7日。
寿命を延ばすことも可能だが、その場合は「最も大切な人との思い出の記憶をすべて消すこと」が条件だと言う。
 
時雨の最も大切な人は亡くなった妻。
妻を亡くした後、毎年決まった日にライブをおこない、思い出の曲を演奏していた時雨。
ライブは10日後の予定で、もしも寿命を飲めばそれまで生きてはいられない。
はたして時雨の決断は……。
 
最近「この台詞の日本語おかしくないか」ということがままあって、
それが最初のほうに出てくるとシラけてしまいがちです。
本作ではイオリが時雨に「ご紹介が遅れましたが」という台詞があるのですが、
誰かを誰かに紹介するのではなくて自己紹介するのに「ご紹介が」というのは合ってます?
もう何が合っていて何が合っていないのかすらわかりません(笑)。
 
気にしていると観るのに集中できなくなるので、そこはスルーするとして。
この先ネタバレです。
 
時雨が妻のことを本当に愛していたのは歴然としているから、
彼が妻との記憶を全消しすることなどありえないとイオリは予想しています。
ところが時雨は延命することを選ぶ。
驚くイオリに理由を問われ、時雨は「ライブができなくなるからだ」と答えます。
 
ライブ当日を迎えても時雨がオーナーを務める店に姿を見せず、
記憶を消したことなど知らないスタッフの青年からオーナーがどこにいるか知らないかと聞かれたイオリは、
「時雨さんは来ないと思う」と自信を持って言うのですが、時雨を訪ねると、思い出の曲を歌う彼がいる。
 
この時点で、えっ、奥さんとの思い出の曲じゃないの? それは忘れていないの?と思う私。
イオリにとってそこは別におかしくないらしく、切ない笑みを浮かべながら歌を聴いています。
が、しかし、歌い終わった時雨が妻の話を始めるのですよ。
驚くイオリに「歌うと思い出すんだ。そういうもんだよ」。えーっ。
 
ま、いいけど。忘れる忘れる詐欺にあったみたいな気がしなくもない。(^^;
歌にはそういう力があるんだよということでいいですか。
 
寿命を知らせにくる運命屋。
世の中には老人や病人ばかりじゃないわけで、これが子どもや赤ちゃんならどうなるの。

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『矢野くんの普通の日々』

2024年11月26日 | 映画(や行)
『矢野くんの普通の日々』
監督:新城毅彦
出演:八木勇征,池端杏慈,中村海人,白宮みずほ,新沼凛空,伊藤圭吾,筒井あやめ他
 
キノシネマ神戸国際にて、前述の『対外秘』の次に。
最近は紙チケットの発券不要でQRコードを読み取らせる劇場が増えました。
劇場によっては繋がりにくい場合もあって、どうもキノシネマはそうみたい。
今度からここへ行くときはスクショを取ってから行くようにしよう。
 
田村結衣の同名漫画を『なのに、千輝くんが甘すぎる。』(2023)の新城毅彦が実写映画化。
FANTASTICSの八木勇征主演と聞いてもFANTASTICSが何なのかを知りません。
FANTASTICS from EXILE TRIBEなんですね。八木くんはそこのボーカル担当だそうで。
 
高校生の吉田(池端杏慈)は毎日小学生の弟妹を心配しているせいか、周囲に困った人がいると放っておけない。
道路を渡ろうとしている老人、落し物を探しているらしき人、誰にでも手を貸しに走る。
 
人を助けていたせいで遅刻しそうになりつつなんとか間に合った新学期。
親友の泉(白宮みずほ)、メイ(新沼凛空)、田中(伊藤圭吾)やモテ男の羽柴(中村海人)と同じクラスになり、
吉田と羽柴は共に学級委員に選出される。
 
少し遅れて教室に入ってきた矢野(八木勇征)を見て、教師を含む一同は唖然。
矢野の右目には眼帯、そこらじゅうに傷を負っているではないか。
以降毎日どこかしら新しい傷が増え、その理由は転んだ、犬に噛まれた、物が落ちてきたなどなど。
 
そんな矢野を見て吉田は気が気ではなくなり、世話を焼きたいと思う。
自分と関わった人が巻き込まれるのは嫌だからとひとりでいることを選んできた矢野だったが、
実は「普通の高校生の生活」に憧れを抱いていると知った吉田は、
友人たちの協力を得て矢野を引っ張り出すのだが……。
 
試験前に一緒に勉強する、学校帰りにファミレスやカフェに行く、カラオケに行く。
どれもしたことのなかった矢野がひとつずつ夢を叶えていきます。
 
吉田と矢野は相思相愛、羽柴は吉田のことが好きで、泉は羽柴のことが好き。
人の想いには気づくのに、自分に寄せられている想いには気づきません。
ひそかに三角関係になったりしているのに、登場人物がみんないい子すぎる。
嫉妬から意地の悪い行為に走らないから安心して観ることができます。
 
能天気に明るい話というわけではなく、吉田には目の前で母親が事故死した過去があります。
また、矢野が眼帯を外さない理由も後にわかる、子ども時分のこんな体験は悲しいもの。
 
吉田の弟妹ふたりがすごく可愛くて面白く、今後もぜひ見たい子役です。
 
アオハルだねぇ。邪気がないこういう映画は気分がいい。

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