夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈わ行〉

2013年12月31日 | 映画(わ行)
《わ》
『ワーキング・ホリデー』
吉本興業と読売テレビとのコラボ。シネマート心斎橋での公開時には観そびれて。
原作は坂木司の同名小説。
元ヤンキーで今は歌舞伎町のホスト、大和(やまと)。
ある日、店に彼を訪ねてきた小学5年生の進と名乗る男子から、
いきなり「あなたの息子です」と告げられる。
母親のことを聞くと心当たりあり、仕方なくしばらく自宅に泊めることに。
店のオーナーでオカマのママから、「アンタは昼の匂いがする」と言われ、
ホストから宅配便のドライバーに転身するのだが……。
EXILEのメンバーは映画に出演していないかぎり見分けがつかなかったのですが、
これでようやくAKIRAがどの人なのかわかるようになりました。
マキダイよりはこっちがタイプ。

《を》
なし。

《ん》
『んで、全部、海さ流した。』
12回目の「今年観た映画50音順」で初めて《ん》で始まる映画をご紹介できます。
今年の50音順のUPを開始してからナナゲイにて鑑賞。
高校を中退した元ヤンの弘恵は、塾の雑用係の面接にジャージで臨み、
嘘八百を並べた履歴書をいけすかない塾長から指摘されて逆ギレ。
怒りに燃えるその帰り道、塾にかようデブ少年・達利とすれ違う。
以来たびたび達利を見かけるようになり、なんとなくウマが合ってつるみ始める。
ある日、弘恵は達利が妹を事故で亡くしていたことを知る。
妹のことが忘れられなくて、妹の赤いランドセルをいつも背負っている達利。
形見の品を海辺で燃やせば死んだ人と会えるんだよと嘘をついてしまい……。
ラストの海辺、車内から燃えかすを見つめる弘恵のまなざしが印象的。
訛りがユーモラスに響き、「オイたち、アホでいいんだって」、そんな言葉が優しい。

さて、今年は最終的に合計369本の作品を観ました。
そのうち163本を劇場で。
相当がんばって観たはずの去年の劇場鑑賞数が146本
去年は1年の半分くらいはダンナが海外出張で、
今年はその海外出張が激減したために、そんなに時間はなかったはずなのですけれども、
とにかく少しでも時間ができればせっせと劇場に足を運んだおかげなのか。

挙げなかったけれど、好きだった作品はほかにいくつもあります。
『ジャーニー/ドント・ストップ・ビリーヴィン』を観て、ジャーニーをより応援したくなり、
名前ぐらいしかわからなかったナオト・インティライミを
『ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー』で知りました。これも楽しかった。

いちばん素敵だったプロポーズシーンは、
『カルテット! 人生のオペラハウス』の「どっちも老人よ」「じゃあ結婚しよう」。

今年いちばんよく聴いた曲は『言の葉の庭』のテーマ曲、秦基博の“Rain”。
今年もっとも頻繁に口ずさんだフレーズは『地獄でなぜ悪い』の「全力歯ぎしりレッツゴー」。

ついでにいちばん怖かったのは、『欲望のバージニア』のレイクス特別補佐官で、
眉を落としたガイ・ピアースがどれだけ憎々しかったことか。
くたばったときにはざまぁみろ!
……なんて言っていたら、来年は体力がもたなくて、
こちらがくたばりそうになるかもしれません。(^^;

今日はもう映画は観ずに、今年145冊目の本を読んでしまう予定です。

今年もおつきあいをありがとうございました。
どうぞ良い年をお迎えください。

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今年観た映画50音順〈ら行〉

2013年12月30日 | 映画(ら行)
《ら》
『ライク・サムワン・イン・ラブ』(原題:Like Someone in Love)
日本/フランス作品。
イランの巨匠アッバス・キアロスタミ監督が、
日本を舞台に日本人キャストとスタッフで撮り上げた異色の作品。
80歳で独り身の元大学教授タカシは、デートクラブを通じて女子大生の明子を呼ぶ。
明子は、田舎から出てきた祖母に会わなかったことを気に病んでいた。
翌朝、タカシが明子を大学まで車で送り届けると、
明子の恋人で自動車整備工場を経営するノリアキが現れる。
ノリアキはタカシのことを明子の祖父だと勘違いし……。
キアロスタミ監督は好きなのですが、これは私はイマイチ。
色ボケ老人と終始不機嫌な女子大生にイライラ。
でもこういう女子に老いも若きもイカレてしまうのですねぇ。(^^;
ま、確かにめちゃくちゃかわいい子でした。

《り》
『リターン・トゥ・ベース』(原題:R2B)
韓国作品。
ハリウッドの空撮スタッフが参加したのがウリらしきスカイ・アクション大作。
空軍特殊飛行チームの戦闘機パイロット、テフンは自信過剰気味。
航空ショーで禁止されいた“ゼロノート”を披露したことからクビに。
しかし、その腕を見込まれて第21戦闘飛行隊に配属される。
特殊飛行チームにどうにかして戻ることばかり考えていたテフンだったが、
誰もがその腕を認める女整備士のセヨンを見かけ、
あまりに好みのタイプだったためにベタ惚れ、なんとか落とそうと必死。
その頃、北朝鮮では不穏な動きが信仰していて……。
犬猿の仲だったライバル操縦士と協力し合い、最後は見事に敵をやっつけるという、
まぁなんというのか普通に楽しめる娯楽作品です。
と言いつつ、そういうシーンを見ながら涙ぐんでしまったのですけれども。(^o^;

《る》
『ル・コルビュジエの家』(原題:El Hombre de al Lado)
日本では2012年秋に公開された2009年のアルゼンチン作品。
20世紀の代表的建築家ル・コルビュジエが設計した、
アルゼンチンに実存する“クルチェット邸”を舞台にしたサスペンス。
現在邸宅に住むのは(これは架空の話)著名な椅子のデザイナー、レオナルドとその妻子。
隣家の住人ビクトルが、レオナルドの家に向けて窓をつくろうとしたことから険悪な雰囲気に。
余っている陽光をほんの少し分けてくれるだけでいいのにと言うビクトルに、
そこに窓をつくるのは違法だ、絶対に認めないと言い張るレオナルド。
よくもまぁこんな話に家を貸す許可を与えたものだとビックリ。
ネタバレ全開で行くと、レオナルド夫妻が家を空け、娘がひとりになった折りに強盗が。
つくりかけの窓からその様子を見たビクトルは、娘を助けるべくレオナルド邸へ。
ところが犯人に撃たれて瀕死の状態に。
もちろんセキュリティー万全ですから、外出先で異変に気づいたレオナルド夫妻は即帰宅。
無事だった娘に階上にいるように言いつけ、救急車を呼ぶふりをしてビクトルを放置。
ビクトルが事切れたところで暗転。ビクトル邸の窓が埋められるシーンで終了。
面白いけれど、後味の悪さは相当なものです。酷いよぉ。

《れ》
『レッド・ライト』(原題:Red Lights)
『[リミット]』(2010)の監督によるアメリカ/スペイン作品。
科学者のマーガレットとその助手を務めるトムは、あらゆる超常現象を科学的に解明、
超能力や霊能力で利益を得ようとするペテン師たちの正体を暴いてきた。
そんな折り、過去にマーガレットが怪しむも正体を暴けなかった、伝説の超能力者サイモンが、
30年の沈黙を破って華々しい復活を遂げる。
「サイモンは危険すぎる」とマーガレットは忠告するが、トムはサイモンを調べはじめる。
シガニー・ウィーヴァー演じるマーガレットが中盤で死亡、
主役級の人をこんなに早く消しちゃうのかとビックリ。
サイモンにはやはり裏あり、トムこそが超能力者だったというオチですが、
伏線があちこちにちりばめられていて、なかなか面白かったです。
その能力を持つがゆえの葛藤をトム役のキリアン・マーフィが好演。
鳥がぶつからないように窓を開けておく。振り返ってみて納得の、好きなシーンです。

《ろ》
『ロラックスおじさんの秘密の種』(原題:Dr. Seuss' The Lorax)
大好きな『怪盗グルーの月泥棒』(2010)のスタッフによるアニメ。
少年テッドの暮らす町は何から何まで人工物で造られている。
それというのも実業家のオヘア氏がボトル詰めの空気を売りたいがため。
緑がないため空気も生まれないのだ。
けれども長年こんな環境下にいる住民は不便も疑問も感じていない。
テッドもそのうちの一人だったが、想いを寄せるオードリーが
本物の木を見せてくれる人がいればその人と結婚したいと言うのを聞いて発奮。
オヘア一味の目をかいくぐり、町の外へと木を探しに。
荒れ地にたった一人で暮らすワンスラーに尋ねると、
この世から木が消えてしまったのは自分のせいだと言い、
若き日のワンスラーと木の代弁者ロラックスおじさんの話を語りはじめる。
「誰かがやらなければ世界は変わらない」。
わかりやすいテーマにわかりやすいメッセージ、好感が持てました。

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今年観た映画50音順〈や行〉

2013年12月29日 | 映画(や行)
《や》
『やがて哀しき復讐者』(原題:報應)
2011年の中国/香港作品。
大手不動産会社社長のウォンは、長女デイジーに手を焼きっぱなし。
ある日、ウォンから強く叱られたデイジーは家を飛び出す。
後日デイジーの身代金を求める電話があり、
デイジーの自作自演を疑いつつも取り引きに応じることに。
ところが、身代金を渡したあと、デイジーは無惨な遺体となって発見される。
復讐に燃えるウォンは、裏社会に通じる腹心の部下チュウを使って犯人を追う。
『コンシェンス/裏切りの炎』(2010)で汚職警官を演じたリッチー・レンが、
本作では前科者の自分を拾ってくれた会社社長を守りとおす部下役。
すかしたリッチー・レンよりもこっちのほうがずっとイイ。
『青い塩』(2011)のエックを思い出しました。

《ゆ》
『ユナイテッド ミュンヘンの悲劇』(原題:United)
2011年のイギリス作品。
1958年2月6日、サッカーの名門クラブ、“マンチェスター・ユナイテッド”を襲った悲劇。
ヨーロッパ各地でおこなわれる試合と、国内でおこなわれるリーグ戦、
その両方に出場して名を挙げたいと願うマット・バスビー監督。
ユーゴスラビアで戦ったあと、8日のリーグ戦に間に合わせるために強行スケジュールを組む。
しかし、チャーター機が給油のために立ち寄ったミュンヘンの空港で離陸に失敗。
チャーター機は大破、乗員乗客の多くが死亡または負傷という惨事に見舞われる。
関係者らは、主力選手8人を失ったチームを一旦は閉鎖することを考えるが、
コーチのジミー・マーフィーは絶対につぶさないと宣言。
とにかく選手を集める手配を開始すると、2週間後のリーグ戦に出場する。
事務所を手伝うためにやってくるボランティア、
トライアルを引き受けるために他チームからやってくるコーチーなど、人の善意がそこここに。
トラウマからサッカーを捨てかけた選手が、路地で子どもたちがボールを蹴る姿を見て
やはりサッカーが好きだと感じるシーンが好きでした。

《よ》
『よりよき人生』(原題:Une Vie Meilleure)
2011年のフランス作品。
腕に自信のある学食の調理人で35歳のヤンは、
繁盛しているレストランのシェフに応募するも、不景気を理由に断られる。
面接帰りに見送ってくれたフロアスタッフのナディアを誘って1杯。
彼女は9歳の息子スリマンを育てるシングルマザーだった。
スリマンも連れて3人で散歩に出かけたところ、湖畔の廃屋に目が釘付け。
これこそ自分が思い描いていたロケーションだと、さっそく不動産屋に電話。
改装してレストランをオープンすることに決める。
しかし、ローンの頭金を工面できそうになく、複数の消費者金融に手を出してしまい……。
結局カネはどうにもならず、レストランは人手に渡ることに。
ナディアとは連絡が取れなくなり、残されたスリマンとふたり、困り果てます。
盗みを働いたスリマンに「俺たちは貧乏だが泥棒じゃない」と言うわりには、
どうしようもなくなって自分も泥棒、逃げちゃうのはなんだかなぁ。
見通しが甘すぎるし、レストランの話が観たかった私はちょっぴりガッカリ。

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今年観た映画50音順〈ま行〉

2013年12月28日 | 映画(ま行)
《ま》
『マーヴェリックス/波に魅せられた男たち』(原題:Chasing Mavericks)
『L.A.コンフィデンシャル』(1997)のカーティス・ハンソン監督によるサーフィンもの。
カリフォルニア州に母親と二人で暮らす少年ジェイは、
名サーファーとして知られる隣人フロスティの跡をつけ、
サンタクルーズ沖で世界中のサーファーが憧れる大波マーヴェリックスに挑むのを目撃する。
自分もあの波に乗りたいと切望するジェイはフロスティにコーチを依頼。
渋々承諾したフロスティだったが、やがて親子のような強い絆で結ばれる。
実在したサーファー、ジェイ・モリアリティの話が基。
主演はジェラルド・バトラー、ジェイの母親役にエリザベス・シューとちょい豪華。
わりと淡々とした構成は『ソウル・サーファー』(2011)より好み。
どちらもディズニーの配給で、安心して観られる点は同じ。
海に生まれ、海に還る。

《み》
『みんなで一緒に暮らしたら』(原題:Et Si On Vivait Tous Ensemble?)
2011年のフランス/ドイツ作品。
アルベールとジャンヌ夫妻、ジャンとアニー夫妻、そして男やもめのクロードの5人は、
半世紀ほどのつきあいの友人同士。
毎日の生活にそれぞれが不安を持ち、5人の共同生活案も出るが、合意には至らない。
ある日、クロードが心臓発作を起こして無理やり施設へ入居させられたことから、
哀れに思った仲間たちはクロードを連れ出して共同生活を開始するのだが……。
認知症の兆候が見られたり、余命いくばくもないことがわかったり、
40年前の浮気、しかもクロードがジャンヌとアニーの両方と浮気していたとバレたり、
いろいろと明るみに出て、穏やかな老後というわけにはいきません。
フランス映画への出演は40年ぶりだというジェーン・フォンダが、
参列者の度肝を抜くような色の棺桶を生前に注文、
隣にはシャンパンタワー、飲んだグラスは棺の上に置いてくれと希望するのが粋。
また、犬の散歩係に雇った青年ディルクへのプレゼントもシャレています。
男性は「エキゾチックで巨乳の美女」がお好き。

《む》
『武蔵野線の姉妹』
ユキヲの同名マンガを加藤夏希AKB48の仲谷明香主演で映画化。
埼玉県の武蔵野沿線に暮らす姉妹、ランとパンドラ。
頭脳明晰な姉のランは、一流企業から内定をもらうが、
株で大儲けして余りある金を持っていることから、
ふと就職するのがバカバカしくなり、「や~めた」と家でゴロゴロ。
一方のパンドラはそんな姉から自立しようとメイドカフェで働きはじめる。
AKBのメンバーは、映画に出演している子しかわからなかったため、
本作でようやく仲谷明香と中田ちさとが認識できるようになりました。
しかし、彼女たちがいくら頑張ろうとも、加藤夏希のキレ味には敵わず。
『キキコミ』(2007)の恐ろしいイメージが一変されました。
ゴスロリファッションが別の意味で恐ろしいですけれど。(^^;

《め》
『メモリーズ・コーナー』(原題:Memories Corner)
2011年のフランス作品。
フランスの女流監督のデビュー作で、キャストはほぼ全員日本人。
女性ジャーナリストのアダ(デボラ・フランソワ)は、阪神・淡路大震災の回顧式典を取材するため神戸に到着。
海外からの一行にはマンツーマンで通訳が付き、アダの担当は岡田(西島秀俊)。
ボランティア団体のリーダー(國村隼)の案内で復興住宅を回り、石田(阿部寛)と出会う。
新聞記者だった石田が地震後失職するまでに書いていたのは「孤独死」に関する記事。
興味を引かれたアダは石田の話を聞きたいと思うが、なぜか岡田が強く反対し……。
石田は実はすでに孤独死していて、アダの前に現れたのは亡霊なのですね。
過去にやはり亡霊に会った経験のある岡田はそれを悟り、ゆえに反対していたという。
日本人と西洋人の死生観の違いが面白いです。
西島秀俊の流暢なフランス語と阿部寛の英語にも聞き惚れましょう。

《も》
『モンスター・ホテル』(原題:Hotel Transylvania)
アダム・サンドラーが製作総指揮を務めたアニメ。
人間を恐れることなく安心できる場所をモンスターに提供したいと、
ドラキュラが建設したモンスターのためのホテル。
妻を亡くしてから男手ひとつで育ててきた愛娘のメイヴィスはもうじき118歳。
彼女の誕生日に開催するパーティーに出席しようと、今年も客が続々と。
そこへ迷い込んだのが、能天気な人間の若者ジョニー。
人間がここへやってきたと噂になれば、商売あがったりになる。
ドラキュラはジョニーをなんとか追いだそうとするが、
あろうことかメイヴィスとジョニーがお互いに一目惚れしてしまい……。
ジョニーの乗る飛行機を追うドラキュラに手を貸す人間たち。
このくだりには思わず胸が熱くなります。

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今年観た映画50音順〈は行〉

2013年12月27日 | 映画(は行)
《は》
『遥かな町へ』(原題:Quartier Lointain)
2010年のベルギー/フランス/ドイツ作品。日本未公開。
谷口ジローの漫画を『やわらかい手』(2007)のサム・ガルバルスキ監督が映画化。
48歳の中年男性トマはパリ在住の漫画家
出かけた先から帰るさい、乗るはずの列車をまちがえる。
到着したのは自分が生まれ育った町。20年前に母の葬儀で帰郷して以来。
ついでに墓参りに立ち寄るが、母の墓前で倒れてしまう。
目が覚めるとトマは14歳の姿に。両親と妹と暮らしている。
これは夢だと考えるが、どうもしばらく夢は覚めそうにない。
新聞の日付は1967年の6月。ちょうど父が家を出て行った頃。
父は自身の誕生祝いをしていた日に出て行ったまま帰ってこなかった。
父を待ちつづけた母は体を壊し、失意のまま亡くなったのだ。
父の誕生日はすでに過ぎていることに気づき、
あの過去を回避できたのかもしれないと思うのだが……。
お父さんを待たないで。自分の人生を楽しんで。そう母親に必死で話すトマ。
日本の漫画が原作なのに、景色も何もかもしっくり来ました。
原作者は列車の乗客として、意味なく意味ありげ(笑)に出演しています。

《ひ》
『ヒステリア』(原題:Hysteria)
2011年のイギリス/フランス/ドイツ/ルクセンブルク作品。
大人のおもちゃ、電動バイブレーターの誕生秘話。
というと、エロい話を想像しますが、どうしてどうして。
19世紀、医学界では迷信がまかり通っている、ヴィクトリア朝最盛期のロンドン。
患者第一の先進医療に取り組む若き医師モーティマーは煙たがられ、
どこの病院へ勤めてもすぐにクビを言い渡されてしまう。
そんななか、婦人科医療の第一人者ダリンプル医師がモーティマーを助手として採用。
女性特有の病とされるヒステリーに効果があるとされるマッサージ治療、
つまりは性感マッサージを施療する医師としてダリンプルは大人気。
それを若くてイケメンのモーティマーが手伝うのだから、医院はさらに繁盛し……。
ダリンプル医師には娘が2人いて、次女は知的で貞淑なエミリー。
それと対照的に、長女は女性の自立と解放を目指す進歩的なシャーロット。
バイブレーターの話だけではない、フェミニズムの問題も絡められていますが、
古典的なラブコメ路線も辿っていて、本当に素敵な作品に仕上がっています。
歴代のバイブレーターが映し出されるエンドロールも楽しい。

《ふ》
『ファイヤー・ウィズ・ファイヤー 炎の誓い』(原題:Fire With Fire)
2011年のアメリカ作品。
消防士という仕事と仲間をこよなく愛するジェレミーは、
買い物に立ち寄ったなじみのコンビニで殺人事件に遭遇、目撃者となる。
彼の証言により、犯人はマフィアの大物ヘイガンの一味と特定されるが、
面通しの席でヘイガンから脅迫を受ける。
それでもジェレミーは証言を約束、証人保護プログラムが適用され、
しばらく地元を離れて別人として生きることに。
しかしヘイガンはどこまでもジェレミーを追い、彼の仲間や恋人にまで危害が及ぶ。
終わらせるには自分がヘイガンを殺すしかないと単独で行動を開始するのだが……。
かつてヘイガンに相棒を殺され、ジェレミーに復讐を託す刑事にブルース・ウィリス
彼のアクションシーンはほぼ皆無、主演の座をジョシュ・デュアメルに譲っています。
イケメンなのになぜかパッとしないジョシュ、本作でも弱そうでドキドキ。
B級と言えますが、火を熟知した彼の復讐はそれなりに面白い。

《へ》
『HESOMORI ヘソモリ』
オール福井ロケで撮影された2011年の作品。
福井県越前市の越前和紙の紙漉き職人、さとし(永島敏行)は、10歳だった頃、
うっちゃん(渡辺いっけい)、エズ(石丸謙二郎)、井口(佐野史郎)、
おっさん(中村育二)という仲良し5人組で遊んでいて、不思議な祠と穴を発見する。
好奇心から穴の探検を始めた5人は、なんと幕末時代へタイムスリップ
お侍に斬りつけられそうになったところへ、
さとしの祖父、たけじい(若林豪)が現れて助け出される。
たけじいによれば、この穴は“へそ”で、さまざまな時代へ繋がっている。
さとしの一族は、代々へそを守りつづけてきた“へそもり”なのだと言う。
40年後の今、紙漉きとともにへそもりの役目を受け継いださとし。
ところが、へその存在を偶然知った者がその力を悪用しようとしていることがわかり……。
天命を受けた男がいて、仲間と家族がいて、悪だくみする者がいて、
みんなで力を合わせて、という古典的な作風ですが、とても和みます。
安心できる顔ぶれだからかもしれません。ちょっといい話。

《ほ》
『放課後ミッドナイターズ』
去年の夏頃、梅田ブルク7へ行くたびに予告編を観て気になっていたアニメ。
ベースは国際的に活躍する映像作家、竹清仁が手がけた短編CGアニメだそうで。
名門小学校の見学会に訪れた幼稚園児、マコ、ミーコ、ムツコ。
とんでもないおてんば娘の3人は、立ち入り禁止の理科室に忍び込んで好き放題。
恥ずかしすぎる落書きをされた人体模型と骨格標本は怒り心頭。
彼らが自由に動くことができる真夜中、3人に仕返しをしようと、
ミッドナイトパーティに招待するのだが、想像以上のおてんばぶりで……。
真夜中の学校に登場する幽霊たちがとても愉快。
結果的には理科室の救世主となる3人に拍手。

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