夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『追悼特別展 高倉健』へ行きました。

2018年05月22日 | 映画(番外編:映画とこの人)
先週の火曜日、午後休を取りました。
元町駅から徒歩数分の激ウマ中華料理店で晩ごはんを食べる前に、
西宮市大谷記念美術館で開催中の『追悼特別展 高倉健』へ。

手元にチケットがなかったら、スルーしていたかもしれません。
高倉健世代じゃないし、出演作もほとんど観たことがないのです。
しっかりと記憶にあるのは『あなたへ』(2012)のみ。
私が劇場で観たのはおそらくこの1本きりでしょう。
そのほか、ビデオやDVDで観たことを覚えているのは、
『飢餓海峡』(1965)、『八甲田山』(1977)、『幸福の黄色いハンカチ』(1977)、
友情出演の『刑事物語』(1982)、『鉄道員(ぽっぽや)』(1999)ぐらい。
『ブラック・レイン』(1989)すら観ていないのですから。

ファンでもなく、思い入れもなく、でも凄い人だったというのはなんとなくわかる。
そんな状態で展覧会を観に行ったのですけれど。

めちゃめちゃ楽しかった。

生涯で205本の映画に出演した健さん。
それらを年代毎に分けて、展示室の複数箇所に設置されたモニターで、
205本すべてのダイジェスト版を観ることができます。
全部観ると2時間以上。ええ、全部観ましたとも。

本当は年代順に観るべきだったのでしょうけれど、
健さんの初出演作は1956(昭和31)年で、私はこの世に生まれてもいない。
最初のほうは興味が薄かったから、私は遡る形で拝見。
まずは2000年代の展示室を観たら、テンション上がる。
うんうん、私も知っている健さんだ。
『ブラック・レイン』(1989)のマイケル・ダグラスに思わず若っ!
リドリー・スコット監督もご健在、まもなく新作も公開されます。

ずんずん遡ると、数カ月前にリメイク版を観た『君よ憤怒の河を渉れ』(1976)。
富司純子ってこんなに健さんと共演しているのですね。
吉永小百合も大原麗子もめっちゃ綺麗。美空ひばりもさすがです。

平日の昼間だし、健さんだし、客層に高齢者が多いのは当然か。
みんな楽しそうなんです、とっても。
ご夫婦らしき男女は、「ええとこで切れるなぁ」と言ってましたが、
そりゃそうです、ダイジェスト版なんだから(笑)。
女性三人組は、「あ、誰某(女優のあだ名)さん。可愛いなぁ」とか。
聞いても私はわからなくて。
「アラカンさんや!」とも叫んではりました。
誰かわからず、帰宅後に調べる。なるほど、嵐寛寿郎のことなのかぁ。
いまやアラカンといえばアラウンド還暦ですもんね。(^^;

美術館で俳優の回顧展というのは異例でしょう。
でもだからこその楽しさいっぱい。
台本やポスターと一緒に楽しませていただきました。
こんな展示もいいものです。今度の日曜日まで開催!

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ライアン・ゴズリング、2本。

2012年04月25日 | 映画(番外編:映画とこの人)
以前からの優男風の見た目に変わりはないけれど、
『ラブ・アゲイン』(2011)以降は脱いでもスゴイ色男。
主演作2本が終映間近なので、慌てて観に行きました。

まずは『ドライヴ』。
前述の『ヘルプ 心がつなぐストーリー』を観たあと、
自宅に車を置いて電車を乗り継ぎ心斎橋へ。
心斎橋シネマートの16:30に回に駆け込み、
18:15に終わったらダッシュで18:30からの“女子会”へ。(^o^)

彼が演じるのは寡黙な自動車の修理工。名前もなく、ただ、ドライバー。
卓越したドライビングテクニックを持ち、カースタントマンとしても活躍。
夜には強盗を逃がすという闇の仕事も請け負っている。
ある日、同じアパートの隣室に暮らすアイリーンとその幼い息子に出会い、
服役中の彼女の夫スタンダードに代わり、時間を過ごすように。

ほどなくして出所したスタンダードは、
刑務所で多額の借金をつくり、良からぬ筋から返済を迫られる。
アイリーンにそれを打ち明けるなんてもってのほか。
強盗を強要されて困り果てているスタンダードを見たドライバーは、
アイリーン母子のために、スタンダードのアシストを引き受けるのだが……。

静けさのなかに見える激しさ。静かに、めっちゃハードボイルドです。
殺人シーンは想像以上に血まみれで残酷でしたが、
一匹狼のドライバーの穏やかで哀切な表情が狂おしいほど。尾を引きます。
ちなみに本作ではライアン・ゴズリングもキャリー・マリガンも脱ぎません。(^^;

もう1本は『スーパー・チューズデー 正義を売った日』。
ジョージ・クルーニーがメガホンを撮った話題作ながら、
1日1回の上映となった平日18:50の回、客は私ひとりの貸切状態でした。

ペンシルヴェニア州知事のマイクは、民主党予備選の最有力候補。
オハイオ州予備選をモノにすれば、大統領となることが確実。
そんな彼の選挙キャンペーンを支えるのは、
ベテラン参謀のポールと若き広報官スティーヴン。

スティーヴンは30歳にして誰からも一目置かれる存在。
敵陣営から引き抜きを仕掛けられるが、
その事実をスティーヴンはポールに言えずにいた。

そんななか、選挙スタッフの美人インターン、モリーと親密な仲に。
ある夜、モリーの携帯に着信があり、スティーヴンは衝撃の事実を知る。

予告編を観たときは、スティーヴンとモリーの関係が
選挙キャンペーンを困窮事態に陥らせるのかと思っていましたが、
そんななりゆきだったらつまらない。
もっと酷いなりゆきで、政治家って、選挙って……とビビりました。

ちなみに、バーで食べたとされる鶏は、字幕ではチキンとなっていましたが、
実際の台詞ではバッファロー・ウィングと連呼されていました。

ネット予約して行ったものだから、端の席に。
なんで貸切状態なのに端っこに座っているのでしょう、私。

両作品ともライアン・ゴズリングの魅力を堪能できます。

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原田芳雄追悼上映。

2011年08月09日 | 映画(番外編:映画とこの人)
日曜日の朝10時。梅田のミニシアターには長蛇の列。
スクリーン2つのこの映画館では、
右側で原田芳雄追悼上映、左側ではアンパンマン。
なんたる取り合わせ。そしてどちらもほぼ満席です。

特に演技が上手いなぁと思ったことはなかったけれど、
その演技っぽくないところが演技なのかもと思った原田芳雄。
最近では、『歩いても 歩いても』(2007)や『たみおのしあわせ』(2007)、
ゲスト出演したドラマ『新参者』など、
どれも偏屈ながら温かみのある親父という印象がありました。

最も強烈に思い出すのは『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(2007)。
原田芳雄のナレーションじゃなかったら、立ち直れなかったと思うほど。
あのダミ声、大好きでした。

今回、追悼上映で観たのは『ツィゴイネルワイゼン』(1980)。
当時、ドーム型の移動映画館で上映されて話題になりました。

陸軍士官学校のドイツ語教授、青地(藤田敏八)は、
同僚で親友の中砂(原田芳雄)と旅先でたまたま遭遇。
女殺しの疑いをかけられていた中砂に助け船を出します。

まるでジプシーのごとく各地を転々としている中砂と
しばし共に過ごすことになった青地は、
鰻を食べに寄った宿で、小稲(大谷直子)という芸者と会います。
弟を自殺で亡くしたばかりだという小稲の話に聞き入る中砂。

一年後、中砂の家を訪れた青地は、中砂の新妻を見てびっくり。
園(大谷直子)というその女は、小稲に瓜二つだったからです。
自分を見てニヤニヤする中砂と青地に、園は不機嫌な顔。
青地が事情を話すと余計にすねます。

さて、結婚後も風来坊であり続ける中砂は、
スペイン風邪を持って帰ってきます。
それをもらってしまった園は、幼い娘を残して他界。
乳母を雇ったという中砂のもとを青地が訪ねると、
その乳母とはあの小稲で……。

内田百閒の『サラサーテの盤』が基になっています。
何度観てもわかりそうにありません。
だけど、これはわからなくていいそうです。
鈴木清順監督自身がそうおっしゃっているらしく。
いろんな見方があっていいじゃないかと。

妖艶で可愛らしさもある大谷直子に魅せられ、
青地の妻役の大楠道代の厚化粧にビビり、
夢と現実の境目が明らかにされないまま、わけがわからず145分。
飽きずに最後まで観られるのはスゴイところ。
多くの人に言われていることですが、
この不条理さはデヴィッド・リンチ監督の作品と比較したくなります。

昭和も終盤の作品ではありますが、舞台は大正時代。
文献でしか知らなかった女給、トンビ、門付けなどが次々と登場して、
それが個人的にはとても楽しかったです。

原田芳雄は1940年生まれでしたから、本作の出演時は40歳。
ちょっと艶のあるいい男でした。
もうあのダミ声が聴けないと思うと寂しいです。合掌。

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デトックスの女。

2011年07月12日 | 映画(番外編:映画とこの人)
先月末レンタル開始になった『君と歩こう』(2009)を観ました。
鑑賞後にテンションが上がりまくった『川の底からこんにちは』(2009)と同じ、
石井裕也監督の作品です。ついでながら、監督の奥様は満島ひかり。
『悪人』(2010)で妻夫木聡演じる主人公に殺された保険外交員役の子。
わりと最近、遅まきながら彼女主演の『愛のむきだし』(2008)も観ましたが、
237分という大長編で、イカレてますけど、シビレました。

満島ひかりの話をしようと思ったわけではないので、話を元に戻します。
『君と歩こう』で名前を初めて知ったのが、主演の目黒真希。
手塚理美に似た38歳。
出演作を調べてみたら、結構観ているのに、全然覚えていません。
TVドラマやCMには山ほど出演しているようです。

『君と歩こう』では高校の英語教師、34歳の明美役。
今にも崩れそうなボロ家に住む教え子、17歳のノリオは、
あまりの貧乏ぶりに友人たちからもドン引きされています。
両親も失って、首を括ろうとしたその瞬間に訪問したのが明美。

ノリオに同情した明美は、なんとなく駆け落ちを計画。
すべてを捨てて、田舎町から東京へと出るふたり。
とにかく弁護士を目指せとノリオにハッパをかけ、
アンタは勉強だけすればいい、ほかは先生に任せろと言います。

しかし、実は明美には貯金も何もありません。
ノリオに内緒でアルバイトを始めますが、やる気は起こらず。
女子高生からはオバハン呼ばわりされて怒り心頭。

ある日、明美の様子がおかしいと跡をつけるノリオ。
優雅な駆け落ち生活は夢であることに気づいて……。

傑作だった『川の底からこんにちは』には敵いませんが、
これもやはり、微妙な間(ま)がなんとも言えない笑いを生み出して、
私は嫌いじゃありません。なんだか引きずられてしまうのです。

で、この明美先生を見て、目黒真希という名前を知り、
よくよく考えたら『川の底からこんにちは』にも出演していました。
慢性便秘に悩む、満島ひかり演じる主人公が定期的に通うデトックス。
その担当者が彼女でした。役名はズバリ、「腸内洗浄スタッフ」。
冷ややかな対応が可笑しすぎ。

ちなみに私はデトックスのお世話になったことはなく、
毎朝決まった時間にきっちり催します。(^^;
2日出ないなんてことはあり得ず、
もしそうなったら欠勤すると言ったら、
「インフルエンザでも休まないのに?」と職場で笑われました。
はい、おそらく私にとっては、高熱よりキツイです、便秘。

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『もしドラ』、程高野球部の捕手、池松壮亮くん。

2011年06月14日 | 映画(番外編:映画とこの人)
前述の『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』
都立程久保高校野球部の面々は、なかなかいい味を出しています。
とはいうものの、わりと薄い顔の子が多いため、
今後ほかの作品に出演しているのを見ても、私は気づく自信がありません。

投手役だった瀬戸康史くんは、多数のTVドラマに出ているようですが、
最近ドラマをほとんど見ていない私は全然知らず。
工藤公康に似た子やなぁと思って見ていましたが、似てませんか。

そんななか、私が唯一「この子、知ってる~」と認識できたのが、
捕手役として登場する池松壮亮くん。

現在20歳の彼は、日大芸術学部の映画学科に在学中。
デビュー作品は『ラストサムライ』(2003)で、小雪演じるたかの息子、飛源役でした。

『いけちゃんとぼく』(2009)では大学生になったヨシオ役。
この結末はちょっと反則気味でしたが、
「忘れないでね。好きだと 必ず帰ってこられるの。」のキャッチコピーに
(しかも「ら抜き」じゃない!(^O^))がつんとやられました。

『もしドラ』の顧問と捕手の共演が見られるのは、『半分の月がのぼる空』(2009)。
池松くんは、主人公の高校生、裕一役。
入院先の病院で、心臓を患う少女、里香と出会います。
わがままな彼女に振り回されながらも次第に惹かれて、
いつしかお互いにかけがえのない存在に。

一方、顧問の加地先生役だった大泉洋が本作で演じるのは、医師の夏目先生。
心臓疾患の妻に自ら手術を施すも救うことができず、すっかり生きる力を失います。
亡き妻と同じ病気で入院する女子高生にも、人生を捨てたような言葉を吐く始末。

池松壮亮、大泉洋、ふたりとも、超イケメンとは言いがたくとも、
わめかないけど熱く、冷めた表情もさまになっていて、実に男くさい。
けなげで、可愛らしいところも見せてくれるのが大好きです。

本作は、橋本紡による同名ライトノベルの映画化ですが、
原作とはまったくちがう結末なのだそうです。
原作は未読なので、どちらがいいとは言えませんが、
映画にはものすごいドンデン返しが待っていて、知らずに観て号泣。
『今度は愛妻家』(2009)のラストを上回る衝撃かも。

ちなみに、里香を演じたのは忽那汐里。
『BECK』(2010)で日本語が苦手な(マジでちょっと苦手らしい)、水嶋ヒロの妹役、
最近ではモスバーガーのCMでしょっちゅう見かける彼女です。

このコラボもぜひどうぞ。

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