夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ザ・カセットテープ・ミュージック』もだいぶ楽しい。

2018年04月30日 | 映画(番外編:映画と音楽)
『The Covers』にハマってから4年。
『関ジャム』に興味を惹かれたこともありました。
BSジャパンの『あの年この歌 時代が刻んだ名曲たち』もたいそう好きだったのですが、
取り上げる年代が尽きたのか、放送が終了してしまった模様。

そんななか、いま楽しみにしている音楽番組は、
BS12(トゥエルビ)の『ザ・カセットテープ・ミュージック』です。
映画と本でいっぱいいっぱい、テレビにまでは気が回らない私に、
『The Covers』を教えてくれた友人が、「こんなん見つけた」と教えてくれました。

俳優(でいいっすか?)のマキタスポーツと音楽評論家のスージー鈴木が
80年代の日本のポップスについて語る番組。
それぞれ1970(昭和45)年生まれと1966(昭和41)年生まれ。
この生まれ年を聞いただけで、私も好きな番組にちがいない。
カセットテープに入れたいあの曲この曲について。
A面&B面、入れたい順に発表します。

昨秋の記念すべき第1回は「A面に入れたいサザンの名曲」というお題。
第2回は「B面に入れたいサザンのツウな名曲」だったのですが、
残念ながらこのときはまだ番組の存在を知らず、見逃しました。

ほかにこれまで取り上げられたのは、
松田聖子、井上陽水佐野元春、チェッカーズ、沢田研二、YMOなどなど。
ごく一部、興味の湧かないケースもありますが(笑)、概ね嬉しい顔ぶれ。

先月放送された第12回「春の名曲フェア~マキタの春~」が楽しくて。
上田知華+KARYOBINの“パープルモンスーン”、大好きでした。
こんな曲を選んでくれるなんてたまりません。

収録するスタジオもいろいろで、ZOZOマリンスタジアムの回では野球の話。
第13回「野球にちなんだ名曲」も楽しかったけれど、
第14回「名曲に野球タイトル賞を勝手に授与」の企画が○。
最優秀バッテリー賞にはNOBODYの“DARLIN' DARLIN'”。
首位BGM賞に選ばれたのはカシオペアの“ASAYAKE”。
カシオペアに対する思い入れの強いマキタスポーツの力説に笑う。
当時モテモテだったベーシスト、後藤次利に与えられたのは「お前は高橋慶彦か!!賞」(笑)。

今まで映画でしか知らなかったマキタスポーツ、喋りも面白い。
音楽の話のみならず、MCのふたりが映画と野球にも詳しいんだもの。

ちなみに、アシスタントとしてアイドルグループ“アイドリング!!!”の元メンバーも参加しているのですが、
次の仕事があるからと途中で退席することも。
オッサンふたり取り残される図もワラけます。
AV(アダルトビデオ)の台頭で歌謡曲が下火になったという分析は、
訝りながらもそうかもしれないと思ったりして。

カセットデッキの再生ボタンを押してはいるけれど、
中でテープは回っていないのがバレバレなのもいいでしょ。
I love カセットテープ。
私の車のオーディオにはまだカセットデッキが付いてます。

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『いぬやしき』

2018年04月29日 | 映画(あ行)
『いぬやしき』
監督:佐藤信介
出演:木梨憲武,佐藤健,本郷奏多,二階堂ふみ,三吉彩花,
   福崎那由他,濱田マリ,斉藤由貴,伊勢谷友介他

TOHOシネマズ梅田で3本目、十三と梅田で4本ハシゴのラスト。

原作は『GANTZ』の奥浩哉の大ヒットコミック、未読です。
監督は『GANTZ』(2010)、『アイアムアヒーロー』(2015)の佐藤信介
予告編を観ると、少なくとも綺麗ではなさそうだし、
背中にあんなものをつけてノリさんが飛ぶところ見たくないしと思っていましたが、
次のダンナの出張までに6,000マイル貯めたいから、
TOHOシネマズで上映している作品重視で選びました。

冴えないサラリーマン、犬屋敷壱郎(木梨憲武)。
定年間近になんとか一戸建てを購入したのに、
妻の万理江(濱田マリ)も娘の麻理(三吉彩花)も息子の剛史(福崎那由他)も、
小さくて日当たり最悪のショボイ家だとまったく喜んでくれない。

出社すれば自分より遙かに若い上司(山本浩司)から罵倒され、
家にも会社にも犬屋敷の居場所などない。
医者から末期癌で余命わずかと宣告され、家族に打ち明けようとするが、
誰も犬屋敷の話を聞こうとせず、言い出せないまま。

ある日迷い込んできた犬を捨ててくるようにと万理江から言われ、
とぼとぼと歩く犬屋敷。
辿り着いた公園のベンチでひとり座る高校生の獅子神皓(佐藤健)を見かける。
と、そのとき、謎の光に包まれた犬屋敷と獅子神。

目覚めた犬屋敷は、自分の身体がサイボーグ化していることに気づく。
それとともに、傷ついた人の身体を治癒する力を宿したことに気づき、
病院を訪れてはこっそり人助けをするように。

一方、獅子神は自分に宿った力を犬屋敷とは真逆の方向へ利用しはじめていた。
幼なじみで、いじめに遭うがゆえに不登校の安堂直行(本郷奏多)を学校へ連れてくると、
いじめっこたちを痛めつけて怯えさせる。
どこかの家庭から漏れ聞こえる幸せそうな声に腹立ち、殺人にまで手を染めて……。

犬屋敷家の父親の扱いがアンマリで悲しくなってしまうほど。
獅子神のほうもとにかく不幸で、父親(渋川清彦)の浮気が原因で離婚、
向こうは新しい家族と楽しくやっているのに、
それに対して恨み言も言わない母親(斉藤由貴)はどこまでもいい人。
そんな母を守りたいのに、自分の殺人のせいで母親は自殺に追い込まれます。

獅子神がどうしてこんなになってしまったのか、
もう少し詳しく知りたい部分もありますが、
佐藤健の演技によって、世の中を理不尽に思う気持ちはわかるような。
いつもは主役級の二階堂ふみの起用法なども面白く、まぁまぁ楽しめます。

奥さんや子どもに冷たくされている父ちゃんたち。
これを見たらがんばろうと思えるかも。思えない!?

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『アンロック/陰謀のコード』

2018年04月28日 | 映画(あ行)
『アンロック/陰謀のコード』(原題:Unlocked)
監督:マイケル・アプテッド
出演:ノオミ・ラパス,オーランド・ブルーム,トニ・コレット,
   ジョン・マルコヴィッチ,マイケル・ダグラス他

日曜日に4本ハシゴ、1本はナナゲイで、その次以降TOHOシネマズ梅田にて。
『レディ・プレイヤー1』を観た後、1時間の空きあり。
ナビオ7階でごはんを食べることにしました。
隣席の若い女性二人連れも映画を観てきたばかりのようで、
何の映画かなと思ったら、“コナン”でした。
「今日は誘ってくれてありがとう」「だってひとりで観るわけにいかないでしょ」
「ひとりで観るなんて寂しいもんね」「うん、あり得ない」。
あ~、そうですか、私はいつもひとり、コナンももちろんひとりで観たっちゅうの。
映画もひとり、ごはんもひとりの私、さぞかしあり得んことでしょう(笑)。

ノーマークでしたが、地味ながらかなり私好みのキャストです。

尋問官という仕事があるのですね。ネットで調べてみると、
「ダークサイドのフォース感知者のエージェントによって構成された、
帝国情報部の秘密部門」
とイのいちばんに出てきます。
それは私の知りたい答えじゃないっ。
一般的には捕虜の尋問(ときには拷問)をおこなう人のことだそうです。
それそれ、私の知りたかった答え。
本作の尋問官は拷問はしません。
捕虜と対面して、犯罪に関わる情報を上手く聞き出す人。

アリスはCIAの優秀な尋問官だったが、
パリで計画されていたテロ事件の首謀者に尋問しておきながらテロ決行に間に合わず、
24名の犠牲者を出してしまったことに責任を感じ、今は第一線から身を引いている。

ところがある日、バイオテロ計画の重要人物ラティーフへの尋問を命じられる。
断るにも他に適役がいないとのこと、緊急を要すると言われて尋問に臨む。
周囲がアリスの力量を疑問視するなか、
アリスはラティーフの動揺を上手く突いて大事な情報を引き出すことに成功。

しかしいざその情報を伝える段になって、これは罠だと気づくアリス。
ラティーフを連れてに逃亡を図るが、ラティーフは死んでしまう。
なんとか脱出したアリスは、上司ラッシュを頼るのだが……。

各国情報機関やらテロ組織やらが絡んで、誰を信じてよいのやら。
裏切られて裏切られて、いちばん悪い奴はやっぱりアンタか、という、
ありがちな話ではあるのですが、目が離せなくてカッコイイ。

アリス役のノオミ・ラパスは、『ミレニアム』の頃が懐かしい、
立派なハリウッド女優に。もうすぐ40歳なのですね。
CIA支局長にジョン・マルコヴィッチMI6のリーダーにトニ・コレット
このふたりはものすごくいいけれど、上司役のマイケル・ダグラスがなんかヤダ(笑)。

わかりやすい娯楽映画で後味もスッキリ。
続編もつくろうと思えばつくれそうですけれど、
やっぱりキャストが地味だから無理かなぁ。

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『レディ・プレイヤー1』

2018年04月27日 | 映画(ら行)
『レディ・プレイヤー1』(原題:Ready Player One)
監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:タイ・シェリダン,オリヴィア・クック,ベン・メンデルソーン,T・J・ミラー,
   サイモン・ペッグ,ハナ・ジョン=カーメン,森崎ウィン,マーク・ライランス他

ナナゲイで『獄友』を観た後、梅田へ移動。
TOHOシネマズ梅田で3本ハシゴの1本目。

『パシフィック・リム:アップライジング』と予告編がかぶり、
どっちがどっちだかよくわからない状態に。
本作の目印はヴァン・ヘイレンの“JUMP”で開始ということ。
『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』ガンズ・アンド・ローゼズといい、
この辺りの曲はテンション上がるねぇと喜んでいたら、
本作はオープニングのみならず、前編ほぼ1980年代。なんとも嬉しい。
そのうえ、映画ネタも満載で、オタクムービーにもなっているんだからたまらん。

2045年の地球。
荒廃する街に人々はいっさいの期待を持たなくなった代わりに、
バーチャル・リアリティワールド“オアシス”に夢中。
装置を付けてオアシスに臨めば、誰でも好きなアバターに姿を変えて、
仮想世界を楽しむことができる。

あるとき、オアシス開発者のジェームズ・ハリデーが死亡し、その遺言に人々は騒然。
遺言の内容は、ハリデーがオアシス内に仕掛けた3つの謎を解いて鍵を得よ、
その鍵を用いて、隠されたイースターエッグを最初に見つけた者に、
オアシスの所有権と遺産5000億ドルをすべて与えるというもの。

青年ウェイドもパーシヴァルという名前でこの争奪戦に参加。
オアシス内でかねてから友だちのエイチと情報を共有しながら進む。
最初の鍵を入手するためのレースを誰ひとりとして完走できずにいたが、
ある日のレースでパーシヴァルとゴール寸前までデッドヒートを繰り広げたのがアルテミス。

ゴールはできなかったものの、その後、彼女と交わした言葉をヒントに、
パーシヴァルは次のレースを見事クリアする。
彼のおかげでアルテミスとエイチもクリア、最初の鍵を手に入れる。

レースを初めて完走した人物として一躍人気者となったパーシヴァル。
それを面白く思わないのがオアシスの所有権を欲するIOI社社長ソレント。
ソレントはあの手この手を使ってパーシヴァルの邪魔をしようとする。

パーシヴァルの身元特定に躍起になっていたソレントは、
パーシヴァルとアルテミスの会話から、本名がウェイド・ワッツであると知る。
殺されかけたウェイドを救ったのは、オアシスを守ろうとするレジスタンス。
実はアルテミスの正体はレジスタンスの一員サマンサで……。

とっても楽しかったです。
『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』の次がこれって、
どうしたの、スティーヴン・スピルバーグ監督という感じですが、
たまにはこんなのが撮りたくなるのでしょうねぇ。

ハリデー役のマーク・ライランス、その相棒で親友だったモロー役にサイモン・ペッグ
このふたりが私のツボ、とてもイイ。
これでハリウッドデビューとなった森崎ウィン君もカワイイです。

冒頭に書いたように、ストーリーの楽しさもさることながら、
私の年代には音楽がめちゃくちゃ嬉しい。
ティアーズ・フォー・フィアーズの“Rule The World”がちょこっと流れ、
トゥイステッド・シスターの“We're Not Gonna Take It”ではノリノリに。
歌は流れなくても会話中にデュラン・デュランやら“ラジオスターの悲劇”やらが出てきます。

また、映画やアニメの話もいっぱい。
エイチがつくった『アイアン・ジャイアント』(1999)も大活躍、チャッキーが武器に。
森崎君演じるダイトウは「俺はガンダムで行く」。
『市民ケーン』(1941)のあの最後の台詞「バラのつぼみ」も何度も登場。
『セイ・エニシング』(1988)の名前がチラリと出て驚喜。
『シャイニング』(1980)ネタには大笑いさせてもらいました。
これら未見の人は、元ネタを観てからにしてほしいぐらい。

ラストはサイモン・ペッグがきっちり切ない気持ちにさせてくれて、
予想していた以上によかった♪

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『獄友』

2018年04月25日 | 映画(か行)
『獄友』
監督:金聖雄

毎週土曜日に外食をして体重が増えるため、
わが家の日曜日の晩ごはんは16時が定刻。これで体重を元に戻します。
16時に晩ごはんを食べようとすると、
日曜日は朝イチで映画を観に行ってもせいぜい2本止まり。
しかしこの間の日曜日はダンナが飲み会に出席するので、
晩ごはんをつくらなくてもよくなりました。
ならばと朝から晩まで映画のハシゴの予定を組む私。

1本目は十三の第七藝術劇場にてドキュメンタリーを。
とても観たかった作品です。

獄友=獄中で一緒だった友だち。
しかもここに登場するのは、殺人犯の濡れ衣を着せられた冤罪被害者ばかり。

1963(昭和40)年に埼玉県の女子高校生が殺害された「狭山事件」。
強盗強姦殺人の容疑で逮捕され、一審で死刑判決を受けた石川一雄さん。
31年7カ月におよぶ獄中生活の後、仮釈放。今も無実を訴える石川さん。
金聖雄監督は無罪が確定するまで石川さんを撮り続ける約束をしています。

1967(昭和42)年に茨城県で一人暮らしの男性が殺された「布川事件」。
強盗殺人の容疑で逮捕された桜井昌司さんと杉山卓男さん。
獄中生活29年の後、仮釈放され、2011(平成23)年に無罪確定。
残念ながら杉山さんはそれからわずか4年後に病死。

1990(平成2)年に4歳の女児が遺体となって発見された「足利事件」。
犯人として逮捕された菅家利和さん、獄中生活17年6カ月。
DNAの再鑑定によって無実が証明され、2010(平成22)年に無罪確定。
これについては『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』
是非あわせてお読みください。

そして、1966(昭和41)年、静岡県で会社役員一家4人が殺され放火された「袴田事件」。
犯人とされた袴田巌さんは、2014(平成26)年に48年ぶりに釈放されました。
検察が即時抗告したため、現在も死刑囚のまま。

冤罪被害に遭って、青春時代のほとんどを獄中で過ごした人たち。
他人には決してわからない思いでいらっしゃるでしょうが、
本作で彼らが見せる表情は、暗さよりもむしろ明るさが感じられるもの。

獄中生活がいちばん短かった菅家さんのことを
いちばん後から入ったくせに最初に出て行っちゃってと皆が笑い、
菅家さんもすみませんと笑います。
杉山さんは逮捕される前の不良時代を振り返り、
「刑務所に入れられてよかったよ。だってもし入らなかったら、
俺なんて殺されてるか、ヤクザになってるかだもん」。

笑い飛ばしてはいるけれど、親の話をするときのひと言が心に沁みます。
つらいときには親のことを意外と思い出さない。
でも、無罪が確定したときなど、嬉しいときほど親のことを思い出すという話。
きっと一緒に喜びたかったろうと思います。

死刑囚は、毎朝、今日死刑が執行されるのではないかと怯える。
9時になって、今日の執行はないと安堵するときの気持ち。
執行の恐怖にさらされながら何十年、精神がおかしくなるのももっとも。
釈放後に袴田さんの様子に驚きました。
3年経ってようやく、脈絡のある話ができ、将棋を打てるように。

奪われた人生はどうやっても戻らない。
そんななかで、どうにか前向きに生きてゆこうとする冤罪被害者たち。
冤罪のない世の中にしなければ。

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