夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『デンジャラス・ビューティー2』

2005年05月30日 | 映画(た行)
『デンジャラス・ビューティー2』(原題:Miss Congeniality 2: Armed and Fabulous)
監督:ジョン・パスキン
出演:サンドラ・ブロック,レジーナ・キング,ディードリック・ベーダー,
   エンリケ・ムルシアーノ,ヘザー・バーンズ他

ロードショーを3本ハシゴしたうち、2本目に観たのがこれ。
正直なところ、ビデオ化されてからで十分と思っていた作品ですが、
1本目と3本目に観るのを先に決めたら、
効率よく観るにはこれがいちばん良い時間帯でした。

人気を博した『デンジャラス・ビューティー』(2001)の続編。
前作は、色気ゼロの凄腕女性FBI捜査官、グレイシー・ハートが、
美人コンテストを狙った連続爆撃犯の捜査のため、
上司の命令でミス・アメリカ代表として潜入することに。
オカマの美容アドバイザーの手によってみるみる変身を遂げ、
コンテスト当日はミス・アメリカに選ばれた女性を
爆撃犯の手から見事救出するというものでした。

さて、この続編。
前作ですっかり有名になったグレイシー。
強盗団を捕まえるべく、変装して銀行に潜入したものの、
彼女に気づいた女性からサインを求められる。
それに強盗団も気づいて大騒ぎに。
なんとか一味を取り押さえたものの、もう潜入捜査は無理だと上司に言い渡される。

代わりに彼女に与えられた仕事は、FBIの広告塔。
すでに巷の人気者の彼女がマスコミの取材を受けまくり、
FBIのイメージアップを図るように指示される。
今度も少々オカマちっくな専属スタイリストを付けられて、
服装、歩き方、話し方を磨くことに。
その結果、またもや彼女はセレブに変身。

彼女の護衛を任されたのは、あまりの乱暴さにクビ寸前の
これまた女性捜査官、サム・フラー。
お互いが気に入らないグレイシーとフラーは喧嘩してばかり。

ある日、広報活動中のグレイシーは、
以前の事件で親友となったミス・アメリカのシェリルが
ラスベガスで何者かに誘拐されたことを知る。
シェリルを救うため、独自の捜査を開始するグレイシー。
これにサムと専属スタイリストのジョエル、
FBI支局でボンクラ扱いされているジェフも巻き込まれて……。

とってもわかりやすい映画です。
こういう作品は憎めない。
笑えるし、泣けるし、むずかしいことを考えずに楽しみたいときに最適。

30代、独身、子どもなし。
『負け犬の遠吠え』で言われるところの「負け犬」コンビが奮闘するこの作品、
観客が女性しかいないことにびっくり。
これって、男性が観るとどないなん?
聞いてみた~い!

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『炎のメモリアル』

2005年05月26日 | 映画(は行)
『炎のメモリアル』(原題:Ladder 49)
監督:ジェイ・ラッセル
出演:ホアキン・フェニックス,ジョン・トラヴォルタ,ジャシンダ・バレット,
   ロバート・パトリック,モリス・チェスナット,ビリー・バーク他

税金の納付期限が迫ったので、郵便局に行きがてら、
レディースデイの水曜日に休みを取ってロードショー3連発。
これは昨日の3本目に観た作品です。

ボルティモアの消防士ジャック・モリソンは
火災現場で生存者を救出したあと、足元の床が崩落して階下にたたきつけられる。
仲間の隊員たちがすぐさま救助に向かうが、建物内は火と煙に包まれ、作業は難航。
その間、署長のマイク・ケネディは
無線を通じて必死でジャックに語りかけつづける。

意識の遠のきかけたジャックの脳裏には
新人として署に配属された日からこれまでの
楽しく苦しく懐かしい思い出が次々と映し出される。
瓦礫に埋もれたまま救助を待つジャックと、
彼の回想シーンとを織りまぜて進む物語。

9.11の同時多発テロの現場で活躍した消防士たちに敬意を表して製作されたこの作品は、
全国消防長会や日本消防協会なども推薦。
とても健全な作品だと思います(皮肉じゃなくて)。
トラヴォルタ演じる署長マイクは、星野仙一氏をも超えそうな理想の上司。

主演のホアキン・フェニックスは、故リヴァー・フェニックスの弟。
端正で男気のある顔立ちの兄リヴァーは、『スタンド・バイ・ミー』(1986)で大注目され、
人気スターへの道をまっしぐらだった1993年、
ドラッグの過剰摂取により、わずか23歳で急死。
兄の急死のさい、救急車を呼んだのはホアキンでした。

弟のホアキンは兄とはまるでちがう顔立ちですが、
もし兄と同じ顔のつくりだったら、
ここまでいろんな役は回ってこなかったでしょう。
今回のような温かい青年役も、
『グラディエーター』(2000)のような悪役も、
『ヴィレッジ』(2004)のような影のある役も、
何でも似合います。もう立派に兄を超えているのでは。
しかし、見つめると吸い込まれそうな鼻の穴のデカさはどうよ。

妹のサマー・フェニックスも女優です。
彼女は『ディナーラッシュ』(2001)でどうぞ。
イタリアン・レストランの印象的なフロア・サービス係役です。

それにしてもこの邦題、クサすぎる。
原題の“Ladder 49”を直訳してくれたほうが
私だったら興味をそそられるけど、
『第49はしご隊』やったら誰も観にいかん?

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ピアニストの映画

2005年05月23日 | 映画(番外編:映画と音楽)
現在、世界中の話題をさらっているのは、
先月、英国の海岸でずぶ濡れで発見された謎の人物。
着用していたスーツからはラベルが切り取られており、
おどおどした様子のこの男性は
発見されてから現在に至るまで、ひと言も口をきいていないとのこと。

ところが、収容された病院で、名前を書かせてみようと紙を渡したところ、
そこに彼が描いたのはコンサート用のグランドピアノの絵。
ピアノの前に連れて行くと、いままでの怯えた様子はどこへやら、
堂々たるプロ並みの演奏を披露して周囲を驚かせたそうな。

真相が気になるところですが、
ピアニストをはじめとする音楽家は神経をすり減らしながら生きているのか、
話題性に富んだ人物が多いですね。

以前に自分で書いた日記の二番煎じだらけになりますが、
『シャイン』(1995)の主人公で実在のピアニスト、
デビッド・ヘルフゴットも深く精神を病んでいました。
でも、ピアノを前にしたときだけは人が変わります。
この作品で私がもっとも好きなシーンは、
雨のなか、街をぶらつくデビッドが、ガラス張りのバーの店内にピアノを見つけて、
吸い寄せられるように近づいていくところ。

あきらかにまともではない恰好の彼がピアノの前に腰かけるのを見て、
店員や客は引きますが、その指から奏でられる曲に驚き、
みんながデビッドの虜になります。
演奏し終えたあとの聴衆の喝采と拍手に胸が熱くなります。

『戦場のピアニスト』(2002)の主人公、
やはり実在のポーランドのピアニスト、ウワディク・シュピルマン。
戦禍で被われた町から命からがら逃れた彼は
明らかに精神状態がおかしくなっています。
しかし、食糧を求めて忍び込んだ廃屋で
一心不乱に弾くピアノは凄まじいほどの素晴らしさ。
彼を見つけたドイツ軍の大尉は、本来なら射殺してもおかしくないところ、
黙って彼のピアノに耳を傾ける姿が印象に残ります。

さて、ピアノマンはどうなりますことやら。

あ、そうそう、ピアノマンの話にそっくりだからと
配給元が必死で宣伝している『ラヴェンダーの咲く庭で』
日本ではまもなく公開ですが、そんな手を使って宣伝しなくとも、
見応えのある女優さんがいっぱい出ています。
大女優ジュディ・デンチをはじめ、
ハリ・ポタのマクゴナガル先生、マギー・スミスも。
ふたりとも整形とは縁がなさそうな、シワの美しい女優さんです。

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『父、帰る』

2005年05月19日 | 映画(た行)
『父、帰る』(英題:The Return)
監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ
出演:イワン・ドブロヌラヴォフ,ウラジーミル・ガーリン,
   コンスタンチン・ラウロネンコ,ナタリヤ・ヴドヴィナ他

『エイプリルの七面鳥』(2003)は母と娘のお話で、
母の日にぜひお薦めしたい作品でしたけれど、
こちらは父と息子の物語。
しかし、父の日にお薦めできるかと言えばツライ。
あまりにズッシリのしかかってきすぎて、心臓を撃ち抜かれたような気分になります。
菊池寛の戯曲を思い出させるタイトルの原題は“Vozvrashcheniye(=帰還)”。

ロシア北部の田舎町。
アンドレイとワーニャ兄弟は、母、祖母とともに暮らす。
父は12年前に出て行ったきり。

ワーニャは兄アンドレイの友だちの輪に入りたくて、
危険な遊びにもチャレンジしようとするが、いつも尻込みしてしまう。
馬鹿にされては泣きじゃくるワーニャを
母は優しく包み込む。兄弟喧嘩は絶えないが、
父のいない寂しさに気づかぬふりをしているかのように、
家族は支え合って生きてきた。

しかし、ある日、突然父が帰ってくる。
母は「お父さんよ」と言うだけで、何も説明しようとしない。
父もこれまでのことを何も話そうとしない。

その晩、家族は父とともに食卓を囲む。
団らんとはほど遠い雰囲気のなか、父は息子たちを旅行に連れ出すと言う。
写真でしか見たことのなかった父との初めての旅行に、
戸惑いながらも期待を膨らませるアンドレイとワーニャ。

翌朝、車に乗り込む父と息子ふたり。
しかし、父はやはりろくに口をきかず、始終高圧的な態度で息子たちに接する。
アンドレイはそんな父に気に入られようと懸命に振る舞うが、
ワーニャは次第に反抗心を募らせて……。

旧ソ連、グルジアが舞台の映画を観るのは前述の『やさしい嘘』が初めてでした。
これもまた旧ソ連、ロシア製作の作品です。
私たち日本人が容易には理解できない社会的背景を持つ国の作品は、
どこか突き放したような冷たさが流れ、
どうにかして生きろと言われているようなたくましさを感じます。
あらゆる謎を解明しないまま終わっているのも、作品として成功していると思います。
まさに「圧倒される」という言葉がふさわしい。

この作品の撮影終了後、ロケ地だった湖で、
アンドレイ役の少年俳優が溺死しました。
彼がなぜ再び湖に向かったのか、また謎。

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『やさしい嘘』

2005年05月16日 | 映画(や行)
『やさしい嘘』(原題:Depuis qu'Otar est parti…)
監督:ジュリー・ベルトゥチェリ
出演:エステール・ゴランタン,ニノ・ホマスリゼ,ディナーラ・ドルカーロワ他

フランスとベルギーの合作で、物語の舞台はグルジア共和国。
グルジアってどこよ?と思って調べたら、
旧ソ連、シルクロードの西の端、コーカサス地方に存在。
あのカスピ海ヨーグルトの発祥の地と噂されるところでした。
クレオパトラが愛したと言われるグルジアのワインは
“クレオパトラの涙”と呼ばれているそうです。

さて、グルジアの首都トビリシ。
エカおばあちゃんとその娘マリーナ、そのまた娘のアダ、
三代にわたる女ばかりで暮らしています。

経済的に破綻しているグルジアでは生活も厳しく、
おばあちゃんとマリーナはしょっちゅう喧嘩。
それでも優しく賢い孫娘のアダのおかげで
3人は慎ましくも幸せな毎日を送っています。

おばあちゃんの楽しみは、パリに出稼ぎに行った息子オタールからの手紙。
フランス語の堪能なアダは、手紙が届くとおばあちゃんに読み聞かせます。
おばあちゃんの至福の時間。

ある日、マリーナのもとへ1本の電話が。
オタールが仕事中に事故死したとの連絡に、マリーナとアダは呆然とします。
あんなに息子の手紙を楽しみにしているおばあちゃんに、事実を知らせることはできません。
ふたりはおばあちゃんに嘘をつき通す決意をします。

オタールになり代わって、
おばあちゃん宛の手紙を書き続けるアダ。
オタールは生活の足しにと仕送りもしてくれていましたが、
マリーナとアダにはお金まで同封する余裕はありません。
以前と何かがちがうと感じたおばあちゃんは
突然オタールに会いにいくと言い出します。

真実を伝えるしかないと思い始めるアダと、
やはり最後まで真実を隠し通すべきだと主張するマリーナ。
しかし、断固としてパリへ行くというおばあちゃんは、
3人分の航空券代を工面すべく、蔵書まで売り払ってしまいます。
仕方なく、ふたりはおばあちゃんとともにパリへ向かうのですが……。

ふたりがつく嘘がタイトルなのかと思っていましたが、
そうではありませんでした。
タイトルの指す本当の「嘘」がわかったとき、
とてもとても温かい気持ちになります。

『グッバイ、レーニン!』(2003)も嘘の話でしたが、
私はこの『やさしい嘘』のほうが断然好き。
エカおばあちゃん役のゴランタンは85歳でデビュー。
これぞスーパーおばあちゃん。

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