夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈わ行〉

2015年12月31日 | 映画(わ行)
《わ》
『嗤う分身』(原題:The Double)
2013年のイギリス作品。
内気で世渡り下手、驚くほど存在感の薄い青年サイモン・ジェームズ(ジェシー・アイゼンバーグ)。
ツキにも見放されて、会社のセキュリティーカードを紛失。
休まず通勤しているにもかかわらず守衛はサイモンのことを覚えておらず、
再発行を拒否されて、入館許可を求めて用紙に記入する日が続く。
密かに想いを寄せるコピー係のハナ(ミア・ワシコウスカ)からもまるで相手にされず、
楽しみといえば向かいの建物に住むハナの姿を望遠鏡で覗き見ることのみ。
そんなある日、彼の会社に新入社員がやってくる。
期待の新人はサイモンとそっくりで、しかも名前はジェームズ・サイモン。
似ているどころかまったく同じ容姿なのに、誰もそれに気づく様子がない。
要領のいいジェームズは上司や同僚の人望を即座に集め、
しかもなんだかんだとサイモンを利用するように。
サイモンの居場所がどんどんなくなってゆき……。
俊英として名高いリチャード・アイオアディ監督は、
『エイリアンバスターズ』(2012)には役者として出演していました。
暗さのかけらもなかった出演作、そして監督作はとにかく暗い。この対比が面白い。
BGMには昭和歌謡、これが妙にハマって不気味さ満点。

《を》
『ヲ乃ガワ WONOGAWA』
2013年の日本作品。
山形県米沢市小野川温泉の全面協力で完成したというスチームパンクなSF映画。
2033年に地球に天変地異が発生、大崩壊する。
生き残った人類は、元の山形県の位置に各々の文明を寄せ集めてコミュニティを築く。
1000年後、そこは“ヲノガワ”と呼ばれる王国に。
女性考古学者の月山ヲノガは、地層から風化した携帯電話を発掘。
わずかな情報の復元に成功したヲノガは、
そこに映る画像から旧世界について知ることができるのではないかと考えるのだが……。
七変化する国王の姿に、いったいどういうオチが待っているのかと楽しみに。
その国王は1000年前から生存する学者で、脳のみ生きつづけ、死亡した人に姿を借りているというわけ。
大崩壊とともに人類はいっさいの生殖機能を失い、
人類滅亡の危機から脱出するために、その学者が「人が人を生み出すマシーン」を作成。
肉体は死亡しても脳だけで生きて、とにかくマシーンを完成させようというつもりで。
及川奈央演じる弔屋(とむらいや)など、ヲノガワの世界観は面白く、
山口ヒロキ監督が見せてくれる映像はレトロフューチャーという言葉がピッタリです。

《ん》
ありません。

今年は劇場鑑賞本数が人生初の200本超えだと思っていたら、
さっき去年の〈わ行〉を読み返していて、去年208本観ていたことを知りました。なぁんだ。
今年は去年の208本よりさらに増えて、昨日までに222本。
一昨年の12月末から今年の1月にかけてと、9月から10月にかけてと、
1ヶ月フリーパスポートを2度利用できたのが大きかったように思います。

「観ようと思ったら観られたのに観なかった」というものはないと言いたいところですが、
今月26日以降、連日の忘年会(ときには昼と晩のダブルヘッダー)にへろへろ状態になってしまい、
3本観るつもりが2本とか、忘年会前に1本観るつもりが取りやめとか、
なんだかんだであと5本は観られたはずなのに。(--;

DVDで観た本数は156本で、合計378本。去年とまったく同じでした。
去年初めて劇場鑑賞本数がDVD鑑賞本数を超え、今年もそれを維持。
なかなか体力が要るので、こんなことはいつまで続けられるやら。
だけど来年もがんばって劇場通いを続けたいです。

今年もおつきあいをありがとうございました。
どうぞ良い年をお迎えください。

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今年観た映画50音順〈ら行〉

2015年12月30日 | 映画(ら行)
《ら》
『ランナーランナー』(原題:Runner Runner)
2013年のアメリカ作品。
監督は『リンカーン弁護士』(2011)のブラッド・ファーマン。
プリンストン大学にかようリッチー(ジャスティン・ティンバーレイク)は、元は凄腕の株式ブローカー。
リーマンショックのせいで会社が倒産して職を失い、
名門大学で修士の資格を取って生かそうと入学したのだ。
学費を稼ぐためにギャンブルのサイトへと友人を誘導していたが、
学長からギャンブルは御法度、アフィリエイトも認めないと言われる。
仕方なく自らオンライン・ポーカーに参加するが、見事に大負け。
しかしその負けには納得が行かずに調べてみたところ、不正を見つける。
ポーカーのサイトのオーナーであるカジノ王・ブロック(ベン・アフレック)のもとへ乗り込むと、
意外にもすんなりとブロックはリッチーの抗議を受け入れ、
賭け金の返済と学費の全負担を申し出たうえ、リッチーを雇いたいと言う。
大学に戻るよりもこっち、そう考えたリッチーだったが、
ある日FBI捜査官のチェンバース(アンソニー・マッキー)に拉致され、協力を請われ……。
嘘が飛び交う頭脳戦のなか、リッチーの「してやったり」が小気味いい。
賄賂を受け取っておきながらしゃあしゃあと騙そうとするのがアメリカ人、
金を受け取ったからにはきっちり守るのがコロンビア人というのがなんだか面白い。

《り》
『リスボンに誘われて』(原題:Night Train to Lisbon)
2013年のドイツ/スイス/ポルトガル作品。
監督はデンマーク出身で『マンデラの名もなき看守』(2007)を撮ったビレ・アウグスト。
スイスの高校で古典文献学を教える教師ライムントは、5年前に離婚。
孤独で単調な毎日を送っていたある日、橋から飛び降りようとする女性を目撃。
間一髪のところを助けるが、女性はすぐに行方をくらませてしまう。
彼女が置き忘れていったコートのポケットに入っていた1冊の本。
そこに挟まれていたリスボン行きの切符を女性に届けようと駅へ向かう。
しかし女性の姿はなく、ライムントは衝動的にリスボン行きの夜行列車に飛び乗る。
車中で読んだその本に心を奪われるライムント。
リスボンに着くと著者アマデウの自宅を調べていきなり訪ねる。
アマデウは若くして亡くなったらしいが、
彼の妹アドリアーナは、まるでアマデウが生きているかのようにふるまう。
興味を惹かれたライムントは、生前のアマデウを知る人物を訪ね歩き、
独裁政権下のポルトガルで反体制運動に身をやつしたアマデウの人生を辿る。
主演のジェレミー・アイアンズは、『ダメージ』(1992)の頃のエロ親父からいい具合に脂が抜けています。
1冊の本から次第にあきらかになってゆく時代のできごとに目が釘付け。
劇場で観たかったと強く思う作品でした。

《る》
『ルパン三世』
2014年の日本作品。
言わずもがなの実写版ルパン三世
古代ローマの時代、アントニウスからクレオパトラに贈ったとされるジュエリー、
“クリムゾン・ハート”は、“光の首飾り”と“真紅のルビー”に分けられている。
所有者は別で、片方はルパンの相棒だった老盗賊ドーソン、
もう片方はアジアの闇社会を牛耳る悪党プラムック。
相手の秘宝を狙い合っていたドーソンとプラムックだったが、
プラムックが手下を使ってドーソンの暗殺に成功。
ドーソンの仇を討ち、なおかつプラムックのお宝を奪うと決めたルパンは……。
ルパンに小栗旬、次元に玉山鉄二、五ェ門に綾野剛、不二子に黒木メイサ
銭形警部に浅野忠信と、なかなかに魅力的なキャストではありますが、
最初と最後だけ観たら十分な展開。
しかも世界一美しいはずのクリムゾン・ハートのなんとチープなこと。
やっぱりルパンとはアニメでお会いしたいです。

《れ》
『レフト・ビハインド』(原題:Left Behind)
2013年のアメリカ作品。
レンタルする気はなかったのに、TSUYATA DISCASの予約リストにとりあえず載せていたら、
予期せずに届いてしまった1本。いやもう無茶苦茶で笑いました。
パイロットのレイ(ニコラス・ケイジ)は、聖書に没頭する妻に辟易し、
独身だと偽って客室乗務員と浮気を画策中。
久しぶりに帰郷した娘クローイは、そんな父親レイの思惑を知って絶望しつつも、
レイが操縦するロンドン行きの便をJFK空港で見送る。
ところが飛び立ってしばらく後、機内で多数の乗客が忽然と消える。
同じ現象が地上でも起きていて……。
神を信じる者全員が天国に召されたためにこの世から姿を消したというぶっ飛びの話。
レイの乗る飛行機は副操縦士も消えてしまい、管制塔とも連絡がつきません。
残った乗客や地上にいるクローイと協力して決死の着陸を試みます。
クローイが教会に行ってみると牧師だけが消えずにそこにいたというのがワラける。

《ろ》
『ロスト・フロア』(原題:Séptimo)
2013年のスペイン/アルゼンチン作品。
今年初めに開催された“未体験ゾーンの映画たち 2015”にて上映。
DVD化されてから知って、スペイン語圏の作品は外せずレンタル。
弁護士のセバスチャンは、元妻デリアが暮らすアパートへ。
ふたりの子どもであるルカとルナはデリアと生活しているが、
この日はセバスチャンが子どもたちと過ごす予定。
デリアが仕事に出かけたあと、セバスチャンたちも部屋を出る。
7階から1階まで、パパはエレベーターで、僕たちは階段で。
どっちが早いか競争しようとルカとルナが言う。
エレベーターに乗った自分の勝ちだと思ったら、
いつまで経っても子どもたちが姿を現さず……。
邦題からスパニッシュ・ホラーを想像していたら、普通のサスペンス。
誘拐騒動の主犯は実は元妻だったというオチ。
スリリングで楽しめましたが、オチがわかるシーンはあまりに淡泊。

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今年観た映画50音順〈や行〉

2015年12月29日 | 映画(や行)
《や》
『やさしい本泥棒』(原題:The Book Thief)
2013年のアメリカ/ドイツ作品。
昨年公開予定だったのになぜか中止に。未公開が非常にもったいない1本。
第二次世界大戦前夜のドイツで、共産党員の親を持つ娘リーゼルは、
ミュンヘン近郊の田舎町に里子に出される。
娘を赤狩りから守るための手段だったが、
一緒に里子に出されるはずだった弟はミュンヘンへ向かう列車内で病死。
男の子が来るとばかり思っていた養母のローザはリーゼルに辛く当たる。
しかし、養父のハンスはリーゼルを温かく迎える。
読み書きのできないリーゼルが後生大事に持っていたのは、弟の葬儀のさいに拾った本。
ハンスはふたりで読もうじゃないかと、リーゼルに読み書きを教える。
転校当初はバカだと蔑まれていたリーゼルだが、
持ち前の負けん気で自分より体の大きな男子生徒にも喧嘩を挑む。
そんなリーゼルを「おてんば」と呼んで面白がるのが隣家の男子ルディ。
リーゼルにとって、ルディと遊ぶ時間、そしてハンスと本を読む時間が至福のとき。
ある日、広場でたくさんの本が焼かれているのを見たリーゼルは、
こっそり1冊の本を盗み出すのだが……。
ハンス役にジェフリー・ラッシュ、ローザ役にエミリー・ワトソン
見るからに善人のハンスと、毒舌だけど実は愛情深いローザ。
リーゼル役のソフィー・ネリッセの演技も素晴らしい。
ハンスとローザが匿うユダヤ人青年アレックスが、リーゼルに天気を問うシーンが○。
自分で言葉を紡ぐということ。ますます読書したくなる作品です。

《ゆ》
『誘拐の掟』(原題:A Walk Among the Tombstones)
2014年のアメリカ作品。
ローレンス・ブロックの“マット・スカダー”シリーズの1編『獣たちの墓』を映画化。
ニューヨークに暮らす無許可の私立探偵マット・スカダー。
かつては刑事だったが、アル中だったせいで事件を起こして辞職。
以後きっぱりと酒を断ち、日々の暮らしに困らない程度に仕事を引き受けている。
そんな彼に、断酒会で知り合った若者ピーターが声をかけてくる。
弟のケニーが困っているから話を聞いてやってくれないかと。
ケニーに会ってみると、堂々のヤク中風情のピーターとは大違い、
大金持ちのビジネスマンで、ドラッグディーラーでもあった。
ケニーは妻を誘拐され、身代金を払ったにもかかわらず、妻は惨殺体で発見された。
なんとしてでも復讐したいから、犯人を見つけてほしいとのこと。
一旦は断ったマットだが、犯人が麻薬関係者の身内を狙って猟奇殺人を繰り返していると知り……。
もう老体と言っていいリーアム・ニーソン。どうしてここまでアクションものばかり?
どれもそこそこ面白いから観てしまうのですけれど。
ケニー役のダン・スティーヴンスは今年『ザ・ゲスト』(2014)で知った俳優。
『ザ・ゲスト』はなかなかぶっ飛んでいるうえに、
『シャイニング』(1980)を思い出させるラストも怖かった作品。
本作でもやっぱり最後は殺されちゃって、男前なのに残念。(^^;

《よ》
『夜の女王』(英題:Queen of Night)
2013年の韓国作品。劇場未公開。
コンピューターエンジニアのヨンスは非モテ系男子、彼女いない歴30年。
そんな彼がファーストフードショップのアルバイト店員ヒジュに一目惚れ。
店に通い詰めた結果、ヒジュのハートを奇跡的に射止めてゴールイン。
まるで天使のようなルックスのヒジュは、料理の腕前もプロ並み、しかもバイリンガル。
なぜ彼女がダサダサのヨンスを選んだのかと周囲は訝るが、
彼女のおかげでヨンスの見た目もぐいぐい進化。幸せいっぱいのふたり。
ところがひょんなことから、ヒジュがかつて伝説のクラブクィーンだったと判明。
あんなに純情に見えるヒジュが夜の女王だったなんて。
本人に直接聞けないヨンスは、友人の手を借りてこそこそと調べ始めるのだが……。
ありがちな勘違いという展開ではなく、本当にクラブクィーンだった彼女。
ヒジュのクラブ時代の仲間が頼もしく、ヨンスの友人もワラかしてくれます。
彼女が彼を選んだ理由に思いがけない昔話もあって、泣けました。

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今年観た映画50音順〈ま行〉

2015年12月28日 | 映画(ま行)
《ま》
『マッド・ナース』(原題:Nurse 3D)
2013年のアメリカ作品。
ニューヨークの大病院に勤務するアビゲイルは、優秀なベテラン看護師。
しかし夜になればエロ全開の格好で街に繰り出し、
それに釣られて声をかけてきた男どもを容赦なくいたぶり殺すシリアルキラー。
彼女は若くて美しい新人看護師のダニーに目を付ける。
ダニーを自分のものにすべく、ダニーの恋人や継父を抹殺しようとするのだが……。
幼い頃に父親の浮気現場を目撃、逆ギレした父親が母親に暴力をふるったため、
アビゲイルが父親をぶっ殺し、精神疾患ありとみなされて療養。
退院したと思ったら、自分を目にかけてくれた看護師も殺しちゃった。
その看護師になりすましていたのでした。というなかなか手の込んだ展開。
最後はアビゲイルの正体に気づいたダニーとの死闘となり、血の海に。
アビゲイル役のパス・デ・ラ・ウエルタは脱ぎっぷりも良く、
お色気ムンムン女優として有名らしいのですが、
厚化粧の彼女は、私にはどうしてもニューハーフにしか見えず。怖すぎる。
彼女の見た目のせいで引き気味。笑い飛ばせるほどブラックでもなくて、イマイチ。

《み》
『ミュータント・タートルズ』(原題:Teenage Mutant Ninja Turtles)
2014年のアメリカ作品。
第35回ゴールデンラズベリー賞で5部門にノミネートされてしまった大作。
悪の組織“フット軍団”の狼藉により荒廃が進むニューヨーク。
大学でジャーナリズムを専攻したエイプリルは、
望みどおりチャンネル6に就職し、レポーターとしてデビューしたものの、
いつまで経っても単なるかわいこちゃん扱い。
スクープを取ってやると息巻いていたおり、“フット軍団”を撃退する謎の4人組を偶然目撃。
正体を突き止めてみると、なんと4人組は人間と同じサイズの喋るカメ。
身体能力が異常に高く、市民の危機を感知すると飛んできて、悪者を倒していたのだ。
実は幼きころのエイプリルがカメたちを救っていたこともわかり……。
予告編は楽しげだったけれど、いや~、つまらん。
懲りずに続編を製作、来夏には公開されるのですと。

《む》
『無人地帯』
2012年の日本/フランス作品。
2011年、東日本大震災が発生後、ひと月余りが経過。
無人になったはずの原発20km圏内の汚染地区や、
40km離れていたにもかかわらず酷い状態となった飯舘村。
破壊された土地に車を走らせ、映像に収めるとともに、人々に取材します。
正直なところ、とても退屈。起承転結なくダラダラと。
ただ映像を繋ぎ合わせただけに思えて、睡魔と葛藤しました。
被災地の現状を知らしめるにしてもこれではツライ。

《め》
『女神は二度微笑む』(原題:Kahaani)
2012年のインド作品。まったく踊らないボリウッド
インドの大都市コルカタ。
地下鉄内で毒ガスによる無差別テロ事件発生、多数の犠牲者が出る。
その2年後、身重の女性ヴィディヤがロンドンからコルカタへやってくる。
コルカタに出張した夫アルナブと1カ月前から連絡が取れなくなり、捜しにきたとのこと。
地元警察の新米警官ラナの助けを借り、アルナブがいたはずの場所を巡る。
ところが宿泊先や勤務先に問い合わせても、アルナブという人物など知らないと言われる。
また、アルナブの出身校だとヴィディヤが聞かされていた学校にも記録は見当たらず。
やがて、アルナブに瓜二つの危険人物ミラン・ダムジの名前が浮上し……。
ヴィディヤ役の女優ヴィディヤ・バランのなんと美しいこと。
ボリウッドでこんなに面白いミステリー/サスペンス作品までつくられているとは。
思わず「え~っ」と驚くドンデン返し。
深く考えればいろいろ矛盾もあるけれど、いや~、面白かった。

《も》
『モンスター上司2』(原題:Horrible Bosses 2)
『モンスター上司』(2011)の続編で、2014年のアメリカ作品。劇場未公開。
結構おもしろかったのにDVDスルーで残念だと思いつつ、
これをわざわざ劇場で観なくてもいいだろうとも思うのでした。
最悪な上司に振り回されるのはまっぴらごめんと、
ニック、デール、カートの3人はこのさい自分たちで会社をつくることに。
水とシャンプーが順番に出るシャワーヘッドを開発、一攫千金を狙う。
これがTVで紹介され、流通最大手の会社から10万個の注文を受ける。
大喜びで10万個完成させるも取引を反故にされ、破産の危機に。
そこで3人は社長のボンクラ息子を誘拐、金を回収することを思いつくのだが……。
社長役のクリストフ・ヴァルツ、息子役のクリス・パイン
セックス依存症の女役ジェニファー・アニストンなど、皆笑わせてくれます。
ものすごくおバカ。やっぱり劇場で観なくていいかも。

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今年観た映画50音順〈は行〉

2015年12月27日 | 映画(は行)
《は》
『花とアリス殺人事件』
2015年の日本作品。
岩井俊二監督による『花とアリス』(2004)の前日譚を自らアニメ映画化した、
岩井監督初の長編アニメーション作品。
実写版の『花とアリス』で花役とアリス役を演じた鈴木杏蒼井優
ふたりの出会いを描くこのアニメ版でもそれぞれの声を担当。
石ノ森学園中学校の3年組に転入した中学3年生のアリスこと有栖川徹子は、軽いいじめに遭う。
それというのもアリスが何の気なしに座った席のせい。
1年前にその席に座っていたユダなる人物が4人の妻に殺されたという、わけのわからない噂。
アリスのせいで結界が破られてしまったのだと言うが、その後なんとか同級生たちと親しくなる。
あるとき、アリスは隣家に引きこもっている荒井花が同級生で、
彼女がユダの噂のことを知っているのではとにらむ。
隣家に忍び込んだアリスはハナと知り合い、なりゆきでユダについて調べることになるのだが……。
絵、内容ともに素敵で、手元に置いておきたくなるアニメーションでした。
最後だけ、花の勘違いも甚だしいとツッコミを入れたくなりましたが(笑)。

《ひ》
『陽だまりハウスでマラソンを』(原題:Sein letztes Rennen)
2013年のドイツ作品。
パウルは1956年のメルボルン・オリンピックで金メダルを獲得したマラソンランナー
妻マーゴと二人暮らしであることを娘ビルギットが心配するが、自分はまだまだ元気、
誰の世話にならなくともやっていけると思っていた。
しかし、マーゴが病気に罹ったことから、夫婦で老人ホームへ入居せざるを得なくなる。
規則に縛られた不自由な生活、入居者をまるで子ども扱いする職員。
毎日の工作教室に飽き飽きしたパウルは、ベルリン・マラソンに出場することを決意。
かつてのようにマーゴのサポートを受け、完走を目指して練習を開始する。
最初は呆れていたほかの入居者たちも、パウルがあの伝説のランナーであると知り、
もしや本当に完走するのではないかと応援するようになり……。
パウルが走ることが入居者全員の力となり、希望の光となります。
年齢を言い訳にしない生き方って素晴らしいと思いました。

《ふ》
『フランシス・ハ』(原題:Frances Ha)
2012年のアメリカ作品。
『ファンタスティック Mr. FOX』(2009)の脚本家ノア・バームバックがメガホンを取り、
脚本は本作のヒロインのグレタ・ガーウィグと共同で執筆。
ニューヨーク、ブルックリンの見習いモダンダンサー、フランシス、27歳。
大親友のソフィーとルームシェアをしていたが、ソフィーが突然、
「住みたかった場所でルームシェアしようという友人が現れたから」と同居を解消してしまう。
ひとりでは家賃を払っていけず、知り合って間もない男友だち2人が暮らす部屋へ転がり込むのだが……。
美人といえば美人だけど、大柄でドタドタ歩くうえに、空気の読めないフランシス。
が、見ていてイライラするすんでのところで留まっていて、オフビートな魅力あり。
デヴィッド・ボウイの主題歌をはじめ、選曲がオシャレで楽しい。
タイトルの意味がわかるラストシーンもイケてます。なるほど!

《へ》
『ヘラクレス』(原題:Herclues)
2014年のアメリカ作品。
“ラッシュアワー”シリーズで当てたけれど、
監督するよりも製作にまわることが多いブレット・ラトナー監督。
『ジャージー・ボーイズ』でも製作総指揮という肩書きでしたが、
本作では自らメガホンを取り、ドウェイン・ジョンソンを主役に据えて。
全能の神ゼウスと人間の女性との間に生まれた英雄ヘラクレス。
実は人間なのだが、半神だと信じられていたほうが敵をビビらせるのに有効。
ヘラクレスは噂を上手く利用しながら、5人の傭兵仲間を率いて戦場を渡り歩いている。
ある日、トラキアの王女ユージニアがやってきて、ヘラクレスに頼みがあると言う。
父コテュス王と民を守るため、凶悪なレーソス率いる反乱軍と戦ってほしいと。
ヘラクレスと傭兵仲間たちは、寄せ集めの兵士を鍛え上げるのだが……。
特筆すべきことは何もありませんが、想像の範囲内でとても楽しい。
傭兵仲間が全員ちがう個性で愉快で、そのうちのひとりがルーファス・シーウェル
昔、この人は売れっ子になると期待していたのにブレイクせず、寂しかっただけに嬉しい。
久々に見た気がするジョセフ・ファインズは裏切り者役がピッタリな人に。
コテュス王を演じたジョン・ハート、いつもイアン・マッケランかと思ってしまう。

《ほ》
『ほとりの朔子』
昨年1月に公開された、2013年の日本/アメリカ作品。
第35回ナント三大陸映画祭(三大陸=アジア・アフリカ・ラテンアメリカ)では、
グランプリにあたる“金の気球賞”と“若い審査員賞”の2冠を獲得。
海外で高く評価されている深田晃司監督の作品です。
浪人中の朔子(二階堂ふみ)は叔母の海希江(鶴田真由)とともに、
海外旅行で家を空ける伯母の水帆(渡辺真起子)の留守を預かることに。
水帆が暮らしているのは海辺の避暑地。
水帆や海希江の古くからの友人で、近所に住む兎吉(古舘寛治)や、
その娘で女子大生の辰子(杉野希妃)、
兎吉の甥で福島から避難してきた高校生の孝史(太賀)と、
朔子は2週間の夏休みを過ごすのだが……。
日記をめくるようにゆるゆると進みますが、登場人物の個性が光っていて眠くはなりません。
特筆すべきは辰子役の杉野希妃で、あのキム・ギドク監督にもその才能を認められているそうな。
本作ではプロディーサーも務め、非凡なところを見せてくれます。
血のつながらない家族、震災原発と、上手い具合に取り込んだ作品。

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