夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ジェイン・オースティンの読書会』

2009年06月28日 | 映画(さ行)
『ジェイン・オースティンの読書会』(原題:The Jane Austen Book Club)
監督:ロビン・スウィコード
出演:キャシー・ベイカー,マリア・ベロ,エミリー・ブラント,
   エイミー・ブレネマン,ヒュー・ダンシー,マギー・グレイス他

昨秋のレンタル開始からずっと観そびれていた作品。

辞書によれば、読書会とは、
グループで一定の本を読み、読後の感想や意見を話し合う会。
18世紀後半に生まれた英国の女流小説家、
ジェイン・オースティンを読む会に集まった人びとの物語。
オースティンの作品は「人生の解毒剤」なのだそうです。

愛犬を亡くしたばかりのブリーダー、ジョスリン。
彼女を元気づけるため、親友で離婚歴6回のバーナデットは、
ジェイン・オースティンの読書会を企画する。

オースティンの長編小説は、
『分別と多感』『自負と偏見』『エマ』『マンスフィールド・パーク』
『ノーサンガー僧院』『説得』の6冊。
それぞれの担当者を決めるべく、6人集めることにする。

バーナデットがジョスリンのほかに声をかけたのは、
長年連れ添った夫から別れを切り出されて涙に暮れるシルヴィア。
その娘でレズビアンのアレグラ。
それから、書店でたまたま知り合ったプルーディー。
彼女はお高くとまった若いフランス語教師で、
通俗的な趣味ばかりの夫と最近かみ合わない。

あとひとりを誰にすべきか悩んでいたところ、
ジョスリンがシルヴィアの話し相手になればと、
オースティンを読んだこともないSFオタクの青年グリッグを引き入れる。

こうして6人が揃い、読書会の幕が開ける。

オースティンの作品をご存じの方のほうが楽しめるのは確かですが、
一冊も読んだことのない私も十二分に楽しめました。
ちなみに映画化された『プライドと偏見』(2005)では、
私はMr.ダーシーにノックアウトされています。(^O^)

もっとかたいお話かと思っていましたが、適度な軽さ。
ほとほと男に愛想の尽きた女性陣は、読書会に参加するうち、
取り巻く状況も心情も変化してゆきます。
丸ごとハッピーエンドで、上手く行き過ぎの感はあるものの、
安心して観られるのはやっぱりいいですね。
恋愛より友情よ!的な男不要論ではありません。
男性にもちゃんと語らせるのがオースティンだそうな。

私はいまだに携帯を所持していません。
電話をかけるのはなんだか億劫で、お礼なども葉書派です。
「よく書けた手紙の力は侮れない」という台詞を聞き、
これからも葉書&手紙派で行っとこと思ったのでした。

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『天国はまだ遠く』

2009年06月26日 | 映画(た行)
『天国はまだ遠く』
監督:長澤雅彦
出演:加藤ローサ,徳井義実,河原さぶ,絵沢萠子,
   郭智博,宮川大助,南方英二,板東英二他

瀬尾まいこの同名小説の映画化。
チュートリアルのファンの方はぜひご覧ください。
主役を張っている徳井くんはもちろんですが、
福田くんもカメオ出演しています。
雨上がり決死隊の宮迫さんといい、吉本の芸人さんの俳優ぶりは◎。

京都府宮津市。
自殺を決意したOLの千鶴は駅前でタクシーを拾い、
とにかく人のいない北を目指してくれと頼む。
運転手は自殺志願者だと思いつつも車を走らせ、
ひっそりとした田舎町の民宿“たむら”で彼女を降ろす。

両親から“たむら”を継いだという青年、遥は、
数年ぶりの客を見て驚いた様子。
千鶴は適当に部屋を選ぶと、恋人に別れのメールを送信。
大量の睡眠剤を服用して布団に入る。

ところが、陽の光で目が覚める。
死んだはずなのに、階下から焼き魚のいい匂い。
台所を覗くと、「今日は食うやろ?」と遥の声。
どうやら千鶴は死に損なって、32時間、眠っていたらしい。

単に疲れて眠っていただけだと思い込んでいる遥に勧められ、
ひと口食べたお米の美味しいこと。みそ汁、漬物、焼き魚。
遥が唖然とする勢いで千鶴は朝ごはんを平らげる。

帰るあてもない千鶴は、しばらく“たむら”に滞在することに。
海釣り、蕎麦打ち、町内の宴会。
ぶっきらぼうだがどこか優しい遥と過ごすうち、
少しずつ穏やかな心を取り戻してゆく。

いつも観てからこの監督さんだったと気づきます。
『ココニイルコト』(2001)、『卒業』(2002)、『夜のピクニック』(2006)、
全部好きでした。
本作も、緑に囲まれ、満天の星のもと、
優しい気持ちにさせてくれます。

ゆるりゆるりと時間は過ぎますが、
さすが人気お笑い芸人だけあって、
徳井くん演じる遥の口からぽんぽん飛び出す台詞の間(ま)はお見事。
加藤ローサ演じる千鶴が死に損なったと打ち明ける場面では、
追い打ちをかけるような徳井くんのボケっぷりと
加藤ローサのふくれっ面が笑いを誘います。

「あんたは、自分が思ってるのと全然ちゃうしな。
協調性だってあるし、図々しさも持ち合わせてる」。
自分で思っているほど生きるのが下手じゃないと言いたげな遥の言葉は、
ぶっきらぼうだからこそ胸を打ちました。

安直にくっついたりしないラストも乙なもの。
美味しいごはんも心の糧。

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野球のことだらけ。

2009年06月24日 | 映画(番外編:映画とスポーツ)
某球団ネタを書いた日は、ありがたいことに、
ちょこちょこ励ましのお便りをいただきます。
ん?励ましじゃなくて傷の舐め合いか。(^^;

暗黒時代にあった頃は、試合が終わるやふて寝して、
翌朝、ラジオで道場洋三さんの凹みぶりを聞き、
こんなズド~ンと落ち込んでいるのは私だけちゃう!
と、気を取り直したものでした。

交流戦後の休みが明けたら、
きっとプロ野球ネタには触れたくなくなると思うので、
今のうちの過去の阪神ネタ日記を列挙しておきます。

まずは、思わず遠い目になってしまいそうな、
阪神、優勝。〈前置き〉
阪神、優勝。〈本番〉

それから、勝手に野球映画特集。↓

野球の話、いっとけ~。
野球の話、もういっちょいっとけ~。

野球の映画、ひとつめ。
野球の映画、ふたつめ。

ほとんどヤケクソで、野球ネタ。

ほかにも、「野球」「阪神」「某球団」などでブログ内検索していただくと、
いろいろヒットしますので、お試しくださいませ。
全然関係のない「阪神淡路大震災」までヒットしますけれど。

あれこれ書いた野球映画のうち、
特に泣ける台詞を引用しているのがこの2本かも。↓

『ライフ・イズ・ベースボール』
『サマーリーグ』

阪神に限らず、野球に限らず、応援するチームのある人は、
この気持ち、わかってくれるでしょ!?きっと。

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さりげなく、阪神ファン、阪急ファン。

2009年06月22日 | 映画(番外編:映画とスポーツ)
シーズン中、こうして野球の映画を観たくなるのは、
たいてい現実逃避したくなる年。
ひそかにプロ野球ネタが出てくる映画を2本。

こっそり阪神ファンが登場するのは『空の穴』(2001)。
北海道に恋人の登とふたりでやってきた妙子は、
ガソリンスタンドでトイレに入っている隙に置き去りにされる。
空腹に耐えかねて訪れたのが、ドライブイン“空の穴”。
豚丼を掻き込むと、無銭飲食を図るが、
店主兼料理人の市夫にあっけなく捕まる。
野宿を続けていた妙子を見るに見かねて、
市夫はアルバイトとして雇うことに。

「一緒に寝ます?」と平然と言ってのける妙子と
一緒に寝るようになるものの、
本気で好きになってしまったとはどうしても言えない市夫。
妙子役には、当時、菊地百合子と名乗っていた菊地凛子。
彼女のペースに乗せられる市夫役には寺島進。

「阪神タイガース」の「は」の字も出てきませんけれど、
妙子が着られそうな服を探そうと、
市夫が開けた段ボール箱に丁寧にしまわれていたのは
黒地に黄色のひさしのついた懐かしの阪神の帽子。
子どもの頃の回想シーンには、必ずその帽子をかぶった市夫の姿が。

キャッチコピーは「人生は曇ってばかりじゃない」。
そう真弓監督に言って差し上げたいところですが、苦しおます。

マニアックな阪急ファンが登場するのは『ココニイルコト』(2001)。
広告代理店に勤務する駆け出しのコピーライター、志乃は、
上司と不倫の末に、その妻から手切れ金を渡され、
東京から大阪へ左遷される。本人からは一切連絡なし。
傷心の志乃は何もやる気が起こらない。
そんな彼女の前に現れたのは、能天気っぽい営業社員、悦朗。
やがて、悦朗が心臓を患っていることを知るのだが……。

志乃役に真中瞳、悦朗役に堺雅人。
こちらは、志乃のほうが悦朗のペースに乗せられて、
いつしか笑顔に。

得意先の社長に向かって暴言を吐き、
窮地に追い込まれた志乃を悦朗が救います。
悦朗が次々と持ち出すのは阪急ブレーブスの話題。
志乃が生まれたのは阪急が優勝した1975年、
彼女の誕生日は1988年の阪急最後の試合の日と同じ日付。
それを聞いて、大の阪急ファンである社長は驚喜。
悦朗の話が単なる調子合わせではない証拠に、
社長のどんな阪急の話にも悦朗は完璧について行きます。

悦朗の口癖は、「ま、ええんとちゃいますか」。
現実に目を向ければ、
ええことないっちゅうねん、阪神もオリックスも。はぁ。

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『ラン・ファットボーイ・ラン 走れメタボ』

2009年06月19日 | 映画(ら行)
『ラン・ファットボーイ・ラン 走れメタボ』(原題:Run, Fatboy, Run)
監督:デヴィッド・シュワイマー
出演:サイモン・ペッグ,タンディ・ニュートン,ハンク・アザリア,
   ディラン・モーラン,ハーリッシュ・パテル他

人気ドラマ『フレンズ』のアメリカ人俳優(大学教授役)が
初監督を務めたイギリス作品ですが、日本ではビデオスルー。
主演のサイモン・ペッグはよく脚本も手がけ(これとかこれとか)、
日本でいうところの宅間孝行みたいな存在。
けれど、アホ度ではサイモン・ペッグが追随を許さず、
しかもそこにただならぬ知性まで感じるからスバラシイ。

ロンドンにて。
デニスは、恋人のリビーとデキちゃった婚のはずが、
挙式当日に逃走してしまう。

それから5年後。
ランジェリー店に警備員として勤務するデニスは、
オカマの万引き犯を追うが、たっぷんたっぷんに出た腹ではツライ。
余裕のオカマに「デブ!」とおちょくられ、
やっとショーツを奪還して店に戻ると、
店員は「ブラジャーは?」と冷ややかな顔。

リビーは、身重の自分を見捨てた男であるにもかかわらず、
息子のジェイクにはデニスと過ごす時間も与えている。
なぜ逃げてしまったのか、デニス自身にもわからず、
リビーには未練たっぷり、ジェイクのことも可愛くて仕方がない。
ぐずぐずしているうちに、リビーに新しい恋人が現れる。

二枚目で金持ち、マッチョなその男はウィット。
ウィットになくてデニスにあるのは出た腹だけ。
ジェイクもいつのまにかすっかりなついている様子。
ウィットがロンドンマラソンに出場すると聞き、
デニスは愛を取り戻すため、自分も走る決意をするのだが……。

チャリティ性の高いロンドンマラソンの仕組みがわかって面白いです。
デニスが出場を決意したのはすでに申込の締め切り後。
それでもなんとか出場する手段というのがあって、
スポンサー枠を確保している団体に片っ端から問い合わせます。
しかし、その枠で出場すると、着ぐるみをかぶらなあかんとか、
目が点になりそうなキャッチコピー付きのシャツを着なあかんとか、制約さまざま。
何のために走るのかによって変わってくるでしょうが、
どれなら自分が許容できるかと考えてみるのも楽しいもの。

コメディ×スポ根×ファミリードラマで、笑いあり、涙あり。
インド人の大家や、色っぽくて手厳しいその娘、
完走に全財産を賭ける悪友などの脇役陣もワラかしてくれます。
ただのおバカ映画と侮るなかれ。

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