夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

結婚話、花盛り。(その2)

2006年11月30日 | 映画(番外編:小ネタいろいろ)
3本目は『ウェディング・クラッシャーズ』 (2005)。
全米では大ヒットしたのに日本では劇場未公開。
画面に映っているのを見ただけで私は笑ってしまう、
「スケベ鼻」のオーウェン・ウィルソン主演です。
ブラピの前妻ジェニファー・アニストンと婚約したやら破局したやら、
噂が飛び続けているヴィンス・ボーンが共演。
『Be Cool/ビー・クール』(2005)など、
彼のコメディのセンスは抜群で、本作も笑わされっぱなし。

そのふたりの演じるジョンとジェレミーは離婚調停人。
離婚にもめる夫婦を見事に別れさせる事務所のパートナー。
幼なじみでもある彼らの趣味は、実は結婚式荒らし。
他人の結婚式に知人を装って出席、ご馳走と酒を楽しむと、
好みのタイプの女性を口説いて寝るのが目的です。
どんな女性とも一夜かぎりでサヨナラするのが掟。

ある日、ふたりは財務長官の長女の結婚式に忍び込みます。
そこでジョンは長官の次女のクレアに一目惚れ。
ジェレミーは三女のグロリアに気に入られ、
いつもどおりヤることはヤったものの、追いかけ回されるようになります。
グロリアから長官の屋敷に招待され、滅相もないと断るジェレミーですが、
クレアに恋したジョンは、誘いを受けるようジェレミーを言いくるめます。

さて、長官の屋敷に行ってみると、
そこにはいけすかないクレアの婚約者がいて、ジョンを目の敵に。
ジェレミーはといえば、グロリアにはベッドに縛り付けられ、
長官のゲイの息子にも迫られて、おちおち眠ることもできません。

身分を詐称したままのふたりのことが
いずれバレるのは筋書きどおりで、
それを乗り越えて迎えるハッピーエンドもお約束。
でも、やっぱりこういう映画はいいですね。

クレアが婚約者との結婚に迷っているとき、
クリストファー・ウォーケン演じる父親の台詞にもジーン。
「将来何が起きるか誰にもわからない。
 せめてわかる範囲で最前の判断をするんだ。
 大丈夫、何もかもうまくいくよ」。

ネタバレもいいとこで、
台詞まで全部明かしてどうするという感じですが、
最後はクレアの結婚式に乱入するジョンもかっこいい。

「『今すぐ僕と』なんて言わない。
 でも彼とは結婚しないでほしい、そして僕にチャンスを」。

こんなこと、言われたら、そら答えるでしょ。
いくらでもチャンス、あげるよって。
幸せな気持ちになれること、請け合いの1本。

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結婚話、花盛り。(その1)

2006年11月24日 | 映画(番外編:小ネタいろいろ)
「結婚」は、映画の世界でも永遠のテーマ?

1本目は人気ドラマ『SEX and the CITY』でお馴染み、
サラ・ジェシカ・パーカー主演の『幸せのポートレート』(2005)。
キャッチコピーは「その結婚、あなたを輝かせてくれますか?」。

NYのマンハッタンで働くキャリアウーマン、メレディスは
婚約者であるエヴェレットの実家、ストーン家に招かれます。
クリスマス休暇を前に、次々と実家に集まってくるエヴェレットの弟妹。
しかし、神経質なメレディスに誰も好感を持てません。

大事な息子の愛する女性を受け入れたい気持ちはあっても、
どうしてあんな女性を選んだのかという思いを拭えない両親。
唯一、メレディスを気に入ったのはお調子者の弟ベンだけで、
ほかの弟妹、特に妹のエイミーはとことん彼女を嫌います。

こちらまでイライラさせられるメレディスの言動に
彼女が家族に受け入れてもらえないのは当然と思えます。
見た目ばかりを気にする、自分の主張を押し通す、
ゲイの弟に向かって偏見に満ちた物言いをする、などなど。
でも、そんな彼女にだって十分にある、
好きな人の家族を好きになりたい気持ち。

結婚前、誰にでも少なからずあると思われる葛藤が
おもしろおかしく、切なさも交えて描かれていて、
最後はお決まりですけど心地よく。

2本目は、いつまで経っても「ブラピの前妻」と言われる、
ジェニファー・アニストン主演の『迷い婚 すべての迷える女性たちへ』(2005)。
こちらのキャッチコピーは「その愛に、決められる?」。

ジャーナリストのサラは、恋人のジェフからプロポーズされ、
OKの返事をしたものの、以来、憂鬱な気分に襲われています。
ある日、妹の結婚式に参列すべく帰郷したサラは、
小説&映画『卒業』(1967)のモデルが彼女の家族であるという噂を耳にします。
つまり、サラの亡き母が、結婚式の途中で連れ去られた花嫁で、
主人公を誘惑した中年女性がサラの祖母であるとの噂。
数日後、結局、母は父のもとに戻ったのですが、
もしや自分は母が駆け落ちしかけた男性との間に生まれたのではないか。
そう思ったサラは、母の昔の恋人に会いにいく決意をします。

祖母、母、サラと三世代がイカレる男にケヴィン・コスナー。
常に主役級のコスナーが、渋い脇役で楽しませてくれます。

サラのこんなひとことが印象的。
「誰と何をするかより、誰と一緒にいるかが大事」。

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『2番目のキス』

2006年11月17日 | 映画(な行)
『2番目のキス』(原題:Fever Pitch)
監督:ボビー・ファレリー,ピーター・ファレリー
出演:ドリュー・バリモア,ジミー・ファロン,ジャック・ケーラー他

関東では夏休み前に公開された本作が、
先週末から1週間のみ、期間限定で神戸で公開。
監督も原作者も私の超お気に入りで、
しかも野球ネタとあっては見逃すわけにはいきません。
さらにタイムリーなことに、
松坂を約60億円で落札したレッドソックスのお話です。

数学の教師で人気者のベンは、
ある日生徒たちを連れて訪れた校外学習先の企業で
リンジーという女性と知り合う。
着実にキャリアを重ねる彼女とベンでは住む世界がちがうかに見えたが、
生徒たちに煽られて、リンジーをデートに誘う。

ベンの誘いをやんわりと断り、仕事に没頭するリンジーに、
彼女の友人たちは会ってみるように勧める。
ベンと約束を取り付けるものの、
当日、リンジーは食あたりを起こしてえらいことに。
迎えにきたベンは彼女を親身に介抱し、
ふたりはつきあうようになる。

順調に進む交際。ベンにベタ惚れのリンジーに
友人のひとりが「そんなに素敵な男性が今まで独身なのはおかしい。
何か理由があるにちがいない」と言い出す。

何も理由なんかないと思いたいリンジー。
そこへベンから「打ち明けたいことがある」との言葉が。
「やはり何かあるのか」と落胆するリンジーに告げられたベンの秘密は
レッドソックスの熱狂的なファンであることだった。

なんだ、そんなことだったのかとリンジーはひと安心。
しかし、リンジーの予想をはるかに上回るベンの熱狂ぶりに
ふたりの中は危うい方向へ……。

映画を観るとき、そこに涙があるよりも笑いがあってこそ癒されると、
以前、監督のボビー&ピーター・ファレリーが語っていましたが、
本当にそのとおりです。とっても元気をもらえる映画であるうえ、
映画館に来ているお客さんにはレッドソックスファンの方も多かったと見え、
小ネタでクスクスッと笑いが起こるのを心地よく感じました。
映画館ゆえの楽しさを存分に味わえた気がします。
スティーヴン・キングが始球式のシーンに本人役で出ているのにもご注目。

恋よりもレッドソックスに入れ込んでしまうベンに
教え子が放つひとことが印象的。
「レッドソックスは先生のことを愛してくれる?」

どこかの球団の熱狂的ファンなら、
ベンの気持ちは少なからず、わかりますよね。
だけど、大事な人は離さずに。

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『君とボクの虹色の世界』

2006年11月14日 | 映画(か行)
『君とボクの虹色の世界』(原題:Me and You and Everyone We Know)
監督:ミランダ・ジュライ
出演:ミランダ・ジュライ,ジョン・ホークス,マイルス・トンプソン,
   ブランドン・ラトクリフ,カーリー・ウェスターマン他

パフォーマンス・アーティストとして活躍する、
ミランダ・ジュライの長編監督デビュー作。
彼女自身が主演を務める本作は、
作品全体が穏やかなピンク色で包まれているかのようです。

物語は私の大好きな群像劇。

クリスティーンは高齢者タクシーの運転手。
パフォーマンス・アーティストを夢見ている。

クリスティーンが恋をするリチャードは
ショッピングモールの靴店のセールスマン。
最近、妻のパムと離婚したばかり。
14歳の長男ピーターと6歳の次男ロビーを引き取る。
息子たちは大人になりすましてアダルトサイトのチャットに夢中。

その隣家に住む小学生シルヴィーは、
スーパーのチラシを見ては嫁入り道具を物色するのが趣味。

リチャードの同僚アンドリューは、
10代のヘザーとレベッカが自宅の前を通るたび、
卑猥な言葉を投げかける。

この町の美術館の学芸員、ナンシー。
クリスティーンが作品を持ち込むが、素っ気ない態度。

こんな十数名の登場人物はみんな、
心の隙間を埋めようと、人と人同士のつながりを求めています。
そこに向けられる優しいまなざし。

とても好きだったのは、クリスティーンのタクシーの固定客、
70歳になるマイケルの台詞。
彼女は施設で知り合ったエレンという女性に恋をします。
マイケルはクリスティーンにこう話します。

「20歳の頃に彼女と出会いたかったよ。
 でも、彼女にふさわしい男になるために
 50年かかったのかもしれない」。

20歳の頃に出会いたかったけれど、
もし本当にそうなっていたとしたら、
彼女と恋に落ちることはなかったのかもしれない。
今だからこその恋、生涯最後の恋。

だから、余命わずかとなったエレンが
身を引こうとしてマイケルに別れを告げたとき、
彼の心の痛みが私にも突き刺さるようでした。

「好きでもない妻をあちこちへ連れていったのに、
まだ彼女をどこにも連れていっていない」と嘆く彼に、
クリスティーンは「そんなに好きなのにあきらめるの?」と問います。
マイケルは悲痛な面持ちで「ちがう、彼女から去ったんだ」。

マイケルとエレンの想いを紡ぐかのような
クリスティーンの作品に胸がいっぱい。
観終わると、なんだか冬の日だまりにいる気分になります。

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『40歳の童貞男』

2006年11月09日 | 映画(や行)
『40歳の童貞男』(原題:The 40 Year Old Virgin)
監督:ジャド・アパトー
出演:スティーヴ・カレル,キャサリン・キーナー,ポール・ラッド,
   ロマニー・マルコ,セス・ローゲン他

原題もそのまま、“The 40 Year Old Virgin”。
当然エロネタ満載ですが、女性にもお薦めしたい、
笑いっぱなしで最後はホロリ、大満足の132分。
意外に真面目な秀作です。

家電量販店に勤務するアンディは、40歳にして童貞。
フィットネスに励み、フィギュア収集とTVゲームに明け暮れるオタクな日々。
同僚たちはそんな彼のことをまさか童貞だとは思わず、
「いい奴だけど、どこか変。連続殺人魔かも」と怪しむ。

ある日、閉店後の店で、ポーカーゲームをすることになる。
あとひとり、人数が足りず、残っているのはアンディだけ。
デビッド、ジェイ、キャルはおそるおそるアンディに声をかける。
アンディは二つ返事で参加。

夜も更けて、女性関係の話に花が咲く。
アンディは作り話で逃げようとするが、
女性の胸の触り心地を「ただ素敵だった」と答え、
「具体的に」と問われて、「砂が詰まった袋のようだった」と表現すると、
一同唖然。「そうか、お前、童貞だろ!」。

翌朝、すでに店中に「童貞」の噂が知れ渡っていた。
恥ずかしさでがっくりと肩を落とすアンディに、
デビッド、ジェイ、キャルは言う。
「ムスコの世話は俺たちに任せろ」。
そして、アンディの脱・童貞計画が始動する。

アホなエロネタがおもしろいのは言うまでもありません。
年輩の同僚は、アンディが童貞だと知ると、「愛する人と笑ったり、
抱き合ったりすることなく生きていけるのか?」と真顔で言った後に、
「あんなこともこんなこともしないまま一生終わるなんて」と
アンディの妄想をひたすらかき立てます。
エステでの胸毛の脱毛は抱腹絶倒。
恋に落ちた相手とやっと初体験というシーンでは
コンドームの付け方がわからずに十個近くもボツに。
ちょうど帰ってきた彼女の娘から「いったい何回やったの?」とわめかれ、
娘の彼氏からは「凄い。教えてください」と敬われることに。

でも、エロネタのおもしろさだけでなく、
ひとりきりでいることの多かったアンディが、
童貞であることをきっかけに同僚と言葉を交わすようになり、
人と会話する楽しさに気づいたり、
恋人の娘から、計算づくでないがゆえの信頼を得たり、
そんな人間の感情も細やかに描かれています。

いくつになっても青春。
遅すぎるなんて言わないで。

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