夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ボブ・マーリー:ONE LOVE』

2024年05月31日 | 映画(は行)
『ボブ・マーリー:ONE LOVE』(原題:Bob Marley: One Love)
監督:レイナルド・マーカス・グリーン
出演:キングズリー・ベン=アディル,ラシャーナ・リンチ,ジェームズ・ノートン,トシン・コール,
   ウミ・マイヤーズ,アンソニー・ウェルシュ,サンドラ・オークリー,マイケル・ガンドルフィーニ他
 
実家が綺麗さっぱり片付き、まだ母の死去に伴う事務手続きは若干残っているというものの、
そろそろの闘病が始まる前の日常が戻ってきそうです。
 
この日は母の口座凍結のために梅田の銀行へ。
弟のときは、どこの銀行に口座を持っているのか全然わからず司法書士の方におまかせしましたが、
母の場合はそれがわかっています。
戸籍謄本などを取り寄せたらその手数料のほうが高くなるぐらいしか預金残高がないけれど(笑)、
私もいつ死ぬとも限らないのに口座を放置したままというのもなぁと思い。
 
母の口座の凍結手続きに行くのは2行(こう)目でしたが、同じ案件でもその手続きにかかる時間が違いすぎる。
先日行ったひとつめの銀行では1時間半ほどかかったため、今回もそのつもりで出かけたら、なんと15分かからずに終了。
相続の代表者も、父と娘が遺っている場合、1行目では配偶者が優先と言われたのに、
2行目では「ご家族の間で話し合っていただければ、代表者はどなたでもかまいません」とのこと。
むしろちゃんと連絡がついて話ができる人が代表者であるほうがいいということなんですね。
そのほうが理に適っていると思いませんか。
 
で、銀行での用事はすぐに済んだので、ゆっくり北新地まで歩いてまずスタバへ。
それからこちらのお店でひとりランチ、ビールとワインをガバガバ飲んで酔っぱらった後、性懲りもなく映画へ
 
ええ、寝ましたとも。爆睡。(^^;
ただまぁ、ほかの作品よりも本作のほうが寝ても大丈夫だからと選んでいましたから、こうなるのは想定済み。
 
ボブ・マーリージャマイカが生んだ世界的スーパースター。彼の伝記映画です。
父親は軍人でたいそう裕福な白人、母親がジャマイカ人。
鑑賞後に調べたら、父親が61歳で母親は16歳だったというのですから、こりゃもう犯罪だと思ってしまいましたが。
 
こんな年齢では、父親が逝くのも早い。母親と共に残されたボブはスラム街で育ったそうです。
そのせいかおかげか、毎日音楽に浸る日々。
“ラスタファリ”という、労働者階級や農民の間に根付く宗教的思想に傾倒しつつ、
早くから作曲も始めていた彼は、オーディションなどを経て音楽家として活動するように。
 
もう序盤から睡魔に襲われていましたので、どんなふうに本作が進んだのか定かではありません。
ただ、音楽に平和への願いを込め、銃撃されようが何をされようが音楽をやめなかった人。
 
爪にがんを発症し、たった36歳でこの世を去っています。
ずっと「自由」を信じていた彼の音楽は、レゲエを知らない人でも耳にしたことがあるはず。
タイム誌が「20世紀最高の音楽アルバム」に選んだ『エクソダス』を私は通しで聴いたことがないのです。
聴いてみなくちゃと思っています。
 
さて、映画も終わって少々酔いがさめた頃、甲子園へ向かう。

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実家だった部屋を退去しました。

2024年05月30日 | まるっきり非映画
約30年暮らした池田から茨木へ両親が引っ越したのは26年前。
は持ち家にいっさい興味を示さなかったため、
「お父さんが先に死んだら私は住むところがなくなる」とは気にしていて、
私が家を買ったときには「安心だねぇ」と自分のことのように喜んでくれました。
 
そんな父が家を借りるときにいちばん重要視していたのは、
地震と水害に強い土地かどうかということ。
父のお眼鏡に適った池田の某町の賃貸平屋にずっと住み続けるつもりだったと思いますが、
大家から「更地にしたいので出て行ってほしい」と言われて茨木へ転居。
ここももちろん父が「良い」と判断した土地。新築の公団マンションでした。
 
母が亡くなり、父も現在施設に入所中だから、この部屋を退去することに。
とにかく物が多いから、遺品整理業者に頼むつもりでいたけれど、
の部屋を片付けてから2年経たない今なら、自分でなんとかできるかもしれない。
 
やり始めたらやっぱり大変で、たまにゲーゲー言ってましたが、
もともと何でも捨てられる性分の私だから、片付いていくときの爽快感がたまらない。
親戚や友人の手も借りながら、部屋を空っぽにすることができました。
「何でも捨てられる茨木市」でなければ無理だったかもしれません(笑)。
 
2週間ほど前のゴールがほぼ見えてきた頃、父と電話で話したら、「一度現地を見に行く」と言う。
5千冊ほどあった自分の本と仕事道具だったものが気になっている様子で。
えー、だけどどうやって!? 要介護4で車椅子に乗る父ですもの、写真見せるからと言ったけど、聞く耳持たず。
まぁ、一度見たいという気持ちはわかるから、母の葬儀のときにアテンドしてくれた介護タクシーの人に電話。
ちょうどお願いできそうな日があり、父を連れてきてもらいました。
 
四半世紀以上暮らした部屋を車椅子で巡り、「空っぽになっちゃったなぁ」と父。
文句を言われるかと思いきや、「片付けてくれてありがとう」と言われてホッ。
 
明日が解約日ですが、一昨日の晩、最後のひとつだった照明を外し、鍵も返してきました。
いい部屋、いい公団だったよね、お父さん、お母さん、弟よ。

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『関心領域』

2024年05月29日 | 映画(か行)
『関心領域』(原題:The Zone of Interest)
監督:ジョナサン・グレイザー
出演:クリスティアン・フリーデル,ザンドラ・ヒュラー,ラルフ・ハーフォース,
   ダニエル・ホルツバーグ,サッシャ・マーズ,フレイア・クロイツカム,イモゲン・コッゲ他
 
 
アメリカ/イギリス/ポーランド作品。
第76回カンヌ国際映画祭ではグランプリを、第96回アカデミー賞では国際長編映画賞を受賞しています。
予告編からしてとても嫌な感じでした。ミヒャエル・ハネケっぽい。
しかし興味を惹かれるテーマなのか、最近観た映画の中ではいちばんの客入り。
 
原作は昨年亡くなったイギリス出身の作家マーティン・エイミスの同名小説。
本作に関しては映画化ということもあってか没後に日本でも翻訳出版されたようです。
 
冒頭、タイトルが表示されたあと、不協和音のなか続く真っ黒な画面。
何十秒か何分か、何が起きるのだろうと思いながら黒い画面を注視せざるを得ません。
 
収容所の所長を務めるルドルフ・ヘスとその妻ヘートヴィヒ、子どもたちが住む家。
壁の向こうは収容所だというのに、ヘス一家はそれを気にまったく気に留めず。
林を抜けて泳ぎに行ったり釣りを楽しんだり、毎日が緩やかで牧歌的。
ヘートヴィヒにとってこの家は理想そのもの。
 
収容所の内部が映し出されることは一切ありません。
ただ一日中、焼却炉なのか何なのか、ジージーと音が鳴り続けていて、
怒声や悲鳴、銃声が聞こえてくることもあるというのに、家族は無関心。
けれど、隣がどういう施設なのかはおそらくじゅうぶんに知っていて、
収容されたユダヤ人の衣服などを物色し、毛皮や口紅を試します。
 
新式の焼却炉の売り込み電話では、いかに多くのユダヤ人を燃やせるかなんて話も出るけれど、
それが実に淡々としていて怖すぎる。
 
いったい何を見せられたのでしょう。ただただ不穏。
一見家族は普通に見えて、心が蝕まれているだろうことを想像してしまいます。
蝕まれないのはおかしい、蝕まれて行ってほしいというこちらの希望なのかも。
 
ユダヤ人が着せられている服を見ると『縞模様のパジャマの少年』(2008)を思い出す。
あれも収容所の近隣に住んでいるナチスドイツの将校一家の話でした。
しばし立ち上がれないほど衝撃的なラストで、それと比べると明らかな衝撃はない分、
どう反応すればよいのか困る。
 
ほぼ満員の客が帰るときに笑みは無し。
「なんか凄い映画やったな」とつぶやいている人はいました。
楽しくはない。でも引き付けられます。

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『帰ってきた あぶない刑事』

2024年05月28日 | 映画(か行)
『帰ってきたあぶない刑事』
監督:原廣利
出演:舘ひろし,浅野温子,仲村トオル,柴田恭兵,土屋太鳳,西野七瀬,早乙女太一,深水元基,
   ベンガル,長谷部香苗,鈴木康介,小越勇輝,杉本哲太,岸谷五朗,吉瀬美智子他
 
前述の『おいしい給食 Road to イカメシ』の後に同じくイオンシネマ茨木にて鑑賞しました。
私はほぼ興味のない“あぶない刑事”シリーズなのですが、結構な人気の様子。
封切り日だったこの日のレイトショーには中年以上のカップル客多し。
まぁ、1979年に放映されていた『俺たちは天使だ!』のファンだった私としては、
あれから45年経った今も柴田恭兵が活躍中だというのは嬉しいことですが。
 
で、“あぶデカ”っていつが最初の放送だったのかなと思って調べてみたら、1986年。
それからこうしてずーっと続いているとは、凄いなぁ。
 
警察を定年退職したタカこと鷹山敏樹(舘ひろし)とユージこと大下勇次(柴田恭兵)は、
ニュージーランド探偵事務所を開業したものの、トラブルを起こして免許剥奪。
致し方なく8年ぶりに横浜へと戻って来る。
 
横浜で心機一転、探偵事務所を開業したところ、依頼人第1号としてやって来たのは永峰彩夏(土屋太鳳)。
長崎在住の彩夏は、自分を産んですぐに失踪した母親・夏子を探していた。
今まで何の手がかりもなかったらしいが、最近になって夏子が横浜のクラブで歌っていたことを知ったと。
夏子をよく知るタカとユージは、自分たちのうちのどちらかが彩夏の父親かもしれないと思い、依頼を引き受ける。
 
一方、かつてタカに父親を殺された海堂巧(早乙女太一)は現在ベンチャー企業“ハイドニック”の社長。
ベンチャーを名乗りながら、カジノで儲けることを目論み、邪魔な奴は手下を使ってすぐさま殺す。
タカ&ユージの旧知の中国人・劉飛龍(岸谷五朗)は裏組織の人間ではあるというものの、殺人は犯さない。
しかし海堂と組むことを余儀なくされた劉は、意に染まない残虐なやり方にも手を貸さざるを得ず困惑。
海堂が今度は大量の爆弾を仕込んでテロを計画していると知り、劉は強く反対する。
 
夏子を探すうち、海堂の悪事を知ったタカ&ユージは、港警察署の巡査課長・町田透(仲村トオル)に連絡。
協力して海堂の企みを阻止しようとするのだが……。
 
シリーズをまったく観ていないので、人間関係がよくわかりません。
それでもたいした問題なく、一応楽しんで観ることができます。
町田の部下役で西野七瀬が出ていたり、海堂の手下の殺人マシーン・深水元基が恐ろしすぎて格好よかったり、
キャストが豪華な作品というのはそれだけで楽しい。全編通して軽妙です。
 
いちばん驚いたのは浅野温子でしょうか。『101回目のプロポーズ』のときの彼女はどこへ。
こんな怖い化粧の彼女は見たくなかった(笑)。
 
客入りのいい映画というのはやはりそれなりにテンションが上がります。

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『おいしい給食 Road to イカメシ』

2024年05月27日 | 映画(あ行)
『おいしい給食 Road to イカメシ』
監督:綾部真弥,田口桂
出演:市原隼人,大原優乃,田澤泰粋,栄信,六平直政,いとうまい子,高畑淳子,小堺一機,モーリー・ロバートソン他
 
封切り日にイオンシネマ茨木にて。
 
ひそかに楽しみにしている作品であると同時に、弟のことを思い出してちょっぴり悲しくなる作品でもあります。
本作は劇場版の第3弾。
どうでもいいことだけど、前作まではタイトルの前に「劇場版」と付いていたのに今回はそうじゃないのは何故だ。
 
北海道・函館の地に降り立った中学教師・甘利田幸男(市原隼人)。
忍川中学校で彼が待ちわびているのは、名物イカメシが給食の献立に登場する日。
 
給食をこよなく愛する甘利田のライバルは、給食マニアの生徒・粒来ケン(田澤泰粋)。
甘利田は自分こそが最高の給食の食べ方をしていると思っているのに、
粒来の食べ方のアイデアを見れば、いつも敗北感を味わう。くそっ。
 
街頭では地元出身の町長・等々力宗太(石黒賢)が食育を謳う日々。
等々力はフードロスを嘆き、給食の完食を目指すことを公約にする。
美味しくなくても食べ物を残すなと演説する等々力。
その場を通りかかった粒来が反対の叫び声を挙げ、周囲は一時騒然。
居合わせた甘利田が粒来を連れて立ち去る。
 
この後、等々力は甘利田と話す機会を持ちたいと言い出す。
給食完食のモデル校に認定された忍川中学校では、
給食は楽しく食べるものではないという等々力の意見に沿い、
机をくっつけることはなく授業のときのように前を向いてひとりで。
何よりも楽しかった給食の時間が会話も許されない暗いものとなるのだが……。
 
食べ物を残すのはもったいない、わかります。
等々力は、世の中には食べたくても食べられない人もいると言って、
テレビ取材の入る日にわざわざ不味いものばかり出す。
パサパサのコッペパン、かちかちなうえに辛すぎる塩鮭、脱脂粉乳。
それを前を向いて無言で食べろと言われてもできるわけがない。
 
給食がつらいのではなくて、給食の時間がつらい生徒だっている。
甘利田に匹敵する給食愛を持つ粒来のアイデアは本当に素晴らしい。
美味しくないものを美味しく、そして楽しく食べる工夫。
 
自分は別に給食なんてどうでもいい風を装う甘利田のバレバレなところにはいつも笑わされます。
市原隼人のこういう演技はやりすぎかなと思う半面、とても楽しい。
 
「豊かであること」とは何か。
ずっと続いてほしいシリーズです。1980年代後半が舞台だから、髪型なんかも懐かしくて。
シンプルに生きることの大切さ。
 
ひとつだけ苦言を呈するならば、忍川中学校の校歌の日本語に誤りがある。
「押しも押されぬ」は間違いよ。「押しも押されもせぬ」だから。
校歌には正しい日本語を使ってほしいと思うのでした。

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