『愚行録』
監督:石川慶
出演:妻夫木聡,満島ひかり,小出恵介,臼田あさ美,市川由衣,
松本若菜,中村倫也,眞島秀和,濱田マリ,平田満他
ダンナが2日間のみ国内出張。
2日目は空港まで車で迎えに行くから映画は観られないけれど、
1日目はダンナの実家へ寄ってから2本ハシゴすることに。
1本目は109シネマズ大阪エキスポシティにて。
原作は貫井徳郎の同名小説。好きな作家なので結構読んでいます。
ここ最近はつまらぬオチに拍子抜けする作品もありますが、
『追憶のかけら』、『乱反射』、『灰色の虹』など好きでした。
どれも重量級の内容で、物理的にも重い(笑)。上記3作は600~700頁。
しかも暗い。元気なときでなければ読むのが辛いほどです。
本作の原作も例に漏れず暗い。その内容は以下のとおり。
閑静な住宅街で起きた田向家という一家の惨殺事件。
犯人の手がかりはつかめないまま一年が経過。
主人公は被害者夫妻と関わりのあった人々にインタビュー。
それに応じたのは、ご近所さん、夫人のママ友、夫の同僚、
夫妻の大学時代の同級生や恋人たちでした。
映画版も大筋では同じですが、原作の「仕掛け」のようなものはありません。
原作ではインタビューの間に謎の女性の独白が設けられたり、
冒頭に掲載される育児放棄で逮捕された女性と主人公の関係が伏せられたままだったり、
そんな仕掛けが映画版にはないので、むしろ単刀直入、わかりやすい。
ということで、映画版のあらすじを。
ある日起きた一家惨殺事件。
被害者は大手デベロッパーのエリート社員・田向浩樹(小出恵介)と
その妻・夏原(=旧姓)友季恵(松本若菜)、そして一人娘。
解決の糸口が見つからないまま、一年が経過しようとしている。
週刊誌の記者・田中武志(妻夫木聡)は、この事件の再調査をしたいと編集長に申し出る。
いま売れるのは芸能ネタ。一年も前の殺人事件の記事など誰も見向きもしない。
同僚は呆れた顔をするが、編集長は武志の申し出を了承する。
というのも、武志の妹・光子(満島ひかり)が育児放棄で逮捕されたばかり。
シングルマザーの光子は、三歳になる自分の娘にろくに食事を与えず、
娘は脳にまで異常を来して入院中。助かる見込みは低いらしい。
武志の気を紛らわすためにも集中できる仕事を与えてやらねば。
編集長のそんな計らいで、武志は事件の再調査を開始する。
武志は田向夫妻を知る人々に取材を申し込む。
武志がまず会ったのは、友季恵の大学時代の友人・宮村淳子(臼田あさ美)。
その後、浩樹の同僚だった渡辺正人(眞島秀和)、
淳子の元恋人でのちに友季恵に乗り換えた尾形孝之(中村倫也)、
浩樹の交際相手のうちの一人だった稲村恵美(市川由衣)らに話を聞く。
やがて浩樹と友季恵それぞれの意外な実像が浮かび上がってくる。
一方で武志は収監されている光子に面会。
弁護士の橘美紗子(濱田マリ)から武志と光子の境遇について尋ねられる。
もしも光子自身が虐待等を受けていたのなら、今回の件も合点が行く。
情状酌量の余地ありと認めてもらうためにも精神鑑定を受けるべきだと。
光子は精神科医の杉田茂夫(平田満)のもとへと送られるのだが……。
育児放棄で逮捕された光子と武志が兄妹であること。
独白の主が光子であることがはっきりと描かれている点が
原作と映画では大きく異なります。
しかしどちらが良いとか悪いとかいうことはなく、どちらもどん底の暗さ。
生まれついての不幸を背負い続ける兄妹には光が射すことはありません。
ふたりのことがわかるのはふたりだけ。
タイトルのとおり、そこにあるのは愚行だらけ。
人間の愚かさを突きつけられます。
普通、エンドロールの最後は監督の名前で〆られるもの。
キャストの次にひっそりと監督の名前が表示される作品はこれが初めてかも。
それも含めて、とことん暗いけれど印象に残る作品です。
監督:石川慶
出演:妻夫木聡,満島ひかり,小出恵介,臼田あさ美,市川由衣,
松本若菜,中村倫也,眞島秀和,濱田マリ,平田満他
ダンナが2日間のみ国内出張。
2日目は空港まで車で迎えに行くから映画は観られないけれど、
1日目はダンナの実家へ寄ってから2本ハシゴすることに。
1本目は109シネマズ大阪エキスポシティにて。
原作は貫井徳郎の同名小説。好きな作家なので結構読んでいます。
ここ最近はつまらぬオチに拍子抜けする作品もありますが、
『追憶のかけら』、『乱反射』、『灰色の虹』など好きでした。
どれも重量級の内容で、物理的にも重い(笑)。上記3作は600~700頁。
しかも暗い。元気なときでなければ読むのが辛いほどです。
本作の原作も例に漏れず暗い。その内容は以下のとおり。
閑静な住宅街で起きた田向家という一家の惨殺事件。
犯人の手がかりはつかめないまま一年が経過。
主人公は被害者夫妻と関わりのあった人々にインタビュー。
それに応じたのは、ご近所さん、夫人のママ友、夫の同僚、
夫妻の大学時代の同級生や恋人たちでした。
映画版も大筋では同じですが、原作の「仕掛け」のようなものはありません。
原作ではインタビューの間に謎の女性の独白が設けられたり、
冒頭に掲載される育児放棄で逮捕された女性と主人公の関係が伏せられたままだったり、
そんな仕掛けが映画版にはないので、むしろ単刀直入、わかりやすい。
ということで、映画版のあらすじを。
ある日起きた一家惨殺事件。
被害者は大手デベロッパーのエリート社員・田向浩樹(小出恵介)と
その妻・夏原(=旧姓)友季恵(松本若菜)、そして一人娘。
解決の糸口が見つからないまま、一年が経過しようとしている。
週刊誌の記者・田中武志(妻夫木聡)は、この事件の再調査をしたいと編集長に申し出る。
いま売れるのは芸能ネタ。一年も前の殺人事件の記事など誰も見向きもしない。
同僚は呆れた顔をするが、編集長は武志の申し出を了承する。
というのも、武志の妹・光子(満島ひかり)が育児放棄で逮捕されたばかり。
シングルマザーの光子は、三歳になる自分の娘にろくに食事を与えず、
娘は脳にまで異常を来して入院中。助かる見込みは低いらしい。
武志の気を紛らわすためにも集中できる仕事を与えてやらねば。
編集長のそんな計らいで、武志は事件の再調査を開始する。
武志は田向夫妻を知る人々に取材を申し込む。
武志がまず会ったのは、友季恵の大学時代の友人・宮村淳子(臼田あさ美)。
その後、浩樹の同僚だった渡辺正人(眞島秀和)、
淳子の元恋人でのちに友季恵に乗り換えた尾形孝之(中村倫也)、
浩樹の交際相手のうちの一人だった稲村恵美(市川由衣)らに話を聞く。
やがて浩樹と友季恵それぞれの意外な実像が浮かび上がってくる。
一方で武志は収監されている光子に面会。
弁護士の橘美紗子(濱田マリ)から武志と光子の境遇について尋ねられる。
もしも光子自身が虐待等を受けていたのなら、今回の件も合点が行く。
情状酌量の余地ありと認めてもらうためにも精神鑑定を受けるべきだと。
光子は精神科医の杉田茂夫(平田満)のもとへと送られるのだが……。
育児放棄で逮捕された光子と武志が兄妹であること。
独白の主が光子であることがはっきりと描かれている点が
原作と映画では大きく異なります。
しかしどちらが良いとか悪いとかいうことはなく、どちらもどん底の暗さ。
生まれついての不幸を背負い続ける兄妹には光が射すことはありません。
ふたりのことがわかるのはふたりだけ。
タイトルのとおり、そこにあるのは愚行だらけ。
人間の愚かさを突きつけられます。
普通、エンドロールの最後は監督の名前で〆られるもの。
キャストの次にひっそりと監督の名前が表示される作品はこれが初めてかも。
それも含めて、とことん暗いけれど印象に残る作品です。