夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『長ぐつをはいたネコと9つの命』〈吹替版〉

2023年03月31日 | 映画(な行)
『長ぐつをはいたネコと9つの命』(原題:Puss in Boots: The Last Wish)
監督:ジョエル・クロフォード
声の出演:山本耕史,土屋アンナ,魏涼子,小関裕太,木村昴,
     津田健次郎,成河,中川翔子,楠見尚己他
 
イオンシネマ茨木にて。
 
“シュレック”シリーズに登場する人気キャラクター、長ぐつをはいたネコ=プス。
彼を主人公にした『長ぐつをはいたネコ』(2011)が大ヒットしてから早10年以上。
なぜに今ごろ続編を製作することになったのか知りませんが、
9つあった命が残り1つになるまではこれぐらい時間がかかるかしら(笑)。
 
前作のときも字幕版がすごく観たかったのに近場では上映なし。
新たに加わったオリヴィア・コールマンフローレンス・ピューの声で観たかったなぁ。
 
いくつもの冒険でその名を轟かせてきた伝説のネコ、プス。
さんざん無茶をしてきたものだから、9つあった命が気づけばあと1つに。
さすがに怖じ気づいたプスは、冒険はもう止めて家ネコになることに。
 
ところがそんな折、どんな願いも叶うという「願い星」の存在を知る。
失った命を取り戻すため、その星を求めてプスは再び冒険の旅へと出発するのだが……。
 
怖いものなしと思われていた英雄プスが、怯えるところが可笑しく可愛い。
誇りだった賞金首の看板を下ろし、トレードマークの帽子もマントも長ぐつも脱ぎ捨てたのに、
8つの命を取り戻せると聞くとじっとしていられなくなります。
 
“シュレック”が流行ったのはずいぶん前のことだから、
今そのときのネコと言われてもそれほどは盛り上がれません。
だけど、セラピードッグを夢見るワンコやクマの親子、こえぇオオカミなど楽しさ満点。
 
嗚呼、字幕版が観たい。上映が打ち切られなければなんばまで観に行きます。

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『The Son/息子』

2023年03月30日 | 映画(さ行)
『The Son/息子』(原題:The Son)
監督:フロリアン・ゼレール
出演:ヒュー・ジャックマン,ローラ・ダーン,ヴァネッサ・カービー,
   ゼン・マクグラス,ヒュー・クァーシー,アンソニー・ホプキンス他
 
動物園前の動楽亭へ落語を聴きに行く前に1本だけ。
大阪ステーションシティシネマにて。
 
劇作家でもあるフロリアン・ゼレール監督が、自身の戯曲を映画化。
『ファーザー』(2020)の監督ということで、とても重くキツイ。
 
高層ビルの上階にオフィスを持つ敏腕弁護士のピーターは、妻ケイトと離婚。
再婚したベスとの間に息子テオが生まれたばかり。
政界進出も夢ではなくなり、充実した日々を送っている。
 
そんなある日、突然ケイトが訪ねてくる。
何度も連絡を取ろうとしたのに電話に出ようともしないピーターに
緊急の用事でどうしても会いたくて押しかけてきたらしい。
 
ケイトによれば、ピーターとケイトの17歳になる息子ニコラスの様子がおかしい。
高校生の彼は、ここのところ登校するふりをしてどこかで時間を潰していた模様。
ご丁寧に学校には親のふりをしてメールまで送っていたせいで、ケイトは気づかなかった。
 
ピーターがニコラスと話してみると、ニコラスは「パパと暮らしたい」と言う。
なんとかベスに納得してもらい、しばらくの間、ニコラスを引き取ることに。
 
転校したニコラスはピーターに笑顔を見せ、順調な新生活を匂わせる。
ひと安心するピーターとケイトだったが……。
 
ニコラスには自傷癖があり、精神的に問題を抱えていることはわかりますが、
具体的に「急性うつ病」という病名が出てくるのは最後の最後。
 
相当キツイです。
学校に行かない、ベスに心ない言葉を投げかける、家の物がなくなったりも。
親が息子を心配するのは当然だけど、私のような他人から見れば可愛くないガキ。
親の離婚で傷つけられたとしても、その態度はどうよと思う。
 
でも本人は何がつらいのか自分でもわからない。
父親から「どう生きたいのか。パパがおまえぐらいの頃は」とかなんとか詰め寄られる。
ヒュー・ジャックマン演じるピーターは、アンソニー・ホプキンス演じる自らの父親を恨み、
あんな父親だけにはならないでおこうと思っているけれど、
気づけば自分は息子にとって父親そっくりの父親になっているのです。
 
うつ病を患った息子は入院を拒否して、家に連れ帰ってほしいと両親に懇願する。
医師から「このまま帰宅すればまた自殺を図るかもしれませんよ」と言われても、
息子の望みを叶えたい、息子が「治った」という言葉を信じたいと両親が思った結果、どうなるか。
 
ハッピーエンドが待つほど甘くはない。
つらいつらい物語。

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『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』

2023年03月29日 | 映画(た行)
『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』(原題:Moonage Daydream)
監督:ブレット・モーゲン
 
109シネマズ箕面にて、仕事帰りに2本ハシゴの2本目。
前述の『ロストケア』の次に観たドイツ/アメリカ作品。
 
タイトルどおり、デヴィッド・ボウイを撮り収めた作品です。
デヴィッド・ボウイ財団初の公式認定ドキュメンタリーなのだとか。
そんな財団があることすら知りませんでしたが、
そら、ま、あるか。デヴィッド・ボウイなんだから。
 
財団が保有するアーカイブ映像から厳選し、この1本にまとめ上げたのはブレット・モーゲン監督。
 
音楽家を対象にしたドキュメンタリーって、音楽目当てで観に行ったら、
思ったほど音楽は流れなくてガッカリしてしまうことがかなりの確率であります。
でも本作はその数にして40。音楽が流れっぱなしと言ってもよいほど。
それはそれで嬉しかったのですけれど、すみません、やっぱりちょっと寝てしまったよ(笑)。
 
しかし、どこに行こうがかまわないのにわざわざベルリンを選んだ理由とか、
彼の思惑通り、こんな大スターが歩いていてもまるで気にしない街の景色が面白かったり、
コンサートの様子も頻繁に映し出されたりして、寝ている場合じゃない。
 
鑑賞中ずっと『LIFE!』(2013)を思い出していました。
デヴィッド・ボウイの曲“スペイス・オディティ”が使われていたからでしょうね。
それがまた気持ちよくて。
 
寝ていた部分を確認するために再鑑賞するのはやめておきます。
また寝てしまうと困るから。(^^;

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『ロストケア』

2023年03月28日 | 映画(ら行)
『ロストケア』
監督:前田哲
出演:松山ケンイチ,長澤まさみ,鈴鹿央士,坂井真紀,戸田菜穂,峯村リエ,加藤菜津,
   やす(ずん),岩谷健司,井上肇,綾戸智恵,梶原善,藤田弓子,柄本明他
 
109シネマズ箕面にて、仕事帰りに2本ハシゴの1本目。
この日が封切り日でした。
 
原作は葉真中顕の同名ベストセラー小説。
買うタイミングを逸したまま今まで来て、積読の山の中にもありません。
今さらだけど、読もうかなと思ってはいます。
 
『月はどっちに出ている』(1993)や『Shall we ダンス?』(1996)の助監督を経て、
いまやすっかりメジャー監督になった前田哲
しかし本作を観て気づいたのですが、私は同監督のシリアスなテーマの作品よりも、
『極道めし』(2011)や『老後の資金がありません!』(2020)のような作品のほうが好きみたい。
刑務所の中の食事や財産の話もシリアスといえばシリアスか。
 
訪問介護センターに勤める斯波宗典(松山ケンイチ)は、
介護家族からも同僚たちからも信頼と尊敬を集めている献身的な介護士
 
センターの所長・団元晴(井上肇)の遺体がある家庭で見つかる。
それは斯波たちが訪問介護に訪れていた家庭で、
団は夜中に物盗り目的で侵入し、誤って階段から転落死したと推測されたが、
階下で眠っていた老人も息を引き取っており、こちらは自然死と判断される。
 
団の事件を担当することになった検事の大友秀美(長澤まさみ)は、
アシスタントの椎名幸太(鈴鹿央士)と共に調べるうち、
事件当夜に現場付近を斯波が通っていたことを突き止める。
 
老人の様子が心配で見に行っただけだという斯波だったが、
さらに調べてみると、このセンターで看ている老人だけ死亡率が異様に高いこと、
また、老人の死亡が斯波の仕事休みの日に集中していることに気づき……。
 
戸田菜穂坂井真紀演じる女性たちは、夫の仕事を手伝っていたり、シングルマザーだったりして、
それだけでもじゅうぶん大変なのに、認知症の親の面倒もみなければなりません。
肉体的にも精神的にも追い込まれ、いっぱいいっぱいどころかそれ以上。
介護に関わる近親者が対象者を殺めることも多いのだという事実に驚愕してしまうけれど、
そりゃ「死んでくれたら楽なのに」と思っても不思議はない。
 
斯波は父親(柄本明)をずっと介護していましたが、仕事をしながらでは介護できなくなる。
仕事を辞めて看はじめても、父親の認知症の進行はもちろん止められない。
そのうち金が底を突き、まともに3食の食事すら摂れなくなります。
意を決して生活保護の受給申請に行くと、「お父様は働けなくてもアナタは働けるでしょ。
アナタが頑張って」とすげなく追い返される。
 
「僕はもう何を頑張ればいいのかわからなくなりました」。
斯波役の松山ケンイチのこのときの表情には胸を押しつぶされそうになります。
 
正義を振りかざして斯波を断罪しようとする大友。
社会的ステータスも高く、安定した収入がある彼女のことを斯波は揶揄します。
それに猛反発する大友は、実は父を孤独死させ、母(藤田弓子)も施設で認知症を発症。
人のことを責めながら、自分の罪悪感を払拭しようとしているわけで。
 
同監督の『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』(2018)とか本作とか、
重すぎるテーマのときに、どうも役者に頑張ってしゃべらせすぎる印象があります。
長澤まさみは言うまでもなく良い役者ですが、これほど声高に台詞を叫ばれるとちょっと興ざめ。
ここが泣きどころで感動のしどころですよと押しつけられているように思えて。
 
ということで、全面的に良い作品だったとは私には感じられないのですが、
『グッド・ナース』(2022)の看護師のようなシリアルキラーとは明らかに違い、
斯波の言葉には耳を傾けたくなります。そしてこの国の福祉事情が変わると思いたい。

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『わたしの幸せな結婚』

2023年03月27日 | 映画(わ行)
『わたしの幸せな結婚』
監督:塚原あゆ子
出演:目黒蓮,今田美桜,高橋努,山口紗弥加,髙石あかり,小林涼子,山本未來,小越勇輝,
   石橋蓮司,大西流星,尾上右近,前田旺志郎,津田健次郎,渡邊圭祐,火野正平他
 
109シネマズ箕面にて。
 
スルーするつもりでいました。
だって、Snow Man目黒蓮とかなにわ男子大西流星とか、顔見ても全然わからんし。
でも、わりと最近、かまいたちの『これ余談なんですけど…』に流星くんが出ていて、
やっぱり関西の子っておもろいなぁと思いました。
ジャニーズなのに、お笑いまでトレーニングに組み込まれているなんて知らんかったけど。
と言っても、スルーつもりでいたものを観に行ったのは、単にほかに観るものがなかったからです。
 
原作は、顎木あくみの富士見L文庫の同名ベストセラー小説だそうで。
富士見L文庫って、学生時代に私が書店でバイトしていた頃にはなかったと思います。
私のイメージは、富士見書房といえば富士見ロマン文庫。
こりゃもうフランス書院文庫と双璧をなすエロエロ文庫でしょう。
その富士見書房がもともと角川書店の1グループだったということは知りませんでしたが、
1990年代初めには完全に角川書店に吸収合併されたそうですね。
「富士見」という名前は事業部の名称として残り、ライトノベル系文芸作品のレーベルが富士見L文庫。
 
てな話は明らかな余談。映画化したのは主にTVドラマで活躍する塚原あゆ子監督。
思いのほか面白くて、序盤から泣いちゃって、スルーしなくてよかった。
 
異能者であることが価値ありとみなされる時代。
優れた異能を持つ名家に長女として生まれながら異能を持たない斎森美世(今田美桜)。
彼女を守ってくれた実母(土屋太鳳)は美世が幼い頃に亡くなり、
斎森家の当主・真一(高橋努)は香乃子(山口紗弥加)と再婚する。
 
真一と香乃子の間には斎森家の次女・香耶(髙石あかり)が異能を持って生まれる。
異能を持たない美世は使用人として扱われ、凄絶な虐めを受ける。
それでも美世はいっさい抵抗することなく、手をあかぎれだらけにしながら毎日を過ごす。
 
やがて香耶が幼なじみで名家の息子・辰石幸次(小越勇輝)と婚約したのをきっかけに、
美世のことを厄介払いしようと、真一と香乃子は結婚話を進める。
美世の嫁ぎ先は、文句のつけようもない名家・久堂家。
その当主・久堂清霞(目黒蓮)は若くして異能部隊を率いるエリート軍人だが、冷酷無慈悲との噂。
これまでに送り込まれた数多の婚約者は全員3日と持たずに逃げ出したらしい。
 
継ぎ接ぎだらけの着物と風呂敷包みをたったひとつ持って自力で久堂家にやってきた美世。
久堂家に長らく仕えている通いの家政婦・ゆり江(山本未來)は美世を認め、
これまでにやってきた女性たちとは違うようだと清霞に進言、つれない態度を諫める。
 
怯えながらも心の限りを尽くして清霞に接していた美世は、清霞の優しさに触れる。
ふたりはお互いに惹かれるようになるのだが……。
 
継母と異母妹の意地悪さと言ったら、「おまえら死ね~!」と叫びたくなるぐらい。
凄いですよ、山口紗弥加と髙石あかりの演技。根性悪にしか見えない顔(笑)。
一方の美世役の今田美桜の健気で可愛いこと。
朝ごはんを食べた清霞が「旨いな」とつぶやいたのを聞いて、
それまで自分が作った料理を褒めてもらったことなどなかった美世の目にみるみるうちに涙が。
このシーンでは私も一緒に泣いちゃいましたね。まさかこの映画で泣くとは(笑)。
 
能力を隠したり、陰謀を企んだり、どれもこれも子を思ってのことだと思うと複雑。
異能を持っていないと思われていた美世には当然異能があるわけで、最後にそれが発せられる。
正直なところ、これがどういう異能だったのか、説明しろと言われてもよくわからない。
わからないけれど、清霞を助けたい一心で現場に駆けつける美世、よかったなぁ。

なんか予想外に結構キュンキュンできます。やっぱり何でも観てみるもんですね。(^O^)

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