夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『GODZILLA ゴジラ』

2014年07月31日 | 映画(か行)
『GODZILLA ゴジラ』(原題:GODZILLA)
監督:ギャレス・エドワーズ
出演:アーロン・テイラー=ジョンソン,渡辺謙,エリザベス・オルセン,ジュリエット・ビノシュ,
   サリー・ホーキンス,デヴィッド・ストラザーン,ブライアン・クランストン他

二日酔いと睡眠不足の頭にも安泰な『エイトレンジャー2』を観たあとは、
これもきっと大丈夫、ほぼ満席の『GODZILLA』です。

『ゴジラ 60周年記念デジタルリマスター版』を観たのが1カ月前。
1998年のローランド・エメリッヒ監督によるハリウッド版ゴジラは、
オリジナルのゴジラのイメージとはかけ離れた怪獣でしたが、
2014年のハリウッド版ゴジラは、オリジナルのゴジラを愛して止まない新鋭監督によるもの。
オリジナルに対する敬意とゴジラへの愛着がそこここに見受けられます。

1999年、フィリピンの炭鉱を調査中だった科学者・芹沢博士と
女性助手のグレアム博士は、謎の巨大生物の化石を発見。
化石から何かが抜け出した痕跡があり、その何かは海へ向かった可能性がある。

同じ頃、日本の雀路羅市にある原子力発電所に勤務する科学者・ブロディ夫妻は、
原因がまったくわからない振動と電磁波を探知する。
ジョーとサンドラのブロディ夫妻が出勤したのち、
大きな振動に見舞われて放射能事故を誘発、サンドラは現場で死亡してしまう。

15年後、夫妻の息子で当時まだ幼かったフォードは、米海軍に所属。
妻のエル、息子のサムとともにサンフランシスコで幸せに暮らしていたが、
いまだに振動の謎に取り憑かれたままの父親ジョーが、
あの事故以来、立入禁止となっている区域に侵入して逮捕されたと連絡が入る。

父親を連れてすぐに帰るとエルに約束、フォードは日本へ。
釈放されたジョーが言うには、15年前と同じ振動がまた起きている、
どうしても真相を解明しなければならないと。
立入禁止区域にある元の自宅に残してきたデータを取りに行くと言い張るジョーに、
フォードは渋々つきあうはめに。
データを回収したところで侵入が見つかって捕らえられ……。

ハリウッド版だけど、監督はイギリス人、主演もイギリス人。
ちょっとマニアックなキャストがまず嬉しいじゃないですか。
その筆頭がフランス人のジュリエット・ビノシュ
こんな作品におよそ似つかわしくない彼女はサンドラ役で登場。
ほんの数分で昇天してしまうのですから、なんたる贅沢な使い方。
しかもその数分で泣かせてくれます。どうしよう、のっけから泣きモード。

もはやメジャー級のハリウッド俳優、渡辺謙のことは言うまでもなし。
その助手役のサリー・ホーキンスは『ブルージャスミン』の妹役だった女優さん。
品のない役が似合うなぁと思っていたのに、今回は知的な科学者だもの。
ちなみにこの人もイギリス人。

主演のフォード役はアーロン・テイラー=ジョンソン
この人のことを書くときには、やはり「奥さんは23歳上」と言いたくなってしまいます。
奥さんとのツーショット写真を見ると、どうしても親子にしか思えません。
これだけ色気があって、知名度も上昇しっぱなしだと、奥さんは心配でしょう。

そんな彼と似合いの夫婦役、エルを演じているのは、
双子のオルセン姉妹を姉に持つエリザベス・オルセン。カワイイ。
アーロンはこの人とのツーショットのほうがいいんだけどなぁ。

嫌な人の役が多いデヴィッド・ストラザーンが海軍の提督役で、
今回は国民の平和を守ろうとしつつ、芹沢博士の言葉にも賭けてみる人。
ジョー役には『アルゴ』(2012)が良かったブライアン・クランストン。
信念のある善人役がやっぱり似合います。

ゴジラだけが出てくるのかと思いきや、昆虫系の気持ち悪い怪獣ムートーが大暴れ。
人間にとって同様に敵だったはずのゴジラが頼みの綱、
最後は人類の救世主となるだなんて、どんだけゴジラが好きなの。

つまらないとは言いたくない、わくわくして観なきゃ損。
2Dで観ましたが、3Dはさらに迫力があると想像します。

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『エイトレンジャー2』

2014年07月29日 | 映画(あ行)
『エイトレンジャー2』
監督:堤幸彦
出演:渋谷すばる,横山裕,村上信五,丸山隆平,安田章大,錦戸亮,大倉忠義,
   前田敦子,ベッキー,赤井英和,甲本雅裕,竹中直人,東山紀之他

わが家のベランダ用のサンダルは、ダンナがタイで買ってきたもの。
ものすごく暑かった日、ダンナが「暑さで反ってしもた」。
タイより暑いってか!?

そんな日だったので、梅田まで映画を観に出かけたものの、スカイビルまで歩く元気なし。
ここは安直な選択ながら、深く考えずに済みそうな本作を。

前作はDVDでしっかり鑑賞したにもかかわらず、
“関ジャニ∞”のメンバーを覚えることがなかなかできず、
鑑賞前にはっきり認識できていたのは村上くんと錦戸くんのみ。
安田くんはわりと最近観た『ばしゃ馬さんとビッグマウス』(2013)で覚えたばかり。
1本観ただけの大倉くんはうっすらぼんやりとしかわからない。
丸山くんにいたっては、鑑賞後にやっと“ジビキ先生”だったと気づきました。
この程度の理解でゴメンナサイ。

近未来都市の八萬市は、かつて、テロ組織“ダーククルセイド”に脅かされた。
その恐怖から街を守ったのが雇われヒーローの“エイトレンジャー”。

あれから5年後の2040年。
八萬市は、大鶴市長(赤井英和)が推進する“ゼロ・プロジェクト”により、犯罪発生率0%。
エイトレンジャーは、市民から街の救世主として崇められているが、
実際には仕事らしい仕事など何もせずに高給をもらっている。

公表では犯罪ゼロなのに、行方不明者が続出していることに気づいた記者の純(前田敦子)は、
エイトレンジャーがそれに関わっているのではないかという疑念を抱き、
産休に入るエイトレンジャーの秘書の代替要員に応募する。

エイトレンジャーたちの日々の行動を追ってみると、
ナス(村上信五)はホステスに入れあげ、
オレンジ(丸山隆平)はTVショッピングに出演するも駄目だしばかり喰らっている。
ブルー(丸山隆平)は元妻似のブス女にハマり、
イエロー(錦戸亮)はロック歌手になるはずがアイドル歌手になってしまう。
常にスルーされるキャラのブラック(横山裕)はスネどおし。
そしてグリーン(大倉忠義)は純に一目惚れしてほとんどストーキング。

そんななか、レッド(渋谷すばる)だけが姿を見せない。
レッドは、現況が総理大臣(竹中直人)と市長の陰謀であると知り、
ダーククルセイド総統(東山紀之)の指示で動きはじめていたのだが……。

村上くんの「キラ~ン」はたいがい鬱陶しいですが(笑)、
二日酔いの頭に睡眠不足でもそれなりに楽しめます。
アラサーだというのに恥ずかしくなるような演技をやりきるメンバー、
凜々しい真顔でそれにつきあっているヒガシにはあっぱれというほかありません。
おちゃらけたところ一切なしの竹中直人は久々に見た気が。

関ジャニ∞のメンバー全員、これでやっと覚えられた気がします。
いくつになってもそのままで頼みます。(^O^)

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『複製された男』

2014年07月27日 | 映画(は行)
『複製された男』(原題:Enemy)
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:ジェイク・ギレンホール,メラニー・ロラン,サラ・ガドン,イザベラ・ロッセリーニ,
   ジョシュア・ピース,ティム・ポスト,ケダー・ブラウン,ダリル・ディン他

『思い出のマーニー』『エスケイプ・フロム・トゥモロー』と、
TOHOシネマズ梅田で観終わったのが13:45。
本作はシネ・リーブル梅田で14:40からだったので、
電池切れしてからもう長く経つ腕時計をヨドバシカメラに持って行くチャンス。

14:00にヨドバシに着いたら、電池交換の待ち時間が30分。
14:30に受け取れたら上映開始にもバッチリ間に合う。
前日から読みはじめた京極夏彦の『幽談』を読んでいたら、
電池交換完了までに読了してしまった。これでは帰りの電車で読む本がない。(T_T)
家に帰れば未読本が150冊あるというのに。
電車に乗る前にブックファーストに寄ろうと決めて梅田スカイビルへ。

前2作を観て、ハズレなしの印象を持ったドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。
『プリズナーズ』でお気に入りになったのか、ジェイク・ギレンホールを主演に迎えて。
原作はポルトガル出身のノーベル文学賞受賞作家ジョゼ・サラマーゴの小説で、
邦題と同じ意味の“O Homem Duplicado”。
それをわざわざ“Enemy”とした本作、人には薦めづらいけど、いろんな意味でものすごく面白い。

大学で歴史の教鞭を執るアダムは、同僚から1本の映画を薦められる。
映画を観る趣味はないが、同僚の態度が意味深だったこともあり、
『道は開かれる』というタイトルのその映画をDVDショップで借りて帰る。

DVDを観たアダムは愕然。端役で出演していた俳優が自分と瓜二つだったのだ。
そっくりなどというレベルではなく、それは自分そのもの。
気になって仕方ないアダムは、その俳優の名前がアンソニーであることを突き止め、
所属事務所を訪れるが、アンソニーはあいにく不在。
しかし、守衛がアダムをアンソニーと間違い、アンソニー宛の郵便物を手渡される。

郵便物からアンソニーの自宅住所を知ったアダムは、電話をかけてみる。
すると、電話に出たアンソニーの妻とおぼしき女性は、
アダムの声を聞いてアンソニーだと思い込む。声までも同じなのか。

とりあえず一度会ってみることにしたアダムとアンソニー。
ところが、顔と声どころか、後天的にできた傷跡も同じ位置にある。
服装以外はすべてがまったく同じで……。

キャッチコピーは、
「“脳力”が試される、究極の心理ミステリー あなたは、一度で見抜けるか」。
こりゃ見抜くのは大変、普通は想像もつかない話で、トリックと言うのも妙な感じ。

だけど、考えれば考えるほど面白い。以下、もろネタバレです。

冒頭、廊下を歩く男の後ろ姿はアンソニーのものだと思わされますが、
後から考えるとあれはアダムだったのかと。

いかがわしいポルノクラブで裸の美女が蜘蛛を踏みつぶし、
それを見て興奮する、社会的地位の高そうな男性たち。
これに関わっているのがアンソニーで、悪そうな男そのもの。
妊娠6カ月になる妻ヘレンはアンソニーの浮気を疑っています。

一方のアダムは堅い職業に就く、おとなしい男。
母親からの電話では息子の贅沢な部屋と気ままな生活を心配する言葉があり、
この息子のどこにそんな心配をする部分があるのかと思います。
その疑問点を頭に置いておけば、後からなるほどと納得。

アダムにはメアリーという恋人がいて、アンソニーはメアリーに目を付けます。
この女と一発ヤリたい、そう考えたアンソニーは、アダムに難癖をつけて、
一晩入れ替わる話を持ちかけます。
お互いの服を着て相手になりすまし、アダムはアンソニーの家へ、
アンソニーはアダムの車に乗ってメアリーを迎えに。

ヘレンの帰宅前、アダムはアンソニー宅で1枚の写真を見つけます。
アンソニーとヘレンが写る写真。それはアダムも持っている写真でした。
けれども、アダムが持っている写真はふたつに裂かれていて、ヘレンは写っていません。

ふたりが幸せそうに笑っている写真を見ると、
アダムとアンソニーは同一人物で、かつては優しい男だったアダムが、
いかがわしい仕事に手を染めて、高級を稼ぐようになる。
こうなったところからがアンソニーで、暮らしぶりはよくなったけれども、
浮気もし、夫婦仲は冷めてしまった。母親はそんな息子を心配している。
そんなふうにも考えられます。同一人物ではなく、「まるで同一人物」的なもの。

2組のカップルがその後どうなったかと言うと、
いま目の前にいる男は自分の夫(アンソニー)ではないと気づいたヘレンは、
もとの優しい人に戻った夫と瓜二つの男(アダム)を受け入れます。
かたやメアリーは目の前にいる男(アンソニー)が恋人(アダム)ではないと気づき、
車の中で逆上、運転を誤って車はクラッシュ、アンソニーとメアリーは死亡。

序盤の歴史の授業中に「Controlの歴史はくり返される」とアダムの言葉。
そこでまたまた考えてみると、
男をコントロールしたがる女がいて、それは妻だったり恋人だったり母親だったりする。
コントロールしたがる女の象徴が蜘蛛であり、蜘蛛を踏みつぶしたい欲求が男にはある。
コントロールしたがる女を征服したり殺したりすることに成功したように見えても、
結局目の前にはまたコントロールしたがる女が現れる。そんなところかと。

アダムはいつしかアンソニーになり、またアダムになってアンソニーになる。
結婚して妻となった女性を裏切り、愛人に走るけれど、また妻に戻る。
何にしてもそのくり返し。歴史はくり返されるのだと。
最後のシーンは最初のシーンに繋がっているのですよね、たぶん。

アダムが借りたDVDのタイトルのように道は開かれたはずだったのに逆戻り。
ストレス解消作用のあるブルーベリーが双方で出てきたり、意味深なことばかり。
ちなみに、ブルーベリーに付く害虫は蜘蛛が駆除してくれるそうです。

オチのシーンではおそらく大半の人がお口あんぐりだったはず。
私もふきました。だって巨大な蜘蛛がいきなり出てくるなんて、反則でしょ。
と思ったけれど、考えれば考えるほど面白い。

“Enemy(=敵)”は複製された自分自身ではなく、コントロールしたがる女か。

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『エスケイプ・フロム・トゥモロー』

2014年07月26日 | 映画(あ行)
『エスケイプ・フロム・トゥモロー』(原題:Escape From Tomorrow)
監督:ランディ・ムーア
出演:ロイ・エイブラムソン,エレナ・シューバー,カテリン・ロドリゲス,
   ジャック・ダルトン,アリソン・リーズ=テイラー他

前述の『思い出のマーニー』とハシゴ、同じくTOHOシネマズ梅田で。

ランディ・ムーア監督は、フロリダ州ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートで無許可撮影を敢行。
夢の国の楽しいお話ならともかく、ものすごくダークなファンタジー。
今日現在、ディズニーから訴えられずに済んでいるというのですから、
ディズニーの懐が深いのか、相手にするのもアホらしいと思っているのか。
全編モノクロ、徹底して不気味。イカレています。

中年男性ジムは、妻エミリー、息子エリオットと娘サラを連れて、
休暇を過ごすためにディズニー・ワールドを訪れている。
休暇最後の日の朝、上司からの電話で突然クビを告げられるが、
家族にそれを言い出せないまま、アトラクションへと出発。

凹んだ気持ちを知る由もない妻は口うるさいし、息子も娘もワガママの言い放題。
現実から逃避しようとアトラクションに目を向けるが、
なぜか人形の顔つきが歪み、邪悪な眼差しをジムに送るではないか。

そんなとき、フランス人の若い女性がジムの視界に入る。
露出度の高い服を着た2人に目が釘付けになり、
追いかけるように2人と同じアトラクションにばかり入るジム。

おかげでエリオットは気分が悪くなって吐くわ、
サラは押されて転び、膝をすりむくわ。
ジム自身も爪先に怪我して出血の惨事に見舞われ……。

ぶっ飛んではいますが、無許可・低予算で撮ったと思えないほど映像が綺麗。
ぶれぶれではないから、映像に酔うこともありません。
その点はB級っぽくないとでも言えばいいでしょうか。

しかし、話ははちゃめちゃ。
黒いプリンセスにはベッドに縛り付けられてヤラれちゃうし、
最終的には猫インフルエンザなるものに感染、毛玉を吐いて猫目になって死亡。
ジムは脳内をスキャンされていて、フランス人女性の登場も陰謀の一環。
ジム亡き後はエリオットが次のターゲットになったのか。

一度観ただけでは理解に苦しみ、たぶん何度観ても理解に苦しむ。
もっとも、居心地悪い音楽のせいもあり、何度も観る気にはなれませんけれども。

完成させて、訴えもされずに世界中で公開したのですから、それだけでもアッパレ。
目が点になるおもしろさはあります。
世の中にはいろんな変態がいるということで。

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『思い出のマーニー』

2014年07月25日 | 映画(あ行)
『思い出のマーニー』
監督:米林宏昌
声の出演:高月彩良,有村架純,松嶋菜々子,寺島進,根岸季衣,
     森山良子,吉行和子,黒木瞳,森崎博之,安田顕他

十三で3本観た日の晩、京都へ。
行きつけのお店のソムリエ2人と食事をして、まだ宵の口。
しらふのダンナの運転で名神~新御を走って中津のワインバーへ。

もともとは京都でお別れするつもりだったため、中津に行くのは突然の思いつき。
いきなり行って臨時休業中だと困るので、
携帯不所持の私はソムリエに電話してもらったのですが、私は携帯で喋るのまで苦手。
相手の声が聞こえにくいし、どこに向かって話せばいいのかわからないのです。
そこでソムリエに中津のオーナー(互いに面識なし)とそのまま話してもらい、
現在ウチと一緒に京都にいて、今から中津へ行くからと伝えてもらいました。

電車がなくなる頃まで中津で飲んで、翌日は連休最後の日。
またしても飲みすぎの頭で早起きして、
眠たくならないことを祈りながらTOHOシネマズ梅田へ。

原作者は20世紀のイギリスの児童文学作家ジョーン・G・ロビンソン。
日本では1980年に岩波少年文庫より翻訳出版されたそうです。

札幌に暮らす中学1年生の杏奈には友だちがいない。
つらい生い立ちから心を閉ざし、孤独な日々を送っている。

あるとき、持病の喘息が悪化。
夏休み中に空気の綺麗なところで療養してはどうかと医者から勧められ、
養母の親戚でおおらかな夫婦が住む海辺の村を訪れる。

スケッチブック片手にふらりと出かけた先で、ふと目に留まる入江の古い屋敷。
地元の人からは湿っ地(しめっち)屋敷と呼ばれ、幽霊が出るという噂もあるらしい。
しかし杏奈はなぜか懐かしさを感じ、足を踏み入れる。

以来、うつつかまぼろしか、杏奈の前には屋敷に住む金髪の少女が現れるように。
少女はマーニーと名乗り、ふたりは友情を育んでゆくのだが……。

絵画的には美しく、そこのところは文句のつけようがありません。
だけど、正直なところ、ちょっと苦手な展開。

わりと最近、職場でイマドキの子どもたちは……という話になりました。
小学生や中学生の子ども(特に女の子でしょうか)を持つ同僚が、
「友だちでいること」を確認せずにいられない子が多いと言うのを聞き、
へ~、そうなのかと思いました。本作はまさにそれを裏付けているかのよう。

杏奈とマーニー、こうして会っていることはふたりだけの秘密。
私たちはいちばんの友だち、大の仲良しで絶対に裏切ったりしない。
「友だちだよね」という確認がやたら多くて、私にはしんどい。
友情より恋愛を取ったかに見えたマーニーを非難し、絶対に許さないと言う。
許してほしいと言うマーニーに、「許してあげる」。
だからキライなんだってば、「~してあげる」が。

実在しないマーニーとの関係よりも、
マーニーはいったい誰なのかを明らかにする鍵となる転校生・さやかとの関係が○。
木訥すぎるおっちゃん、十一(といち)の存在も良かったです。

イマドキの女の子たちの不安を思い、大変だなぁと。
言わなわからん派ではあるけれど、友だちかどうかをそんなに口に出して確認しなきゃいけないなんて。
複雑な気持ちです。

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