夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『グッバイ、ドン・グリーズ!』

2022年02月28日 | 映画(か行)
『グッバイ、ドン・グリーズ!』
監督:いしづかあつこ
声の出演:花江夏樹,梶裕貴,村瀬歩,花澤香菜,田村淳,指原莉乃他
 
109シネマズ箕面にて。
 
原作は2週間前に読みました。そのときのレビューはこちら
もともとノベライズにはほとんど期待していません。
それでも手に取るのはまずは「薄い」という理由からです。
そして映画を観る予定があるか既に観たか、でないと読むことはありません。
 
いしづかあつこ監督とマッドハウスによるオリジナル劇場アニメーション。
いしづか監督の代表作は『宇宙よりも遠い場所』という大ヒットTVアニメだそうですが、
観ていないのです、すみません。だから知らない監督だと思っていましたが、
 
関東の田舎町に暮らす中学生男子ロウマ。
家業を同級生たちから笑われて周囲に馴染めずにいたが、唯一、トトと意気投合。
ふたりだけのチーム“ドン・グリーズ”を結成し、秘密基地で遊ぶ。
 
東京の高校に進学したトトと夏休みに再会することに。
その少し前、ロウマはアイスランド出身の風変わりな中学生ドロップと出会い、
トトに事前に話すことなくドロップを秘密基地へと招いていた。
 
最初はふて腐れてる素振りを見せたトトだったが、ドロップはまったく気にしない。
やがて3人とも親しくなり、夏を一緒に過ごすようになるのだが……。
 
客は私以外に4人。うち1人は大人男性。
あとは若いお母さんとその子どもとおぼしき3人連れ。
この物語を理解するには小さすぎる男の子でしたが、めちゃめちゃお行儀がいい。
少々疲れ気味でところどころ寝てしまった私の隣席で
ちゃんと目を見開いて観ていたようです。感想が聴きたい。
 
ノベライズを読んでいるから寝ていてもわかるという安心感(笑)。
想像していたほど面白かったとは思えませんが、映像はとても綺麗でした。
特に、ロウマとトトが旅先で目にする風景は、滝の水しぶきすら飛んできそう。
キラキラとした輝きに息を飲むほど。
 
こんなところに公衆電話。あるはずもないけどあったら素敵です。
そしてこんな偶然もあるわけないけれど、あったら素晴らしい。
 
昔、『ズッコケ三人組』なんてシリーズがありました。
男子三人組って、なんか楽しげでいいですよね。

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『君が落とした青空』

2022年02月27日 | 映画(か行)
『君が落とした青空』
監督:Yuki Saito
出演:福本莉子,松田元太,板垣瑞生,横田真悠,莉子,矢柴俊博,松本若菜他
 
高校生じゃなくなってから何十年も経つから、
これはもう観なくてもいいかなぁと思いつつイオンシネマ茨木へ。
 
原作は櫻いいよの同名小説。ケータイ小説として発表されたのち文庫化。
監督のYuki Saitoは“おっさんずラブ”に担当回もあるようで。
ユキ・サイトウで女性かと思っていたら、ユウキ・サイトウという男性でした。
エンドロールに、三木孝浩監督と月川翔監督への謝意あり。
うん、なんとなく似た作風というのか、みんなこれ撮りそうな人。
 
高校3年生の実結(みゆ)(福本莉子)は、1年生のときの雨の日、
傘を貸してくれた同級生の修弥(松田元太)とつきあい始めて2年。
しかし、これはつきあっているというのかなんなのか、
修弥の提案で最初に交わした約束は、毎月1日に必ず一緒に映画を見ることだけ。
 
もっと会いたいのに素直に言えないうえ、クラスが離れてしまった今、
修弥が同級生のトモカ(横田真悠)と親しいらしいという噂を耳にして、
どうしても修弥のことを信用しきれずにいる。
 
11月1日。毎月と同じく実結と修弥は映画館に行くが、
上映前にかかってきた電話を受けた修弥は「急用ができた」と去ってしまう。
数時間後、修弥から「会いたい」と呼び出されるが、憮然としたままの実結。
別れの言葉を口にしてその場を離れようとしたとき、
車に轢かれそうになった実結をかばった修弥がはねられる。
 
目を覚ました実結は、今日もまた11月1日であることに気づく。
なんとか前回と違う行動をして修弥が事故に遭わないようにしようと考えるのだが……。
 
この手の物語を初めて観る人には斬新かもしれませんが、
さんざん観てきた者にとっては目新しさはありません。
どういうワザを使って新しさを見せてくれるのかと思ったけれど、うーむ。
 
なぜタイムリープに陥ったのか。『パーム・スプリングス』(2020)のような解明は無し。
ならばタイムリープ中の出来事を楽しめるか。
残念ながら『ハッピー・デス・デイ』(2017)や『ハッピー・デス・デイ 2U』(2019)みたいに面白くはない。
かといって『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』(2019)みたいに素敵でもなく。
ネタバレですけど、最後なんて、「死なへんかったんかい!」。
急に元気な姿で登場しておしまいって、凄い拍子抜け。このハッピーエンド、あり?
 
よかったシーンを挙げるとすれば、同じ日を繰り返すうち、
松本若菜演じる母親が毎日制服のスカートにアイロンをかけていてくれたことを知るところかな。
あと、「今日が最後だと思って毎日を生きる」ってところですね。

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『西成ゴローの四億円 死闘篇』

2022年02月26日 | 映画(な行)
『西成ゴローの四億円 死闘篇』
監督:上西雄大
出演:上西雄大,津田寛治,山崎真実,徳竹未夏,古川藍,笹野高史,
   木下ほうか,加藤雅也,松原智恵子,石橋蓮司,奥田瑛二他
 
前述の『西成ゴローの四億円』が前編で、この『死闘篇』が後編となります。
大いに沸いた舞台挨拶の後、客の大半が続けて後編になだれ込んだのでは。
 
愛娘の手術費4億円を作るため、闇仕事を引き受けては片付けるゴロー(上西雄大)。
やがて欠けていた記憶が少しずつ戻りはじめ、
ゴローを撃って記憶を消失させたのがゴルゴダ(加藤雅也)だったことを思い出す。
 
ゴルゴダは、百鬼万里生(木下ほうか)をトップとする団体の側近。
表向きは宗教団体だが、その実はテンキングスという秘密結社で、
自分たちの活動に邪魔な人物を片っ端から始末していた。
 
一方、最初はゴローを敵視していた八神姉妹のうち、
姉の松子(徳竹未夏)はいつしかゴローに恋心を抱くように。
それに気づかない妹の梅子(古川藍)は姉の言動を不安視。
姉妹の育ての親である韓国眞劉会会長・ウーソンクー(石橋蓮司)は、
松子の気持ちにすぐに気づき、ゴローに会いたがる。
 
さて、あるとき、ゴローと親しいカネやんこと金本康治(笹野高史)が、
行方を探し当ててくれた息子と同居するために西成を出ることになった矢先、
謎の新型ウイルスに侵されて急死する。
その後、続々と日雇い労働者たちが死亡し、西成は大騒動。
しかし、なぜかゴローだけは感染しない
 
やがて、このウイルスを故意に国外から持ち込んだ張本人がゴローだと、
悪意あるニュースが流される。いったいどういうことなのか。
 
前編の舞台挨拶のとき、上西監督が「後編は前編の10倍面白いです。
製作費が5倍取れたので」とおっしゃっていました。確かに面白かった。
 
監督ご自身の言うとおり、めっちゃ「昭和」。
作品中で頻発するギャグも、昭和を生きた人間のツボだったりします。
思わずみんなでババンババンバンバン♪と歌いたくなる。
大阪人なら誰しも言う(?)、「知らんけど」も出ます。知らんけど。(^O^)
 
カッパかフランシスコ・ザビエルかというハゲ頭のゴルゴダを挑発するには
「このハゲ!」と言うだけでじゅうぶん。
ムッとする加藤雅也の顔がいちいち可笑しい。
梅子が銃をぶっ放して「カ・イ・カ・ン」というシーンがあり、
『セーラー服と機関銃』(1981)を思い出してニヤリ。
 
金を作るために眼や腎臓を売ることが普通にあると思うとつらい。
こういう作品を観ると、ただの娯楽作とは思い切れない部分があります。
 
この後編終了後も同じメンバーによる舞台挨拶が。
上西監督のトークが面白すぎて、おとなしい八神姉妹も可笑しくて、本当に楽しい夜でした。
間で酒を飲んできたという歌手“西成の神様”の歌も堪能しました。
前編のあとと後編のあと、ちゃんと違う曲を歌ってくれはりましたよ。
 
同監督の『ひとくず』(2019)もロングラン続映中です。ご覧になっていない方はぜひ。

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『西成ゴローの四億円』

2022年02月25日 | 映画(な行)
『西成ゴローの四億円』
監督:上西雄大
出演:上西雄大,津田寛治,山崎真実,徳竹未夏,古川藍,奥田瑛二他
 
先週の土曜日。昼間は落語と蕎麦会席の会へ。
結構な量の日本酒を飲んでから十三・第七藝術劇場へと向かいました。
 
早く観たいと思っていたのに、前後編続けて観られる機会がなかなかなくて。
シアタス心斎橋では後編のみしか上映していないってどーゆーこと!?
ようやく両方観る機会に恵まれたのですが、上西雄大監督、ごめんなさい。
飲み過ぎで酔っぱらい、この前編は途中で居眠りしちゃったんですよ。(-o-;
 
でも終始寝ていたわけではないので、書いておきましょうね、あらすじを。
 
舞台はタイトルどおり、大阪・西成
日雇い労働者・土師晤郎(上西雄大)には、殺人罪で服役していた過去がある。
そのため、周囲からは「人殺しのゴロー」と呼ばれているが、
ゴロー自身には人を殺したときの記憶が欠けており、
いったい自分は何者なのか、本当に殺人を犯したのかどうかがわからない。
ゴローが殺したとされるのは大物フィクサー・莫炉脩吉(奥田瑛二)の息子。
莫炉は決してゴローを許さないだろう。
 
事件をきっかけに別れたゴローの元妻・真理子(山崎真実)は職を追われ、
心臓移植が必要な難病に罹っている愛娘・裕歌(田中心彩)をひとりで見ている。
移植費用は寄付などを募ればなんとかなるものらしいが、
殺人犯の娘とあっては誰も金を出してくれるわけがない。
治療費どころか生活費も苦しく、SM風俗嬢をして暮らす日々。
 
裕歌の病のことすら知らずにいたゴローは真理子と再会。
手術には海外渡航費も含めて4億円必要であると知る。
何が何でも4億円を作ると心に誓ったゴローは……。
 
って、こんなんで合ってますかね、上西監督。(^^;
 
とにかくめっちゃ強いんですよ、このゴローが。
どんな奴らが束でかかってこようが速効で一掃。
津田寛治演じる服役前の元同僚から仕事を請け負い、殺しの案件を片付けます。
 
血が飛び交いますけれど、笑わせてくれるのが闇金を営む非道な八神姉妹。
姉・松子(徳竹未夏)、妹・梅子(古川藍)がいかついけれど可笑しい。
 
酔っぱらって寝てしまった箇所があるのが悔やまれますが、
この後、後編の前に、上西監督と八神姉妹の舞台挨拶が。
こんなに活気にあふれた劇場は久しぶりです。すげぇ楽しかった。
 
というわけで、後編に続く。

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『オペレーション・ミンスミート ナチを欺いた死体』

2022年02月24日 | 映画(あ行)
『オペレーション・ミンスミート ナチを欺いた死体』(原題:Operation Mincemeat)
監督:ジョン・マッデン
出演:コリン・ファース,マシュー・マクファディン,ジョニー・フリン,ケリー・マクドナルド,
   ペネロープ・ウィルトン,ジェイソン・アイザックス,サイモン・ラッセル・ビール他
 
前述の『アンチャーテッド』の次に、同じくイオンシネマ茨木にて。
 
戦争中にはいろんな作戦があるものなのですね。
ダンケルクの戦いの“ダイナモ作戦”も本作の“ミンスミート作戦”同様に、
当時のイギリス首相ウィンストン・チャーチルが命じた作戦。
チャーチルの作戦は結構無謀で、参謀が頭を抱えていたということは今知りました。
 
数々の作戦をチャーチル自身が考えたわけではないのでしょうが、
イギリス諜報部がひねり出した案をチャーチルが面白いと思えば実行。
面白いかどうかで決められるとたまったもんじゃありませんが、
チャーチルが「やれ」と言ったおかげで助かった命があると思うべきなのか。
 
連合国は次の戦略目標としてイタリア・シチリア島の攻略を計画。
ナチスドイツにこの計画を悟られぬよう、偽の攻撃計画をでっち上げることに。
 
チャールズ・チャムリー空軍大尉とユーエン・モンタギュー少佐は、
「イギリス軍のギリシャ上陸計画」という偽文書を持たせた死体を用意し、
それを地中海に漂流させたうえでドイツ側に回収させようとする。
死体が偶然流れ着いたとドイツ側が思い込めば、
その死体が所持していた偽文書のこともヒトラーは信じるはず。
 
絶対に失敗すると踏む諜報部長ジョン・ゴドフリーの溜息をよそに、
チャーチルはこの計画にゴーサインを出して……。
 
死体の用意がまず大変。
ピチピチ新鮮な死体が傷まないうちに計画を遂行しなければなりませんが、
身寄りのある人物だと、遺族が引き取りに来るかもしれません。
調べに調べて、軍にはまったく関係のない精神疾患者の死体を「抜擢」。
ところが予想外に彼を探していた身内が登場したりして、言い訳に苦労します。
 
チャムリーやモンタギューをはじめとする諜報部員たちが、
この死体にウィリアム・マーティン少佐という名前と身分を与え、彼の物語をつくり上げてゆく。
どこで育ち、何が好きで、嫌いで、恋人は誰で、などと考え、
次第にマーティン少佐が実在したかのように思えてきます。

モンタギューにコリン・ファース、チャムリーにマシュー・マクファディン
作戦にだけ頭を向けていられればいいのですが、
モンタギューにはスパイを疑われる弟がいたり、チャムリーには遺体の戻って来ない兄がいたり、
また、チャムリーが想いを寄せる女性諜報部員とモンタギューの仲に嫉妬したりと、
それぞれのさまざまな面倒くさい(笑)事情が行き交います。
 
マーティン少佐として世に出ることになった人物の本当の名には諸説あるようですが、
本作ではグリンドウ・マイケルであるとされ、墓にもそう記されているそうです。
 
突飛な計画のおかげで救われた命も多いけれど、亡くなった人もいる。
戦争における作戦を手放しで賞賛することはできません。
でも、こうして映画になると、面白い作戦があったものだと思わずにはいられない。

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