70年前の5月25日、26日に山の手大空襲があり、毎年25日に表参道の善光寺で空襲慰霊法要が行われます。ここ数年は私の知人の俳優、矢田稔さんが、そこで戦争を伝える朗読をされていますが、今年を最後にするかもしれないというお話だったので、聴きに行くことにしました。
善光寺さんも浄土宗だそうで、お寺の雰囲気など、二日前の善念寺と似通ったものがあります。
法要は寺務所で行われます。遠慮がちに入ってみると、ご遺族と思われる方が大勢待合室に集まって、当時のことなどを語り合っていました。80歳近いか越えたと思われる方がほとんどです。
こちらのお寺は元々が尼寺だったようで、5人ほどの尼さんによる読経の中、参加者一人ひとりがお焼香をしました。空襲で亡くなった方の遺族ではないけれど、私もお焼香をして「戦争のない平和な社会」を、祈らせていただきました。
矢田稔さんが朗読に選んだ「あの戦争を伝えたい」という本の一編「連夜の猛襲 渋谷灰じん」の中で、渋谷や代々木や青山などが見渡す限り焼け野原になったこと、母子でB29の落とす焼夷弾から逃げ惑ったことなどが語られて、これらの地域は私にとって日頃身近な場所なだけに、戦争は普通に暮らす人たちの生活を破壊するのだということを、自分のことのように実感させられました。
帰り、原宿駅に向かう道すがら、70年前に起きたことなど無かったかのような華やかな街中を、戦争のことも平和のことも考えていなそうな若者達が行き交う様子に、何だか戸惑いと不安を覚えてしまいました。(三女)