昨日友人と、ポレポレ東中野で先行上映中の映画「戦場ぬ止み(いくさばぬとぅどぅみ)」を見に行ってきました。
『日本にあるアメリカ軍基地・専用施設の74%が密集する沖縄。今、辺野古の海を埋め立てて最新のアメリカ軍基地が作られようとしている。巨大な軍港を備え、オスプレイ100機が配備されるそれは、もはや普天間基地の代替施設などではない。2014年8月14日、大浦湾を防衛局と海上保安庁の大船団が包囲。日本政府は機関砲を装備した大型巡視船まで投入して、建設に抗議するわずか4隻の船と20 艇のカヌー隊を制圧した。陸上でもなんとか工事を止めようと市民が座り込みを続ける。・・・
沖縄の怒りは臨界点を超えた。11月の県知事選は保革を越えた島ぐるみ闘争に発展。「イデオロギーよりアイデンティティー」と新基地建設反対の翁長雄志氏が圧勝、続く衆院選でも民意を叩きつけた。しかし国策は止まらない。海上の抗議活動を屈強な「海猿」たちが排除していく。・・・
三上智恵監督が描くのは激しい対立だけではない。基地と折り合って生きざるをえなかった地域の人々の思いと来し方。苦難の歴史のなかでも大切に育まれた豊かな文化や暮らし。厳しい闘争の最中でも絶えることのない歌とユーモア。いくさに翻弄され続けた70年に終止符を打ちたいという沖縄の切なる願いを今、世界に問う。』(HP「作品情報」より)
沖縄地上戦を生き延び、今シュワブゲート前で毎日座り込みを続けている85歳のおばあ。反対運動をリードし、若い機動隊員たちに身内に対するように訴えかける男性、親と一緒にゲート前に通うあどけなさの残る兄妹、澄んだ瞳を真っ直ぐ海上に向けて抗議船を操縦する若い女性。長い長い抵抗の闘いを続けてきた人たちの顔には、苦しさを乗り越えた突き抜けた明るさがあって、心を揺さぶられます。
去年11月の県知事戦で翁長さんが勝った時の、「これで長かった沖縄の戦さは本当に終わる」と安堵し喜びを爆発させる様子に胸が痛みました。この選挙後も、日本政府は「選挙結果に関わらず基地建設は粛々と続ける」と、基地建設を強行し続けていること、それどころか、人々を排除するやり方が、更に強行に、暴力的になっていることを、私達は知ってしまっているからです。
今年に入って、件のおばあは、ゲート前で警察官に押し倒されて頭に怪我を負い一時入院する事態になりました。建設阻止のために海上に出るカヌー隊の若者たちは、海上保安隊からの手荒な排除に晒されています。運動を引っ張ってきた男性は一時逮捕される騒ぎになりました。抗議船の女性船長が、目に涙を浮かべながら、「どうしたら良いんだろう」と呟く様子に、思わず貰い泣きしてしまいました。
機関砲を装備した大型巡視艦の姿は、自然が豊かな青く静かな海には全くそぐいません。いつも戦争をしていたいアメリカと、アメリカの顔色ばかり伺う日本政府。沖縄に暮す人たちの生き生きとした人間らしい表情が、政治の世界の冷たさ、愚かしさを際立たせています。
世界の心ある人がこの映画を見たら、どんな感想を持つでしょうか。民主主義とか人々の暮らしを大切に思う人たちの心には、きっと沖縄の願いが届くのではないかと思います。是非この映画を国内だけでなく、アメリカを始めとする海外でも上映して欲しいと、心から思いました。
☆先行上映中の今は、毎回満席で入れないこともあるようです。少し早めに行くことをお勧めします。でも東京でもそれ位多くの人たちが関心を持っていると思うと、嬉しいです。
☆映画を見た後、劇場近くの串焼き屋さんで友人とビールや日本酒を飲みながらしばしのおしゃべり。鮪の中落ち、アスパラ、葱、マコモダケ、笹身の串焼きなどのお料理も、雪の茅舎など秋田のお酒も美味しくて、とても満足しました。(三女)