若い頃は、忙しかろうが疲れていようが手当たり次第
安価な文庫本を買ったり、一度に4冊しか借りられなかった
近所の図書館に日曜日は朝借りた読みきったものを持って、
次の週のための本をもう一度借りに行ったりした。
それが、近年忙しく働く間に段々と字が追えなくなって
「2・3行読んだら眠くなって・・・」というのが
初めて実感としてわかるようになった。
仕事から離れ、時間がゆっくり取れるようになってからも
なかなか本に入り込めなくなって一冊読み終えるのが一苦労に
感じられ、目の疲れからか頭痛までしてくる。
老化かと思って、これからの人生を本から離れたらどんなに
退屈な時間が増えるだろうかと心配したけれど、このところ
だんだん以前のペースが戻ってきた。
すなわち、「面白い!」と思えれば´読む´という意識もなく
読み進み、´気がつくと読み終えている´。
今年の秋は、読書の秋が楽しめそうだ。
フェアリー・フェラーの神技
マーク チャドボーン(著) 木村 京子(訳)
バベルプレス 2004/11
実存するカバー絵をモチーフに描かれた幻想的小説。
母親の「転ばぬ先の杖」が、逆に呪縛になっていたように
悪く取ってしまうのは私だけだろうか。
結末は、爽やかにまとまっているのがいい。
特別料理 (異色作家短篇集)
スタンリイ エリン(著) 田中 融二(訳)
早川書房 2006/7
ミステリーで特別料理といえば・・・。案の定の結末。
わかっているのに面白い。わかっているからこそ冒頭から
ワクワクと調理場の秘密に惹きつけられ、雰囲気にドキドキ。
短編集。他の作品も一皿一皿味わいがあって・・・ご馳走でした。
神様からひと言
荻原 浩一 著
光文社 2002/10
組織(会社)の中でのモノづくりは、たいていは個人では
出来ない規模の仕事を立ち上がれなくなるほどのリスクを
抱えることもなく進められる。成功すれば醍醐味は大きい。
それだけに、すんなりとGOは掛からない。
創り上げた自信作を準備万端整えて発表。。。
なのに、結果は無理解・酷評・歪曲した形で拾われたり
シロウトにこっぱ微塵に打ち砕かれたり。。。
爆発したくなるよね。なぜ、みんなガマンできるんだろう?
私にもはるか昔にあって、今につながる悲哀。
出だしから、いいテンポで引き込まれた。
それにしても、『坊ちゃん』も思い出したけど、この感じ・・・
なんか覚えがあるような・・・デジャヴーの正体がわかった。
つい最近読んだ過疎の村おこしの騒動を描いた
『オロロ畑でつかまえて』が同じ作者だったのだ。
八方塞のような状況から、登場人物各自の個性がひかりだし
ひと騒動あったのち、いい感じに落ちつく結末。
社会の暗部も背景にしながら、登場人物たちの力強さで
明るい痛快ストーリー・・・共通項が多い。
今回はちょっと古臭い人間のラブストーリーにも
なっていて微笑ましかった。
※ご興味のある方へ:あらすじ等は、画像したのタイトル名から
リンクしているアマゾンの商品紹介ページでどうぞ。