□ 別冊『太陽』クマガイ モリカズ
何もかも、すごくステキ。美術にとりわけ興味のない人にでも
この本を見せて廻りたいとおもうような作品とその人柄。
自由に、意のまま生きながら芸術に真摯で
いきものを愛し、人好きで人にも愛された人。
□ ベルンハルト短篇集 ふちなし帽
トーマス ベルンハルト (著), Thomas Bernhard (原著)
西川 賢一 (翻訳)
文章の雰囲気、あらすじは一つひとつ味もひねりもあって
面白いのに。。。どこか肌が合わない。
入り込めなかった。
弱者の妥協や屈折した人生観・生き方にどうしても
反発してしまう。
□ 聖地チャームンディ・ヒルへ
―「気づき」までの1001の階段
Ariel Glucklich (原著) 小川 敏子 (翻訳)
インドへ友人に誘われるまま療養に来た青年が聖地に
続く階段で出合った老人は青年を導くかのように寓話を
語り始める・・・。
インドへ向かう人は、どこかこんな出会いを期待
している部分があるのかもしれない。
実際、インドで聖地を訪れると、どこからかふわりと訪れる
怪しげなガイドや、いたるところで修行する人を見かける。
著者もそんな実体験から刺激されての執筆かと想像したら
ヒンドゥー教、サンスクリット文学を専門とする大学教授だった。
青年に声を掛けてきた不思議な老人の寓話は宗教観
にそったインドの人々には理解しやすいものなのだろうか?
インドの賢老人とアメリカ人の青年の会話の間で、
どちらの文化にも属さない日本人である自分を意識しながら、
この本は青年と一緒に老人に翻弄されながら面白く
読み進んだ。
□ 理想的な結婚の後始末
エイヴリー・コーマン (著), 大谷 真弓 (著)
原題 『A Perfect Divorce』: 完全な離婚。
この本に書かれているのは、ずばり離婚後両親と
その一人息子が、それぞれのあたらしい居場所を
見つけて、大きなダメージから再び立ち上がるまでを
描いている。
といってもその離婚は、それほど悲惨だったわけではない。
両親の双方が経済的恵まれて、双方が息子を大切に
思っている。息子も、反発する事無く親の離婚を受け止め
やがて自立していく。
心に残るのは両親のそれぞれが一人暮らしの息子の部屋で
1つの家族としてうまくいっていた頃の三人の写真が
飾られているのを見て、息子の心中を知りショックを
受けるシーンだ。離婚にあたって、子供が受けるいたみを
この本の主人公達は過小評価していたのだ。
この本は、おしゃれなTVドラマを見ているよう。
それでいて離婚後のそれぞれの心の中の復縁の可能性や
互いの新しい家族関係や恋愛・仕事を軽妙に描き
ながらも、大人のエゴや社会的なヒエラルキーなど
随所に生々しく現実感を現し、・・・見かけより中身があった。
最後はちょっと息子の未来を中心に、ご都合主義に
景気よくハッピーにまとめてしまっている感あり。
□ ミルン自伝 今からでは遅すぎる
A・A・ミルン (著), 石井 桃子 (訳)
『クマのプーさん』の著者の自伝。
恵まれた幼少期と恵まれた才能。
努力しても本人より秀でることのなかった兄を
何度も協調するあたり。。。鼻持ちならない。
インテリのやさしいおとうさん像を想像していたので
読まない方がよかったかな。^^;
□ 12番目のカード
ジェフリー ディーヴァー (著) 池田 真紀子 (翻訳)
内容(「BOOK」データベースより)
ハーレムの高校に通う十六歳の少女ジェニーヴァが
博物館で調べものをしている最中、一人の男に
襲われそうになるが、機転をきかせて難を逃れる。
現場にはレイプのための道具のほかに、タロット
カードが残されていた。単純な強姦未遂事件と
思い捜査を始めたライムとサックスたちだったが、
その後も執拗にジェニーヴァを付け狙う犯人を
まえに、何か別の動機があることに気づく。
それは米国憲法成立の根底を揺るがす百四十年前の
陰謀に結びつくものだった。そこにジェニーヴァの
先祖である解放奴隷チャールズ・シングルトンが
関与していたのだ…。“百四十年もの”の証拠物件を
最先端の科学捜査技術を駆使して解明することが
できるのか?ライムの頭脳が時空を超える。
うーん。残念。貸し出し期間切れで読み終えることが
出来なかった。予約が多くついているので、
再度借りることはないだろう。どこかで、ブックレヴュー
を読んで借りてみたけれど、面白さをすごく感じる
とこまで至らなかったし。。。