ここのところ長く電車にのる時間がおおかったので、その時に読む本を選びましたがこれが大正解でした。
ジョン・グリシャムはデヴュー当時幾つか読んで面白かったけれど、その後幾度か挑戦するのだけれど、どうしても完読できない。長い小説なので途中でつまらなくなってしまう。リーガル・サスペンスとして売り出して、本の邦題が裁判関連が付いているから、選ぶのだけれどリーガルとどんどんはなれていってしまうので最近では読まなくなっていました。
これが25作目だそうです。
ではまずは抜き書きから、これは前半の一文。
「ねえ、ハーヴァード、自分がなにをやっているのかちゃんと頭でわかってる?ここは別世界よ。あんたはいま自分から危険に飛び込もうとしているの―企業法務のお上品な暮らしを捨てて、二流三流の世界へとね。こっちに来たら痛い目にも遭うかもしれない。そもそも、稼げっこないのはわかりきった話よ」
そしてこのあと、クソのような訴訟に巻き込まれていって、こちらが後半の一文。
ウォリーの体のふるえはとまっていた。そのあと長いあいだだまりこんでから、ウォリーは話はじめた。「いったいなんでまた、この事務所に迷いこむことになったのかと考えたことがあるかい? きみはすべてを手にしていた―大法律事務所の高級とり、弁護士の出世街道まっしぐらの暮らしを送っていたのに」
「後悔はしてませんって、ウォリー」デイヴィットはいった。そしてこの発言は、おおむね事実だった。
この抜き書きは結構うなずくところもあるのだけれど、デヴィットという主人公のこと、話は三流弁護士事務所に転がり込んだ主人公がそこでの無謀な訴訟に巻き込まれていくお話。もう一つの訴訟含みの展開も、結果は収まるべきところにおさまるのだけれど、仕掛けがきちんとされていて面白い。
読み始めてこれは止まらない、久しぶりに一気に読んでしまったって10日かかったけどね。
こちらの勝手ないいがかりだったんだけれどこれで、この作品でジョン・グリシャムと和解が成立しました、ってそれも勝手か。