
ビル・エバンスの最後の愛人が書いた本を読んでいて、その愛人の名をつけた曲”ローリ"はどんな曲だっけと思っていたら、発掘アルバムが出ていた。エバンスの発掘は毎年のように出ていて、エディ―・ゴメスのはもういいやと思っていたところ、マーク・ジョンソンなので、これはちょっと別物と買ってみた。
私的にはこの、トリオでもう少し作品を残して欲しいと思っていたので,このアルバムは嬉しい。”ローリ"は最後のころは必ず弾いていたような気がする。ラスト・レコーディングでも1番に弾いている。

マーク・ジョンソンとジョー・ラバーベラはエバンスの最後をサポートした、そして素晴らしいリズムだと思う。
今回のアルバムは亡くなる9か月前の12月3日にドイツのシュトゥットガルトで開催されたジャズ・フェスティヴァル出演時の公演のものとなる。
エバンスのラスト・パフォーマンスは亡くなる1980年9月15日の1週間前の9月7日のキーストーン・コーナーになるわけで、そちらは魂が下りているような演奏なっている。

このシュトゥットガルトの演奏もその意味、気迫という意味ではラストとは差が出るものの、曲をいかに迫力あるものにするか、エバンスの心の入れ方は十二分に伝わる演奏になっている。ここのところの多いエディー・ゴメスとの発掘アルバムはもういらないとおもうけれど、このトリオはかなり価値があると思う。
ということでこんだ読んだローリ・ヴァホーマンに捧げた曲はキーストンでも、こっちでも演奏していて、結構美しい響き、エバンス思いを込めて書いたいたということは間違いないだろう。
さて1979年の11月から12月にかけて行われたヨーロッパ・ツアーの中でこのシュトゥットガルトのライヴが行われたわけだけれど、ローリーの本の中で一番近い時期の記載を抜き出しておこう。
それはライヴの5日前、エバンスからローリーに出したはがき。

訳をのせておく。
1979.11.28
ローリー
この葉書は数か月遅れて受け取りか、ひょっとして受け取りことがないかもしれない。なんてことだ‼。
時々とても疲れてしまうよ。特に最初の3日間は(エアフランスのストライキで)余分に長時間電車に乗ったり遅れたりだ。友人にはたくさん会えたけれが。15日に戻れるかも?
ビル
内容の方を書かなかったけれど、気迫の方ではキーストン、だけれど元気があるということではこっちがエバンスということで聞くことが出来ると思う。
TREEFPUNKT JAZZ FESTIVAL STUTTGART / BILL EVANS
ビル・エヴァンス(p)
マーク・ジョンソン(b)
ジョー・ラバーベラ(ds)
Liederhalle, Treffpunkt Jazz Festival, Stuttgart, Germany 3rd Dec 1979
1.リ・パーソン・アイ・ニュー
2.ローリー
3.オール・オブ・ユー
4.ノエルのテーマ
5.愛するポーギー
6.アップ・ウィズ・ザ・ラーク
7.マッシュのテーマ
8.ミーニャ(オール・マイン)
9.ナーディス
10.バット・ビューティフル