
ピアニストの次のアルバムがどう出るか待っているピアニストが幾人かいます。
その一人がERIC REED です。
1999年にででた「manhattan melodies」が素晴らしいとおもいましたし、生では日本公演の100フィンガーでも出会って、その後の作品ではMAX JAZZのHEREが結構良かったので、次をとても楽しみにしていました。
そして今回出たアルバムその前と同じメンバー、3年後の2008年の録音です。
同じメンバーでの録音、より慣れているだろう想像がつきます。
前作のMAXの時は、曲が崇高に作られたような、やさしく広がるようなところを目標にしたような(お父様に捧げるところもあり)、ちょっと硬く感じた所がありました。
今度のアルバムがどのように変化したのでしょうか。
そして1曲目、タイトル曲になっている“STAND!”これがすごい始まりです。
まるでマッコイ・タイナーを彷彿させるモーダルな始まりで、音の幅は厚く、左右の広がりが大きく、ヒット感は強力で、まるでマッコイの代わりにたつという意気込みの演奏です。
2曲目、ベースのWhitakerのソロはヨーロッパの多くのベーシストを聴いてきた身にはいまいちです。
3曲目はやさしい始まりの曲、とてもピアノとベース、ドラムスの和音が心地よい演奏でこのようなことをプレーヤーは意識して作るのだと解ります。
すべての曲をリードが作っていますが、その力に充分ではないでしょうか。
4曲目、ドラムスとベースと一気に始まる思い切りのよい、1曲目と同じような曲、ニューヨークの人たちだとはっきり解る演奏です。
5曲目、いかにもアメリカのトリオ曲、ベースがラインを弾く上にピアノがジャージーなメロディーを乗せていく演奏、その内でも特にリードのピアノがモダンです。
6曲目は淡い感じを入れた曲名は“You Are There”。
そして7曲目は賛美歌のような“New Morning”という曲、落ち着いた明日来る朝の雰囲気なのでしょう。
ここまで聴いてくると教会をとても意識した曲の集まりで、リードが教会でピアノを弾きはじめた事と強く意識した感じです。
8曲目ラテンリズムで思い切り良くはじまる曲は、とてもアクセントになる演奏です。
次の一曲はちょっと良くわからない、モーニンのようなブルースのモチーフですぐ終わってしまいます。
10曲目も静かな祈るような曲。
11曲目、4曲目のように強い曲、このグループ、トリオなのに聴いているとトリオどころでない厚いサウンドで、テナーとか何か一緒に聞いていたような気になります。
とてもバランスの取れたアルバムで、リードの多彩な面を聞くこと出来たアルバムでした。
STAND ! ERIC REED
Eric Reed(p)
Rodney Whitaker(b)
Willie Jones 3世(ds)
1. Stand!
2. Pursuit of Peace
3. Prayer
4. Git'cha Shout On
5. Gratitude
6. You Are There
7. New Morning
8. Adorao [Adoration]
9. Like a Thief in the Night
10. Love Divine
11. Everything That Has Breath
本作のリードはゴスペル&ブルース・フィーリングがたっぷりで、それでいながらほどよいモーダルさもあったりして、最高にカッコよかったです。
またバックの2人もリードとよくマッチしてましたね。
久しぶりに黒人の良いピアノトリオを聴いたなあって感じでした。
とてもいい感じで、リズムもこれでいいのかもしれません。
私的にはベースはもう少し繊細でいて欲しい。