「28mmレンズは存在論を語るにふさわしいレンズ。それに比べ、50mmは、
人生論を語るにふさわしいレンズである」
そういう名言をはいたのは、たしか写真家の高梨豊さんである。
高梨さんといえば、いまや東松照明さんとならぶ、わが国写真界の大御所で、東京造形大学の客員教授。
写真集はわたしは「東京人」「面目躍如」「初國」しかもっていないけれど、「アサヒカメラ」などを通じて、その仕事ぶりに、つねに尊敬のまなざしをそそぎつづけてきた写真家。
いちばん欲しかったのは、4×5(シノゴ)、または8×10(エイトバイテン)を使って、あきれるばかり精密に切り取られた「町」という写真集だったが、高価で手が出ず、図書館で借りてきて、舐めるように何度も眺めたことを覚えている。
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