二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

野鳥に遇いたい(あわせて男たちの晩節を考える)

2015年01月24日 | Blog & Photo
あいたい・・・は、“会いたい”でも“逢いたい”でもなく、遇いたいという文字を使いたいと、わたしは思う。
くどくど説明しなくても、その意のあるところはわかってもらえるだろう。
「このあいだ、この場所で、何時ころあえたからまた、きっとあえるだろう」
そんな期待は、しばしば裏切られる。
そういうお相手に対しては、遇いたいという文字がふさわしい。

これまで見たことのない鳥に遇いたい、遇ったら撮影したいという情熱にかられて、フィールドへ赴く。多少は慣れてきて、わたし個人用の“野鳥棲息図”なるものが、色分けされつつある。
11月~4月 野鳥
5月~10月 昆虫
漠然とではあるけれど、そんな計画をたてている。

フィールドで何人かの鳥屋さんと出会い、その場かぎりのお話をしたり、情報をいただいたりした。
そのうちのお二人を取り上げてみよう。

■Fさん:群馬県藤岡市在住。年齢は62、3歳だろうか?
カワセミの撮影で出かけた烏川べりで、二度お遇いしている。典型的な機材おじさん。
キヤノン5D、キヤノン6D、キヤノン7D ニコンD610などをクルマに積載。そのほか、ソニーのムービーも。これは三脚につけて、スイッチONのまま回しっぱなし。したがって予備バッテリー数本をクルマやポケットに入れている。
レンズもすごい! キヤノンの白レンズ二本を筆頭に、4本ばかり高額なレンズを持ち歩いていらした(^^;)
撮影時は三脚2本を据えて、カワセミがやってくるのを待っている。
ほかの鳥など興味はない・・・といわんばかり。双眼鏡はもっていない。
「なんでも撮ります。SLも風景も。コンテストに出すわけじゃないです。自宅のTVの大画面で見るのが愉しみ」
「ネットは?」
「ネットはやってないですねぇ」


■Iさん:群馬県伊勢崎市在住。年齢は70歳前後だろうか?
スキーウェアのような防寒服に着ぶくれて、嶺公園の東屋に座っていらした。
Iさんの周りには、いつもシジュウカラ、ヤマガラがいる。リュックサック(デイパック)に、野鳥の餌(ヒマワリの種など)が入れてあって、それをご自分の周りに撒いて、小鳥を呼び寄せる。
ヤマガラがIさんの手のひらから餌を銜えて、木の枝へ飛び移る。
そしてつぎはシジュウカラが・・・。
「このあいだゴジュウカラを撮りましたよ」
給餌する人間に寄ってくるのは、シジュウカラ、ヤマガラ、エナガ、メジロなど、ごく限られた種ばかり。ゴジュウカラはかなり稀。
「もともと猟銃をやってましてね。5~6年前から、野鳥に方向転換です」
機材はソニーの高倍率ズーム機1台だけ。最近の傑作集を、その場で見せて下さった。
このIさんも、双眼鏡は持ち歩かないらしい。


このお二人は、バードウォッチングから野鳥の撮影に取り憑かれたのではなく、いろいろな写真を撮っているうち、野鳥の魅力に目覚めたタイプなのだろうと、わたしは推測している。
毎日が日曜日。
むろん悪いご趣味ではない。
こういう“ひとり野鳥の会”の方ではなく、複数でこられている人もいる。

めったに人がやってこない、真冬の寒い混交林の奥。
初老の男が佇んでいる。あるいは、なにかに腰を下ろし、お目当てのものがやってくるのを待っている。
なんというか、わたしは小説にしたいような、ある感懐をにじませずに、彼らを見ることができない(^^)/

現役をリタイヤしたが、いまだ何物かに対して情熱を燃やしている男たち。
わたしはこういう男たちにバルザックの小説のなかで出会ったことがあった。あるいは、ヘミングウェイの「老人と海」のなかで。
寿命がのびただけに、“晩節をまっとうする”のもまた、たいへんな時代。
女たちには家という“城”がある。しかしそこは、そのまま男たちの“城”にはならないのではないだろうか?


さて、トップの画像はハクチョウの見学にいったとき、烏川べりにいたジョウビタキ。
この子はなにかに興奮して、はしゃぎ回っていた。
広大な川、満々たる水に驚いているのか、それとも、その川面を悠々と泳いでいる大きな白い鳥に興奮しているのか?



こちらもそのときのショット。
野鳥にも感情、つまり喜怒哀楽がある・・・ということを、わたしは学んでいる。
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