つぎは百年後
百年後に ここでお会いしましょう。
友人のMさんは そういって別れの挨拶をした。
まばたき一つが十年。
十回で百年。
友人はたちまち白いあごひげをたくわえた老爺となり
アカザの杖を突きながら
人のよさそうな 山羊の笑みを浮かべた。
百年も二百年もたいした差はない。
さっきまで
利根川べりにいつもの夕景が拡がっていて
白いはぐれ雲がぷかり ぷかりと浮かんで
女たちはトイレをさがし
右往左往していた。
救急車が走りすぎる音が聞こえる。
気象が急変し三日月が顔をだしたというのに
大雨洪水警報は発令されたまま。
堤防すれすれにのたうちまわる濁流が
樹木や巨石を押し流していく。
また・・・
またお会いしましょう。
百年後か二百年後に。
杜甫や李白をまじえて
しめやかな酒盛りができたらいいですな
いいですな。
「この地 一たび別れをなし
孤蓬万里にゆく」というではありませんか。
さあ 約束しましょう
百年後ぼくときみと
必ず かならずここでお会いしますと。
※括弧内は李白「友人を送る」より引用
百年後に ここでお会いしましょう。
友人のMさんは そういって別れの挨拶をした。
まばたき一つが十年。
十回で百年。
友人はたちまち白いあごひげをたくわえた老爺となり
アカザの杖を突きながら
人のよさそうな 山羊の笑みを浮かべた。
百年も二百年もたいした差はない。
さっきまで
利根川べりにいつもの夕景が拡がっていて
白いはぐれ雲がぷかり ぷかりと浮かんで
女たちはトイレをさがし
右往左往していた。
救急車が走りすぎる音が聞こえる。
気象が急変し三日月が顔をだしたというのに
大雨洪水警報は発令されたまま。
堤防すれすれにのたうちまわる濁流が
樹木や巨石を押し流していく。
また・・・
またお会いしましょう。
百年後か二百年後に。
杜甫や李白をまじえて
しめやかな酒盛りができたらいいですな
いいですな。
「この地 一たび別れをなし
孤蓬万里にゆく」というではありませんか。
さあ 約束しましょう
百年後ぼくときみと
必ず かならずここでお会いしますと。
※括弧内は李白「友人を送る」より引用