のしてんてんハッピーアート

複雑な心模様も
静かに安らいで眺めてみれば
シンプルなエネルギーの流れだと分かる

里依子 9

2009-10-05 | 小説 忍路(おしょろ)
満員の列車の中で、私たちは通路に並んで立っていて、わずかに肩が触れ合うことがあった。すると里依子の温かさがそっと私に届いた。そのたびに彼女は静かに身を離した。私もまた、それを追おうとはしなかった。身を固くして吊皮を持った手を握りしめるばかりで、ただそんな里依子を淋しくあるいはいじらしく感じるのだ。そして今度は私が深いため息をついて本から目を離すのだった。  車窓からは相変わらずの雪原が私を . . . 本文を読む
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